マクニカとiD、AI搭載の「SPE(Single Pair Ethernet)カメラ」を共同開発

    ~1本のケーブルで通信と給電、長距離伝送、人/物体検知できるシステムを提供~

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    2025年9月30日 10:00

    株式会社マクニカ(本社:神奈川県横浜市、代表取締役社長:原 一将、以下マクニカ)と株式会社iD(本社:北海道函館市、代表取締役:小竹 陽一朗、以下iD(アイディー)社)は、1対のツイストペアケーブルで高速データ通信と電力供給を同時に実現する Single Pair Ethernet(以下SPE*1)技術に対応した「SPEカメラ」を開発したことを本日発表いたします。SPEは、従来の産業用カメラが抱えていた配線の複雑さや設置スペースの課題を解決し、工場やビル、住まいのIoT化やデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進に貢献します。

    ■課題と開発の背景
    近年、製造業において、スマートファクトリーやIIoT(Industrial Internet of Things)の実現に向けた動きが加速しており、様々な機器からデータを収集・活用する需要が高まっています。しかしながら、従来のEthernetを用いたシステムでは、ケーブルが太く、配線が複雑などの理由から、狭小スペースへの設置や移動体への搭載が困難でした。また、データ線とは別に電源ケーブルが必要となるケースも多いことから、コストや工数の増加が大きな課題となっていました(下記「図1」上部図参照)。

    そこで、マクニカとiD社は、次世代の産業用ネットワーク技術として注目されるSPEに着目し、基板スペースやコネクターのサイズが課題となっている“カメラ”の問題を解決するため、「SPEカメラ」を開発する運びとなりました。SPE技術は、通信と電源供給を一本の細径ケーブルで実現できるため、狭小スペースや移動体への搭載に適しており、配線の簡素化とコスト削減が可能となります(下記「図1」下部図参照)。また、カメラ側では、SoCでEdge AI処理を行い、必要に応じてサーバー側で高機能AI処理にも対応できるAI画像処理技術を搭載することで、AIによるリアルタイムでの人/物体など識別可能な「SPEカメラ」の開発に成功しました。さらに、カスタマイズにも対応しており、SPEを自社カメラに組み込む場合は、実装基板の縮小化も実現します。

    図1. 従来のネットワークシステムとSPEケーブルを使用したシステムとの違い
    図1. 従来のネットワークシステムとSPEケーブルを使用したシステムとの違い

    ■「SPEカメラ」の特長
    <超小型コネクター、軽量、電源ケーブル不要>
    ・1対(1本)のケーブルで通信・給電を同時に実施
    ・省スペース化(RJ45対比で50%以上スペース削減/実装基板の縮小化)
    ・長距離映像伝送(最大140m)
    ・優れたケーブルの取り回し性
    ・AC電源ケーブル不要
    ・AIによる人/物体検知
     
    <システム構成図>
    「SPEカメラ」への給電は、PoE対応のSPE switch*2 で対応しており、「SPEカメラ」からのRTSPストリーミング*3 をPCで確認することができます。推論はThundercomm社のSOM*4 で実施しています。

    図2. SPEカメラシステム構成図
    図2. SPEカメラシステム構成図

    ■今後の展望
    マクニカとiD社は、「SPEカメラ」の開発を通じて、製造現場のDXや社会インフラの高度化に貢献してまいります。今後は、両社で共同開発を継続し、今回発表した「SPEカメラ」を筆頭に、顧客のニーズに応じたカスタマイズなどSPE製品ラインナップを拡充するとともに、パートナー企業との連携を強化し、SPEエコシステムの構築を推進していきます。

    *1:SPEは、IEEEで規格化された技術で自動車向けに使用されており、2030年までに産機や家庭用など既存のアプリケーション向けにも拡大が期待されています。SPEでは1ペアのケーブルでEthernet通信とDC給電を同時に実施でき、さらにケーブル材の使用量を約1/4まで削減することも可能です。

    *2:SPEかつPoEに対応したEthernet Switchであり、1ペアのケーブルで通信及び給電が可能です。

    *3:RTSP (Real Time Streaming Protocol) は、IPネットワーク経由で音声や動画などのマルチメディアデータをストリーミング再生するための制御プロトコルです。

    *4:Thundercomm社のSOM(システムオンモジュール)でYolov5mのモデルで推論を実施しており、人/物の検知をします。

    【製品の詳細はこちら】
    https://www.macnica.co.jp/business/semiconductor/macnica_products/spe/index.html

    【製品に関するお問い合せ先はこちら】
    株式会社マクニカ フィネッセ カンパニー 鳥巣/久保田
    TEL:045-470-9831 E-mail:spe@macnica.co.jp

    株式会社iD 経営企画部 大宮 
    TEL:0138-35-3313 E-mail:info@intelligent-design.co.jp

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    株式会社iDについて

    株式会社iDは、最先端のネットワーク技術の研究開発に取り組んでおり、様々な分野のテクノロジーを最新のネットワーク技術でつなぎます。ソフトウェアだけではなく、ハードウェア、LSI、FPGAも含めた装置開発を行っており、企画から設計、製造、評価まで一貫した技術を提供します。
    https://www.intelligent-design.co.jp/

    株式会社マクニカについて

    マクニカは、半導体、サイバーセキュリティをコアとして、最新のテクノロジーをトータルに取り扱う、サービス・ソリューションカンパニーです。世界28か国/地域91拠点で事業を展開、50年以上の歴史の中で培った技術力とグローバルネットワークを活かし、AIやIoT、自動運転など最先端技術の発掘・提案・実装を手掛けています。マクニカについて:www.macnica.co.jp

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    図2. SPEカメラシステム構成図
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