親の不動産はどうする?「売却」「活用」「贈与」「相続」をまとめて考える時代へ|property technologies

    その他
    2026年4月13日 11:00

    「実家は、親が元気なうちはそのままでいいと思っている」
    「相続の話は縁起が悪くて、つい先延ばしにしてしまう」

    こうした声は非常に多く聞かれます。
    しかし近年、親の不動産をめぐるトラブルの多くが「元気なうちに何も決めていなかったこと」を原因として起きています。

    これからの時代、親の不動産については、売却・活用・贈与・相続を“まとめて”考えることが不可欠になっています。

    2026年、住宅ローン控除の延長や贈与特例の継続など、不動産を動かすための「追い風」が吹いています。今こそ、親と一緒に「実家の未来」をキャッチアップしましょう。

    併せて、「100秒deキャッチアップ!! 【2026年改正】住宅ローン控除、中古住宅も「13年」の時代へ。後悔しないための新基準」もご覧ください。

    1. なぜ「今」なのか? 迫りくる2つのリミット

    まず、私たちが直面している2つの大きな変化を知ってください。

    ①「義務化」という法的リミット

    2024年4月から「相続登記」が義務化されました。正当な理由なく義務に違反した場合は、10万円以下の過料の対象となるだけでなく、いざ売ろうとした時に権利関係が複雑すぎて身動きが取れなくなるケースが急増しています。

    ②「認知症」という時間のリミット

    親の判断能力が低下すると、不動産の売却や契約ができなくなる「資産凍結」の状態に陥ります。こうなると、介護費用のために家を売ることすら困難になります。

    2. 「相続が発生してから考える」では手遅れになるケースも

    実際の相談現場では、
    次のようなケースは決して珍しくありません。

    ▢親が認知症になり、成年後見制度を使わないと実家を売却できなくなった

    ▢相続人が複数いて話し合いがまとまらず、実家が長年空き家のまま

    ▢名義が親のままで、売却も賃貸も進められない

    ▢固定資産税や管理負担だけが子世代にのしかかる

    これらの問題は、「相続が起きてから考える」では解決が極めて難しいのが実情です。

    3. 親の不動産の選択肢は大きく3つ

    ① 売却する

    今後住む予定のない実家や不動産であれば、早めに売却して現金化するという選択肢があります。

    売却資金は、
     ▢有料老人ホームへの住み替え資金
     ▢老後の生活資金
     ▢相続時の分割対策(現金なら分けやすい)
    など、柔軟に活用できます。

    また、固定資産税・管理・修繕・空き家リスクといった負担から解放される点も大きなメリットです。

    ② 活用する

    ▶賃貸に出す
    ▶リフォームして二世帯住宅にする
    ▶アパート・駐車場など土地活用を行う

    ただし、
     ▢立地条件
     ▢建物の老朽化
     ▢周辺の賃貸需要
    によって、向き・不向きが大きく分かれます。そのため、不動産のプロによる現実的な収支判断が欠かせません。

    ③ 贈与する(生前贈与)

    親が元気なうちに名義を子や配偶者に移しておくことで、
     ▢将来の売却手続きがスムーズになる
     ▢管理や意思決定がしやすくなる
    といったメリットがあります。

    一方で、
     ▢贈与税
     ▢登録免許税
     ▢不動産取得税
    などのコストが発生するため、税務面の検討なしに進めるのは危険です。

    4. 不動産の生前贈与で使える主な特例制度

    「不動産の贈与は贈与税が高い」と思われがちですが、
    一定の条件を満たせば税負担を軽減できる特例制度もあります。
    ※金額・期限・要件は今後改正される可能性があります。必ず最新情報をご確認ください。

    相続時精算課税制度

    相続時精算課税は、年間110万円の基礎控除(特定贈与者ごと)と、累計2,500万円の特別控除を踏まえて贈与税を計算し、相続時に精算する仕組みです。
     ▢60歳以上の祖父母・父母 → 18歳以上の子または孫への贈与が対象
     ▢累計2,500万円まで贈与税がかからない制度
     (2,500万円を超えた分は一律20%の税率を乗じて算出)
     ▢2024年改正により、年間110万円の基礎控除も新設

    将来の相続時にまとめて精算する仕組みですが、
     ▢将来売却予定の不動産
     ▢早めに名義整理をしておきたいケース
    では有効な選択肢になることがあります。

    配偶者控除(おしどり贈与)

    婚姻期間が20年以上の夫婦の間で、「居住用不動産」または「居住用不動産を取得するための金銭」の贈与が行われた場合
     ▢配偶者控除:2,000万円
     ▢基礎控除:110万円
     → 最大2,110万円まで贈与税がかかりません。

    相続対策や高齢夫婦の名義整理で活用される制度ですが、申告・居住要件・取得目的などの条件確認が必須です。

    住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税

    不動産そのものの贈与には使えませんが、
    祖父母や両親から、子や孫が住宅購入資金の贈与を受ける場合、
     ▢省エネ住宅など:最大1,000万円
     ▢一般住宅:最大500万円
     ▢基礎控除110万円と併用可能

    2026年12月31日まで期限延長されています。ただし、住宅取得後の贈与や諸費用への充当は対象外など、細かな要件があります。
    住宅取得等資金の贈与税非課税は、制度の適用期限(受贈年ベース)や住宅性能要件など細かな条件があります。
    期限延長の有無も含め、国税庁の最新情報を確認してください。

    5. 特例があっても「不動産実務」とセットで考えなければ失敗する

    重要なのは、特例制度は「使えば必ず得になる魔法の制度」ではないという点です。

    実際には、
     ▶特例を使って贈与した結果、売却しにくい権利関係になった
     ▶税金は抑えられたが、家族トラブルに発展した
     ▶不動産の価値や流動性を考えずに進めてしまった
    といった失敗例も少なくありません。

    だからこそ、不動産の生前対策は 税務・法務・不動産実務をワンセットで検討することが不可欠です。

    親が元気なうちに動いた人ほど、選択肢が広がる

    例えば、次のような話し合いを早めにしておくだけでも大きく変わります。

     ▢この家を将来どうしたいのか
     ▢誰が住むのか
     ▢売却する可能性はあるのか
     ▢子どもたちはどう考えているのか

    これが整理できていれば、「売る」「貸す」「残す」「引き継ぐ」すべての選択肢を現実的に検討できるようになります。

    一方で、何も決めないまま時間が経つほど、

     ▶売れない
     ▶貸せない
     ▶揉める
     ▶動けない

    といった「負動産」になるリスクは確実に高まります。

    6. 早めに“相続と不動産の両方がわかる専門家”へ相談を

    親の不動産対策では、『相続・税務の専門的な視点』『不動産実務(売却・評価・流動性)の視点』
    が欠かせません。
     ▢今いくらで売れるのか
     ▢そもそも活用できる不動産なのか
     ▢贈与後も売却しやすい名義になるか
     ▢権利関係に問題はないか

    こうした点を整理することで、「漠然とした不安」から「具体的な方針が見える状態」へと変わっていきます。将来のトラブルを防ぐためにもまずは現状をしっかり把握することから始めてみましょう。

    実家には、数字では測れない家族の思い出が詰まっています。
    だからこそ、その扱いを「お金の話」として敬遠してしまうのかもしれません。
    しかし、売却も活用も、すべては「家族全員が納得する未来」のための手段に過ぎません。現状を正しく把握し、早めに専門家や査定ツールを活用することが、結果として親の安心と子世代の負担軽減に直結します。

    「あの時動いておいてよかった」と思える未来のために、今、準備を始めましょう。

    (編集・執筆/property technologies 永江 直人)

    適用に際しての具体的な注意点
    ・上記は令和8年3月末時点の適用法令・通達等に基づき記載しております。
    ・上記事例等は一例であり実際に適用する場合にはご自身が適用要件を満たしているか専門家等にご確認の上適切にご対応頂きますようお願い致します。
    ・本記事の記載内容にあてはめて適用することを保証するものではありませんのでご留意願います。


    監修/大谷 修太(おおたに しゅうた)

    齋藤久誠公認会計士・税理士事務所

    1級ファイナンシャル・プランニング技能士
    宅地建物取引士

    2012年にみずほ銀行へ入社後、2014年みずほ信託銀行へ出向。
    2024年まで相続・事業承継・不動産を専門とするコンサルタントとして毎年100家族以上のご相談に対応。現在は独立し「相続や事業承継で経済的に不幸になるご家族を一人でも減らしたい」という理念のもと、幅広い層の皆さまに最適なソリューションを提供。

    株式会社property technologies(プロパティ・テクノロジーズ)について

    「UNLOCK YOUR POSSIBILITIES. ~テクノロジーで人生の可能性を解き放つ~」というミッションを掲げています。年間36,000件超の不動産価格査定実績やグループ累計約15,000戸の不動産販売で培ったリアルな取引データ・ノウハウを背景に、「リアル(住まい)×テクノロジー」で実現する「誰もが」「いつでも」「何度でも」「気軽に」住み替えることができる未来に向け、手軽でお客様にとって利便性の高い不動産取引を提供しています。

    <会社概要>
    会社名:株式会社property technologies
    代表者:代表取締役社長 濱中 雄大
    URL:https://pptc.co.jp/
    本社:東京都渋谷区本町3-12-1 住友不動産西新宿ビル6号館12階
    設立:2020年11月16日
    上場:東京証券取引所グロース市場(5527)


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