機能性食品の内臓脂肪低減機能と遺伝子多型との関連性を研究し論...

機能性食品の内臓脂肪低減機能と 遺伝子多型との関連性を研究し論文として公開

 株式会社ジーンクエスト(本社:東京都港区、代表取締役:岩田 修)はライオン株式会社(本社:東京都台東区、代表取締役兼社長執行役員:竹森 征之)と共同で、機能性食品の内臓脂肪低減機能と遺伝子多型との関連性について研究し、腸溶性ラクトフェリンの内臓脂肪低減機能に個人差が生じている要因として遺伝子多型が関与していることが示唆され、個々人の体質を理解することで機能性食品をより効果的に活用できる可能性が得られました。腸溶性ラクトフェリンの内臓脂肪低減機能の個人差と遺伝子多型との関連性を調査した研究は本研究が世界で初めてとなります。この成果は専門誌「Journal of Functional Foods」にて2023年7月9日に公開されました。また、2022年10月15日に第10回日本ラクトフェリン学会にて冨田賞を受賞、2022年12月11日に第22回国際栄養学会議にてYoung investigator excellent abstract awardを受賞しております。



◆本研究の背景

 メタボリックシンドロームは、近年罹患者が急増しており、様々な生活習慣病を引き起こすことが知られています。メタボリックシンドロームの予防のためには、食習慣や運動習慣の改善が重要となりますが、抗肥満機能を持つ食品を摂取するという方法も注目を集めています。本研究で注目している腸溶性ラクトフェリン(LF)においては、これまで肥満気味の方の内臓脂肪とBMIの低減を助ける機能が確認されておりましたが、その機能には個人差があることが知られていました。

 本研究では、腸溶性LFの内臓脂肪やBMI等の低減機能に個人差が生じている一因が遺伝子多型に起因するのかどうかを解明することを目的としました。医薬品の分野では、遺伝子多型が医薬品の効果に影響を及ぼす例が多く知られていますが、腸溶性LFの内臓脂肪低減機能の個人差と遺伝子多型との関連性に関する研究は今までにはありませんでした。



◆本研究の結果、および将来の展望

 本研究では、腸溶性LF摂取群34名と対照食品群36名を対象として、遺伝子解析を行っております。具体的には、試験食品摂取前後での腹部内臓脂肪面積、BMI等の変化とゲノム情報を用いて、ゲノムワイド関連解析(GWAS、注1)を行い、腸溶性LF摂取における内臓脂肪低減機能等と関連する遺伝子多型が存在するかを探索しました。その結果、有意な関連が示唆される(p値<10の-5乗(注2))遺伝子多型を複数個所同定することができました。また関連があると同定された遺伝子多型情報を用いることで、腸溶性LFの機能に対する高精度な予測モデル式(決定係数>0.9)を構築することができました。しかしながら、本研究で同定できた遺伝子多型や構築できた予測モデル式はいずれも、研究業界でコンセンサスの取れている有意水準は満たしていないため、別の検証試験にて再現性を確認する必要があります。

 本研究によって、腸溶性LFの機能の個人差に遺伝的な要素が関与しており、その機能が遺伝子多型により予測できる可能性が示唆されました。また本研究では、過去に実施した臨床試験の被験者に対して、事後的に唾液を採取して研究を行いました。遺伝子データは基本的に生涯変わらないものであることから、このように事後的な唾液採取のみで簡便に研究を実施することが可能です。今回のような研究を様々な機能性食品で展開することにより、各個人の遺伝子解析結果に基づいた最適な機能性食品、つまりテーラーメード機能性食品を提案することも可能となり、健康寿命の延伸に寄与することが期待されます。


本研究結果の概要図


■用語解説

注1 ゲノムワイド関連解析(GWAS):ヒトゲノム全体の多くの遺伝子多型を決定し、遺伝子多型の頻度と病気や量的形質との関連を統計的に調べる方法です。


注2 ここでのp値とは、統計検定により遺伝子多型と腸溶性LF摂取における内臓脂肪低減機能との関連性がないと仮定した場合に偶然同様の関連が起きる確率のことを言います。p値が小さいほど、偶然ではなく真に関連していることを意味しています。一般にはp値<0.05が有意水準と考えられておりますが、GWASにおける解析では、多くの遺伝子多型を扱うため、p値<5×10の-8乗を「有意な関連がある結果」、p値<10の-5乗を「有意な関連が示唆される結果」であると解釈することが一般的とされています。



◆研究表題:A study on the association between antiobesity effects of lactoferrin and genetic variations

DOI: 10.1016/j.jff.2023.105664

URL: https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1756464623002645



■企業情報

社名  : 株式会社ジーンクエスト

所在地 : 東京都港区芝五丁目29番11号 G-BASE田町

設立  : 2013年6月20日

資本金 : 110,000千円(資本準備金含む)

代表者 : 代表取締役 岩田 修

事業内容: 個人向け遺伝子解析事業

URL   : https://genequest.jp/



■ジーンクエストリサーチについて

 「ジーンクエストリサーチ」は、国内外の企業、研究者等と連携し、主に遺伝子解析キットを通じて蓄積されたゲノムデータを活用し、遺伝子多型と体質、疾患に関する幅広い研究に取り組んでおります。研究活用に関して同意が得られたユーザーのデータを匿名化し、倫理審査委員会により情報の取扱い、提携先における利用目的等の承認を受けた上で、研究活用します。今後も、共同研究パートナー企業、研究者とともに、サービスと研究のシナジーを創出し、新たな価値の創出を目指し実現してまいります。当社では、共同研究の研究者、パートナー企業様を広く募集しております。

ジーンクエストリサーチURL: https://genequest.jp/forbiz/

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