再販物件が減少中?データで読む湾岸タワマン市場の変化

    2025年・湾岸タワーマンション市場の現況分析

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    2025年8月16日 10:00
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    2025年・湾岸タワーマンション市場の現況分析

    ──月島・晴海・勝どき・豊海・豊洲・有明・東雲エリアを中心に

    2025年もすでに半分以上が経過しました。東京湾岸エリア、特にタワーマンションが密集する 中央区(月島・晴海・勝どき・豊海)および江東区(豊洲・有明・東雲) では、ここ数年間の急激な価格上昇を経て、市場はどのような局面にあるのでしょうか。最新の成約事例や流通データをもとに現況を整理しました。

    1. 成約坪単価の推移から見える変化

    グラフ1:湾岸タワーマンション成約坪単価推移

    出典:福嶋総研

    まず、湾岸エリア全体の 成約坪単価の推移 を確認すると、2021年以降の数年間で大幅な上昇が続きました。特に2023〜2024年にかけては、各エリアで過去最高水準を更新し、「もはや一部は港区並み」という声すら聞かれるほどでした。

    しかし、 2025年時点の動き を見ると、依然として高値圏にあるものの、2024年のような急角度の上昇はやや落ち着きを見せています。グラフでは分かりづらいのですが、データでは価格は高止まりしつつも、前年比ベースでの上昇率は鈍化傾向を示しています。

    2. 「販売日数」と「値下げ回数」が示す市場の熱量

    グラフ2:湾岸タワーマンション販売日数と値下げ回数

    出典:福嶋総研

    タワーマンション市場の温度感を測るうえで重要なのが、 販売日数値下げ回数 です。

    販売日数 が短い=買い手がすぐに決まる=需要が非常に強い状態

    値下げ回数 が少ない=売主が強気=価格交渉の余地が少ない状態

    2024年中盤までは、この両方が 減少傾向 を続けていました。つまり、売り出した物件は短期間で成約し、かつほぼ値下げせずに売れるという明らかな 売り手優位のマーケット だったのです。この状況が、大幅な価格上昇を後押ししました。

    ところが、2024年後半以降には変化が訪れます。 販売日数の伸び値下げ回数の増加 が同時に進み、需給のバランスが徐々に緩み始めたのです。これは、価格が一部の買い手層にとって手の届かない水準に達したこと、金利上昇や生活コスト増などによる購買意欲の抑制 新築・中古双方の供給増による選択肢の広がりといった複合的な要因が背景にあると考えられます。

    3. 再販物件の割合が減少

    グラフ3:湾岸タワーマンションの新規売出件数に対する再販物件の割合

    出典:福嶋総研

    次に注目すべきは、 買取再販会社による売出物件の割合 です。ここでいう「再販物件」とは、不動産会社が中古物件を買い取り、リフォームや価格調整を経て再び市場に売り出すものを指します。

    2024年まではこの割合が高まり、ピークを迎えていました。再販業者は短期的な利ざやを狙うため、価格上昇局面では積極的に仕入れを行い、市場に大量の再販物件が出回ります。ところが、2025年に入ってからは状況が一変。割合は大きく減少し、 コロナ禍以前の水準 にまで戻りました。

    これは何を意味するのでしょうか。再販業者はマーケットの採算性を非常にシビアに見極めます。 「この価格では売り切るのが難しい」と判断すれば、そもそも仕入れを控える のです。つまり、現在の湾岸タワーマンション市場は、プロの目から見ても転売で利益を出すにはリスクが高い環境にあるということです。

    4. 今後の展望と注意点

    現状、価格が大きく下落しているわけではありません。依然として湾岸エリアはブランド力・生活利便性・将来の開発ポテンシャルという三拍子が揃っており、一定の需要を維持しています。しかし、「上昇一辺倒」から「高値安定〜やや調整局面」へとフェーズが移りつつあるのは確かです。

    今後の注目ポイントは以下の通りです。

    金利動向 :特に長期固定金利の変化と購買層の動き

    新築供給の規模 :大型プロジェクトが中古市場へ与える影響

    再販業者の動き :仕入れ再開の兆しがあれば回復サイン

    インバウンド投資の回復度 :円安や観光需要が再び外資系投資家を呼び込むか 

    まとめ

    2025年半ばの湾岸タワーマンション市場は、依然として高値圏を維持しつつも、需給のバランスが変化し始めています。
    販売日数や値下げ回数の増加、再販物件割合の減少は、市場の熱気がやや和らいでいるシグナルです。これは必ずしも悲観的な兆候ではなく、むしろ健全な調整過程とも捉えられます。価格上昇のスピードが落ち着くことで、実需層にとっては「買えるチャンス」が広がる可能性もあります。

    一方で、タワーマンションは長期的な維持費や建物の経年劣化、修繕計画の妥当性など、購入後のリスク管理も重要です。湾岸エリアの将来を見極めるうえでは、数値データだけでなく、街の変化や生活環境の実感を伴った観察が欠かせません。

    リリース作成者プロフィール

    福嶋 真司(ふくしましんじ)

    マンションリサーチ株式会社
    データ事業開発室 
    不動産データ分析責任者

    福嶋総研
    代表研究員

    早稲田大学理工学部経営システム工学科卒。大手不動産会社にてマーケティング調査を担当後、

    建築設計事務所にて法務・労務を担当。現在はマンションリサーチ株式会社にて不動産市場調査・評価指標の研究・開発等を行う一方で、顧客企業の不動産事業における意思決定等のサポートを行う。また大手メディア・学術機関等にもデータ及び分析結果を提供する。

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    設立年月日: 2011年4月
    資本金 : 1億円

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