消費者物価指数の民営家賃は何故下がり続けているか?~賃貸住宅...

消費者物価指数の民営家賃は何故下がり続けているか? ~賃貸住宅市場レポート  首都圏版・関西圏・中京圏・福岡県版 2017年9月~

 不動産評価Webサイト「TAS-MAP」( http://www.tas-japan.com/ )を運営する株式会社タス(所在地:東京都中央区、代表取締役社長:尾暮 敏範)は、「賃貸住宅市場レポート 首都圏版・関西圏・中京圏・福岡県版 2017年9月」を発表しました。


算出データの違い


 「消費者物価指数の民営家賃は何故下がり続けているか」および「2017年7月期の1都3県賃貸住宅指標(空室率TVI(タス空室インデックス)、募集期間、更新確率、中途解約確率)」および「2017年7月期の関西圏・中京圏・福岡県賃貸住宅指標(空室率TVI(タス空室インデックス)、募集期間、更新確率、中途解約確率)」を掲載しています。


詳細PDF:「賃貸住宅市場レポート 首都圏版・関西圏・中京圏・福岡県版2017年9月」

http://www.tas-japan.com/pdf/news/residential/Vol93_Vol65residential20170929.html



■レポートの概要

(1) 消費者物価指数の民営家賃は何故下がり続けているか

 各社が賃料インデックス作成に使用しているデータは、管理会社に管理を委託したり、不動産会社に仲介を委託することができる、経営に余裕のあるオーナーのデータのみです。市場競争力のある優良物件データであるともいえます。このデータには、経営が困難になり、オーナーに管理会社や不動産会社に委託をする余裕がなくなった市場競争力のない物件のデータは含まれていません。

 これに対して、CPIの民営家賃算出に使用されるデータは、国勢調査に基づき、調査市町村ごとに所定数を抽出して、世帯主から聞き取り調査を行って収集されています。この際、抽出した賃貸住宅が市場競争力のあるデータであるかどうかは問いません。つまり、CPIの民営家賃算出に使用されるデータは市場競争力のない物件のデータも含んでいるのです。

 まとめますと、各社が公開している賃料インデックスは、市場で流通している優良データ(A1【満室稼働データ】とA2【空室募集中データ】の両方、もしくは「A2-空」のみ)を使用して算出されています。特にA1【満室稼働データ】は、市場競争力が強い物件であると考えられるため、賃料指数を押し上げるバイアスとなっています。このため、各社が発表している賃料インデックスは、景気動向に連動して、横ばいもしくはわずかながらも改善傾向で推移していると考えられます。

 これに対して、CPIの民営家賃算出に使用されるデータは、市場で流通しなくなったデータ(B【経営難等物件データ】)も含んでいます。これらのデータは、優良データに比較して市場競争力が劣るため、優良データよりも賃料の下落幅が大きいと考えられるため、賃料指数を押し下げるバイアスとなっています。このため、CPIの民営家賃の推移は下落傾向となっているものと考えられます。


 現在の貸家着工数は、サブプライム問題発覚前の着工数の7割程度の水準であり、メディアで騒がれているような「バブル」の状態ではありません。ただし、長期的な供給過剰状態に加え、世帯数が減少に転ずるという社会要因の変化が始まることから、今後はB【経営難等物件データ】が増加することは免れないと思われます。これは、CPIの民営家賃の下落幅が、今後さらに大きくなる可能性を示唆しています。


図 CPIの民営家賃算出データと管理業者等が保有するデータの違いへのリンク



(2) 2017年7月期 1都3県賃貸住宅指標

 マンション系(S造、RC造、SRC造)空室率TVIは神奈川県は改善傾向に転じていますが、その他の地域では悪化傾向で推移しています。アパート系(木造、軽量鉄骨造)空室率TVIは、東京市部を除いた地域で頭打ちの兆候が現れてきました。金融機関のアパートローンの貸出態度が硬化し始めている影響が現れてきた可能性があります。全地域で更新確率が低下傾向、中途解約確率が上昇傾向にあります。テナント退去は、賃料収入の減少、リーシング費用の発生だけでなく、募集賃料下落の要因となりますので注意が必要です。


【東京都】

<全域>

空室率TVI(ポイント):12.78

募集期間(ヶ月)   :2.82

更新確率(%)    :32.85

中途解約確率(%)  :46.55


<23区>

空室率TVI(ポイント):12.47

募集期間(ヶ月)   :2.81

更新確率(%)    :33.70

中途解約確率(%)  :45.43


<市部>

空室率TVI(ポイント):15.58

募集期間(ヶ月)   :2.90

更新確率(%)    :25.67

中途解約確率(%)  :51.60


【神奈川県】

空室率TVI(ポイント):15.74

募集期間(ヶ月)   :3.79

更新確率(%)    :32.84

中途解約確率(%)  :46.74


【埼玉県】

空室率TVI(ポイント):18.33

募集期間(ヶ月)   :3.31

更新確率(%)    :37.10

中途解約確率(%)  :43.01


【千葉県】

空室率TVI(ポイント):16.40

募集期間(ヶ月)   :3.51

更新確率(%)    :34.82

中途解約確率(%)  :50.53


分析:株式会社タス



(3) 2017年7月期 関西圏・中京圏・福岡県賃貸住宅指標

 アパート系空室率TVIは大阪府で改善傾向、兵庫県、愛知県、静岡県で悪化傾向、その他の地域は横ばいで推移しています。マンション系空室率TVIは愛知県と静岡県で悪化傾向、その他の地域は横ばいで推移しています。全地域で更新確率が低下傾向、中途解約確率が上昇傾向にあります。テナント退去は、賃料収入の減少、リーシング費用の発生だけでなく、募集賃料下落の要因となりますので注意が必要です。


【大阪府】

空室率TVI(ポイント):8.61

募集期間(ヶ月)   :5.01

更新確率(%)    :27.07

中途解約確率(%)  :60.85


【京都府】

空室率TVI(ポイント):13.99

募集期間(ヶ月)   :5.95

更新確率(%)    :34.82

中途解約確率(%)  :52.22


【兵庫県】

空室率TVI(ポイント):12.76

募集期間(ヶ月)   :5.85

更新確率(%)    :34.22

中途解約確率(%)  :51.49


【愛知県】

空室率TVI(ポイント):16.00

募集期間(ヶ月)   :6.34

更新確率(%)    :33.39

中途解約確率(%)  :52.42


【静岡県】

空室率TVI(ポイント):25.44

募集期間(ヶ月)   :7.55

更新確率(%)    :37.41

中途解約確率(%)  :50.59


【福岡県】

空室率TVI(ポイント):10.95

募集期間(ヶ月)   :5.46

更新確率(%)    :34.15

中途解約確率(%)  :49.53


分析:株式会社タス



詳細はPDFファイルをご参照ください。

詳細PDF:「賃貸住宅市場レポート 首都圏版・関西圏・中京圏・福岡県版2017年9月」

http://www.tas-japan.com/pdf/news/residential/Vol93_Vol65residential20170929.html


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https://tas-channel.com/



■株式会社タスについて

 株式会社タスはトヨタ自動車株式会社(T)、豊田通商株式会社(T)、朝日航洋株式会社(A)、株式会社三友システムアプレイザル(S)が出資するトヨタのグループ企業です。システム評価のパイオニアとして不動産に関わる情報を収集・分析・ディスクローズすることにより、専門知識を誰でも簡単に視える化することを目指しています。不動産評価サービスTAS-MAPは、担保評価や顧客へのプレゼンテーション資料作成ツールとして多くの金融機関や不動産会社の時短に貢献しています。


会社名  : 株式会社タス(英語名 TAS Corp.)

所在地  : 東京都中央区八丁堀3丁目22番13号 PMO八丁堀4F

設立年月日: 2000年8月28日

資本金  : 1億8千万円

出資   : トヨタ自動車株式会社

       朝日航洋株式会社

       株式会社三友システムアプレイザル

       豊田通商株式会社

Web    : http://www.tas-japan.com/

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