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求人数はアジア全域で前年同期を上回る  アジア経済はポストコロナへ向け、回復基調強まる  アジア各国のホワイトカラー人材紹介市場の動向  2022年1月~3月

[2022年4月27日 東京]

世界11ヵ国で人材紹介事業を展開し、東南アジアでは最大級の規模(※1)を誇る株式会社ジェイ エイ シー リクルートメント(代表取締役会長兼社長:田崎 ひろみ)は、この度、2022年第1四半期のアジア各国のホワイトカラー人材紹介市場の動向を纏めましたので、お知らせいたします。

(※1)自社調べ(アジアで人材紹介事業を展開する同業他社の売上規模を比較)



<サマリー>

●シンガポールは対前年四半期比152% 韓国は155%と、アジア全域で前年同期の求人数を上回る

●パンデミックは不確定要素として残るも、マレーシア、インドネシアでは、採用市場はほぼコロナ禍前の水準に

●2022年4月からマレーシア、シンガポール、タイ、インドネシア、韓国では入国制限が大幅に解除、観光業も改善の兆し

●シンガポールでは製造業生産高指数が5ヵ月連続で増加。電子部品や医薬品、バイオなどの業界で高い伸び


※以下リンクより、より読みやすいPDF版のプレスリリースをご参照ください

英語版 : https://bit.ly/3lemYU4

日本語版: https://bit.ly/3PlzkYl


アジア各社の求人数増減一覧2022年1Q


■■マレーシア■■

4月1日マレーシア国境再開。各企業の採用意欲の高さも続く


【求人数】

対前年四半期比 120%

対前四半期比  105%

JAC Recruitment マレーシア法人 ダイレクター Sze Ping Lim(シ ピン リム)


マレーシア日本人商工会議所(JACTIM)と日本貿易振興機構(JETRO)クアラルンプール事務所が共同で実施した「2022年度日系企業アンケート調査」では、生産・稼働状況についての質問に製造業の4割近くが「新型コロナウイルス流行前の水準以上」と答えており、回復基調が強まっています。一方で、労働者不足やサプライチェーン(調達・供給網)の混乱による製品・部品・原材料の納品遅延などは課題となっています。

また、5月1日から最低賃金が大企業を中心に1,500リンギに上がるとの報道もあり、今後この賃金改定の影響がどのように現れるのか注視していく必要があります。

2022年4月1日より入国制限が撤廃され、観光客も含めて2年ぶりに入国再開しました。それにより、観光業界の状況も徐々に改善していく兆しが見えます。


【企業の採用動向】

前期比5ポイント増、前年同期比20ポイント増と、前期比・前年同期比ともに、求人数は増加しています。例年、旧正月後の採用活動が企業・候補者ともに活発化する傾向にあり、昨年はコロナ禍により例年の傾向が大きく見られませんでしたが、今年は完全にコロナ禍前の採用市場に戻ったと、求人数の増加からも見て取れます。また、2022年1月にJAC Malaysiaが実施した「雇用動向調査」における採用計画の質問項目について、回答企業の49%が今年は増員を計画しており、2021年と比較して、約1.4倍の企業が増員を計画しています。

4月から国境が解放され、現地での市場調査などの往来も容易になったことから、日系企業の新規進出、新規投資も昨年に比べて徐々に戻りつつあります。

上記の状況から、第2四半期も引き続き、活発な採用活動が続くと予測されます。


【求職者の動向】

昨年コロナ禍では求職者も慎重に動いている様子でしたが、JAC Malaysiaの登録者数は昨年同期比で2倍に増加し、各企業での積極的な採用と比例し、求職者の転職意欲も全体的に高まっています。

日本人求職者についても、昨年は日本国内も緊急事態宣言が続いていたことから、様子見であった求職者が多くみられましたが、今年は積極的に日本国外での転職活動を進めている様子がうかがえます。



■■シンガポール■■

ポストコロナに向けて動き出したシンガポール経済


【求人数】

対前年四半期比 152%

対前四半期比  151%

JAC Recruitment シンガポール法人社長 Kirsty Poltock(カースティ ポルトック)


1月、2月の製造業生産高指数は前年同月比で上昇し、5ヵ月連続で増加。電子部品や医薬品、バイオなどの業界で高い伸びが見られました。また、3月にMAS(金融庁)が発表した最新の民間エコノミスト調査では、2022年のGDP(国内総生産)予測値は4.0%の横ばいで、引き続き半導体関連の製造業を中心に堅調な成長が続くとの予測がされました。さらに、4月1日からはコロナ規制緩和で、渡航者の入国規制が大幅に解除されることから、国境を超える人の往来の推進とともに、観光関連産業の回復も見込んでいます。そのような中、MOM(人材開発省)は3月上旬に就労ビザ取得基準の改定を発表。今年9月からEP、Spassの発給基準となる最低基本月給額の更なる引き上げの実施、そして来年9月からはEP審査において新たなポイント制度「COMPASS(コンパス)」を導入する意向を明らかにしました。今までの個人審査に加え、企業内の国籍多様性やローカル人材採用の促進などが審査基準に加わることで、ますます外国人雇用が難しくなることが予想されます。


【企業の採用動向】

例年通り、年始より企業からの求人問い合わせが増加。業界、ポジションを問わず求人需要がありました。中でも営業・マーケティングポジションの求人が多く、今後の景気回復を見越して、営業強化・売上アップに向けた人材採用の動きもあり、ポストコロナに向けた気運が高まってきています。また、この時期(年末ボーナス後~旧正月にかけて)は、転職活動が活発になり、退職者が増えることから、そのリプレイスメントポジションの求人需要が高まりました。コロナ前は求職者の希望給与は10%アップ程度だったのに対し、現在は15~20%アップへと希望給与の相場が上昇している一方で、企業側の提示給与は去年と同程度に据え置かれるケースも多く、複数内定が出ている求職者を自社で獲得するのに苦戦する企業も多く見受けられました。


【求職者の動向】

毎年、旧正月前後は時節柄、シンガポール人の転職活動が活発になる時期であり、退職者の補填をするために求人数が増えることから、年始より求職者数が増加しています。

シンガポール人求職者は、コロナ規制緩和で明るい兆しが見えてきた中、これまで転職活動を控えていた層が動き出しています。ただ、積極的に動きたいというよりは、良い案件があればいつでも動けるように情報収集しているというスタンスの方が多い印象です。

日本人求職者はシンガポール在住者を中心に登録者数が3月に増加。シンガポール島内在住者向けの求人案件が増えていることもあり、国内の登録者数が増加しました。

シンガポール国外にいる方は引き続きタイミングをみて転職を検討しています。



■■タイ■■

経済状況好転に伴う求人数増加も企業側のコスト削減意識は根強く


【求人数】

対前年四半期比 115%

対前四半期比  154%

JAC Recruitment タイランド法人社長 Gavin Henshaw(ガヴィン ヘンショー)


タイ王国の経済は引き続きコロナ禍の影響、ウクライナ情勢に関連した燃料費の高騰、現政権の不安定さ等マイナス要因はあるものの、全体的には回復傾向にあります。2021年のGDP成長率はプラス1.6%となり、今年も同程度の成長率が見込まれています。GDPの10%程度を占め、タイ経済に影響の大きい自動車産業でも同様の傾向にあり、総生産台数は昨年の169万台に対し、今年は180万台程度が見込まれています。コロナショック前の200万台には届かないものの、回復傾向にあります。


【企業の採用動向】

昨年に比べて求人依頼の増加がみられ、特に日系企業からの求人は前年同期比20%の増加でした。業界別では自動車、電子部品業界からの依頼が多く全体の35%を占めました。また消費財、IT業界からの依頼も引き続き堅調で20%程度でした。注目すべきは昨年減少した建設業界からの依頼が回復傾向にあり、コロナショックにより低迷していた建設プロジェクトが再開し始めていることが分かります。

職種別では営業、エンジニア、品質、会計人材の募集が多くみられた一方、昨年と同様に企業側のコスト削減の意向が強く、人事・総務等の管理費に関わるポジションの募集は少数にとどまりました。また、採用時のシビアな給与設定なども見られました。募集理由としては、景気の上向きに伴うマンパワー不足を補う増員募集、既存社員の退職に伴う補充募集が主でした。


【求職者の動向】

タイ人ローカル人材の新規登録者数としては昨年と同程度でしたが、求職者の心境の変化が見られました。昨年はコロナ禍のため、安定志向・慎重姿勢の傾向が大変強くみられましたが、今年に入りそのような傾向が多少緩和された印象を受けます。理由としては国内経済の上向き状況に加え、コロナ禍状況も3年目に入ったため求職者の状況慣れが挙げられます。

日本人の新規登録数は引き続きコロナ禍の海外渡航リスクの影響で低調な水準が続くため、状況の好転が望まれます。



■■インドネシア■■

自動車業界の復調を受け、求人数はコロナ前の水準まで回復


【求人数】

対前年四半期比 119%

対前四半期比  138%

JAC Recruitment インドネシア法人 アソシエイトダイレクター 山下 冬馬


インドネシアの自動車製造業者協会は、2022年第1四半期の新車販売台数が前年同期比41%増の26万3,810台と発表しました。これは、一部の対象車両への50%の奢侈(しゃし)税減税、低燃費車両への奢侈税0%という政府施策に加え、4月から付加価値税が上がる前の駆け込み需要が背景にあります。さらに4月、5月は断食月に入り消費が活発になることも踏まえ、2022年の販売台数をコロナ前とほぼ同水準で予想しています。


【企業の採用動向】

求人数は前年同期比で119%、前四半期比138%と順調に回復してきており、ほぼコロナ前の水準に戻っています。自動車業界の回復を追い風に、製造業を中心にアフターコロナに向けた採用を始めています。また今後はMRTの第2期工事、首都移転に伴うインフラ・建設等の採用市場が活発となる見通しがあり、コロナ禍でインドネシアでの操業を見送っていたサービス業、新工場の稼働を再開する企業も増え、プロジェクト管理、工場管理、品質管理のポジションの求人が増えています。4月からはインドネシアの入国制限も大幅に緩和され、今後の事業のための視察出張者も増え、インドネシアでの現地採用需要が増えることが予想されます。インドネシア人採用に関してはコロナ前より日本語スピーカーの需要が減少、言語は英語で統一し、その分経歴を重視する動きが進んでいます。


【求職者の動向】

求職者数は昨年から引き続き増加傾向にあり、レバランボーナス受領後の4月、5月に多くの求職者が転職します。この傾向は、特にインドネシア人に多く見られますが、現地採用の日本人求職者においても同様に動きが活発になります。また、コロナが落ち着きを見せていることから日本在住の求職者も情報収集を再開しており、ゴールデンウィーク明けから活動が増えることが予想されます。



■■ベトナム■■

社会経済の状況は多くの肯定的な変化を見せ、地域は再び回復と成長の傾向に


【求人数】

対前年四半期比 114%

対前四半期比  138%

JAC Recruitment ベトナム法人 ダイレクター Le Thuy Dieu Uyen(レー トゥイ ユー ウィン)


第1四半期の社会経済の状況は安定しており、2021年の同時期と比較してGDP成長率が5.03%に達し、地政学的事象は依然として複雑で予測不可能です。経済状況は、小売業の回復、輸出貿易収支、公共投資の振興が続いているなど、明るいきざしが見えています。業界全体の経済成長の早期予測指標は、2022年のGDP目標である6.5%~7%に向かって積極的に回復しています。2022年には、政府の復興プログラムの実施と、VATの10%から8%への引き下げや2%の金利補償パッケージなどの企業を支援する解決策が、企業の生産と事業活動の回復に役立つことが期待されています。恩恵を受けるセクターとしては、航空をはじめ、旅行、輸送及び倉庫、IT、農業、工業団地、不動産などが挙げられます。


【企業の採用動向】

不動産部門は2022年に力強く成長し、物流及びサプライチェーン管理業界は重要な役割を果たす新しいトレンドを生み出すと予想されます。一方、ベトナムへの産業用不動産の動きや、この分野におけるM&A活動の波は近年増加しています。これらは2022年の労働市場を活気づけ、プラスの影響を与える明るいきざしです。不動産部門では、プロジェクト開発、事業管理とマーケティング、デザイン管理、プロジェクト法務、投資法制、計画、戦略的開発のポジションの採用が求められています。また、金融・銀行業界では、ITや営業スキルの知識を持った人材が必要とされています。人工知能(AI)、ビッグデータとブロックチェーンの分野で優秀な人材は、多くの企業から需要がありますが、供給不足のために激しい競争を繰り広げるでしょう。今年と来年の予測では、電子機器と電気電池、太陽光と風力産業は依然として募集需要が高く、一部の石油・ガスプロジェクトに集中しています。これらのポジションでは、長年の経験と優れた英語力を持つ人材は奪い合いの状況です。


【求職者の動向】

2022年第1四半期には、2回目のワクチンの普及と社会隔離措置が緩和された後、生産現場は徐々に戻りつつありますが、工場の労働者は地方から完全に戻っておらず、現場の人手不足により人件費が高騰している状況です。地方でもコロナウイルス感染が広まっており、半年が経過しても結局職に就かず、大型連休明けに大勢の労働者が地方から戻ってくることが予想されます。また、3月15日より海外から入国後の規制措置が緩和され、検査・隔離が不要となりました。今まで停止していたプロジェクトが再開され、遅れを巻き返すために早期に入社してもらうためのサインオンボーナス(入社一時金)の支給も流行り出しています。保留となっていた面接も活発に実施され、求職者も前向きに動いている流れが強く見受けられます。いずれにしても給与アップは勿論のこと、会社の安定性・将来性などに着目し、新しい職を求めている人が目立ちます。



■■中国■■

事業拡大による採用意欲の高まりに伴い求人数も増加


【求人数】

対前年四半期比 113%

対前四半期比  107%

JAC Recruitment 上海法人 アソシエイトダイレクター 大坪 裕子


先日の全人代の「政府活動報告」では安定重視の従来型成長路線に回帰することが発表されました。それに伴い、業界問わず「生産性向上」、「EC」、「物流を中心としたインフラ投資」、「省エネ・CO2削減」が事業拡大のキーワードとなりそうです。日系企業の対中投資は近年縮小気味ですが、現地経営は順調に拡大しており、特に化学・医薬・コンサルティング・EV関連が目立ちます。中国民営企業の成長が著しく、量産・低コストというだけではなく品質やサービス面で競争優位性を持つようになり、各日系企業は岐路に立たされていると言えます。しかし、3月に入りオミクロンが急激に拡大し、経済にどの程度の影響を及ぼすのか、注視する必要があります。


【企業の採用動向】

上記景況により各社の採用意欲は非常に高く、スタッフクラスから管理職レベルまで、特に製造業/エネルギー関連/IT業界/物流・運輸/コンサルティング業界での採用ニーズが目立ちます。また外国人の就労ビザ取得や駐在員の新規赴任が困難なことを背景として、外国人から中国人への現地化を目指した採用ニーズも引き続き目立ちます。そのため、優秀な人材を採用する難易度は上がっており、条件面、キャリアパス、企業の成長性など、「採用力」を持つことが各企業に求められています。特に中国民営企業は、高待遇で求職者に魅力づけする傾向があり、転職マーケットを踏まえた条件面の再考、求職者へのアピール方法など、採用に対する努力が求められる傾向にあります。


【求職者の動向】

2月の春節前後から例年通り転職希望者が増加傾向。昇給率が8-9%に対し、転職をすると20%前後も年収がアップするといういびつな現実があり、今後も更に求職者が増えることが予想されます。特にエネルギー関連・IT技術関連でその傾向が顕著にみられます。日本・海外からの求職者にとっては非常に厳しい状況が続いており、就労ビザが下りずに中国転職を断念せざるを得ないケースも見受けられます。3月から広がったコロナ感染拡大の影響により、2月までは多くみられた「景気が良くコロナの影響もない中国に帰りたい」という海外に在住する中国人の中国での転職希望者は、一気に減少しました。



■■香港 (中国香港特別行政区)■■

請負業やテクノロジービジネスでは状況が好転


【求人数】

対前年四半期比 130%

対前四半期比  135%

JAC Recruitment 香港法人社長 Jannet Cheung(ジャネット チョン)


香港経済は第1四半期に不透明な状況に陥りました。新型コロナウイルスの第5波は過去最高の感染率を記録し、2022年第1四半期だけで人口の1/6以上が感染する事態となりました。失業率は2021年第4四半期の4.1%から2022年第1四半期は4.5%に上昇。労働市場は、小売業や日本企業の間で当面圧迫が続くものの、特に請負業やテクノロジービジネスでは、ピークを過ぎて状況は好転しています。APACでは、企業の契約社員の採用計画が変化してきており、また技術系人材獲得に伴う高い熱は新型コロナウイルスによって止まることはありませんでした。機械学習、データサイエンス、DevOpsなどの新興技術スキルセットの出現により、技術系の給与水準は高騰が続いています。第2四半期に入り、政府による3度目の消費クーポン券の配布を受けて市場回復が続いており、2022年には2%の成長が見込まれるものの、パンデミックは依然として重要な不確定要素となっています。


【企業の採用動向】

新型コロナウイルス第5波の影響でインバウンドが凍結し、ソーシャルディスタンシングの強化が小売業に大きな影響を与えましたが、中国、米国、EU、アジア市場向けの商品輸出額は2021年同期比9.3%増と成長を続けています。地域限定職の人員は、ほとんどの場合、リプレイスメント職として残っています。日系企業の採用活動は減少しており、求人数は2021年第4四半期比で30%減少しました。

銀行・金融業界では、第1四半期は外資系・中国系ブティック銀行のコーポレートバンカーに対する需要が旺盛で、市場は回復基調。契約社員の転職市場は、銀行・金融、デジタル・ハイテク部門が牽引しており、ジュニア開発者の需要は依然として高い状況です。この数ヶ月、31-40歳の年齢層で空前の人口流出が発生したため、テック企業は中堅層の候補者確保に乗り出しました。深刻な人材不足に伴い、ハイテク企業の雇用主は候補者のスクリーニングに際してベンチマークレベルを下げ始めています。


【求職者の動向】

4月の伝統的なボーナス支給時期を迎え、求職者市場も新たな機会を求めて活発化しています。日本人の求職者はまだ様子見をしているものの、現在香港を離れている優秀な人材の中には、香港に戻る機会をうかがっている人もいます。また、ウクライナ侵攻の影響で、ヨーロッパにいるシニアレベルの求職者がアジアに活路を見出そうとしています。技術系では、人材不足により、IT・技術系のバックグラウンドを持たない求職者の転職が増加しています。市場における契約社員の採用ニーズの増加に伴い、プロフェッショナルな求職者の間でも契約社員の募集に対する前向きな姿勢もみられます。



■■韓国■■

新規求人件数が堅調。一部の人材には条件面の見直しも


【求人数】

対前年四半期比 155%

対前四半期比  90%

JAC Recruitment 韓国法人社長 土山 雄一郎


3月9日の大統領選挙で、第20代大統領に尹錫悦(ユン・ソギョル)氏が当選しました。5月10日に開かれる大統領就任式を経て、5年ぶりに保守政権が誕生する見通しです。大統領の任期は5年であり、今後の政治や経済に大きな影響を与えることが予測されます。また、コロナ感染者数は3月末から緩やかな減少傾向ですが、3月は1日の感染者数が20~30万人台と、厳しい状況でした。一方で規制緩和も進められており、4月1日からワクチン接種完了済み(海外含む)の韓国入国者は隔離免除となりました。特筆すべきことは、消費者物価指数(CPI)の急上昇です。2021年度は2.5%上昇で10年ぶりの高水準となり、今年3月は昨年対比で4.1%上昇しています。


【企業の採用動向】

第1四半期の企業の求人状況は、対前期比で10%減、対前年四半期比で55%増となりました。足元ではコロナ感染の急拡大でやや伸び悩んでいますが、堅調といえます。昨年の雇用状況が厳しかったため、その反動による一定の回復とみられています。財閥大手のサムスン電子やLG電子は第1四半期の売上高が過去最高となり、その領域のサプライヤーは採用意欲を高めています。特に部品や材料メーカーの若手営業職に加え、機械メーカーの若手サービスエンジニア職の募集が増加しています。また、製造業の業績好調とデジタル化の加速により、企業が理工系人材を好む傾向が顕著です。そのため、採用競争が年々厳しくなっており、条件面の見直しを進める会社が増えています。


【求職者の動向】

昨年度以降、求人募集の増加により、少しずつ転職希望者がマーケットに出てきています。4月からワクチン接種完了者は入国時の隔離がなくなったため、海外在住者は以前に比べて韓国に帰国して面接を受けることが容易になりつつあり、帰国就職希望者が増加する可能性があります。また、求職者の動向として、希望給与額の上昇が顕著にみられます。その背景としては、消費者物価指数の上昇や、好業績の韓国大手企業が待遇の改善を行うことが挙げられます。しばらくの間、待遇面の見直しをされていない企業は今後の採用活動に向けて検討あるいは準備をされることをお勧めします。



■■インド■■

企業の採用意欲が高まり、売り手市場に


【求人数】

対前年四半期比 112%

対前四半期比   71%

JAC Recruitment インド法人社長 小牧 一雄


新型コロナウイルス第2波の落ち込みからの経済回復局面が続いていましたが、1月から変異型「オミクロン型」の感染急増の影響を受け、再度、経済の回復が鈍化しました。急激に感染が拡大したものの、3月には落ち着き始め、経済が少しずつ回復の局面に向かっています。経済の立て直しが急務とされる中、モディ政権の予算案の発表では景気回復を重視し、特にインフラとデジタルを軸に歳出の拡充を図る内容となりました。


【企業の採用動向】

2月以降、感染者の拡大が収束に向かったことで、感染に注意を払いつつも50%以上の日系企業が社員の出社率を100%に戻すなど、通常の企業運営に戻す傾向にありました。(出典:JAC Indiaアンケート調査 Withコロナにおける企業運営状況と、定期昇給に関するアンケート)

また、一度保留となっていた採用活動も一気に活発化し、特に日系向けの営業職の採用が急増しました。

製造業だけでなく、会計コンサルやサービス関連の業種なども採用を強化し始めるなど、コロナ禍前に近い採用状況に戻りつつあります。

一方、採用の活発化に伴い、優秀な人材は企業がオファーを出した後に他社からもオファーが提示されるなど、スケジュール通りに採用が進まず、長期化する事例も見受けられました。


【求職者の動向】

コロナ禍で転職活動を控えていた求職者が、感染者数が落ち着き始めたタイミングで、積極的にインド就業を目指し始め、求職者数は徐々に増えつつあります。特にバックオフィス関連業務や営業経験のあるインド就業希望者数が増加傾向にありました。

一方でコロナの状況や生活環境を心配する求職者も一定数おり、コロナの最新状況、インドの就業環境などについて、エージェントが求職者と密にコミュニケーションを取りながら、正確な情報をタイムリーに提供することが採用成功の確率を高める1つのポイントになっています。



■■日本■■

先端分野を中心に求人は増加、求職者の動きも回復が鮮明


【求人数】

対前年四半期比 117%

対前四半期比  114%

(日本企業の海外事業関連求人)

JAC Recruitment(日本) チーフアナリスト 佐原 賢治


国内の新型コロナウイルス新規感染者数は昨年末に再び増加に転じ、2月には1日の感染者数で過去最高となる20,000人を突破しました。これにより、1-3月は個人消費を中心に再び景気の停滞感が強まり、また部品の供給制限によって自動車が減産、さらにはロシアによるウクライナ侵攻によってエネルギー価格が上昇するなど、ネガティブな要素が積み重なって不透明感が増しています。しかし、輸出や工作機械の出荷額は昨年から続伸しており、コロナ禍からの経済回復には一定のモメンタムが感じられます。


【企業の採用動向】

2022年3月の有効求人倍率は1.21倍。前四半期から更に改善しています。当社に寄せられた日系企業の海外事業関連の求人数も前期比114%と大幅に増加。特に大手製造業各社から「CASE(次世代自動車)」や「グリーン(脱炭素)」といった成長分野への投資に伴う募集が続伸しているほか、産業機械や電子部品などの業界で大手企業を中心に求人数が伸びました。一方、減産が続いている自動車業界では完成車メーカーや大手ティア1(一次請け)級の企業では引き続き求人意欲が旺盛ですが、中堅中小部品メーカー(ティア2、3企業)ではコスト高や先行きの不透明感から募集意欲が減退しています。

各種先端分野では、海外企業との連携を伴う業務も多く、研究や技術など職務の専門性に加えて外国語力を必要とすることから各社は採用に苦戦しています。また脱炭素対応で先行する欧州市場に対して、自社の技術を積極的に売り込む営業系の求人が目立ちます。さらに、各国の渡航制限が徐々に緩和される中、海外駐在員の交替を実施する企業が増加。それに伴い交替要員を求める求人が徐々に目立つようになっています。


【求職者の動向】

1-3月の新規求職者(海外事業経験を有する登録者)数は、前四半期比108%と増加。前年同期比でも108%と増えています。様々な不透明感から求職活動への慎重ムードは残るものの、求人数の増加に伴い求職者が増える単純な図式は従来と同様です。さらにはコロナ禍によって速度が増した社会変化への適応や、社会課題解決への貢献意欲の高まりが人々の転職に対する潜在的な関心を高めています。

企業は採用もさることながら貴重な人材の流出を防ぐ繋ぎ留めに具体的な策を講じることを怠ってはなりません。

一方、企業の選考のハードルは高止まりしており優秀な人材の獲得競争は一層し烈であることから、先端ITやヘルスケアなどの高度専門分野や海外ビジネスなどの知見・経験を有する人材を募集する場合には、より競合を意識した条件設定やその他の魅力付けを行なう必要があります。



各国の求人数の増減については、その国々の景況感による変動や各国が講じた戦略(高額帯年収の求人やスペシャリスト層求人に特化など)により、意図的に減る場合もあります。そのため、求人数の増減は直接各国の業績に結び付くものではありません。



■株式会社ジェイ エイ シー リクルートメントについて

1988年設立。スペシャリストや管理職の人材紹介に特化し、企業と人材を一人のコンサルタントが同時に担当する「両面型」のビジネスモデルとして国内最大規模の東証プライム市場上場企業です。国際ビジネス経験をもつ人材の紹介も強みの一つで、日本国内では外資系企業や日系企業の海外事業などのグローバル領域の売上が全体の50%以上を占めています。外資系企業の人材紹介に特化したJAC International、ジョブサイトの「キャリアクロス」を運営するシー・シー・コンサルティング、英国、ドイツおよびアジア8ヵ国で人材紹介業を展開するJAC Recruitment International Ltdのグループ会社、コンサルティング・金融業界に特化した人材紹介事業を展開するバンテージポイントを傘下に、世界11ヵ国、25拠点で事業を展開するグローバル企業です。


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http://corp.jac-recruitment.jp (コーポレートサイト)

http://www.jac-recruitment.jp (転職サイト)

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