九州北部豪雨で流されたお堂を再建する「積祈(つみき)プロジェクト」 地域住民とともに建設した仮設のお堂が完成

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    2021年10月14日 15:30
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    協力して仮設の赤堂を造る学生と地域住民の様子
    協力して仮設の赤堂を造る学生と地域住民の様子

    近畿大学産業理工学部(福岡県飯塚市)建築・デザイン学科の学生が、平成29年7月九州北部豪雨で被災した福岡県朝倉市の把木寒水地区で、地域住民から「赤堂さま」と呼ばれて親しまれてきたお堂の再建に取り組んでいます。赤堂は、豪雨被災以前は地域住民の憩いの場となっていた場所で、再建にあたっては学生と地域住民が協力して活動してきました。
    このたび仮設のお堂が完成し、令和3年(2021年)10月17日(日)にお披露目会を実施します。

    【本件のポイント】
    ●建築を学ぶ学生が、平成29年7月九州北部豪雨で被災したお堂の再建ボランティアを実施
    ●建材として豪雨で流れされた木を使うなど、復興の象徴となる仮設の赤堂が完成
    ●地域住民と協力し、記憶や文化などを自分たちの手で繋ぎとめることの大切さを体現

    【本件の内容】
    朝倉市把木寒水地区では、長年信仰してきた赤堂が平成29年7月九州北部豪雨の土砂災害から人々を守ったと信じられており、その災害で失った赤堂を再建する計画が進められています。しかし、再建を行うには周辺の土地のかさ上げなどが必要なために相当な時間がかかるとわかり、近畿大学産業理工学部の学生が、本格的な再建まで仮設の赤堂を設置することを提案しました。その後、地域ボランティア団体であり、朝倉市の復興ボランティアに取り組む一般社団法人 Camp(https://www.facebook.com/camp2020.net/)の協力を受けて、仮設の赤堂の建設を行ってきました。
    仮設の赤堂の壁には、河川の護岸や堤防の補強に使われる「蛇籠(じゃかご)」を用いており、鉄線で編んだ長い籠に石や豪雨で流れされた木を入れることで、災害で流れてしまった木を土地に還元し、復興の象徴とする狙いがあります。また、石を詰める作業は地域住民の方々と共同で行い、記憶や文化、信仰を自分たちの手で繋ぎとめることの大切さを体現するイベントとしました。
    赤堂再建に向けた一連の活動は「積祈(つみき)プロジェクト」と名付けられ、ただ再建するだけでなく、地域住民とともに赤堂の記憶を掘り起こし、想いを積み上げながら建築していくという意味と、豪雨災害への祈りと赤堂の歴史継承の意味が込められています。

    【開催概要】
    日 時:令和3年(2021年)10月17日(日)10:00~11:00
    場 所:仮設の赤堂(福岡県朝倉市杷木寒水313付近)
    参加者:産業理工学部 建築・デザイン学科4年 南 奏(かな)さん
        一般社団法人 Camp
        地域住民の方々

    【赤堂と平成29年7月九州北部豪雨】
    朝倉市把木寒水地区には、「赤堂さま」と呼ばれて地域の人たちに親しまれる赤いお堂がありました。平成29年7月九州北部豪雨の日、家の前の道路が土砂であふれて死を覚悟したある住民が、外に白い人影を見つけて助けを求めたところ、返事はありませんでしたが、気が付くと流れてきた岩が土砂をせき止め、その隙に避難することができました。人影が見えたところは、赤堂のある場所でした。
    豪雨災害によって赤堂は跡形もなく流されてしまいましたが、把木寒水地区では被害者が一人も出ませんでした。地域の人たちは、「赤堂さまが助けてくださった」と信じ、赤堂を再建することを決意しました。

    【関連リンク】
    産業理工学部
    https://www.kindai.ac.jp/hose/

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