賃貸住宅市況 23区は回復の兆し、市部、3県は引き続き悪化 ~2011年4月期1都3県賃貸住宅指標~

    調査・報告
    2011年6月24日 11:00
     不動産評価Webサイト「TAS-MAP」( http://www.tas-japan.com/ )を運営する株式会社タス(所在地:東京都中央区、代表取締役社長:立野 良太郎)は、2011年4月末時点の1都3県の賃貸住宅TVI(タス空室インデックス)、募集期間、更新確率・中途解約確率を発表しました。これらの指標は、アットホーム株式会社の賃貸住宅データを用いて分析されています。 1. 賃貸住宅指標概況 <東京都全域> TVI(ポイント)     :12.43 募集期間(ヶ月)    : 3.15 更新確率(%)     :43.38 中途解約確率(%)   :39.91 <東京都23区> TVI(ポイント)     :12.16 募集期間(ヶ月)    : 3.16 更新確率(%)     :43.11 中途解約確率(%)   :40.25 <東京市部> TVI(ポイント)     :15.74 募集期間(ヶ月)    : 3.08 更新確率(%)     :44.46 中途解約確率(%)   :38.46 <神奈川県> TVI(ポイント)     :12.81 募集期間(ヶ月)    : 3.42 更新確率(%)     :42.39 中途解約確率(%)   :41.12 <埼玉県> TVI(ポイント)     :15.47 募集期間(ヶ月)    : 3.51 更新確率(%)     :43.78 中途解約確率(%)   :41.56 <千葉県> TVI(ポイント)     : 13.57 募集期間(ヶ月)    : 3.71 更新確率(%)     : 45.38 中途解約確率(%)   : 40.33 ※これらの指標は、アットホーム株式会社の賃貸住宅データを用いて分析されています。 ■東京都 ・東京23区の募集戸数が多いため、東京都全域の動きは、東京23区にほぼ連動しています。 ・TVIは東京都全域、東京23区は引き続き微減傾向、東京市部は高い水準で微増傾向となっています。  マンション系(S造、RC造、SRC造)、アパート系(木造・軽量鉄骨造)別の長期TVI推移では、東京23区のマンション系が微減傾向、アパート系は横ばい傾向となっています。東京市部については、マンション系が微増、アパート系は引き続き横ばいで推移しています。なお、統計に使用した全データに占めるアパート系(木造、軽量鉄骨造)の割合であるアパート率は、東京都全域:22.20%、東京23区:17.27%、東京市部:40.92%です。 ・募集期間は23区、市部とも下降しました。特に23区の下降幅が若干大きくなっています。 ・東京23区、東京市部とも中途解約確率が減少、更新確率が増加しています。両地域とも更新確率が中途解約確率を大きく上回っており、テナントの入れ替わりが安定していることが伺えます。 ■神奈川県 ・神奈川県のTVIは2010年4月より横ばい傾向です。マンション系、アパート系別の長期TVI推移は、マンション系、アパート系ともに横ばいとなっています。神奈川県は、アパート系、マンション系とも1都3県で最もTVIが低いですが、アパート率が44.13%と高く、全体のTVIを引き上げています。 ・募集期間は引き続き微減傾向です。 ・今期は中途解約確率が微減、更新確率が微増となりました。 ■埼玉県 ・埼玉県のTVIは高い水準で微増傾向です。マンション系、アパート系別の長期TVI推移で、マンション系は微増、アパート系は横ばいとなっています。アパート系TVIが1都3県で最も高く、マンション系TVIも2番目の高さとなっています。なお埼玉県のアパート率は43.49%です。 ・募集期間は引き続き微減傾向となっています。 ・前期から中途解約確率は増加、更新確率は減少しています。 ■千葉県 ・千葉県のTVIは横ばい傾向です。マンション系、アパート系別の長期TVI推移では、アパート系のTVIが増加しており、埼玉県に近づいています。マンション系は横ばい傾向です。千葉県もアパート率が45.99%と高いため全体のTVIも高くなっています。 ・募集期間は高い水準で横ばい傾向でしたが、3期ぶりに微減となりました。 ・前期から、中途解約確率が大きく減少、更新確率が増加しており、テナントの入れ替わりが安定する傾向にあります。 ※より詳細な情報として、広域市場レポート(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県のマクロレポート)、地域市場レポート(東京23区 各区、横浜市、川崎市、さいたま市、千葉市のマクロレポート)およびインデックスレポート(1都3県の各都県、東京23区 各区、横浜市、川崎市、さいたま市、千葉市の統計指標)、周辺市場レポート(賃料査定サービス)を「TAS-MAP」( http://www.tas-japan.com/ )から提供しております。 ※2011年5月初旬に、サービス範囲を1都3県に拡大いたしました。また、7月6日より東京市部、神奈川県、埼玉県、千葉県のレポートが2011年3月版に更新されます。 TVI(タス空室インデックス)(過去2年推移) http://atpress.ne.jp/releases/21122/1_1.JPG 1都3県アパート(木造、軽量鉄骨)TVI http://atpress.ne.jp/releases/21122/2_2.JPG 1都3県マンション(S造、RC造、SRC造)TVI http://atpress.ne.jp/releases/21122/3_3.JPG 2. 賃貸住宅市況 23区は回復の兆し、市部、3県は引き続き悪化  以下の図はタスが発表している賃貸住宅統計指標に基づき作成した首都圏および東京23区の賃貸住宅市況図です。各地域の色分けは現在の市況を表しており、市況が「良い(赤)」、「やや良い(オレンジ)」、「やや悪い(黄緑)」、「悪い(青)」となっています。また、矢印は直近のトレンドを示しており、上向きの赤矢印は「市況が良い方向」に向かっていること、下向きの青矢印は「市況が悪い方向」に向かっていることを示しています。  首都圏の賃貸住宅市況は、需給の調整が進んでいる東京23区については回復の兆しが見られますが、それ以外の地域では、引き続き悪化傾向にあります。 特に賃料の値ごろ感が出てきた東京23区への流出が続いていると予測される埼玉県、東京市部においては、市況の悪化に歯止めがかかっていない状況です。 ※首都圏の需給分析につきましては、「2010年12月期1都3県賃貸住宅指標~1都3県2011年の空室率の見通し~」( http://www.tas-japan.com/pdf/news/residential/Vol12_residential20110225.pdf )、および月刊プロパティマネジメント2011年5月号「首都圏の被災者受け入れ余力は約62万戸」をご参照ください。  東京23区では、市況の良い地域が中心部に集積しており、その外側、山手線周辺の区に市況がやや良い地域が位置しています。周辺部の区は市況は悪くなっています。しかしながら、ほとんどの区で市況のトレンドが横ばいもしくは上昇しており、全体的に市況が回復傾向にあることがわかります。  賃貸住宅市況図については、今後も定期的に公表していく予定です。 首都圏、東京23区の賃貸住宅市況図 http://atpress.ne.jp/releases/21122/4_4.JPG ■参考 <賃貸住宅市況の算出方法について>  空室率を求める方法として、(1)空室総数を総戸数で除する、(2)空室が存在する期間の割合に基づいて算出、という2つの方法が存在します。前者の方法にあたる算出方法がTVI(タス空室インデックス)となります。後者にあたる方法として、募集期間と更新確率・中途解約確率を使用して空室率を算出することが可能です。TVIと統計指標から算出した空室率はある程度同じ動きをしていますが、食い違いのある部分も観測できます。(図「東京23区 TVIと統計指標から算出した空室率」参照)。  すべての情報が入手できる場合、理論上両者の算出結果は同じ値となります。 従って、両者の差異は利用しているデータ量の違いに基づくものであると考えられます。TVIはアットホーム賃貸住宅賃料データの全データ(募集と成約)を用いて算出していますが、募集期間および更新確率・中途解約確率は成約データのみを使用して算出しています。成約データは成約の確認が取れなかった物件については入力されません。両者の違いは、この入力されていない成約データに起因していると考えられます。  統計指標から算出した空室率がTVIを下回っている場合は、募集期間の長い物件が隠れている可能性があること、つまり「市況が悪い」ことを示します。 同様に統計指標から算出した空室率がTVIを上回っている場合は、募集期間の短い物件が隠れている可能性があること、つまり「市況が良い」ことを示します。  賃貸住宅市況図では、両者の差異が+3以上を「市況が良い」、0~+3を「市況がやや良い」、▲3~0を「市況がやや悪い」、▲3以下を「市況が悪い」としています。また市況のトレンドを、直近の差異の動きから求めています。  以下の東京23区の場合、TVIと統計指標から算出した空室率の差異が約▲1ですので「市況がやや悪い」としています。また直近の差異はほとんど動いていませんので、トレンドは「横ばい」としています。 東京23区 TVIと統計指標から算出した空室率 http://atpress.ne.jp/releases/21122/5_5.JPG ■用語説明 <TVI(TAS Vacancy Index:タス空室インデックス)>  タスが開発した賃貸住宅の空室の指標です。  TVIはアットホーム株式会社の賃貸住宅募集データを空室のサンプリング、募集建物の総戸数をストックのサンプリングとして下式で算出を行います。  なお、募集建物の総戸数は、(1)募集建物を階層別に分類、(2)国勢調査、住宅土地統計調査を用いて階層別の都道府県毎の平均戸数を算出し、両者を乗じることにより算出しています。  TVI = 空室のサンプリング ÷ ストックのサンプリング  = Σ募集戸数 ÷ Σ募集建物の総戸数 <募集期間(Downtime)>  成約した物件の平均募集期間を示します。アットホーム株式会社の賃貸住宅の賃料データを用いて、下記の計算式で求められます。  募集期間 = Average(成約日 - 募集開始日) <更新確率・中途解約確率>  更新確率は契約期間が2年として入居したテナントが契約更新を行う確率、中途解約確率は契約期間が2年として契約満了前にテナントが退去する確率を示します。アットホーム株式会社の賃貸住宅の賃料データを用いて算出しています。  成約した部屋が再び市場に現れる(募集が開始される)までの月数をカウントし、7~48ヶ月目を総数とし、7~22ヶ月目までに市場に現れた件数を中途解約した件数、27~48ヶ月目に現れた件数を契約更新をした件数としてそれぞれの確率を計算しています。  注1:データ上7ヶ月未満で募集されているデータも存在していますが、入力ミスの可能性も否定できないため、算出から省いています。  注2:49ヶ月以上で募集されているデータは全体の10%未満であること、また注1で省いた部分に含まれる可能性のある正規データ(6ヶ月以内に中途解約したデータ)とのバランスを考慮して、算出から省いています。 ※各指標の詳細は、 http://www.tas-japan.com/pdf/market/marketreport_yogo.pdf もご参照ください。 ※株式会社タスではこれらの指標を使用した、賃貸住宅市場賃料査定サービス、賃貸住宅市場レポートサービスを提供しています。  詳細はTAS-MAPホームページ( http://www.tas-japan.com/menu/menu_market.html )をご覧ください。 ■株式会社タスについて  インターネットによる不動産評価、及び不動産情報サービス等を提供する不動産評価Webサイト「TAS-MAP」を運営するトヨタグループ会社のアプリケーションサービスプロバイダー(ASP)です。 会社名  : 株式会社タス(英語名 TAS Corp.) 所在地  : 東京都中央区八丁堀2-25-9        トヨタ八丁堀ビル7F 設立年月日: 2000年8月28日 資本金  : 1億8千万円 出資   : トヨタ自動車株式会社        朝日航洋株式会社        株式会社三友システムアプレイザル        豊田通商株式会社 Web    : http://www.tas-japan.com/

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