サーモフィッシャーサイエンティフィック、東京大学医科学研究所...

サーモフィッシャーサイエンティフィック、 東京大学医科学研究所附属遺伝子・細胞治療センターによる アデノ随伴ウイルスベクターの製造スケール拡張に向けた 技術開発をサポート

AAVベクターに関する製造技術の選択肢を広げ、 遺伝子治療分野における創薬シーズの臨床応用に貢献

サーモフィッシャーサイエンティフィックのバイオサイエンスビジネス(以下、「サーモフィッシャー」)は、東京大学医科学研究所附属遺伝子・細胞治療センター(東京都港区、センター長:岡田尚巳、以下、「東大医科研遺伝子・細胞治療センター」)が進めるアデノ随伴ウイルス(以下、AAV)ベクターの製造スケール拡張に向けた技術開発に対して、遺伝子治療研究の実用化支援を目的に、両組織間で締結した契約内容に基づき、製品と技術のサポートを開始したことを発表します。


本技術開発には、サーモフィッシャー独自の技術をもとに開発された、アデノ随伴ウイルス産生用のトータルシステム、「Gibco AAV-MAX Helper-Free AAV Production System Kit(以下、「当システム」)」が使用されます。当システムはAAV産生に必要な全ての構成品からなり、浮遊細胞を使用して高密度の培養を行うため、高い効率でウイルス産生を増大させることができます。スケール拡張性のある当システムと、東大医科研遺伝子・細胞治療センターによる学術的取り組みを組み合わせることにより、新たな製造プロセスを提案し、日本における遺伝子治療研究の実用化の加速を目指します。


AAV-MAX Helper-Free AAV Production System Kit


近年、世界中で多様な遺伝子治療の研究が進み、市場規模の拡大が予想されています。そのため、日本国内でも大学や研究機関による遺伝子治療の創薬シーズの迅速かつ継続的な創出がこれまで以上に重要視され、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)が大学と企業との連携を強化し、基礎研究から実用化への橋渡しをサポートするなど、遺伝子治療薬の製造や技術移転の円滑化が進められています。


遺伝子治療のなかでもAAVは生体への遺伝子導入において安全性が高く、遺伝子治療用のウイルスベクターとして開発が進んでいます。しかし、研究室での小規模スケールの開発段階でAAVベクターの品質が確保されたとしても、製造スケールへの拡張によってその品質の再現が困難となる場合があります。AAVベクターを商用向けに高品質かつ大量に製造するためには、高い技術水準、さらには製造手順の効率化などが求められます。


サーモフィッシャーは、東大医科研遺伝子・細胞治療センターによるAAVベクター製造のスケール拡張に向けた技術開発に対して、サポートを開始しました。本技術開発では、当システムを用いて、波型振盪(ロッキング式)の培養装置を活用し、AAVベクターの製造を数百mLスケールから20Lスケールまで拡張する手法の確立を目指しています。サーモフィッシャーはすでに縦型攪拌式のバイオリアクターを用いてAAVベクターを大量に製造する技術を確立していますが、本技術開発へのサポートを通じて、技術的な選択の幅を広げ、新たな製造手法を提供することで、大学などの研究機関やバイオベンチャーが保有する創薬シーズの実用化、さらには遺伝子治療の発展に貢献することを目標とします。



東京大学医科学研究所附属遺伝子・細胞治療センター長 岡田尚巳氏のコメント

「当研究室は、遺伝子および細胞治療の基盤技術の開発を中心に、分子病態解析、遺伝診療、遺伝子・細胞治療の高度化を進め、個別化ゲノム医療の包括的トランスレーショナルリサーチを目指しています。ウイルスベクター関連技術の開発においては、安全性が高く長期発現が可能なベクターとして期待されているAAVベクターの遺伝子治療用製品としての本格的実用化に向け、新規変異体の開発や製造・精製に関する基盤技術を構築しております。また、高品質のベクターを安定的に製造するため、米国食品医薬品局(FDA)や国内の規制指針の動向を反映した次世代の分析技術の開発も整備しております。サーモフィッシャーサイエンティフィックの最新技術を用いることがスケールアップおよび製造コストの課題解決につながると考えており、本技術開発により、新しい遺伝子治療法の実用化を促進し、一刻も早く研究の成果を患者さんやご家族の元にお届けすることを目指します」



サーモフィッシャーサイエンティフィック ジャパングループ バイオサイエンス シニアダイレクター 内田淳介のコメント

「サーモフィッシャーは大学などの研究機関や企業におけるライフサイエンス研究、医薬品開発をサポートするために、研究用試薬や機器などの製品販売、受託サービスなどを提供しています。本技術開発に使用される当システムは、ウイルス産生用のHEK293細胞やその無血清培地、トランスフェクションキット、細胞溶解バッファーを含むトータルシステムであり、スケール拡張性のある浮遊系を採用していることで、高力価が期待できます。当システムの他に、再生医療等製品の製造使用を想定したGibco CTS シリーズのラインアップもご提供しており、研究ステージから商用製造のスムーズな移行をサポートします。スケール拡張技術の選択肢が新たに増えることにより、遺伝子治療薬の開発スピードアップにも貢献できると期待しています」



当システムの詳細については、以下のサイトをご覧ください。

https://www.thermofisher.com/jp/ja/home/clinical/cell-gene-therapy/gene-therapy/aav-production-workflow/adeno-associated-virus-production-research.html



※プレスリリースに記載している情報は、発表日時点のものです。現時点では、発表日時点での情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承、ご注意をお願いいたします。



■サーモフィッシャーサイエンティフィック インコーポレイテッドについて

サーモフィッシャーサイエンティフィック インコーポレイテッド(本社:米国マサチューセッツ州ウォルサム)は、科学サービスを提供するグローバルなリーディングカンパニーであり、収益は400億ドルを超えています。私たちのミッションは、私たちの住む世界を『より健康で、より清潔、より安全な場所』にするために、お客さまに製品・サービスを提供することです。私たちはライフサイエンス研究のさらなる加速、分析における複雑な課題の解決、研究室の生産性向上、臨床診断性能と治療の向上、患者さんの人生を大きく左右する医薬品開発・製造に取り組むお客さまを支援します。当社のグローバルチームは、Thermo Scientific、Applied Biosystems、Invitrogen、Fisher Scientific、Unity Lab Services、Patheon、PPDといった業界をリードするブランドを通じて、革新的な技術、購入における利便性、医薬品開発・製造サービスにおいて、他に類を見ない組み合わせを提供します。

URL: https://www.thermofisher.com

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