株式会社マーケットリサーチセンター

    世界の脊髄小脳失調症の市場規模、疾患概要、疫学予測:2026年調査レポートを発表

    調査・報告
    2026年9月4日 10:30

    株式会社マーケットリサーチセンター(本社:東京都港区、世界の市場調査資料販売)では、「世界の脊髄小脳失調症の市場規模、疾患概要、疫学予測、英文タイトル:Spinocerebellar Ataxias Market Size; Disease Overview; Epidemiology Forecast; Patient Pool Analysis」調査資料を発表しました。本資料には、市場規模、疾患概要、疫学予測、患者数分析(日本、米国、ヨーロッパ、インドなど)、治療上の課題・アンメットニーズなどの情報などが盛り込まれています。

    ■主な掲載内容

    本レポートは、脊髄小脳失調症(Spinocerebellar Ataxias:SCAs)の疫学動向について、過去の患者推移と2026~2035年の将来予測を整理した市場調査レポートである。SCAsは、主として小脳機能が進行性に障害される遺伝性神経変性疾患群で、歩行失調、四肢の協調運動障害、構音障害などを中心症状とする。米国ではおよそ1万5,000~2万人がSCAsを有すると推定され、日本では遺伝性失調症の約61.5%が常染色体優性型とされる。調査会社は、SCAsが希少疾患である一方、遺伝子診断の普及、病型同定の進展、専門医療へのアクセス改善によって、今後は診断患者数がより正確に把握されるとみている。本調査では2025年を基準年、2019~2025年を過去分析期間、2026~2035年を予測期間とし、米国、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、英国、日本、インドの8主要市場を対象に、有病率、年齢、性別、病型、診断患者数などを分析している。

    SCAsは単一疾患ではなく、40を超える遺伝学的サブタイプを含む非常に多様な疾患群である。基本的には常染色体優性遺伝形式をとり、病型ごとに原因遺伝子、発症年齢、症状構成、進行速度が異なる。したがって、「SCA」という診断名だけでは患者の臨床像を十分に説明できず、どのサブタイプに該当するかを同定することが診療上重要となる。

    中心的な病態は、小脳およびその関連神経回路の進行性変性である。これにより、歩行時のふらつき、手足の協調運動障害、構音障害などが徐々に進行し、最終的には日常生活の自立度が低下する可能性がある。

    また、小脳症状だけでなく、末梢神経障害、ジストニア、眼球運動異常などを伴うこともある。病型によっては、これらの非小脳症状が診断の手掛かりになる場合もある。

    疫学的には非常にまれで、世界有病率は10万人あたり約1~5例と推定される。この低い有病率に加えて病型が多数存在するため、個々のサブタイプはさらに希少となる。

    一方で、患者数が少ないことは必ずしも臨床負担が小さいことを意味しない。SCAsは慢性進行性であり、発症後長期間にわたって運動機能、会話能力、就労、日常生活自立に影響を与えるため、患者本人だけでなく家族・介護者にも大きな負担を生じる。

    年齢では成人発症が中心で、一般に30~40歳代、すなわち第3~第5 decadeに発症することが多い。ただし、発症年齢は病型ごとに大きく異なる。

    一部の病型では、CAGリピート長などの遺伝的要因が発症時期に影響するとされる。一般に、特定のリピート伸長型疾患では反復配列が長いほど早く発症する可能性があり、同じ家系内でも世代によって発症年齢が異なることがある。

    このため、SCAsの年齢疫学を単純に「40歳前後で発症する疾患」と一括りにすることはできない。病型、遺伝子変異、家系背景によって小児期から高齢期まで幅広い発症年齢があり得る。

    性別では、SCAsは常染色体優性遺伝が基本であるため、男性・女性のどちらかに大きく偏る疾患ではない。提示資料でも、世界的に明確な男女差はないとされる。

    したがって、性染色体関連疾患のように男女で発症確率が大きく異なるのではなく、原因変異を保有していれば男女とも発症し得る。ただし、各サブタイプの臨床研究では症例数が少ないため、見かけ上の男女差が生じる可能性はある。

    病型別では、SCA3、別名Machado-Joseph diseaseが世界的に最も多いとされ、全SCAsの約25~50%を占める。次いでSCA2、SCA6、SCA7などが多い。

    ただし、SCA3が世界中すべての国で最も多いわけではない。SCAsは創始者効果や民族・地域ごとの遺伝背景の影響を強く受けるため、国によって主要サブタイプが大きく異なる。

    この地域差は日本のデータで明確に示される。日本では遺伝性失調症のうち約61.5%が常染色体優性型SCAとされ、その中ではSCA6が25.3%で最も多く、SCA3が13.8%で続く。

    つまり、世界全体ではSCA3が最多とされる一方、日本ではSCA6がより多い。この違いは、SCAsの疫学を地域別・病型別に評価する必要性を示している。

    米国では、SCAs患者は約1万5,000~2万人と推定される。絶対数としては少ないものの、希少神経疾患としては一定の患者集団を形成している。

    また、米国の専門コホートではSCA36が約0.7%を占めるとされる。これはSCA36が米国SCA全体の中では比較的まれなサブタイプであることを示している。

    ただし、0.7%という数字は「米国一般人口の0.7%」ではなく、特定のSCA専門コホート内でSCA36が占める構成比である。そのため、一般人口有病率と混同してはいけない。

    日本の「常染色体優性SCAが遺伝性失調症の61.5%」という数値も同様である。これは日本人口の61.5%がSCAであるという意味ではなく、遺伝性失調症患者の中で常染色体優性型が占める割合である。

    さらに、SCA6 25.3%、SCA3 13.8%も日本のSCA患者群内での病型構成比であり、一般人口有病率ではない。

    このように、今回の資料には一般人口での有病率、患者集団内での病型割合、国全体の推定患者数が混在しているため、各数値の分母を区別することが重要である。

    ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、英国、インドについては、提示資料では具体的な国別患者数や病型構成は示されていない。ただし、8主要市場の対象として、診断患者数と病型別患者プールの将来推移が分析されている。

    欧州では、各国・地域ごとに創始者効果や家系集積がある可能性があり、SCA3、SCA2、SCA6などの比率が異なると考えられる。したがって、米国や日本の病型分布をそのまま欧州へ適用することはできない。

    インドでも、遺伝的多様性と人口規模が非常に大きいため、地域別のSCA構成が異なる可能性がある。ただし、今回の資料では具体的な数字は提示されていない。

    市場・疫学上で最も重要な特徴の一つは、SCAsが遺伝子診断によって分類される疾患群である点である。臨床症状だけでは複数のSCA病型を正確に区別できない場合があり、遺伝学的検査が診断確定に重要となる。

    家族歴が明確な患者では、常染色体優性遺伝のパターンが診断の手掛かりとなる。一方、家系が小さい場合、家族が未診断の場合、あるいは新生変異などでは家族歴が明確でないこともあり得る。

    そのため、進行性小脳失調を呈する患者に対しては、後天性原因を除外したうえで、遺伝性失調症を疑い、適切な遺伝子検査へつなげることが重要となる。

    遺伝子診断は患者本人の病型同定だけでなく、家族にも影響する。常染色体優性疾患であるため、家族計画や血縁者の発症リスクに関する遺伝カウンセリングが重要となる。

    したがって、SCAsでは通常の神経疾患以上に、患者の自己決定を尊重しながら遺伝情報を扱う必要がある。無症候の家族が発症前検査を希望する場合などは、十分な遺伝カウンセリングが不可欠である。

    現在、SCAs全体に共通する根治療法はない。治療の中心は、症状を軽減し、身体機能と自立度をできるだけ長く維持し、生活の質を改善することである。

    理学療法は特に重要で、歩行、バランス、筋力、姿勢の維持を目的とする。進行性疾患であるため、機能低下が生じてから始めるのではなく、比較的早期から継続することが重要となる。

    作業療法では、日常生活動作を維持するための訓練や環境調整を行う。病気が進行すると、食事、着替え、移動などの動作に支障が出る可能性があるため、補助具や住環境の調整も重要になる。

    言語聴覚療法も大きな役割を持つ。構音障害が進行すると会話によるコミュニケーションが難しくなるため、発声・構音訓練や代替コミュニケーション手段の検討が必要になる。

    薬物療法は主に随伴症状を対象とする。資料では、痙縮、振戦、神経障害性疼痛などに対する対症療法が挙げられている。

    つまり、現在使用される薬剤の多くは小脳変性そのものを停止させるわけではなく、患者ごとの困難な症状を軽減することを目的とする。

    したがって、SCAs管理には神経内科だけでなく、リハビリテーション、理学療法、作業療法、言語療法、眼科、遺伝カウンセリングなどを含む多職種チームが必要になる。

    病気が進行すると転倒リスクも高まるため、歩行補助具や住宅環境の安全性評価が重要になる。長期的には、患者の自立をどのように維持するかが治療の中心課題となる。

    また、患者本人だけでなく介護者の負担も増える。30~40歳代という比較的若い時期から発症することが多いため、長期の介護計画や就労支援、社会福祉的支援も重要になる。

    市場の観点では、SCAsは患者数の少ない希少疾患群である一方、病型が明確な遺伝性疾患であるため、将来的な分子標的治療の開発対象として注目されている。

    現在、遺伝子治療、疾患修飾薬、特定分子を標的とする治療などが研究されている。これらが実用化されれば、従来の対症療法中心の市場から、遺伝子型ごとの疾患修飾治療市場へ大きく変化する可能性がある。

    特にCAGリピート伸長など明確な分子異常を持つ病型では、病因そのものを標的とする治療法開発の余地がある。提示資料では具体的な候補薬までは示されていないが、遺伝子治療と標的分子介入が今後の研究領域として挙げられている。

    このため、2026~2035年の市場では、単純な患者数よりも「遺伝子診断済み患者数」が重要な指標になる可能性が高い。特定サブタイプを対象とする薬剤が登場した場合、SCA全体ではなく、その遺伝子型を持つ患者だけが治療対象となるためである。

    診断技術の進歩も患者数に影響する。従来「原因不明の小脳失調」とされていた患者が、より広範な遺伝学的検査によって特定のSCAサブタイプと診断されれば、登録患者数は増加する可能性がある。

    したがって、2026~2035年に診断患者プールが拡大しても、それが必ずしもSCAsの真の発症率上昇を意味するとは限らない。遺伝子検査の普及によって未診断患者が顕在化する影響が大きいと考えられる。

    全体として本レポートは、SCAsを「常染色体優性遺伝を中心とし、40以上の遺伝学的サブタイプから構成され、成人期を中心に進行性の歩行失調、四肢協調障害、構音障害などを引き起こす希少神経変性疾患群」と位置づけている。

    世界有病率は10万人あたり約1~5例で、男女差は大きくない。発症は30~40歳代に多いが、病型やCAGリピート長などの遺伝的要因によって大きく変動する。

    病型では世界的にSCA3が約25~50%を占め最も多く、SCA2、SCA6、SCA7が続く。一方、日本ではSCA6が25.3%で最多、SCA3が13.8%であり、地域による病型構成差が明確である。

    米国では約1万5,000~2万人がSCAsを有すると推定され、専門コホートではSCA36が約0.7%を占める。日本では遺伝性失調症の約61.5%が常染色体優性型とされるが、これらは一般人口有病率ではなく、患者集団内での構成比である点に注意が必要である。

    2026~2035年の疫学・市場動向を考えるうえでは、疾患そのものの急激な増加より、遺伝学的検査の普及、サブタイプ同定率の向上、専門医への紹介改善、疾患レジストリ整備によって診断患者数が増えることが重要になると考えられる。

    また、遺伝子治療や疾患修飾薬が実用化されれば、これまで支持療法中心だったSCAsの治療体系が大きく変わる可能性がある。その場合、早期遺伝子診断の重要性はさらに高まる。

    したがって、今後のSCAs管理における中心的課題は、進行性の歩行失調や構音障害を早期に認識し、家族歴と臨床像から遺伝性失調症を疑うこと、遺伝子検査によってSCA3、SCA6などのサブタイプを正確に特定すること、遺伝カウンセリングを適切に行うこと、そして理学療法、作業療法、言語療法、症状別薬物療法を組み合わせて長期的な自立機能を維持することである。2026~2035年は、SCAsを単に「治療法のない遺伝性失調症」として扱うのではなく、遺伝子型ごとに患者を層別化し、将来的な遺伝子治療や分子標的治療へつなげるための早期診断・病型同定を進めることが、臨床・市場双方の主要テーマになるとまとめられる。

    ※目次構成

    01
    序文
    1.1 はじめに
    1.2 調査目的
    1.3 調査方法および前提条件

    02
    エグゼクティブサマリー

    03
    脊髄小脳失調症市場概要(8主要市場)
    3.1 脊髄小脳失調症市場の過去市場規模(2019年~2025年)
    3.2 脊髄小脳失調症市場の予測市場規模(2026年~2035年)

    04
    脊髄小脳失調症疫学概要(8主要市場)
    4.1 脊髄小脳失調症疫学状況(2019年~2025年)
    4.2 脊髄小脳失調症疫学予測(2026年~2035年)

    05
    疾患概要
    5.1 症状および徴候
    5.2 原因
    5.3 リスク要因
    5.4 ガイドラインおよび病期分類
    5.5 病態生理
    5.6 スクリーニングおよび診断
    5.7 脊髄小脳失調症の種類

    06
    患者プロファイル
    6.1 患者プロファイル概要
    6.2 患者心理および感情面への影響要因

    07
    疫学状況および予測(8主要市場:2019年~2035年)
    7.1 主要調査結果
    7.2 前提条件および根拠
    7.3 脊髄小脳失調症の診断済み有病患者数
    7.4 種類別の脊髄小脳失調症患者数
    7.5 性別別の脊髄小脳失調症患者数
    7.6 年齢別の脊髄小脳失調症患者数

    08
    疫学状況および予測:米国(2019年~2035年)
    8.1 米国における前提条件および根拠
    8.2 米国における脊髄小脳失調症の診断済み有病患者数
    8.3 米国における種類別の脊髄小脳失調症患者数
    8.4 米国における性別別の脊髄小脳失調症患者数
    8.5 米国における年齢別の脊髄小脳失調症患者数

    09
    疫学状況および予測:英国(2019年~2035年)
    9.1 英国における前提条件および根拠
    9.2 英国における脊髄小脳失調症の診断済み有病患者数
    9.3 英国における種類別の脊髄小脳失調症患者数
    9.4 英国における性別別の脊髄小脳失調症患者数
    9.5 英国における年齢別の脊髄小脳失調症患者数

    10
    疫学状況および予測:ドイツ(2019年~2035年)
    10.1 ドイツにおける前提条件および根拠
    10.2 ドイツにおける脊髄小脳失調症の診断済み有病患者数
    10.3 ドイツにおける種類別の脊髄小脳失調症患者数
    10.4 ドイツにおける性別別の脊髄小脳失調症患者数
    10.5 ドイツにおける年齢別の脊髄小脳失調症患者数

    11
    疫学状況および予測:フランス(2019年~2035年)
    11.1 フランスにおける前提条件および根拠
    11.2 フランスにおける脊髄小脳失調症の診断済み有病患者数
    11.3 フランスにおける種類別の脊髄小脳失調症患者数
    11.4 フランスにおける性別別の脊髄小脳失調症患者数
    11.5 フランスにおける年齢別の脊髄小脳失調症患者数

    12
    疫学状況および予測:イタリア(2019年~2035年)
    12.1 イタリアにおける前提条件および根拠
    12.2 イタリアにおける脊髄小脳失調症の診断済み有病患者数
    12.3 イタリアにおける種類別の脊髄小脳失調症患者数
    12.4 イタリアにおける性別別の脊髄小脳失調症患者数
    12.5 イタリアにおける年齢別の脊髄小脳失調症患者数

    13
    疫学状況および予測:スペイン(2019年~2035年)
    13.1 スペインにおける前提条件および根拠
    13.2 スペインにおける脊髄小脳失調症の診断済み有病患者数
    13.3 スペインにおける種類別の脊髄小脳失調症患者数
    13.4 スペインにおける性別別の脊髄小脳失調症患者数
    13.5 スペインにおける年齢別の脊髄小脳失調症患者数

    14
    疫学状況および予測:日本(2019年~2035年)
    14.1 日本における前提条件および根拠
    14.2 日本における脊髄小脳失調症の診断済み有病患者数
    14.3 日本における種類別の脊髄小脳失調症患者数
    14.4 日本における性別別の脊髄小脳失調症患者数
    14.5 日本における年齢別の脊髄小脳失調症患者数

    15
    疫学状況および予測:インド(2019年~2035年)
    15.1 インドにおける前提条件および根拠
    15.2 インドにおける脊髄小脳失調症の診断済み有病患者数
    15.3 インドにおける種類別の脊髄小脳失調症患者数
    15.4 インドにおける性別別の脊髄小脳失調症患者数
    15.5 インドにおける年齢別の脊髄小脳失調症患者数

    16
    患者経路

    17
    治療課題および未充足ニーズ

    18
    キーオピニオンリーダー(KOL)による洞察

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