水の飲用需要が高まる季節。初夏のシーズンが到来! ペットボトルの水はその日のうちに飲みきることが安心  原水によって菌の増殖に差が!

    調査・報告
    2015年6月11日 18:30
    “水”の安全性や選び方、活用方法を改めて考え直すことを目的とする「水を考えるプロジェクト」(所在地:東京都渋谷区)では、気候の変化から水の飲用需要が高まる初夏に、多く飲用されるペットボトル入りの水に着目し、2015年5月、原水の違いによる菌の増殖について検証実験をおこないました。 ■背景  暑くなり始める梅雨や初夏は菌の繁殖が気になる季節!  約7割の人々が「1日経過したペットボトルの水を飲む」  現状は危険ではないのか? 地球温暖化が進み、毎夏のように気温の高さが更新される日本。多湿な気候も手伝って、熱中症や脱水症状で倒れてしまう人の数は少なくありません。暑くなり始め、水の飲用需要が高まる初夏は、ペットボトル入りの水を手にした人々を街中で見かける機会の多い季節です。 そのような中、当プロジェクトが2015年3月に報告した調査によると、約7割の人々が「ふたを開けて1日経過したペットボトルの水」を躊躇なく飲んでいるという結果が明らかになりました。 そこで、当プロジェクトでは、初夏の季節にペットボトル入りの水の原水の違いによってどの程度菌の増殖に違いがあるのかを検証いたしました(試験機関:一般財団法人北里環境科学センター、北生発2015_0044号)。 ■実験考察  一部の水で菌が増殖傾向!飲み残しの水は早めに飲みきることが安心!  一方ウォーターサーバーなどで多く利用されているRO水は減少する結果に。 検証の結果、「国産天然水(1)」「国産天然水(2)」では菌が増殖する傾向にありました。一方、ウォーターサーバーなどで多く利用されている逆浸透膜(RO膜)で処理した水「RO水」では菌数が減少する傾向がみられました。これにより、原水の違いによって菌の増殖に差があることがわかりました。 各種試験水に添加した菌の菌数変動を時系列でみると、保管期間1時間までは各種の試験水の菌数は大きな変動はみられませんでしたが、保管期間24時間を経過すると菌数が大幅に増加するものもみられました。 ・経過グラフ https://www.atpress.ne.jp/releases/63655/img_63655_1.png ■実験方法 首都大学東京 客員教授 矢野 一好 先生監修の元、北里環境科学センターにて実験を実施。 【試験に用いた水の種類】 ●水道水  :生活用水として最も身近なもの(塩素を除去したもの) ●天然水3種:国産品2種((1)、(2))と輸入品1種 ●RO水   :「逆浸透膜(RO膜)」で処理した水        (ミネラル添加RO水についても実施) 【試験方法】 ●各試験水500mLに大腸菌(約1,000個/mL)を添加 ●室温(25℃前後)で保持 ●0、1、24、48、72時間経過後に菌数測定 ■実験結果  原水によって菌の増殖に差が生まれる結果に。 本試験では各種試験水に添加した菌の挙動を確認しました。 その結果、初期菌数からの増減において、「水道水(塩素除去)」「国産天然水(2)」では、時間の経過とともに菌数が増加。一方、「RO水」「ミネラル添加RO水」については、菌数が減少。さらに、「輸入天然水」では菌数の変動がほとんどみられないなどの結果が明らかになりました。 菌数の増減は試験水の種類によって3つのパターンに分かれています。 【パターン1:時間経過とともに菌が増加】 (1) 水道水:380倍 (2) 国産天然水:最大で43倍 【パターン2:菌数の変動がほとんどなかった】 (1) 輸入天然水:0.9倍 【パターン3:時間経過とともに菌が減少】 (1) RO水:1/550に減少 (2) ミネラル添加RO水:1/14に減少 ・経過図 https://www.atpress.ne.jp/releases/63655/img_63655_2.png ■公立大学法人 首都大学東京 客員教授 矢野 一好 先生の解説 結果を総括すると、「開封したペットボトルの水は、長くても、その日のうちに飲み切るほうが安心」だと考える。 今回の実験は、開封したボトル水に細菌(大腸菌)が混入したことを想定して保存試験を行った。保存期間は、生活シーンをイメージして大腸菌添加後、室温で最長で3日間とした。 その結果、試験水の種類によって菌数の増減に差が認められた。大別すると、天然水では菌は増える傾向にあり、RO水では減少傾向にあった。この理由としては、菌の増殖に必要な有機物などの含有量の違いが考えられた。 すなわち、天然水を原水とした試験水には原水に由来する有機物などが含まれているが、RO水は海水を淡水にすることができるようなフィルターで原水をろ過しているので、菌の増殖はおろか生存に必要な有機物なども含まれていないためだと推測する。 ただ、RO水なら開封後でも安全であるという過信は禁物である。なぜなら、有機物などがない状態の水中でも生残できる細菌類が混入する可能性は否定できない。 RO水は、逆浸透膜(RO膜:Reverse Osmosis Membrane)というフィルターで原水をろ過しているので、原水中の有機物はもちろん、細菌やウイルスなどの微生物も除去できる。そのため、今回の実験に使用した大腸菌は、いわゆる栄養不足になり増殖はおろか減少する傾向になったと思われる。この点が、他の試験水との大きな違いである。 高温多湿の夏に外出するときは、熱中症対策としてボトル水を持ち歩くことも多い。ボトル水は、「飲み切り」が理想であるが、無理な場合は、ボトルに直接口をつけて飲む「口飲み」を避け、早めに飲み切ることを推奨する。 ◇矢野 一好 公立大学法人 首都大学東京 客員教授 保健学博士(北里大学) 一般財団法人機能水研究振興財団 理事、東京都食品安全情報評価委員会 副委員長、北里大学 衛生学部卒業(保健学博士)。東京都健康安全研究センター 微生物部長、一般財団法人北里環境科学センター 微生物部長、特定非営利活動法人バイオメディカルサイエンス研究会 常任理事を経て現職。 ■「水を考えるプロジェクト」概要 ●プロジェクト名: 水を考えるプロジェクト ●設立年月日  : 2015年3月4日(水) ●活動目的   : 飲用水の安全性に興味を持ち、きちんと理解した上で           飲用水を選ぶ・飲むことを啓発する。 ●参画メンバー : 井上 正子           (医学博士・管理栄養士 日本医療栄養センター所長)           橋本 淳司           (水ジャーナリスト/アクア・コミュニケーター/           アクアスフィア代表)           矢野 一好           (公立大学法人 首都大学東京 客員教授           保健学博士(北里大学)) ●サイトURL   : http://www.mizu-kangaeru.jp/

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