ヴィネクスポ・アジア2025 ロードショーレポート ―アジア4大都市をまたぐ業界の変遷を追う!―
シンガポール、バンコク、クアラルンプール、上海で開催された 「ヴィネクスポ・アジア 2025ロードショー」では、 変動する関税や進化する貿易規制から、消費者の嗜好の変化や新市場の出現まで、 業界の専門家たちが様々な業界動向を発表しました。
2025年5月5日 ― ヴィネクスポジウム(Vinexposium)社は、シンガポール、マレーシア、タイ、中国で開催したヴィネクスポ・アジア 2025ロードショーを成功裏に終了しました。このイベントには各地域の専門家やオピニオンリーダーたちが集結し、世界のワイン&スピリッツ業界で現在進行している変革に関して考察を発表しました。
主要なテーマは、「貿易力学の変化と関税の変動による影響」、「消費者嗜好の変化」、「ノンアルコール/ローアルコール製品に対する需要の高まり」、「気候変動がワイン生産に与える影響」などです。
Vinexpo Asia 2023 の様子
ヴィネクスポジウム社のCEO、ロドルフ・ラメイズ(Rodolphe Lameyse)氏は、次のように述べています。「ヴィネクスポ・アジアでは、ますます複雑化するこの世界情勢を乗り切るため、ワイン&スピリッツ業界の『機敏さ』と『野心』を反映させるようにしています。地政学的なものであれ、消費者主導のものであれ、市場の変化に応じ、この業界は急速に変化しています。シンガポールで開催されるヴィネクスポ・アジア2025は、アジア地域のポテンシャルをより深く理解しその裾野を広げていこうとする業界関係者たちにとって、戦略的なビジネスの出会いの場であることを、今回のロードショーを通して再確認することができました。」
ヴィネクスポジウム社は、このロードショーのみならず「ヴィネクスポ・アカデミー」や「ボイス・オブ・インダストリー(Voice of the Industry=業界の声)」などのこれから提供するセミナーやコンテンツを通して、ビジネスを促進する役割だけでなく、専門家主導のコンテンツや市場動向におけるこの業界のキュレーターとしての役割も強化していきます。
■アジア各地の市場動向
ロードショーとして開催された4つのイベントは、シンガポールとマレーシアではロドルフ・ラメイズ氏(ヴィネクスポジウム社 CEO)とロブ・テンプル氏(シノワイン社 マネージング・ディレクター)が主導し、タイと中国では、ナタリー・ワン氏(ヴィノ・ジョイ・ニュース創設者兼編集者)が共に主導しました。
世界的にワイン消費量が減少し、特に若年層の消費量が減少している中で、ヴィネクスポ・アジアのロードショーでは、「市場の変化」、「新たなビジネスチャンス」、「各地域におけるポテンシャル」などの重要な考察が共有されました。
このような不透明な時代において今ワイン業界は、成長とビジネスチャンスを見込める「アジア地域」に注目しています。現在、アジアの人口は48億人で世界の人口の60%を占めており、2030年には35億人の中産階級が誕生する予定です。(米国はわずか6億8,900万人)
ASEAN地域だけでも、2023年時点で人口は6億7,700万人・合計GDPは3兆8,000億ドル、と計り知れない経済的なポテンシャルを秘めています。
■新興市場:タイ、ベトナム、インド
新興市場について、シノワイン社のロブ・テンプル氏は次のように述べています。
「タイ、ベトナム、インドへのワイン輸入はそれぞれ200万ケース、180万ケース、140万ケース(9L単位)程度ですが、増加傾向にあります。これらのアジア新興市場は、急速に拡大する中産階級を擁しており、世界で最も急速に経済成長を遂げている市場のひとつです。この新たな消費力と一人当たりのアルコール消費量の高さは、ワインと高級スピリッツブランドにとって非常に大きなビジネスチャンスと捉えられます。」
タイ:タイのGDPは、2025年は3%の増加が見込まれています。観光業の回復、消費者の信頼向上、インフラプロジェクトへの投資拡大、デジタル経済、輸出拡大など、全体的に明るい予測がなされています。飲食市場の規模も、2024年の14.2億米ドルから2029年には18.7億米ドルと順調に成長していくと予測されています。
タイのワイン輸入市場もまた、すばらしい回復力と長期成長の可能性を示しています。2022年のパンデミック後の成長と2023年の市場調整の後、2024年には再度成長が見られ、市場が安定してきていることを示しています。
これらの成長を牽引している主な理由は、ワインの輸入関税が54%から無期限でゼロに引き下げられたことにあります。消費税が5%に引き下げられたことも、2008年の香港の輸入ワイン関税撤廃の大英断と同じく、急激な市場の成長を後押しする要因となりました。これがワインの価格引き下げにつながり、プロモーションが活発となり小売りの現場が活性化されるにつれて、スーパーマーケットでの複数ボトルの購入の需要や、ワイン・シャンパン・ウィスキーの高付加価値化への動きも生み出しています。
インド:インドのGDPと人口の増加、特に中産階級の人口増加は、ウィスキーとビールの巨大市場を生み、ワインにも大きなビジネスチャンスをもたらしています。
IWSR(アルコール飲料市場調査機関)のデータによると、成長を続ける外食産業の場においても、持ち帰り用に訪れる高級小売店においても、消費者がより付加価値の高いものを求め、新しいスタイルの商品やプレミアム商品を探し求めていることから、インドの蒸留酒・ワイン・RTDの需要が高まってきています。
インドでは消費者の数が増え続ける中で、若い消費者層に大きな注目が集まっています。この層で酒を飲む消費者は、消費に慎重で量より質を選ぶ傾向にあります。そのため、消費量はそれほど多くないですが厳選された商品を選ぶでしょう。
ベトナム:ベトナムは2022年に、主にイタリア、フランス、チリ、オーストラリアから3,500万米ドル相当のワインを輸入し、注目を集めました。しかしながら、ベトナム政府が2030年にワイン税を倍増させるというニュースは、ベトナムのワイン市場の可能性についてより慎重な見方をせざるを得ない状況を生みました。
■成熟市場:韓国、中国、香港
成熟市場について、ヴィノ・ジョイ・ニュース社のナタリー・ワン氏は次のように述べています。
「今、私たちはかつてないほど不安定な市場と、予測不可能な貿易障壁の時代を経験しています。しかしアジア地域では対照的に、自由貿易を通じて市場に安定をもたらそうとし、世界のワイン貿易の未来を形作る態勢を整えています。日本、中国、香港のような確立された市場は、成長のための強固な基盤を提供しており、一方でタイやインドのように急速に成長する市場は、重要な原動力となっています。将来を見据えたワイン戦略においてアジア市場は、不可欠な存在なのです。」
韓国:2023年比で国内の消費額と数量が縮小しているにもかかわらず、韓国における輸入額は2020年比47.1%増となっています。市場がパンデミック以前の水準に後退しておらず、まだ長期的なポテンシャルを秘めていることを示しています。
中国:5年ぶりに中国のワイン市場が回復しました。2024年のワイン輸入総額は15.9億米ドルとなっています。ワインの購入が「贈答品としての購入」から「消費者主導の消費」へと移行しているため、価格帯が引き下げられ、リースリングやニュージーランドのソーヴィニヨン・ブランを中心とした白ワインブームが起きています。
香港:消費者のコスト意識が高まり、多くの香港市民が物価の安い深センや広州で飲食するようになっています。2021年以降輸入額は年々減少しており、ワインの輸入額は2021年の61.01%に縮小し、これは2010年以降で最低の数字となりました。それでも香港は、依然として高級ワインオークションの中心地であり、世界最大のワインデータベースを持つVivinoのデータによると香港は依然として一人当たりのワイン消費額が最も高くなっています。
■ヴィネクスポ・アジア 2025 ― これからの展望
ヴィネクスポ・アジア2025年展は、国際的なオンライン・リサーチデータおよび分析テクノロジーグループであるYouGovと、ワインコンサルタント会社のシノワイン社(Sinowine Ltd.)とのコラボレーションによる、特別なマーケットインサイト・レポートの配信を始めます。
この調査は、香港、中国南部のグレーターベイエリア、シンガポール、タイ、マレーシアの市場を深く掘り下げて分析、ワイン&スピリッツ業界の消費者動向、課題、ビジネスチャンスに焦点を当てたものです。またワインやスピリッツを選ぶ際に最も影響力のある要因、赤ワインと白ワインの消費頻度、各飲料カテゴリーの実際の消費者数などのトピックを取り上げていきます。
当見本市の開催と並行して、ヴィネクスポジウム社の「ボイス・オブ・インダストリー」の第2版が発表され、専門家による分析や市場動向、アジアにおけるワイン&スピリッツの未来を形作る戦略的な考察が皆様に提供されます。またヴィネクスポ・アカデミーのプログラムについても近日中に詳細を発表します。
Vinexpo Asia 2023の様子 マスタークラス
ヴィネクスポ・アジア2025年展は5月27日(火)から29日(木)までシンガポールのマリーナベイ・サンズで開催されます。これら各国で行ったロードショーで勢いをつけたまま、当見本市では綿密なディスカッションや活発な商談会、市場動向の発表など様々なイベントを開催します。業界関係者の皆様のお越しをお待ちしております。
ヴィネクスポ・アジア 2025の来場者事前登録はこちら
https://vinexposium.mybadgeonline.com/Pro-Login-en-US?trk=GPROJAP
ヴィネクスポ・アジア 2023の写真はこちら
https://public.joomeo.com/users/Vinexposium/albums/64468f379891f
<ヴィネクスポ・アジアについて>
ヴィネクスポ・アジアは、ワイン&スピリッツ業界のプロフェッショナル向けに、アジア太平洋地域の主要な業界関係者や企業とつながる機会を提供する特別なイベントです。毎年、2大ビジネス拠点であるシンガポールと香港にて交互開催されるこのイベントは、世界で最もダイナミックな市場の1つであるアジア市場で、人脈を広げ、業界のイノベーションを発見し、そしてビジネスチャンスを育むための戦略的プラットフォームとして機能しています。
<ヴィネクスポジウムについて>
ヴィネクスポジウム(Vinexposium)社は、一年中世界各地で開催される様々な関連イベントを開催し、ワイン&スピリッツ業界の各分野にまとまった情報提供をしています。年間8つも開催される主要イベントに出展者と来場者を集め、ヴィネクスポジウム社はこの業界の発展を促進し、販売網の拡大に努めています。
Vinexposium, creating momentum ― ワイン業界に勢いをもたらすVinexposium
<ヴィネクスポ・アジア2025概要>
●会期:2025年5月27日(火)~29日(木) 9:30~18:30(最終日は17:30まで)
●主催:ヴィネクスポジウム社(Vinexposium)
●会場:シンガポール マリーナベイ・サンズ (Singapore - Marina Bay Sands)
●出展分野:ワイン、スピリッツ
出展者リスト: https://vinexpoasia.com/newfront/marketplace/exhibitors
●ヴィネクスポ・アジア2025公式ホームページ(英語/仏語): https://vinexpoasia.com/newfront
●入場バッジの取得ページ: https://vinexposium.mybadgeonline.com/Pro-Login-en-US?trk=GPROJAP
5月26日まで、上記公式サイトで来場登録すると無料で入場バッジを取得できます。イベント開催期間中は、現地窓口・公式サイトともに70シンガポールドル(約7,800円)でご購入いただけます。
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