新進気鋭の写真家Louis,T Sugawaによる 写真展「KASUMI かすみ」代官山シソンギャラリーにて開催

―フランスと東京を行き来する若き写真家の見る風景―

株式会社シソン(所在地:東京都渋谷区)は、代官山シソンギャラリーにて、写真家Louis,T Sugawaによる作品展を2023年4月20日より30日まで開催いたします。


作品1



■写真家Louis,T Sugawaのコメント

「春はあけぼの。

やうやう白くなりゆく山ぎわ、少し明かりて、紫立ちたる雲の細く棚引きたる。


夏は夜。

月のころはさらなり、闇もなほ、蛍の多く飛びちがひたる。

また、ただひとつ、ふたつなど、ほのかにうち光りて行くもをかし。

雨など降るもをかし。


秋は夕暮れ。

夕陽の差して山の端いと近うなりたるに、烏の寝所へ行くとて、三つ四つ、二つ三つなど飛び急ぐさへあはれなり。

まいて雁などの連ねたるが、いと小さく見ゆるは、いとをかし。

日入り果てて、風の音、虫の音など、はた言ふべきにあらず。


冬はつとめて。

雪の降りたるは言ふべきにもあらず、霜のいと白きも、またさらでもいと寒きに、

火など急ぎおこして、炭持て渡るも、いとつきづきし。

昼になりて、ぬるくゆるびもていけば、火桶の火も、白き灰がちになりてわろし。」


「ずっと『かすみ(霞)』というキーワードが僕の中にあった。

ある晩、仕事帰りにひとりでバーに行き、バーテンダーと言葉を交わしていたとき、『あ、これだ、かすみだ』という気づきがあった。本がたくさん置かれているバーで、そこに『枕草子』があり、手に取って開いた。

これだ、と思った。今回の写真展は『かすみ』というテーマにしよう、とそのときに思った。」


「見る人に考えさせる写真を、僕は好む。何を言おうとしているのか、何をとらえようとしたのか、そもそもなぜ撮ったのか。一枚の写真によって、コミュニケーションが始まる。僕が撮りたいのはそういう写真だ。」


「今回の個展への自分のスタンスは、『枕草子』に表現されている。あまりにも有名な、『春はあけぼの』という言葉で始まるあの物語だ。山の稜線、光と影、立ち上る煙、早朝の雲、冬の雪、夏の霧……、そういった光景をとらえた写真を展示しようと考えた。」


「去年、長野の霧ヶ峰という場所へ行き、撮影をした。それは、僕にとって、いろんな意味で印象的な撮影だった。仕事だったが、ランドスケープの撮影では、自分に通じる『何か』を感じた。そこは、言葉から絵へのスイッチが簡単にできる場所だった。」


「子どもの頃に出逢った、アビ・ヴァールブルクの本。読むのは簡単ではなかったが、その後もずっと、幾度も読み返している。アビ・ヴァールブルクは、19世紀にハンブルクで生まれた美術史家で、ドイツ語の『Nachleben 残存、残影、記憶』について考えていた人。芸術作品が宿す記憶とは、何か。ヴァールブルクはそれを、『ひとつの文化の中に存在する別の文化』だと語っている。写真表現をする上で、僕は、ヴァールブルクの影響を強く受けている。写真もまた、『記憶、残影』なのだ。そして写真は、『時間』であり、『空間』でもある。」


「人でも風景でも、撮影後、僕はレタッチにたっぷりと時間をかける。(時に、まったくレタッチをしない、撮ったままの写真もある)レタッチの作業は、自分の中で、1枚の写真に深く対峙していく大切な時間だ。僕の中では、写真すべてにストーリーがある。その1枚を撮ったときの気温、湿度、場所の匂い、背後の音、一人だったか、誰かと一緒だったか、彼・彼女は何を考えていたのか。そういった記憶と時間をもう一度辿りながら、探りながら、僕は自分の写真を作り上げていくのだ。レタッチとは、僕にとってそのような作業だ。だから時にそれは、終わりのない、果てしない仕事のようにも思える。いつも自分の中に完成した絵、イメージがある」


「美しさ、というのが大切なテーマ。自分にとっての基準。」



■イベント概要

イベント名: Louis,T Sugawa写真展「KASUMI かすみ」

開催日時 : 2023年4月20日~30日

開催場所 : シソンギャラリー

       東京都渋谷区猿楽町3-18

アクセス : 代官山駅より徒歩8分、渋谷駅より10分

詳細ページ: https://sison.tokyo



■作家プロフィール

Louis,T Sugawa:1998年、フランス出身。写真家。

パリ、東京に拠点を置き、ポートレート、広告、ファッション、アートワークを中心に活動。主なクライアントにL'officiel, GQ, La lettura, Zeit, etc.

日本人の両親を持ち、フランス西部で生まれ育ち人生の大半をパリで過ごす。11歳の頃から中判を中心にフィルムカメラに興味を持ち、仕事と並行して世界中を旅しながらポートレートを撮り続けている。

幼少期、常にマイノリティにいた彼は言語力とカメラを通して友人を作り、ファッションのコミュニティに入り込んでいく。ドイツ・ベルリン、アメリカ・ポートランドに移り住みながら自分の原点、日本人としてのアイデンティティを探す為に東京へ。


Louis,T Sugawa(b.1998,France) is Paris,Tokyo-based photographer. Louis worked French fashion magazine in his childhood and spent most of time experimenting with cameras. Since the age of 11 he has continuously worked and photographed friends around him.

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