日経BPコンサルティングとEmotion Tech  自動車業界の「NPS×カスタマージャーニー」について 共同調査を実施(その2)

「マイカーに対するNPS/顧客体験調査」より国内主要3メーカー分析  3メーカーのNPSに影響の大きい顧客体験は 「ブランドイメージ」と「購入後の運転時の体験」  「ブランドイメージ」はトヨタ、「運転時の体験」は日産  トヨタの「ブランドイメージ」で優れている「高級感」と「信頼感」  日産の「購入後の運転時の体験」における「駐車のしやすさ」に注目

株式会社日経BPコンサルティング(東京都港区)と株式会社Emotion Tech(エモーションテック)(東京都中央区)は、自動車業界に関する「NPS*1×カスタマージャーニー*2」について共同調査を実施した。日経BPコンサルティングの調査/コンサルティングノウハウとエモーションテックのNPSに関する取扱い知見、感情データ解析技術(特許取得済)を合わせたもので、カスタマーエクスペリエンス(顧客体験、以下 CX)の項目が、それぞれ顧客ロイヤルティ指標であるNPSにどの程度の影響力があるか(重要度)*3とNPSをどの程度向上・低下させているか(現状の評価)*4を分析することにより、NPS向上における優先課題を明らかにするものである。さらに、各CXの改善項目の抽出もでき、顧客ロイヤルティの向上の施策策定に活用することができる。


今回、そのトライアルとして、自動車所有者1,569名を対象に、NPSと購入までの体験、購入後の体験に関する調査として「マイカーに対するNPS/顧客体験調査」を実施した。調査対象は16メーカー/ブランドである。その結果、分析対象となった12メーカー/ブランドに関して分析を行った。

前回11月21日のリリース( https://consult.nikkeibp.co.jp/info/news/2017/1121npscj1/ )では、NPSと販売台数成長率の相関の高さと、NPS上位3メーカー/ブランドおよび下位3メーカー/ブランドにおける分析結果を紹介した。本調査の報告の2回目として、今回は、国内主要3メーカー(トヨタ*5、日産、ホンダ)の新車購入ユーザーを対象にした比較分析を紹介する。



■国内主要3メーカーのNPSに影響の大きい顧客体験は「ブランドイメージ」、「購入後の運転時の体験」

国内主要3メーカーのトヨタ、日産、ホンダにおけるNPSを向上させる上で、各顧客体験項目の重要度を比較したところ、最も大きい影響項目として「ブランドイメージ」、次いで「購入後の運転時の体験」という結果になった(図1)。主要3メーカーにおいて、他の人に薦める場合、まずはメーカーの「ブランドイメージ」が最優先ということになる。「ブランドイメージ」に次ぐ「購入後の運転時の体験」においては、実際に運転/利用してみての体験、使い心地などの良さが、他の人へ薦める上で大きな要因となるということがいえる。



■「ブランドイメージ」はトヨタ、「購入後の運転時の体験」は日産が優れている

3メーカーにおける現状の評価において、「ブランドイメージ」の最も評価の良かったのはトヨタ、「購入後の運転時の体験」は日産であった(表1)。ホンダは、「ブランドイメージ」、「購入後の運転時の体験」のいずれにおいてもマイナスの評価(不満傾向)となっていることから、ホンダのNPS向上において、この両項目の評価を上げることが、重要といえる。



■トヨタの「ブランドイメージ」は「高級感」と「信頼感」が重要

「ブランドイメージ」における現状の評価が高かったトヨタの「ブランドイメージ」に関しては、「高級感」、「ブランドに対する信頼感」「品質・機能性」が大きく影響している。この結果から言えるのは、トヨタのロイヤルティを向上させる上で、「高級感」に加え、長年培った信頼感や品質面でポジティブな評価を受けることが重要であり、トヨタの強みにつながっていることがうかがえる(表2)。

日産の「ブランドイメージ」では、ロイヤルティの低下に最も影響する重要項目となったのは、「高級感」であった。「高級感」がロイヤルティ向上に影響しているトヨタとは異なり、「高級感」のイメージ向上が必要ということがいえる。また2番目に「所有者に対するイメージ」が挙がっている点が他社と比較し、特徴的であり、今後、日産の自動車において「所有者に対するイメージ」を明確にしていくことが重要といえる(表3)。

ホンダの「ブランドイメージ」も日産と同様、現状の評価はマイナスとなっており、最もNPSへの影響の大きい「話題性」を、今後ユーザーに対し提供していくことが必要といえる結果となっている(表4)。



■日産の「購入後の運転時の体験」における「駐車のしやすさ」の評価の高さに注目

日産において現状の評価が高かった「購入後の運転時の体験」に関しては、具体的には「操作性」と「乗り心地」、そして「駐車のしやすさ」が高い評価を得るポイントとなっている(表5)。トヨタ、ホンダの重要度項目と比較して、日産の特徴的な項目として挙げられるのが、「駐車のしやすさ」である。自動運転で先行する日産の「インテリジェントパーキングアシスト」などの駐車の際のアシスト機能が評価につながっていると考えられる。

トヨタとホンダはいずれも「乗り心地」、「操作性」の2項目が重要度の上位となっている。両者とも、「購入後の運転時の体験」の現状の評価はマイナスとなっており、その影響項目となっている「乗り心地」、「操作性」に関して、乗車/購入前の期待と、実際購入後の利用してからのギャップの差異などを把握する必要があるかもしれない(表6、表7)。



(藤澤 一郎=日経BPコンサルティング チーフコンサルタント)



*1 NPS:「Net Promoter Score(ネット・プロモーター・スコア)」の略で、顧客ロイヤルティ(企業やブランドに対する愛着・信頼の度合い)を数値化する指標。NPSは「推奨者の正味比率」と訳される。

具体的には、「友人や知人に対する、その企業が提供するサービスや商品の推奨度」を10~0までの11段階で尋ね、「推奨者(9または10との回答)」の割合(%)から、「批判者(6以下の回答)」の割合(%)を引いた結果を指す。

*2 カスタマージャーニー:顧客が商品を認知し、購買そして使用に至るまでのプロセス

*3 重要度:推奨度を目的変数、各顧客体験における評価を従属変数として、数量化I類と情報量基準を用いて各CX項目のNPSに対する影響力の強さを算出

*4 現状の評価:推奨度を目的変数、各顧客体験における評価を従属変数として、数量化I類と情報量基準を用いて、各CXに対して現状の顧客の評価が、どの程度NPSを向上させているか、もしくは低下させているかを算出

*5 本分析対象のトヨタにはレクサスブランドは含まない




「マイカーに対するNPS/顧客体験調査」について

調査概要 :「マイカーに対するNPS/顧客体験調査」は、

      自動車所有者1,569名を対象に、NPSと購入までの体験、

      購入後の体験に関して調査を実施。

調査手法 :インターネット調査

調査対象 :日経BPコンサルティング調査モニター

有効回答数:1,569名

調査期間 :2017年9月15日~9月22日

※本調査による調査報告書の発売はございません

下記リンクから、本調査のより詳細のデータ/分析をダウンロードください。

https://bpcgi.nikkeibp.co.jp/form-cgi/formhtml.cgi?form=nbpc1711/index.html



■株式会社日経BPコンサルティング

日経BP社全額出資の「調査・コンサルティング」「企画・編集」「制作」など、コンサルティング、コンテンツ関連のマーケティング・ソリューション提供企業。(2002年3月1日設立。資本金9,000万円)



■株式会社Emotion Tech

顧客の声を起点とした経営課題の解決、サービス品質の向上を行うサービス、「Emotion Tech」の開発・運営、独自の感情データ解析技術とクラウドシステムを用いた、企業の顧客や社員へのエクスペリエンスマネジメントサービスを展開する企業(2013年3月8日設立。資本金4億3,573万円)

本レポートで用いている調査手法及び統計解析手法はEmotion Tech社が保有する特許に該当します。(特許番号:特許第6176813号)

https://www.emotion-tech.co.jp/



図1 国内主要3メーカーのNPSに対する各顧客体験に関する重要度


図1 国内主要3メーカーのNPSに対する各顧客体験に関する重要度


表1 顧客体験上位2項目の各社の「現状の評価」


表2 トヨタの「ブランドイメージ」におけるNPSへの影響項目「重要度」

(NPS向上要因)


表3 日産の「ブランドイメージ」におけるNPSへの影響項目「重要度」

(NPS低下要因)


表4 ホンダの「ブランドイメージ」におけるNPSへの影響項目「重要度」

(NPS低下要因)


表5 日産の「購入後の運転時の体験」におけるNPSへの影響項目「重要度」

(NPS向上要因)


表6 トヨタの「購入後の運転時の体験」におけるNPSへの影響項目「重要度」

(NPS低下要因)


表7 ホンダの「購入後の運転時の体験」におけるNPSへの影響項目「重要度」

(NPS低下要因)

カテゴリ:
調査・報告
ジャンル:
経済(国内) ビジネス全般
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