新入社員、『令和』への期待「どちらとも言えない」約4割が回答...

新入社員、『令和』への期待「どちらとも言えない」約4割が回答 日本能率協会が384名に『2019年度 新入社員意識調査』を実施

一般社団法人日本能率協会(JMA、会長:中村 正己)は、小会が提供する新入社員向け公開教育セミナーの参加者を対象に、仕事や働くことに対しどのような意識を持っているか調査を行いました。本年4月末で平成が終わることもあり、“平成最後”の新入社員像をまとめた調査になります。

本調査では、2019年度(平成31年度)の新入社員意識を紹介するほか、1989年度(平成元年度)、1999年度(平成11年度)、2009年度(平成21年度)に実施した「新入社員意識調査」と内容を比較しながら、平成時代の新入社員の仕事・働き方に対する考え方の変遷も振り返りました。

この調査は、3月28日~4月9日にインターネット調査で実施し、384人から回答を得ています。


図表1 5月より新しい時代(令和)を迎えることに対して、世の中が良くなる期待を持てますか。(n=384)


■トピックス

<今年の新入社員の素顔>

1. 変化の時代に高まる不安?新しい元号への期待:「どちらとも言えない」が約4割。今の気持ちを表す漢字にも、「不」が増加。変化の激しい時代における「不」安の表れか。

2. 仕事をしていく上で不安に感じていること:「仕事での失敗やミス」と「上司・同僚など職場の人とうまくやっていけるか」が同率トップに。意欲はあるものの失敗を恐れる傾向。

3. 転職を考えるシチュエーションは、「パワハラやセクハラにあったとき」が断トツに。女性は8割超にのぼる。働き方・職場環境に、より一層目を配る必要性あり。


<上司と新入社員の意識ギャップー上司は新入社員の「失敗」を気にしない>


<平成を振り返るー働き方意識の変遷 プライベート重視&安定志向へ>



■調査概要

調査名称:2019年度「新入社員意識調査」

調査期間:2019年3月28日~2019年4月9日

調査対象:日本能率協会の新入社員向け公開教育セミナー参加者

調査方法:インターネット調査

回答数 :384人

属性  :[性別]

      男性:260人(67.7%)

      女性:124人(32.3%)

     [最終学歴]

      高校卒   : 95人(24.7%)

      専門・短大卒: 31人(8.1%)

      大学卒   :203人(52.9%)

      大学院卒  : 48人(12.5%)

      その他   : 7人(1.8%)

     [学部・学科]

      文系 :142人(37.0%)

      理系 :154人(40.1%)

      その他: 88人(22.9%)

     [業種]

      製造業 :161人(41.9%)

      非製造業:223人(58.1%)

     [勤務先従業員数]

      100人未満   : 69人(18.0%)

      100~300人未満:134人(34.9%)

      300人以上   :135人(35.1%)

      わからない  : 46人(12.0%)

      ※ 回答は%表記とし、小数点第2位を四捨五入



■トピックスの解説

1.変化の時代に高まる不安?新しい元号への期待:「どちらとも言えない」が約4割。今の気持ちを表す漢字にも、「不」が増加。変化の激しい時代における「不」安の表れか。

・「5月より新しい時代(令和)を迎えることに対して、新入社員がどう感じているか」を聞いてみたところ、全体では、「どちらとも言えない」(39.6%)が最も多い結果となりました。(図表1)


▽図表1 5月より新しい時代(令和)を迎えることに対して、世の中が良くなる期待を持てますか。(n=384)

https://www.atpress.ne.jp/releases/182129/img_182129_1.png


・「今の気持ちを漢字1文字で表して」もらったところ、128の漢字の回答がありました。昨年に引き続き、1位「新」(32票)、2位「挑」(24票)、3位「努」(13票)、「進」(13票)、と前向きな気持ちを表す漢字が並びました。その一方で、昨年は1票のみであった「不」が、今年は10票を獲得しています。(図表2)新生活・新しい時代を迎えるにあたり、昨今の変化の激しい状況の中で「不」安な気持ちが表れているのかもしれません。


▽図表2 新社会人としてスタートする今の気持ちを漢字1文字で表すとしたら何ですか。漢字1文字をご記入ください。(n=384)

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※ 3人以上から回答があったものを抜粋



2.仕事をしていく上で不安に感じていること:「仕事での失敗やミス」と「上司・同僚など職場の人とうまくやっていけるか」が同率トップに。意欲はあるものの、失敗を恐れる傾向。

▼仕事をしていく上での不安 「失敗」を恐れる傾向あり

・「仕事をしていく上での不安」を聞いたところ、全体では、「仕事での失敗やミス」(43.0%)と「上司・同僚など職場の人とうまくやっていけるか」(43.0%)が同率トップで、4割以上にのぼりました。(図表3)男女問わず、全体的に失敗を恐れる傾向が見られます。また、「上司・同僚など職場の人とうまくやっていけるか」と回答した人を男女で比較してみると、男性が37.7%であったのに対し、女性は54.0%となっています。また、女性のみの回答に着目すると、「仕事に対する現在の自分の能力・スキル」に対する不安が、男性の約2倍近い結果と、男女差が色濃く出る結果になりました。(図表3)今後、更に女性活躍を進めていくには、女性が自信を持って働けるように、入社後からしっかりとサポートしていくことが大切かもしれません。


▽図表3 これから仕事をしていく上で、どのようなことに不安がありますか。(3つまで選択可)(n=384)

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▼失敗を恐れるからこそ、コミュニケ―ション力、専門知識・技術力を第一に身につけたい姿勢

・「これから仕事をしていく上で、強化したいと思う点」を聞いたところ、「コミュニケーション力」「業務上必要な専門知識・技術」「ビジネスマナー」と続きました。昨年より、「チャレンジ精神」が12位から大幅に順位をあげ、4位にランクインしています。(図表4)失敗を恐れる傾向が見られるものの、チャレンジしたくないという訳ではないことが分かります。


▽図表4 これから仕事をしていく上で、強化したいと思う点は何ですか。(3つまで選択可)(n=384)

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※()内は2018年度調査順位


▼失敗を恐れるも、自己成長欲は高め

・また、新入社員に「自身の働く目的」について聞いたところ、「自分の能力を高めること」(49.7%)がトップとなり、約半数が選ぶ結果となりました。昨年と比べると、15ポイント以上もあがっています。(図表5)仕事を通して、自己を成長させたいという意識の高さが見られます。


▽図表5 あなた自身の働く目的は何ですか。(3つまで選択可)(n=384)

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▼社会との関わりを重視

「自身の働く目的」の中で、「社会の役に立つこと」(37.5%)が、昨年より約10ポイントあがり、3位にランクインしています。(図表5)

また、「働いている会社が社会の役に立っているかを、どの程度重要視しているか」を聞いたところ、「とても・やや重要だと思う」との回答が9割に

のぼりました。(図表6)就職や入社にあたり、企業の社会性を基準にしている新入社員が増えていることが見受けられます。


▽図表6 働いている会社が社会の役に立っているかどうかが、どの程度重要だと思いますか。(1つだけ選択)(n=384)

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3.転職を考えるシチュエーションは、「パワハラやセクハラにあったとき」が断トツに。

女性は8割超にのぼる。働き方・職場環境に、より一層目を配る必要性あり。


・昨今活況の転職市場を受け、「転職を考えるシチュエーション」について聞いてみたところ、キャリアアップや会社の将来性、社風の不一致よりも、「パワハラやセクハラにあったとき」に「強く思う」が42.2%と最も多い回答になりました。「強く思う」と「そう思う」を合わせると8割弱に、ついで、「職場の人間関係が悪いとき」と続きました。(図表7)男女別で見ると、女性は「パワハラやセクハラにあったとき」が85.5%にものぼります。(図表8)


2019年3月にハラスメント防止法案が提出されたこともあり、今後更に、パワハラやセクハラに対する意識は高まりそうです。図表3の「仕事をする上での不安」では、女性のみの回答に注目すると、「職場の人間関係」が最も多く、5割を占めていることや、図表8の「転職を考えるシチュエーション:パワハラやセクハラにあったとき」にもあるように、女性の方がより職場環境を重視する傾向にありそうです。


▽図表7 転職を考えるシチュエーションについて(n=384)

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▽図表8 転職を考えるシチュエーションについて:パワハラやセクハラにあったとき(n=384)

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<上司と新入社員の意識ギャップー上司は新入社員の「失敗」を気にしない>

・今年度の調査では、新入社員と上司の間のギャップを見るため、新入社員を主に受け入れる人事・総務・管理系の担当者・上司にもご協力いただき、アンケートを実施しました。

(日本能率協会法人会員の内、人事・総務・管理系の担当者 回答者数60名)


・新入社員には「これから仕事をしていく上で、強化したいと思う点は何か」、上司には「入社後3年以内に、新入社員に強化してほしい点は何か」を聞いたところ、両者ともに「コミュニケーション力」「業務上必要な専門知識・技術」が1位・2位にランクインしました。しかしながら、3位では、新入社員と上司で異なるものをあげており、新入社員は、「ビジネスマナー」となったのに対し、上司は、「主体性」をあげています。(図表9)


▽図表9 これから仕事をしていく上で、強化したい・強化してほしい点。(3つまで選択可)(新入社員n=384・上司n=60)

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・新入社員には「理想の上司・先輩像」を、上司には「新入社員が理想だと思う上司・先輩像」を聞いたところ、新入社員は、「仕事について丁寧な指導をする上司・先輩」を1番にあげたのに対し、上司側は、「傾聴する上司・先輩」をあげています。(図表10)新入社員にとって、丁寧かつ褒めながら育ててほしいという意識が垣間見えます。


▽図表10 理想の上司・先輩像(3つまで選択可)(新入社員n=384・上司n=60)

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・「働く上での不安」を聞いたところ、新入社員がトップにあげている「仕事での失敗やミス」を、上司は7位に、「スキルや能力」も8位と低い順位にあげています。(図表11)新入社員の不安と裏腹に、上司側は、新入社員の失敗やミスは気にしていないこと、「スキルや能力」も後々身につけていけば良いと考えているのかもしれません。


▽図表11 働く上での不安(3つまで選択可)(新入社員n=384・上司n=60)

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「最近の新人や若手はチャレンジしたがらない」、「やる気がないのではないか」、ということを耳にする機会がありますが、それは、もしかしたら、新入社員の失敗を恐れる姿勢から生じている可能性も考えられます。新入社員の「失敗したくない」という気持ちが強いということを上司や周囲が理解し、「失敗してもいい」、「失敗から学べることが多々ある」ということを示しながら、意識の変革を促す必要があるのかもしれません。



<平成を振り返るー働き方意識の変遷 プライベート重視&安定志向へ>

・2019年4月末で平成が終わることもあり、1989年度(平成元年度)・1999年度(平成11年度)・2009年度(平成21年度)・2019年度(平成31年度)に実施した調査結果をもとに、仕事・働き方に対する考え方の変遷を振り返ります。実施年によって問い方が異なる部分もあるため、設問間の単純比較は出来ませんが、回答結果の傾向から、新入社員の意識がどう変化したのかを読み解きました。


<仕事か、プライベートか> 平成の新入社員は、「仕事優先」から「生活優先」に移行

・「生活(プライベート)を優先したいか、仕事を優先したいか」を聞いたところ、平成時代がスタートした1989年では“仕事優先派”と“生活優先派”が拮抗していましたが、1999年には“仕事優先派”が“生活優先派”を大きく上回り、仕事優先の潮流に。しかし、2009年では、“仕事優先派”が“生活優先派”より多いものの、両者の差は狭まり、シフトチェンジの兆しが見られます。そして、2019年では、“生活(プライベート)優先派”が、“仕事優先派”を大きく上回りました。この結果から、東日本大震災など未曾有の災害を経験したことや過労死、働き方改革といった出来事を背景に、平成31年間の仕事の軸が会社から個人へと移行したことが読み取れます。


▼仕事か、プライベートか

・2019年の調査で、プライベートを優先したいか、仕事を優先したいかを聞いたところ、「プライベート」が30.7%、「どちらかというとプライベート 」が47.4.%となり、仕事よりプライベートを優先したいとする新入社員が、8割近くに、その一方で、仕事を優先したいとする新入社員は約2割でした。(図表12)


▽図表12 プライベートと仕事について(n=384)

 A)プライベートを優先したい B)仕事を優先したい

https://www.atpress.ne.jp/releases/182129/img_182129_12.png


・仕事と生活(プライベート)のバランスをどのようにとりたいかを聞いたところ、1989年では、「仕事を優先する」が5.6%、「やや仕事を優先する」が23.0%で、仕事優先派が3割弱。「生活を優先する」が6.5%、「やや生活を優先する」が21.4%で、“生活優先派”も3割弱で、“仕事優先派”と“生活優先派”が拮抗しています。

また、1999年では、「仕事を優先する」が7.9%、「やや仕事を優先する」が29.2%で、仕事優先派が4割弱。「生活を優先する」が3.9%、「やや生活を優先する」が12.9%で、“生活優先派”が2割弱で、“仕事優先派”が、“生活優先派”を大きく上回っています。

2009年では、「仕事を優先する」が5.5%、「やや仕事を優先する」が25.0%で、仕事優先派が3割へ。「生活を優先する」が3.4%、「やや生活を優先する」が16.7%となり、“生活優先派”が2割となり、依然として“仕事優先派”が多いものの、“生活優先派”との差は狭まり、“生活優先派”への移行が少し見られます。(図表13)


▽図表13 仕事と生活のバランスをどのようにとりたいか。

https://www.atpress.ne.jp/releases/182129/img_182129_13.png



<転職・独立か、定年まで勤めるか> 平成最後の新入社員は、「安定志向」が強固に

・「ひとつの会社にいたいか」といった趣旨の質問をしたところ、1989年で半数を占めた“転職・独立派”が、1999年にはさらに増加。しかし、2019年には1割未満に減少します。逆に1989年、1999年と3割程度に留まっていた“定年派”は、2019年になると6割超に増加しています。

単純な経年比較は出来ませんが、この結果から、平成時代は就職氷河期やグローバル化による不安定な経済・社会状況を背景に、新入社員の意識はとりあえず就社することへと変遷してきたと言えそうです。昨今の新入社員は「安定志向」が強いことも読み取れます。


▼転職・独立か、定年まで勤めるか

・2019年の調査で、「定年退職と転職・独立」を聞いたところ、「定年まで一つの会社に勤めたい」「どちらかというと定年まで一つの会社に勤めたい」が合計62.7%。「機会があれば転職・独立したい」が合計37.2%と、“定年派”が“転職・独立派”を上回っています。(図表14)


▽図表14 定年退職と転職・独立について(n=384)

 A)定年まで一つの会社に勤めたい B)機会があれば転職・独立したい

https://www.atpress.ne.jp/releases/182129/img_182129_14.png


・1989年、1999年、2009年の調査で「現在の会社にいつまでいると思うか」を聞いたところ、1989年では、「なるべく早く転職する」、場合により転職する」、「一人前になってから転職する」、「適当な時期に独立する」といった“転職・独立派”が合計50.2%、「定年まで勤めたい」の“定年派”が30.5%と、“転職・独立派”が半数以上を占めました。また、1999年では、“転職・独立派”が合計60.6%、“定年派”が27.4%と、“転職・独立派”の割合が1989年比でさらに大きくなっています。その一方で、2009年には、“転職・独立派”が合計45.7%、“定年派”が43.1%となり、両者が拮抗する結果となりました。(図表15)


▽図表15 現在の会社にいつまでいると思いますか。

https://www.atpress.ne.jp/releases/182129/img_182129_15.png



■結果を受けてのコメント(一般社団法人日本能率協会 KAIKA研究所 所長 近田 高志)

○今回の調査結果から浮かび上がった新入社員像は、時代が大きく変化する中にあって、社会人としての第一歩を上手く踏み出せるかに不安を感じている姿ではないでしょうか。


○これらから仕事をしていく上での不安として「仕事での失敗やミス」「職場の人とうまくやっていけるか」が第1位となり、現在の心境を表す漢字に「不」を挙げた人数が増えています。また、新しい元号を迎えることで世の中が良くなることに、「期待できる」が約3割であるのに対し、「どちらとも言えない」が約4割となっているのも、将来への不安の表れではないかと思われます。


○一方で、「働く目的」として、「自分の能力を高めること」「社会の役に立つこと」が前回よりも増加して、順位を上げていることは注目すべきポイントです。自分が働いている会社が社会の役に立っていることを「重要だと思う」とする回答も9割を超えおり、仕事や職場に不安を持ちつつも、社会人として成長し、社会の役に立ちたいと考えている姿勢を前向きに捉えるべきでしょう。


○また、理想の上司・先輩像として、「仕事について丁寧な指導をする上司・先輩」が挙げられていることは、「仕事での失敗やミス」を恐れていることの裏返しでしょう。これに対して、上司が考える新入社員にとっての理想の上司・先輩像の第1位は「部下の意見・要望を傾聴する上司・先輩」となっており、ギャップが見られます。


○本来、人は失敗を通じて成長するものです。新入社員の指導にあたる上司・先輩には、新入社員の不安も念頭に置いたうえで、失敗を恐れずに挑戦することを支援していくことが必要となります。


○その意味で、これから仕事をしていく上で、強化したいと点として、「学習能力(他者や経験から学ぶ力)」が12.5%挙げられている点に注目したいと思います。変化が激しく、正解のない時代においては、上司・先輩の成功体験が通用しないこともでてきます。新入社員を受け入れ、共に学び合うことによって、組織として成長することが期待されます。

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