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會澤高圧コンクリート、 PC建築分野に本格参入し深川工場新棟に初採用! コンクリート3Dプリンタで非構造壁を“印刷”

會澤高圧コンクリート株式会社(本社:苫小牧市、代表取締役社長:會澤 祥弘)は、プレストレストコンクリート(PC)を使った建築分野に本格参入します。道北エリアへの大型プレキャスト製品の供給を強化するため、このほど深川工場(深川市)に新棟を建設、この構造体に自社製造のPC部材を全面採用し、今後の事業展開の足掛かりとします。一方、非構造部材にはロボットアーム式のコンクリート3Dプリンタで印刷した「レリーフ」を採用、国内の大型建築案件に3Dプリンタ技術を本格的に使った初のケースとなりました。大規模地震の群発化や気象災害の激甚化をにらんだPC技術と、型枠にとらわれない自由な設計を可能にする3Dプリンタ技術を融合させ、建築の新たな価値創造へとつなげて参ります。


新工場棟3D図


当社はPC建築の分野で国内最有力の構造設計事務所である株式会社ジェーエスディー(本社:東京)代表の徐光氏と2016年より技術提携し、同事務所に一級建築士を派遣するなどしてPC建築の構造設計や施工管理手法等を学んで参りました。一方、3DプリンタについてはオランダのCyBe Construction(サイビー・コンストラクション)との技術交流を通じてABB(スイス)製の大型アームロボット式プリンタを導入したほか、独自にセメント系プリント材料の開発に取り組むなど、コンクリート分野における積層造形技術の確立に力を入れています。


当社の深川工場は、これから本格化する道北エリアでの風力発電事業等への対応から、大型プレキャスト製品の製造能力を増強する必要に迫られていました。新棟には、大型製品を製造できる大空間、そして、18年9月の北海道胆振東部地震での被災経験を踏まえ、大規模な地震や気象災害に見舞われても高い靱性によって構造が破壊されない高度な建築性能が求められたことから、工場建屋としては異例ともいえるフルPC構造を採用することに致しました。



《新工場棟の概要》

・建築面積 :1330.56m2(幅25.4m、長さ52.5m)

・延床面積 :1290.00m2

・最高の高さ:12.685m

・軒高   :12.635m

・着工   :2020年3月

・意匠設計 :株式会社アーブ建築研究所

・構造設計 :株式会社ジェーエスディー

・施工   :伊藤組土建株式会社

・操業   :2021年1月(予定)



《PC構造の概要》

PC構造は鉄筋コンクリート構造をプレストレスにより補強した構造です。プレストレスとは、部材の中に内蔵した高強度のPC鋼材(PC鋼より線またはPC鋼棒)を油圧ジャッキで緊張することによりコンクリートに与えられる圧縮応力です。これにより、躯体自重や積載荷重による曲げ応力でコンクリートに生じる引張応力度を相殺して引張応力度が生じないコンクリート断面を実現します。


深川工場の新棟は、「下部柱」「上部柱」「端部梁」「中央梁」の4種類の部材で構成されたフレームをPC鋼材で一体化し、それらフレームが建物の長さ方向に全13フレームで構成された大規模なPC建築物となります。元請は伊藤組土建。意匠設計はアーブ建築研究所、構造設計はジェーエスディーが担当。すべての部材は当社の訓子府工場で製造し、PC工事一式を当社が伊藤組土建から下請けする形で施工しました。2020年9月16日の上棟祭では、最終の部材となる中央梁のクレーン設置を終え、構造体が完成する運びとなっています。


新工場棟全体像

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1フレームの部材構成

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■プレストレス導入手順並びにフレームの一体化

(1)梁の一体化

梁の中に通したPCケーブルを引張り固定することにより、PCケーブルの戻る力で、部材同士を圧着させ、梁を一体化させます。

(2)柱・梁の一体化

柱の中に通したPC鋼棒を引張り固定することにより、PC鋼棒の戻る力で、部材同士を圧着させ、柱と梁を一体化させます。


プレストレス導入箇所

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梁及び柱部材へのプレストレス導入

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新工場棟全景

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《3Dプリンタによる非構造壁の概要》

当社のコンクリート3Dプリンタは速硬性の特殊モルタルを、予め設定した位置情報通りにロボットのアームを制御することで積層させて行くプリント技術です。従来のコンクリート製造に不可欠な型枠を一切使うことなく、構造物をスピード造形することができます。新棟では、寸法W 1,780mm×D 450~250mm×H 2,860mmの積層パネルを1枚僅か50分でプリントし、下部柱間の非構造壁として16枚設置しました。


デザインは、自由な形状を造形できる3Dプリンタの特徴を生かし、立体感のあるレリーフ調に仕上げました。新工場棟の設計から製造、施工に至るまで、実際に関わった当社の担当者の姿を撮影し、その点群データを3DCADデータに変換してロボットに送り、各パネルをプリントしました。プロジェクト担当者の苦労や喜びをレリーフ化することで、国内初となる3Dプリンタの実建築物件への適応を末永く記憶に残すことを狙いました。


iPhoneアプリによる点群データの撮影

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3DCADへのデータ変換

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プリント状況

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プリント完成品

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カテゴリ:
企業動向
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建設 ビジネス全般 経済(国内)
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