飛蚊症をどう診るか。過度に心配しないための「診療のお作法」

「黒いものが飛ぶ」
外来で非常に多い訴えです。
いわゆる飛蚊症。
特にこの時期は空が明るくなり、多くの患者さまがこられます。
まず最初にお伝えしたいのは
👉 多くの飛蚊症は心配のいらないものだということです。
■多くは生理的な変化
飛蚊症の多くは、後部硝子体剥離に伴うものです。
加齢とともに硝子体が変化し、
その影が見えている状態です。
これは自然な経過であり、
治療を必要としないことがほとんどです。
■ただし、注意すべきケースがあります
一方で、同じ「飛蚊症」という症状の中に
👉 見逃してはいけない病気が含まれていることがあります
頻度は高くありませんが、
ここを見極めることが非常に重要です。
では、どのように見極めるのでしょうか。
■診療には「お作法」がある
飛蚊症の診療は、単に「見る」だけではありません。
一定の流れで考えていきます。
① 網膜裂孔がないか
② 網膜剥離が起きていないか
③ 出血がないか
④ 血管の異常がないか
👉 この順番で評価することが重要です。
■まず裂孔を考える
最初に確認すべきは
👉 網膜裂孔です
網膜剥離の多くは、ここから始まるためです。
そして重要なのは
👉 裂孔は網膜の周辺部にできるという点です。
そのため、この評価には
👉 網膜周辺部まで撮影できる広角眼底写真があると有用です。
■見えていないというリスク
一般的な検査では、網膜の中心付近が主に評価されます。
つまり
👉 周辺部の病変は見落とされる可能性がある
この「見えていない領域」をどう補うかが、
診断の質を左右します。
■次に剥離を評価する
裂孔がある場合、
網膜剥離の有無を慎重に確認します。
ここは時間との勝負になることもあります。
■出血という視点
飛蚊症は、出血として現れることもあります。
その原因は
👉 網膜裂孔
👉 血管の異常
のいずれかです。
■血管まで考える
網膜は血管の臓器です。
血流が悪くなる(虚血)と
新生血管が生じ、出血の原因になります。
ここまで考えて初めて、
飛蚊症の全体像が見えてきます。
■血流を見るという発想
血管の異常を評価する際には
👉 OCT angiography(OCTA)
のように、血流を可視化できる検査があると
診断の精度は大きく向上します。
造影剤を使わずに血流を評価できるため、
非侵襲的に病態を把握できる点も大きな利点です。
■診療の本質
飛蚊症の診療は
👉 「大丈夫なものを見極める」ことと
👉 「見逃してはいけないものを拾う」こと
この両方が求められます。
そしてそのためには
👉 適切な順序で考えること
👉 それを裏付ける検査手段を持つこと
が重要になります。
■最後に
飛蚊症はありふれた症状です。
だからこそ、過度に不安になる必要はありません。
しかし同時に
見逃してはいけないものがあるのも事実です。
その中で何を想定し、どう診るか。
👉 そこに眼科医の腕の見せ所があります。

医療法人社団久視会 いわみ眼科
理事長:岩見 久司(医学博士・日本眼科学会認定 眼科専門医)
所在地:兵庫県芦屋市公光町11-2 CH158 BLDG HANSHIN ASHIYA 2F
公式サイト:https://iwami-eyeclinic.com/
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