酒さ患者にはレンサ球菌が多い?研究結果と皮膚常在菌の新たな可能性を医学博士が解説

    サービス
    2025年12月23日 17:00

    酒さとレンサ球菌(連鎖球菌)の関係について、新たな研究結果が注目されています。

    日本メナード化粧品株式会社の研究では、酒さ患者の皮膚では皮膚常在菌のバランスが乱れ、レンサ球菌の割合が高い傾向にあることが示されました。

    本記事では、この研究結果が酒さの病態理解や、今後の治療にどのような可能性を示すのかを医学博士が解説。

    解説:医学博士 高岡(セラミド化粧品 シェルシュール開発者)

    酒さ患者の皮膚で「レンサ球菌」の割合が増加

    酒さと皮膚常在菌の関係について、新たな研究結果が公表されました。

    日本メナード化粧品株式会社による研究では、酒さ患者の皮膚において、健康な皮膚と比べて特定の細菌バランスが変化していることが確認されています。

    同研究では、酒さ患者の皮膚でレンサ球菌の割合が高いことが示された事から、常在菌フローラ(皮膚常在菌叢)の乱れ(ディスバイオーシス)が酒さの慢性化に関与している可能性が示唆されています。

    ※出典:URL
    https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000092.000048666.html

    レンサ球菌は酒さの原因といえるのか

    これまで酒さの病態については、血管の異常、免疫システムの過剰な反応、神経系の関与などが複合的に関係していると考えられてきました。

    加えて、ニキビダニや表皮ブドウ球菌など、特定の皮膚常在菌が関与する可能性も示唆されています。

    研究レベルでは、酒さ患者の皮膚や腸からレンサ球菌が検出されたとする報告はあるものの、健康な人の皮膚にもレンサ球菌は存在するため、レンサ球菌が酒さの原因であると断定する段階には至っていないとされています。

    因果関係は証明されてないものの

    現在のところ、酒さは単一の原因で発症するのではなく、遺伝的素因、免疫系の異常、紫外線、ニキビダニ、神経血管系の調節異常、ストレス、食生活など、複数の要因が複雑に関与して発症する「多因子性疾患」と考えられています。

    レンサ球菌は、多くの要因の中で引き金や悪化因子の一つである可能性が探られている段階です。

    今回の研究結果は、酒さの病態解明や、より効果的な治療法の開発につながる可能性があるとされています。

    さらに、皮膚の常在菌フローラ(皮膚常在菌叢)のバランスを整える考え方が、今後の酒さ治療で重要になるかもしれません。

    皮膚の常在菌フローラとは何か

    常在菌フローラ(皮膚常在菌叢)とは、皮膚に生息する多数の常在菌がバランスを取り合って形成する状態を指します。

    皮膚には約1兆個の常在菌が生息するとされ、皮膚の上の菌のバランスが、皮膚のバリア機能や健康状態を左右すると説明されています。

    構成する主な菌として、善玉菌に表皮ブドウ球菌、日和見菌にアクネ菌とレンサ球菌、悪玉菌にマラセチア属と黄色ブドウ球菌が挙げられています。

    皮膚の常在菌フローラを構成する主な菌

    皮膚の常在菌フローラは、善玉菌、日和見菌、悪玉菌といった性質の異なる菌で構成されています。

    ・善玉菌(美肌菌)

    美肌菌とも呼ばれる代表的な善玉菌。汗や皮脂をエサにして、脂肪酸やグリセリンを生成します。

    ・肌を弱酸性に保ち、雑菌の繁殖を防ぐ
    ・保湿成分(グリセリン)で潤いをキープ
    ・抗菌ペプチドを作り、黄色ブドウ球菌などの悪玉菌を抑制

    日和見菌

    肌の状態によって善玉菌としても悪玉菌としても働く菌のことです。

    代表的なアクネ菌はニキビの原因菌として知られていますが、通常は肌を守る役割もあります。酸素を嫌い、毛穴の奥に生息しています。

    ・皮脂を分解して脂肪酸を生成し、肌を弱酸性に保つ
    ・過剰に増えると炎症を起こし、ニキビの原因に

    レンサ球菌も日和見菌の一つで、通常は常在菌叢の中で割合が低いものの、種類によっては感染症を引き起こすものもあります。

    悪玉菌

    病原性が高く、肌トラブルの原因になる菌。健康な肌では問題ないのですが、肌がアルカリ性に傾くと増殖します。

    ・炎症やかゆみ、化膿などを引き起こす
    ・傷口や乾燥した肌で悪化しやすい

    悪玉菌としては、毛包炎、アトピー性皮膚炎などの原因となる「黄色ブドウ球菌」が有名です。

    脂漏性皮膚炎には悪玉菌の「マラセチア属」も関わっているとされ、研究が進んでいます。

    常在菌フローラを整えるエキス!?

    常在菌フローラを整える考え方に関連して、化粧品に配合されたクロレラエキスが、善玉菌、美肌菌の栄養となることで働きを助ける効果が期待されています。

    善玉菌の選択的増殖

    クロレラエキスに含まれるアミノ酸や糖類、ビタミン、ミネラルなどは、善玉菌である「表皮ブドウ球菌」にとって良質な栄養源となります。

    一方で、悪玉菌である「黄色ブドウ球菌」の餌になりにくいため、「増殖させにくい」というデータが、化粧品原料メーカーなどから報告されています。

    クロレラエキスは悪い菌を殺すのではなく、良い菌を育てるというアプローチで、肌本来の力を引き出すことを目指す成分と言えます。

    クロレラエキスで期待される効果

    ・善玉菌が増えることで、皮膚のバリア機能が向上する。
    ・抗菌ペプチド産生を促すことによる抗炎症効果(抗炎症効果による透明感アップ、赤みの減少)
    ・EGF作用のような細胞再生効果(肌密度アップ)
    ・皮脂抑制とコメド抑制効果

    まとめ:酒さとレンサ球菌の研究結果

    酒さ患者の皮膚では、健常者と比べてレンサ球菌の割合が多いという研究結果が発表されました。

    レンサ球菌が酒さ「原因」であると断定するには至っていませんが、皮膚常在菌叢の乱れ(ディスバイオーシス)が酒さの慢性化に関与している可能性が示唆されました。

    これは、酒さの病態解明や、より効果的な治療法の開発につながる可能性があります。

    創業者/開発者 髙岡 幸二
    大阪府出身。神戸大学卒。医学博士。
    元神戸大学バイオシグナル研究員。
    元奈良女子大学非常勤講師・バイオテクノロジーの研究員。
    化粧品・健康食品の開発。
    2024年10月に、サンエス石膏株式会社のグループに参画。

    会社名   :有限会社DSR
    代表者  :宮竹 二郎
    本社所在地 :大阪府吹田市江坂町1-23-101大同生命江坂ビル13階
    設立   :2002年12月4日
    事業内容 :化粧品の開発、製造、販売
    資本金  :300万円
    URL   :https://dsr-skincare.jp/

    敏感肌ナビ
    敏感肌,脂漏性皮膚炎,酒さ,ニキビのスキンケア情報を発信
    https://dsr-skincare.jp/blog/

    DSRオンラインショップ
    敏感肌のためのセラミド化粧品「シェルシュール」、敏感肌がときめくセラミド化粧品「ノーブルヒル」の2つの自社ブランドを販売
    https://www.dsr-co.jp/

    【DSR公式Amazonストア】
    シェルシュールやノーブルヒルの一部商品を取り扱い
    https://www.amazon.co.jp/stores/page/B3C6F6FF-A393-4A53-811D-8FB66F5A0AAA

    すべての画像