知らないと損する空室率の話~賃貸住宅市場レポート 首都圏版・...

知らないと損する空室率の話 ~賃貸住宅市場レポート  首都圏版・関西圏・中京圏・福岡県版 2017年2月~

 不動産評価Webサイト「TAS-MAP」( http://www.tas-japan.com/ )を運営する株式会社タス(所在地:東京都中央区、代表取締役社長:尾暮 敏範)は、「賃貸住宅市場レポート 首都圏版・関西圏・中京圏・福岡県版 2017年2月」を発表しました。

住宅・土地統計調査と管理業者等が保有するデータの違い
住宅・土地統計調査と管理業者等が保有するデータの違い

 「【コラム】知らないと損する空室率の話」および「2016年12月期の1都3県賃貸住宅指標(空室率TVI(タス空室インデックス)、募集期間、更新確率、中途解約確率、賃料指数)」および「2016年12月期の関西圏・中京圏・福岡県賃貸住宅指標(空室率TVI(タス空室インデックス)、募集期間、更新確率、中途解約確率、賃料指数)」を掲載しています。

詳細PDF:「賃貸住宅市場レポート 首都圏版・関西圏・中京圏・福岡県版 2017年2月」
http://www.tas-japan.com/pdf/news/residential/Vol86_Vol58residential20170228.html


■レポートの概要
(1) 【コラム】知らないと損する空室率の話
 賃貸住宅のオーナーが不動産会社に空室へのテナント付けを依頼する場合、成功報酬である仲介手数料が必要となります。さらに不動産会社に対する広告料の支払いも慣例化しています。また、不動産会社や賃貸住宅管理会社に所有する賃貸住宅の運営管理を委託している場合は、賃貸住宅オーナーは管理会社に管理運営費用(プロパティマネジメント費)を支払う必要があります。当然ですが、テナントが入居するまで空室からは収入を得ることができません。賃貸住宅オーナーに資金的な余裕がある間は、テナント付けのために不動産会社や管理会社にテナント付けを依頼することが可能です。この場合、これらの賃貸住宅データは、管理会社、REINS、住宅情報提供会社等に登録されることとなります(図の【空室募集中データ】のA2-空)。

 一方で、空室で収入が減少したため借入金の返済に窮する等、賃貸住宅オーナーに資金的な余裕がなくなった場合は、不動産会社や管理会社にテナント付けを依頼することができなくなります。また、アパート経営の目的が税金対策であるため空室があっても問題視していない等、資金的に窮してなくとも不動産会社や管理会社にテナント付けを依頼する必要性を感じていないオーナーもいるでしょう。このような賃貸住宅データ(図の【経営難等物件データ】)は、管理会社、REINS、住宅情報提供会社等に登録されません。
結果として、管理業者や不動産会社等が入手可能なデータに【経営難等物件データ】が含まれることはありません。
 なお、サブリースの場合も同様で、賃貸住宅オーナーがサブリースの条件に合意することができている限りはサブリース契約が継続しますので、賃貸住宅データはサブリース業者のデータに登録されることとなります(図の【満室稼働データ】と【空室募集中データ】)。
 しかし、サブリース条件の変更に賃貸住宅オーナーが合意できなかった場合は、サブリース契約が解除となり、その賃貸住宅データはサブリース業者のデータから削除されます。賃貸住宅オーナーに他の不動産会社や管理業者等にテナント付けを依頼する余力がない場合、賃貸住宅オーナーが空室を埋める必要性を感じていない場合は、この賃貸住宅データが【経営難等物件データ】となります。サブリース業者が入手可能な賃貸住宅データにも【経営難等物件データ】が含まれてこないのです。このように業務上で取り扱われないことから、【経営難等物件データ】の存在は、不動産業界でもあまり認識されていません。入手可能なデータは、比較的優良な物件データのみです。これが、「募集をしなくなった賃貸住宅は全て満室稼働である」という誤解を生じさせている原因となっています。

 一方で、住宅・土地統計調査に含まれる賃貸住宅データは図の【満室稼働データ】と【空室募集中データ】に加えて、【経営難等物件データ】を含んでいます。図の記号を用いて、戸数ベースの空室率は下記の式で算出することができます。

サブリース業者や管理会社の空室率=(A2-空)÷(A1+A2)
住宅・土地統計調査の空室率=(A2-空+B-空)÷(A1+A2+B)

 このように両者で空室率の算出に使用しているデータが異なっています。サブリース業者や管理会社の顧客ではないため、彼らの所有するデータには【経営難等物件データ】が含まれないのです。空室率の算出において、【満室稼働データ】は空室率を押し下げるバイアスとなりますが、【経営難等物件データ】は逆に空室率を押し上げるバイアスとなります。サブリース業者や管理会社が自社データから空室率を算出する際には、空室率に押し下げバイアスのみがかかっているため、算出した空室率は、必然的に住宅・土地統計調査から算出する空室率よりも低くなるのです。

 賃貸住宅市場の全体の空室率を確認するためには、住宅・土地統計調査から算出する空室率を使用する方が適しているのですが、5年毎の調査であるため、タイムリーに市場の空室率を確認することができません。これに対応するため、株式会社タスが開発した空室率の指標が「空室率TVI(TAS空室インデックス)」です。空室率TVIは住宅情報提供会社に登録された賃貸住宅データ(図の【空室募集中データ】)のみを使用して算出する空室率の指標です。前述した通り、サブリース業者や管理業者が所有するデータには図の【満室稼働データ】が含まれていますが、【経営難等物件データ】が含まれていないため、空室率には強い押し下げバイアスがかかっています。この押し下げバイアスを打ち消すもしくは弱めるために、【満室稼働データ】を除外して算出したのが空室率TVIです。空室率TVIの算出方法はいたってシンプルです。

空室率TVI=(A2-空)÷(A2)

 空室率TVIの欠点として、しばしば「【満室稼働データ】を含んでいないため算出結果が現実の賃貸住宅市場よりも高い数値になる」という指摘がされることがあります。しかしながら、【経営難等物件データ】を含んでいないデータに【満室稼働データ】を含めると、逆に算出結果に押し下げバイアスがかかることになります。

図 住宅・土地統計調査と管理業者等が保有するデータの違い
https://www.atpress.ne.jp/releases/122845/img_122845_1.jpg


(2) 2016年12月期1都3県賃貸住宅指標
 空室率TVIは、前月比では全ての地域で悪化。前年同月比では東京23区を除いて悪化しています。賃料指数は、前期比では東京市部と埼玉県が改善、その他の地域が悪化。前年同期比では、全ての地域で改善しています。

【東京都】
<全域>
空室率TVI(ポイント)  : 11.72
募集期間(ヶ月)     : 2.94
更新確率(%)      : 40.62
中途解約確率(%)    : 40.41
賃料指数 2004年1Q=100:100.10

<23区>
空室率TVI(ポイント)  : 11.41
募集期間(ヶ月)     : 2.94
更新確率(%)      : 41.12
中途解約確率(%)    : 40.26
賃料指数 2004年1Q=100:100.77

<市部>
空室率TVI(ポイント)  :14.58
募集期間(ヶ月)     : 2.94
更新確率(%)      :34.44
中途解約確率(%)    :41.44
賃料指数 2004年1Q=100:97.33

【神奈川県】
空室率TVI(ポイント)  :15.44
募集期間(ヶ月)     : 3.63
更新確率(%)      :43.20
中途解約確率(%)    :39.01
賃料指数 2004年1Q=100:98.70

【埼玉県】
空室率TVI(ポイント)  : 17.76
募集期間(ヶ月)     : 3.38
更新確率(%)      : 46.47
中途解約確率(%)    : 37.87
賃料指数 2004年1Q=100:100.27

【千葉県】
空室率TVI(ポイント)  : 15.61
募集期間(ヶ月)     : 3.33
更新確率(%)      : 46.47
中途解約確率(%)    : 40.16
賃料指数 2004年1Q=100:101.36

(出所)分析:株式会社タス

(3) 2016年12月期 関西圏・中京圏・福岡県賃貸住宅指標
 空室率TVIは、前月比では関西圏と福岡県で横ばい、中京圏で悪化。前年同月比ではすべての地域で悪化しています。賃料指数は、前期比、前年同期比共に、静岡県以外の全ての地域で改善しています。

【大阪府】
空室率TVI(ポイント)  : 8.59
募集期間(ヶ月)     : 4.75
更新確率(%)      : 34.41
中途解約確率(%)    : 54.59
賃料指数 2009年1Q=100:102.92

【京都府】
空室率TVI(ポイント)  : 13.98
募集期間(ヶ月)     : 6.24
更新確率(%)      : 40.81
中途解約確率(%)    : 46.17
賃料指数 2009年1Q=100:103.48

【兵庫県】
空室率TVI(ポイント)  : 12.38
募集期間(ヶ月)     : 5.79
更新確率(%)      : 39.72
中途解約確率(%)    : 49.13
賃料指数 2009年1Q=100:104.35

【愛知県】
空室率TVI(ポイント)  : 15.22
募集期間(ヶ月)     : 6.09
更新確率(%)      : 37.82
中途解約確率(%)    : 50.32
賃料指数 2010年4Q=100:100.80

【静岡県】
空室率TVI(ポイント)  :24.15
募集期間(ヶ月)     : 7.14
更新確率(%)      :42.48
中途解約確率(%)    :46.64
賃料指数 2010年4Q=100:96.84

【福岡県】
空室率TVI(ポイント)  : 10.82
募集期間(ヶ月)     : 5.28
更新確率(%)      : 37.06
中途解約確率(%)    : 46.12
賃料指数 2010年4Q=100:105.61

(出所)分析:株式会社タス

詳細はPDFファイルをご参照ください。
詳細PDF:「賃貸住宅市場レポート 首都圏版・関西圏・中京圏・福岡県版 2017年2月」
http://www.tas-japan.com/pdf/news/residential/Vol86_Vol58residential20170228.html

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https://tas-channel.com/


■株式会社タスについて
 株式会社タスはトヨタ自動車株式会社(T)、豊田通商株式会社(T)、朝日航洋株式会社(A)、株式会社三友システムアプレイザル(S)が出資するトヨタのグループ企業です。システム評価のパイオニアとして不動産に関わる情報を収集・分析・ディスクローズすることにより、専門知識を誰でも簡単に視える化することを目指しています。不動産評価サービスTAS-MAPは、担保評価や顧客へのプレゼンテーション資料作成ツールとして多くの金融機関や不動産会社の時短に貢献しています。

会社名  : 株式会社タス(英語名 TAS Corp.)
所在地  : 東京都中央区八丁堀3丁目22番13号 PMO八丁堀4F
設立年月日: 2000年8月28日
資本金  : 1億8千万円
出資   : トヨタ自動車株式会社
       朝日航洋株式会社
       株式会社三友システムアプレイザル
       豊田通商株式会社
Web    : http://www.tas-japan.com/

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