日本国内ハミガキ発売130周年! ~歯みがき習慣を支えてきたライオンのオーラルヘルスケアの歩み~
ライオン株式会社(本社:東京都台東区、以下ライオン)は、1896(明治29)年に当社初のハミガキ『獅子印ライオン歯磨』を発売して以来、約130年にわたり、日本だけでなく海外にまでオーラルヘルスケア習慣の定着に取り組んできました。“歯をみがく”ことがまだ特別だった明治時代から、現在では毎日の当たり前の習慣といえるまでに変化しています。本レターでは、当社ハミガキの進化の歩みと、未来に向けた研究のトレンドをご紹介します。

『獅子印ライオン歯磨』のパッケージ
1. 無香味の『獅子印ライオン歯磨』を教訓に始まった、香味へのこだわり
日本の歯みがきは、仏教とともに伝来し僧侶や公家など身分の高い階級から始まり、江戸時代には庶民に広まりました。江戸時代のハミガキ粉は、塩や房州砂(ぼうしゅうすな)を細かく砕いたものに薄荷(ハッカ)などの香料を入れて香味をつけた簡単なもので、明治に入ってから西洋の処方を参考にした近代的なハミガキが登場しました(※1)。当社のハミガキ事業は、多くの競合品がひしめく市場に、後発で参入するかたちで始まりました。1896(明治29)年、小林富次郎商店(現・ライオン)は『獅子印ライオン歯磨』を発売し、そこから130年にわたりハミガキ事業を展開してきました。当社に残る1915(大正4)年の製品カタログには、中国を中心にインドや欧米、さらには南米にまでその輸出先を広げているとの記載がありました(※2)。
(※1) Lidea「つい誰かに話したくなる!歯の歴史が楽しく学べる「歯の博物館」に潜入 : 暮らしのマイスターが行く」 https://lidea.today/articles/902
(※2) ライオンミュージアム ライオン最古のカタログ
https://www.lion.co.jp/ja/company/history/museum/01/03.php
(1) 最初のハミガキは「無香味」の粉だった(※3)
当社が初めて販売したハミガキは、香料無配合だったため香味がないものであり、「片栗粉に塩やマグネシウム塩などを細かく砕いて配合した粉ハミガキ」といった、非常にシンプルなものでした。発売当初は売れ行きが伸び悩んでいたこともあり、翌年からハミガキに香料を配合し始め、香味をつけるようになりました。
(※3) 創業者・小林富次郎を支えていた甥であり跡継ぎとなる二代目・小林富次郎の自叙伝より
(2) 「香味へのこだわり」の原点
輸入香料との出会いは、『獅子印ライオン歯磨』の売れ行きを伸ばす一つの大きな要因でした。高級な輸入香料を配合し、処方全体の品質も高めたことで、「ライオンハミガキは香味が良い」と評判を得るようになり、売り上げも徐々に拡大していきました。
質の良い香料を配合することで製品価値が高まり、生活者の方から支持をいただいた経験から、当社は「ハミガキの香味が、使う人の使い心地や習慣化にとって非常に重要である」と強く認識するに至りました。これをきっかけに、当社は“香味へのこだわり”を大切だと考え、特に、歯みがきに伴う“爽快感”に欠かせないミントに強いこだわりを持ち、香味開発を重要な技術として進化させていきます。
その精神は、現代も受け継がれており、香味を開発する研究員は、天然ミントの産地があるアメリカに赴き、品質調整・選定評価を行った上で、独自の香味設計を行っています。「歯みがきしたくなる香味づくり」を追求し続けています。
【関連情報】
・MINT PRIDE ~天然ミントにこだわる理由~(動画)
・ニュースリリース「【ハミガキ剤の香味が幼児の歯みがき行動に及ぼす効果の臨床研究】 『天然ミント油』由来の抽出物が、幼児の歯みがき行動に影響」2022年9月28日
https://doc.lion.co.jp/uploads/tmg_block_page_image/file/8325/20220928.pdf
2. 「ライオン」に込めた“歯と健康”への想い
(1) なぜ「ライオン」だったのか?
1896(明治29)年に発売された『獅子印ライオン歯磨』。現在の社名の由来となったネーミングは、当時のハミガキ市場の状況と深く関係していました。文明開化のなかで新しい生活様式が広がるとともに、ハミガキ市場では動物名を商標とする商品が数多く登場していました。象やキリン、鹿のほか、鶴、ツバメ、ゼブラ、犬、シャチなど、多様な動物がブランド名として用いられていました。
その中で、「獅子は百獣の王であり、その歯牙はきわめて頑強である」というイメージから、“強い体・強い歯”の象徴として「ライオン」の名を採用しました。製品発売に先立ち、1896(明治29)年3月には商標登録を出願、「ライオン」という社名はハミガキから始まったと言えます。また、“ライオン”という新しい名前に“獅子印”を組み合わせ、縁起物の獅子舞にも通じる親しみやすい印象を持たせたことも、生活者に受け入れられた要因の一つと考えられます。
なお、獅子印のマークは製品パッケージに使われたのち、時代とともに意匠を変え、現在はシルエット調の旗印として、社章のマークにも受け継がれています(※4)。
(※4) ライオン120年史より

獅子印マークの変遷
(2) ライオンのスローガンの変遷
『ライオンハミガキ』が商品として販売される中で、当社は大正時代からハミガキ・ハブラシ事業を行う企業として、「ライオン歯磨本舗(株)小林商店」と名乗り始めました。
その後、1980(昭和55)年の合併により新会社「ライオン」が誕生、企業メッセージを伝えるために制定した企業スローガンが、「おはようからおやすみまで 暮らしをみつめる」でした。これは、合併を記念して社内公募1,667点の候補の中から選ばれたものです。スローガンの言葉は、時代の変化とともに移り変わっていきました。

1980年のロゴマーク
ライオンのスローガン変遷一覧(1980年以降~)
・1980年1月~「暮らしをみつめる」
・1991年1月~「いつも暮らしの中に」
・2001年1月~「あしたに、あなたに」
・2004年8月~「おはようからおやすみまで くらしに夢をひろげる」
・2012年1月~「今日を愛する。」

2004年のロゴマーク
[関連資料]
ライオン公式note「ライオンの企業スローガンを振り返ってみた」
https://note.lion.co.jp/n/n06b8afcb45ac
3. 世界初・日本初の有効成分が切り開いた“予防するハミガキ”の歩み
創業当初、『獅子印ライオン歯磨』は主に歯の汚れを落とすことを目的とし、「歯みがき」という新たな生活習慣を世の中に広めてきました。その後、当社のハミガキは、歯や歯ぐきなどの口腔内組織に働きかける“機能”をもつ製品へと進化し、“予防するハミガキ”という新しい価値を切り開いてきました。
(1) 日本初のフッ化物(フッ素)配合ハミガキ『ライオンFクリーム』 1948(昭和23)年
フッ化物は、世界で用いられているハミガキの有効成分です。日本で初めてフッ化物を配合したハミガキとして、当社は1948(昭和23)年に『ライオンFクリーム』を発売しました。毎日の歯みがきを通じてしっかり“むし歯(う蝕)予防”するという考え方を、日本に普及させる大きな第一歩となりました。
2017(平成29)年には厚生労働省がフッ化物イオン濃度1,500ppmを規格上限とする歯磨剤を医薬部外品として初めて承認し、現在では1,450ppmなどの高濃度フッ化物配合ハミガキが市販されています。

1948年『ライオンFクリーム』
(2) 世界初・歯垢分解酵素(デキストラナーゼ)配合ハミガキ『クリニカライオン』 1981(昭和56)年
1981(昭和56)年に発売した『クリニカライオン』は、歯垢分解酵素(デキストラナーゼ)を配合した、世界初のハミガキでした。界面活性剤を多く含むハミガキの中で酵素を安定化させるという難しい技術課題に取り組み、約15年にわたる研究開発を経て実用化しました。
当時はまだ多くの人に十分認知されていなかった「歯垢(プラーク)」に着目し、歯垢そのものに働きかけるという発想は、その後の予防歯科における「プラークコントロール」という概念の確立に貢献しました。
現在も、『クリニカPRO』ハミガキシリーズは、お口の様々なリスクの原因となる「歯垢」に対し、日本で唯一(※5)の歯垢を分解・除去する有効成分「酵素」を配合し、ハブラシが届きにくいところまで、すみずみの歯垢を酵素が分解・除去します。
(※5) デキストラナーゼ酵素のこと。歯磨剤の販売実績として。(2023年10月当社調べ)

1981年発売の『クリニカライオン』。世界初、歯垢分解酵素(有効成分:デキストラナーゼ)を配合
[関連情報]
クリニカブランドサイト
クリニカ|予防歯科から生まれたクリニカ|ライオン
(3) トラネキサム酸配合ハミガキ『デンターTライオン』 1982(昭和57)年
1982(昭和57)年に発売された『デンターTライオン』は、抗炎症成分トラネキサム酸(Tranexamic acid:TXA)を配合したハミガキです。歯槽膿漏の認知を高めた『デンターライオン』の後継として、歯ぐきの腫れ・出血に効果のあるトラネキサム酸を配合したハミガキとして登場しました。
「歯ぐき」の健康にも焦点を当てた製品であり、歯周病(※6)予防の重要性を生活者に広く伝える役割を果たしました。
(※6) 歯肉炎・歯槽膿漏の総称

1982年発売の『デンターTライオン』。抗炎症成分トラネキサム酸を配合
4. 130年の先にあるオーラルヘルスケア 最新研究が目指す“口腔環境(口腔内細菌叢(※7))を整える”
130年にわたるハミガキ開発の歴史は、「汚れを落として、香味による爽快感を与える」ものから、「有効成分を口腔内に届ける・留める」という機能的な役割を果たし、現在は新たな役割を実現するべく進化を続けています。その役割とは、「口腔環境を整える」ことです。口腔細菌叢とは口腔内にいる多様な細菌の集団のことで、口腔内の環境の良し悪しを決める重要な因子です。腸内フローラ(腸内の善玉菌と悪玉菌)が整っていると腸内環境が良好であることと同じ考え方です(※8)。
当社では口腔内細菌の集団全体を分析して、その構成割合を検出する研究を10年以上継続しており、新生児の口腔細菌叢がどのように形成されていくかの過程や、歯周病有病者の口腔細菌叢が、歯科治療後も口腔状態が良好な人とは異なることを明らかにしてきました(※9)。
最新の研究では、有効成分であるグリチルリチン酸ジカリウム(GK2)が歯周病原因細菌(※10)を選択的に抑制し、その結果、口腔細菌叢のバランスを整える(※11)、すなわち歯周病原因菌の比率を低く抑える作用があることを確認しています(※12)。

GK2処理・未処理での細菌叢中のP.gingivalisの分布
(※7) 口腔環境に生育する細菌の集団
(※8) ニュースリリース「ライオンとサイキンソー、口腔・腸内細菌叢の共同研究で新知見 ―良好な口腔環境が腸内環境の安定に関わる可能性を示唆―」2025年11月18日
(※9) ニュースリリース「乳幼児期の早い段階からのお口のケアが大事!生後6か月~1歳半は大人の口腔細菌叢に大きく近づく重要な時期」2022年3月24日
https://doc.lion.co.jp/uploads/tmg_block_page_image/file/8021/20220324.pdf
(※10) 歯周病に関わる細菌の代表菌種であるPorphyromonas gingivalis。この菌は歯肉に炎症を引き起こすだけでなく、フローラの乱れを引き起こすキーストーン細菌としても報告されている (G. Hajishengallis, et al. Low-abundance biofilm species orchestrates inflammatory periodontal disease through the commensal microbiota and complement. Cell Host Microbe, 10(5)(2011):497-506., J. Mysak, et al. Porphyromonas gingivalis: major periodontopathic pathogen overview. J Immunol Res, (2014):476068.)
(※11) 口内フローラのバランスを歯周病原細菌の比率が少ない状態に整える作用
(※12) ニュースリリース「グリチルリチン酸ジカリウムが口腔内の歯周病原細菌を選択的に抑制する作用を確認 ~口腔内細菌叢(口内フローラ)のバランスを整える、歯周病予防の新たなアプローチ~」2025年9月26日
5. 生活者とともに育んできた“歯みがき習慣”を、次の世代へ
『獅子印ライオン歯磨』の発売から130年。香味へのこだわり、世界初の有効成分への挑戦、そして口腔環境を整える研究へと、当社は常に歩みを進めてきました。その一つ一つは、毎日のささやかな「歯みがきの時間」に、より高い価値をもたらすための挑戦です。そしてこうしたオーラルヘルスケア習慣を、日本だけでなく海外にも広める取り組みを進めています(※13)。
これからも当社は、科学的エビデンスに基づくオーラルヘルスケア研究と、一人一人のライフステージに寄り添った製品開発を進めるとともに、歯みがき習慣の啓発や情報発信にも積極的に取り組み、毎日の“歯みがき習慣”をより良いかたちで次の世代へつないでまいります。
(※13) オーラルヘルスケア習慣の定着化に向けた取り組み
https://www.lion.co.jp/ja/sustainability/healthy-living-habits/oral/
<生活者の方> 国内ビジネスユニットお客様コミュニケーション部 0120-556-913























