【税務講座】知らなきゃ損!住宅取得等資金の贈与で賢く節税|property technologies

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    2024年12月16日 04:00
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    「マイホームを検討しているけれど、資金計画が難航…」「住宅購入のために親から資金援助をしてもらったけど、贈与税がいくらかかるか心配…」という方もいるのではないでしょうか?
    マイホームを検討している方は、贈与税を大幅に軽減できる「住宅取得等資金の非課税の特例」という制度の適用条件や期限を理解することで、恩恵を受けられるかもしれません。
    本記事では、最新の非課税制度について詳しく解説し、適用条件や注意点をわかりやすくご紹介します。

    贈与税とは?

    そもそも贈与税とは、個人から財産を受け取った際に課せられる税金を指します。まずは、「贈与」とは何かを理解することから始めましょう。
    贈与とは、一方が自身の財産を無償で相手に渡し、それを相手が受け取る行為をいいます。この贈与を行う人を「贈与者」、受け取る人を「受贈者」と呼びます。一般的には、親が贈与者、子どもが受贈者となるケースが多いでしょう。
    なお、贈与税は、個人から個人へ贈与された場合にのみ発生する税金です。

    贈与税の仕組み

    贈与税は、個人間での贈与が行われた際に発生する税金で、1月1日から12月31日までの1年間に受けた贈与に基づいて課税されます。申告義務は受贈者にあり、財産を受け取った側が税務署に届け出る必要があります(財産を贈る「贈与者」と財産を受け取る「受贈者」のうち、「受贈者」に贈与税を払う義務が発生します)。
    ただし、すべての贈与が課税対象となるわけではありません。贈与税には以下の2つの課税方式があり、それぞれに非課税枠が設定されています。

    暦年課税方式と相続時精算課税方式で贈与税額を計算

    たとえば、2024年11月に3,500万円の住宅を購入する際、1,000万円の資金援助を親からしてもらった場合|受贈者:子(30歳)

    ●暦年課税方式を利用した場合
     ▸課税対象額:1,000万円 - 110万円(基礎控除)= 890万円
     ▸贈与税額:890万円 × 30% - 90万円 = 177万円

    ●相続時精算課税方式を利用した場合
     ▸課税対象額:1,000万円 - 110万円(基礎控除) - 890万円(特別控除)= 0円
     ▸贈与税額:0円
      ※この方式で受け取った財産は、贈与者に相続が発生した際に特別控除部分が相続税の課税対象となります

    出典:国税庁ホームページ 『No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)』 (https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4408.htm
    出典:国税庁ホームページ 『No.4409 贈与税の計算(相続時精算課税の選択をした場合)』(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4409.htm

    住宅取得等資金の贈与税非課税措置とは?

    「住宅取得等資金の贈与税非課税措置」とは、親や祖父母から住宅購入や増改築のための資金を受け取った場合に、一定額まで贈与税が非課税となる制度です。贈与を受ける年の1月1日時点で18歳以上(2022年3月31日以前の贈与は20歳以上)の受贈者が対象です。この制度を正しく利用するために、要件や非課税限度額を詳しく見ていきましょう。もともと期限を「令和5年(2023年)12月31日まで」と定めていましたが、この期限が3年延長され、「令和8年(2026年)12月31日」まで適用延長となりました。

    出典:財務省ホームページ『令和6年度税制改正の大綱』(https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2024/20231222taikou.pdf

    1.非課税限度額とその要件

    「住宅取得等資金の贈与税非課税措置」では、住宅の種類に応じて次の非課税限度額が設定されています。

    以下の条件を満たす住宅が、省エネ・耐震性・バリアフリー対応住宅として認められます。 ※1

    ●省エネ住宅の条件
     ▸断熱等性能等級5以上、一次エネルギー消費量等級6以上。
     (※既存住宅や増改築の場合、断熱等性能等級4以上でも一定条件下で適用)

    ●耐震性の条件
     ▸耐震等級2以上または免震建築物。

    ●バリアフリー住宅の条件
     ▸高齢者等配慮対策等級3以上。

    2024年度の税制改正により、住宅の要件が厳格化されました。
    新築住宅の場合、非課税限度額1,000万円の適用を受けるには、断熱等性能等級5以上かつ一次エネルギー消費量等級6以上を満たす必要があります。

    2.非課税特例の適用要件

    ●住宅の要件
     ▸日本国内にある住宅であること。
     ▸床面積が40㎡以上240㎡以下で、床面積の半分以上が受贈者の居住用であること。

    ●受贈者の要件
     ▸贈与者の直系卑属(子や孫)であること。
     ▸贈与を受けた年の1月1日時点で18歳以上(令和4年3月31日以前の贈与は20歳以上)。
     ▸所得金額が2,000万円以下(床面積が40㎡以上50㎡未満の場合は1,000万円以下)。
     ▸住宅取得等資金の贈与税非課税特例を過去に利用していないこと。

    住宅資金贈与をフル活用して贈与税を大幅に節税する方法

    「住宅取得等資金の贈与税非課税措置」を賢く活用すれば、贈与税の負担を大幅に軽減できます。この非課税措置は、贈与税の基礎控除と組み合わせることで、さらに大きな非課税枠を利用可能です。

    「暦年課税制度」と「相続時精算課税制度」の2つの課税方式をうまく使い分けることで、最大限の節税効果を得られます。

    ●暦年課税方式を利用した場合

    ※住宅資金贈与に係る非課税枠1,000万円(要件充足を前提)

    ●相続時精算課税方式を利用した場合

    これらの制度を正しく理解し適用することで、大きな資金援助を非課税で受けられるだけでなく、将来の相続税対策としても効果的です。ぜひこの制度を活用して、理想のマイホームを手に入れる第一歩を踏み出しましょう。

    住宅取得資金の贈与で賢く節税を

    「住宅取得等資金の贈与税非課税措置」は、住宅購入や増改築を検討している方にとって大きな節税メリットがあります。ただし、制度の要件や適用条件は年々変更されています。特例を最大限活用するためには、最新の税制改正内容を把握し、必要に応じて税理士に相談することをお勧めします。

    住宅取得等資金の贈与の特例のメリット・デメリット

    住宅取得資金贈与の特例は、親や祖父母からの資金援助を受けて住宅を購入する際に利用できる人気の制度です。しかし、この特例にはメリットだけでなく、デメリットも存在します。ここでは、その両方を詳しく解説します。

    メリット1. まとまった資金を非課税で贈与できる

    通常の暦年贈与では、年間110万円の基礎控除額を超えると贈与税が課せられます。しかし、この特例を活用すれば、住宅取得のためのまとまった資金を一度に非課税で贈与することが可能です。
    さらに、暦年贈与と併用することで、最大1,110万円(基礎控除110万円 + 非課税枠1,000万円)、相続時精算課税贈与を併用すれば最大3,610万円(基礎控除110万円 + 特別控除額2,500万円+非課税枠1,000万円)まで非課税となります。

    メリット2. 親の相続税対策にも有効

    特例を活用することで親が将来の相続財産を生前に減らすことができます。これにより相続税の課税対象となる財産を減らし、相続税対策として効果的です。

    メリット3. 生前贈与加算の適用外

    通常、相続開始前3年以内に行われた暦年贈与は生前贈与加算の対象となり、相続税の課税対象に戻されます。しかし、住宅資金贈与の特例を利用した贈与は生前贈与加算の対象外となるため、贈与者が3年以内に亡くなった場合でも、非課税額はそのまま維持されます。2024年以降、加算期間が従来の3年から7年に延長されているため、この特例の重要性がさらに高まります。

    デメリット1. 資金用途が限定される

    この特例は、住宅取得や増改築といった特定の用途にのみ利用可能です。そのため、自由に資金を使いたい場合には不向きです。

    デメリット2. 手続きが煩雑

    住宅取得資金贈与の特例を受けるには、贈与のあった翌年の2月1日から3月15日までの間に、必要書類をそろえて所轄の税務署に申請をしなくてはいけません。戸籍謄本や収入証明書、売買契約書など必要書類が多岐にわたるため申請手続きが煩雑なものとなります。

    住宅取得等資金の贈与に関する事例紹介

    住宅取得資金贈与の特例は、親から住宅購入資金の援助を受ける際に贈与税が軽減される大変便利な制度です。しかしながら適用要件について誤解が多く、特例を正しく活用できないケースも少なくありません。誤りやすい事例を基に、正しい特例適用のポイントを解説します。

    【事例①】親からの1,000万円の贈与を活用して住宅購入を実現

    住宅購入を検討していたAさんは、全額を住宅ローンで賄おうと考えていました。しかし、ローンを組む際に頭金が必要なことが判明。
    手元資金がないAさんは、親に相談し、「住宅取得等資金の贈与税非課税措置」について説明しました。その結果、両親から1,000万円の贈与を受け、頭金として活用。無事にローンを組むことができ、理想のマイホームを購入することができました。

    【この事例から学べるポイント 】

    ①ローン審査で有利な条件を得られる
    贈与によって頭金を用意できたことで、Aさんはローンを組んで住宅を購入できました。また自己資金が増えることで審査において有利な条件を得ることができました。自己資金が増えることで、より低金利のローンを組むチャンスが広がります。

    ②住宅購入の選択肢が広がる
    贈与を受けたことで、Aさんは当初予定していた物件よりもグレードの高い住宅を購入することができました。自己資金が増えることで、購入可能な物件の選択肢が広がり、より満足度の高い住まいを手に入れることができます。

    ③節税効果を得られる可能性
    「住宅取得等資金の贈与税非課税措置」を活用することで、両親に相続税がかかる可能性がある場合でも、節税が可能になります。この制度を利用することで、相続対策にもつながるため、長期的な視点での財産管理が可能です。

    親からの贈与を活用して、理想の住宅購入を実現しましょう。「住宅取得等資金の贈与税非課税措置」を活用することで、頭金の準備やローン条件の改善、さらには節税効果が期待できます。

    【事例②】配偶者の親から贈与を受けた場合の特例適用可否

    Cさんは、2024年11月に妻の父から1,000万円の贈与を受け、住宅を購入しました。その後、「住宅取得等資金の贈与税非課税措置」を知り、非課税の適用を申請。この場合、特例は適用されるのでしょうか?

    【この事例から学べるポイント 】

    今回の事例でCさんは「住宅取得等資金の贈与税非課税措置」の適用を受けられません。特例の適用は受贈者の「直系尊属(両親や祖父母など、血縁関係で直接上の世代に当たる人)」からの贈与に限定されます。また今回の贈与は暦年贈与の一般贈与とみなされCさんは 231万円贈与の支払いが必要になります。

      課税対象額:1,000万円-110万円(基礎控除)= 890万円
      贈与税額 :890万円×40%-125万円=231万円

    ①贈与を受ける人物の選定が重要
    住宅資金贈与の特例を活用するためには、贈与を受ける人物を慎重に選ぶ必要があります。この場合、Cさんの妻が妻の父から贈与を受け、その資金を用いて住宅を購入することで特例が適用されます。

    ②ローン審査で有利な条件を受けられる
    Cさんではなく、Cさんの妻が贈与を受けることで、頭金が増え、より良い条件で住宅ローンを組むことが可能になります。これにより、金利の引き下げや借入限度額の増加などのメリットが得られます。

    ③夫婦間での資金計画のプランニングを行うことが重要
    夫婦間でしっかりと資金計画を立て、贈与を受けるタイミングや住宅購入の時期を調整することが重要です。

    住宅資金贈与の特例は、贈与者が直系尊属であることが適用の必須条件です。配偶者の親からの贈与では特例が適用されないため、贈与者や資金計画を見直すことで、特例を有効に活用しましょう。また、必要に応じて税理士やFPに相談し、最適な対応を進めることをおすすめします。

    正確な手続きで特例を活用

    「住宅取得等資金の贈与税非課税措置」を受けるには、 期限内に正しい手続きと書類提出が必要です。手続きに不備があると非課税特例が適用されないため、国税庁のチェックシートを活用し、漏れのないよう準備しましょう。 不明点があれば税理士に相談することをお勧めします。

    参考:国税庁「住宅取得等資金の贈与税の特例に係る『チェックシート』及び『添付書類』の区分」 (https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/shinkoku/zoyo/tebiki2023/pdf/016.pdf

    また、リノベーション済みマンションをご検討されている方は、当社グループが販売している 『KAITRYリノベ物件購入』ページをご参照ください。

    おわりに

    今回は、マイホーム検討者に向けて 「住宅資金贈与の特例」 の中の「住宅取得等資金の贈与税非課税措置」についてご紹介してきました。 この制度は、期限が2026年12月31日までと決まっており、その後の継続は未定となっています。 マイホームの購入を検討している方は、住宅の購入や入居にはタイムリミットがあるため、 早めに準備を始めましょう。

    そして今回 【税務講座】 としてご紹介してきました、 住宅資金贈与の特例制度の適用条件や期限をしっかり確認し、最大限の恩恵を受けましょう。 多くの方が住宅資金贈与の特例を賢く活用して、家計の負担を軽減しながら理想の住まいを手に入れることを応援しています。

    (編集・執筆/property technologies 永江 直人)

    適用に際しての具体的な注意点 
    ・上記は令和6年10月末時点の適用法令・通達等に基づき記載しております。
    ・上記事例等は一例であり実際に適用する場合にはご自身が適用要件を満たしているか専門家等にご確認の上適切にご対応頂きますようお願い致します。
    ・本記事の記載内容にあてはめて適用することを保証するものではありませんのでご留意願います。


    監修/齋藤 久誠(さいとう ひさなり)

    齋藤久誠公認会計士・税理士事務所
    代表公認会計士・税理士

    2007年 有限責任監査法人トーマツ入社
    2011年~2023年 みずほフィナンシャルグループにて金融資産30億円超の富裕層向け相続承継対策のコンサルタントとして、これまで300件超の相続対策の相談対応、100件超の創業家向け相続承継コンサルティングを実施。
    現在は独立開業し、創業家顧問や税理士法人の顧問に就任しつつ幅広い層に向けたソリューションを提供。

    株式会社property technologies(プロパティ・テクノロジーズ)について

    「UNLOCK YOUR POSSIBILITIES. ~テクノロジーで人生の可能性を解き放つ~」というミッションを掲げています。年間33,000件超の不動産価格査定実績やグループ累計約12,000戸の不動産販売で培ったリアルな取引データ・ノウハウを背景に、「リアル(住まい)×テクノロジー」で実現する「誰もが」「いつでも」「何度でも」「気軽に」住み替えることができる未来に向け、手軽でユーザーにとって利便性の高い不動産取引を提供しています。

    <会社概要>
    会社名:株式会社property technologies
    代表者:代表取締役社長 濱中 雄大
    URL:https://pptc.co.jp/
    本社:東京都渋谷区本町3-12-1 住友不動産西新宿ビル6号館12階
    設立:2020年11月16日
    上場:東京証券取引所グロース市場(5527)

    本掲載内容は、情報提供を目的とし掲載時点の法令等に基づき掲載されており、その正確性や確実性を保証するものではありません。
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    なお、本掲載内容は予告なしに変更されることがあります。


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