日本メナード化粧品、唾液中のタンパク質から認知機能の低下リス...

日本メナード化粧品、唾液中のタンパク質から 認知機能の低下リスクを予測する技術を開発

日本メナード化粧品株式会社(愛知県名古屋市中区丸の内3-18-15、代表取締役社長:野々川 純一)は、唾液中の炎症性タンパク質「フラクタルカイン」の量を調べることで、自身の認知機能の低下リスクを予測できることを発見しました。


唾液中フラクタルカイン量と認知機能の関係


「人の名前を思い出せない」や「何をやろうとしていたか忘れてしまう」といった記憶力に関わる認知機能の低下は、脳の特定の領域での神経細胞の新生が関係していると考えられています。認知機能は年齢とともに低下しますが、この低下速度には個人差があり、その原因についてはまだ明らかになっていません。メナードは、これまで炎症性タンパク質の一つである「フラクタルカイン」が脳の神経細胞の新生を妨げることを発見しました。(2019年7月24日リリース https://www.atpress.ne.jp/news/189239 )

その後研究を進め、今回、(1)唾液中のフラクタルカイン量と血中のフラクタルカイン量には相関があること、(2)加齢に伴い唾液中のフラクタルカイン量が増加すること、(3)唾液中のフラクタルカイン量が多いと認知機能テストのスコアが悪くなることを発見しました。さらに今回、唾液中のフラクタルカイン量を測定する技術を開発しました。この測定技術によって、認知機能の低下リスクを予測できると期待しています。

今後は、唾液中のフラクタルカイン量や認知機能の低下リスクの結果に応じて、その人に合った生活習慣の見直しや健康食品などの提案を行うことで、加齢に伴う認知機能の低下を防ぎ、健康寿命を延ばすサポートサービスにつなげていきたいと考えています。

なお、本研究の成果は2022年6月30日から7月3日にかけて宜野湾市(沖縄)他・オンラインで開催されたNEURO2022にて発表しました。



【参考資料】

1. 神経新生と認知機能

脳の海馬という領域には「神経幹細胞」が存在しています。神経幹細胞は神経細胞へと分化することで生涯を通じて常に新しい神経細胞を生み出しています(神経新生)。この神経新生に深い関係があるのが「認知機能」です。認知機能とは、物事を正しく記憶・理解・判断し、適切に実行するための機能であり、日常生活を送るうえで必要不可欠な能力です。神経新生の能力は加齢とともに衰え、新しく生み出される神経細胞の数が減少していくため、認知機能が低下していくと考えられています(図1)。


図1 海馬における神経新生


2. 唾液から自身のフラクタルカイン量を測定する方法の開発

フラクタルカインは、神経細胞や血管内皮細胞で作られる炎症性タンパク質の一種で、これまでの研究から神経新生を妨げる作用があることを確認しています(図2)。

(2019年7月24日リリース https://www.atpress.ne.jp/news/189239 )


図2 フラクタルカインの神経新生への影響


自身のフラクタルカイン量を測定するには、一般に、採血をして血漿中のフラクタルカイン量を測定する必要があります。しかし、採血は日常的な検査としてはストレスが大きい方法のため、代わりに唾液中のフラクタルカイン量を測定することで、体内のフラクタルカイン量を予測できないかと考えました。まず初めに、唾液中と血漿中のフラクタルカイン量の関係性を検討しました。その結果、唾液中と血漿中のフラクタルカイン量には、相関関係があることを確認しました(図3)。

この結果から、採血よりも負担が少ない唾液を使って体内のフラクタルカインの量をモニタリングすることが可能であると考えられました。


図3 唾液中フラクタルカイン量と血漿中フラクタルカイン量の関係


3. 唾液中フラクタルカイン量と認知機能の関係

唾液中のフラクタルカイン量と認知機能の関係を明らかにするために、69名(平均40.3歳、中央値37.4歳、男性45名、女性24名)を対象に唾液中のフラクタルカイン量と認知機能(ワーキングメモリー)を測定しました。その結果、加齢に伴い唾液中フラクタルカイン量は増加し、認知機能は低下することが確認されました(図4)。


図4 加齢に伴う唾液中フラクタルカイン量と認知機能の変化


各被験者の唾液中フラクタルカイン量と認知機能テストのスコアとの関係性を確認したところ、同じ年代の人と比べて唾液中フラクタルカイン量が多い人ほどテストスコアが悪いことが分かりました(図5)。

このことから唾液中フラクタルカイン量を測定することによって、認知機能の低下リスクの指標になると考えられました。自身の認知機能の低下リスクを知ることができれば、生活習慣や食事の見直しなど将来に向けて認知機能の低下を防ぐための行動を促すきっかけになると期待しています。


図5 唾液中フラクタルカイン量と認知機能の関係

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