大東建託×明海大学不動産学部の共同研究中間報告 男女年齢別の...

大東建託×明海大学不動産学部の共同研究中間報告  男女年齢別のアンケート調査から見えてきた 賃貸住宅の築年数・リフォームに対する意識の違い

大東建託株式会社(本社:東京都港区、代表取締役 社長:熊切 直美)は、2015年9月より国内唯一の不動産専門学部である明海大学不動産学部と連携し、「不動産賃貸物件の経年減価を考慮したポートフォリオ・マネジメントに関する研究」をテーマに共同研究を進めてまいりました。
この度、共同研究の一環で実施した「賃貸用共同住宅のリフォーム工事に対する賃料プレミアム(※1)に関する意識調査」について、中間報告をまとめましたのでお知らせします。

「賃料が安くても、一定の築年数を経過した物件には住みたくない」と思う回答者の割合
「賃料が安くても、一定の築年数を経過した物件には住みたくない」と思う回答者の割合

※1:本調査の賃料プレミアムとは、同一の住戸において、リフォーム工事の実施後に、居住者がその住戸に対して最大限支払ってもよいと考える賃料の増額分をいう。一方、同一の住戸において、リフォーム工事を実施しないことに伴う賃料の減額分を賃料のディスカウントいう。


■研究の概要
本研究の活動基盤は明海大学不動産学部が担い、テーマ「不動産賃貸物件の経年減価を考慮したポートフォリオ・マネジメントに関する研究」について、明海大学不動産学部 小松 広明 准教授が研究者の倫理と責務に基づき、調査・研究を進めていきます。大東建託は研究協議者として活動し、必要な助成を行います。本研究の期間は、平成27年9月から平成29年8月までの2年間とし、初年度は千葉市、さいたま市、横浜市を対象に分析を行っています。


■調査の概要
【フェーズI】
「賃貸用共同住宅のリフォーム工事に対する賃料プレミアムに関する意識調査」
【調査の目的】
首都圏の賃貸用共同住宅を対象に、居住者のリフォーム工事に対する質的評価(※2)をもとに、リフォーム工事が賃料に与える影響(賃料プレミアム)を把握する。
【調査の方法】
調査対象者  :賃貸マンション・アパートの居住者
        (大東建託の入居者様に限らない)
        居住地 東京都特別区・横浜市・さいま市・千葉市
        年齢  20代~50代
回収数    :回収数4,500件
        東京都特別区 2,000件(男性1,000件・女性1,000件)
        横浜市    1,500件(男性750件・女性750件)
        さいたま市   600件(男性300件・女性300件)
        千葉市     400件(男性200件・女性200件)
調査方法   :Webモニター調査(調査協力会社:楽天リサーチ株式会社)
実施時期   :平成28年2月12日(金)~2月26日(金)
調査の主な内容:[1] 建築経過年数に対する賃貸居住者の意識
        [2] リフォーム工事に対する質的評価
        [3] 賃料プレミアム・ディスカウントの算定(1次集計結果)

※2:リフォーム工事の質的評価とは、建物の機能的充足状況と居住者の満足感から、リフォーム工事に対する居住者の評価を
以下の6つに区分したもの。
[1] 魅力的評価 :リフォーム工事が実施されると満足であるが、
         実施されなくても不満を引き起こすことはない。
[2] 一元的評価 :リフォーム工事が実施されると満足であるが、
         実施されなければ不満を引き起こす。
[3] 当たり前評価:リフォーム工事が実施されるのは当たり前と受け取られ、
         実施されなければ不満を引き起こす。
[4] 無関心評価 :リフォーム工事の実施の有無にかかわらず、
         満足も不満も引き起こさない。
[5] 既充足的評価:既に充足しており、そもそも必要とされていない。
[6] 逆評価   :リフォーム工事が実施されると不満を引き起こし、
         実施されないことに満足する。


■調査結果の概要
(1) 建築経過年数に対する賃貸居住者の意識
建物が古いことに対する不安の一つに「耐震性」があげられ、「賃料が安くても、一定の築年数を経過した物件には住みたくない」という質問に対し、20代と30代の女性の半数以上が「そう思う」「ややそう思う」と回答している。50代は男女ともに40%以下と年代別では最も低い割合だった。
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(2) リフォーム工事に対する質的評価
・賃貸居住者の魅力的評価の高いリフォーム工事としては、「収納スペースの拡張工事」が男女ともに最も高い割合となっており、特に20代の女性からの支持が高い。このことから、リフォーム工事によって住戸に対する満足感の向上が期待されていることが窺われる。また、同回答の割合は、年齢とともに低下する傾向にあり、50代の女性においては28.6%と低い割合となっている。男性においては当該工事に対する魅力的評価の割合は高かったものの、認識においては総じて低い結果となっている。
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・収納スペースの拡張工事に次いで、魅力的評価が高かったのは「床・天井(二重化)の遮音工事」「壁材の増し張り(二重化)の遮音工事」「二重サッシ化」と遮音性を高める工事が続いている。いずれも女性の3人に1人が支持していることから、特に女性の遮音性の向上に対するニーズの高さが窺える。一方、男性においては、20代における当該工事に対する魅力的評価の回答割合は17.0%と最も低い。
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・無関心評価については、男女ともに「屋根塗装によるデザインの向上」が最も高く、特に20代男性は48.0%と半数近くを占めている。しかし女性においては、「屋根塗装によるデザインの向上」への無関心評価の認識は総じて低く、特に20代女性は28.0%と最も低い。女性の当該工事に対する無関心評価の割合は、年齢とともに増加していく傾向にある。
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・「床段差の解消」の無関心評価の割合については、20代男性の回答割合は50.0%と高いが、男性は年齢とともに低下していく傾向にある。女性においては30代の回答割合が28.7%と最も低くなっており、これは子育て世代による子供への配慮によるものと推測される。
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(3) 賃料プレミアム・ディスカウントの算定(1次集計結果)
[1] 賃料プレミアムの算定
・魅力的評価あるいは一元的評価に該当するリフォーム工事が実施された場合における、リフォーム後の同一住戸に対し、増額になってもよいと考える金額(以下、賃料プレミアム)は、総じて男性が女性に比べて高い。回答者の50%タイルに該当する賃料プレミアムは、男性が1ヶ月あたり1,000円であるのに対し、女性は0円である。

・性別、年齢別に見ると20代・30代男性の賃料プレミアムが最も高く1,500円、次いで40代・50代男性の1,000円となっている。女性は、20代の賃料プレミアムが500円だが、30代以降ではいずれも0円である。
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[2] 賃料ディスカウントの算定
・当たり前評価、あるいは一元的評価に該当するリフォーム工事が実施されない場合における、同一住戸に対し、減額すべきと考える金額(以下、賃料ディスカウント)は、男性の方が高い賃料ディスカウントを示しており、回答者の50%タイルに該当する賃料ディスカウントは、男女ともに年齢にかかわらず1ヶ月あたり-5,000円となる。
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・賃料プレミアムは住戸に対する満足感や賃料に対する割高感が影響しており、賃料ディスカウントは住戸に対する満足感や賃料に対する割安感が影響しているものと推測される。
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■今後の研究スケジュール
フェーズII(4月~8月頃)
・統計手法を用いて、建物の古さに対する賃借人の意識構造を把握するとともに、リフォーム工事に対する賃料プレミアム・ディスカウントを詳細に計測する。
フェーズIII(7月~11月頃)
・賃料データをもとに、建築経過年数と家賃の関係に着目して実証分析を行い、家賃の経年原価の傾向を地域別に捉える。


■研究者の紹介
明海大学不動産学部 小松 広明 准教授
https://www.atpress.ne.jp/releases/97094/img_97094_9.jpg

<略歴>
・1996年 名古屋大学大学院工学研究科 地圏環境工学専攻 博士前期課程修了。
・同年 東海総合研究所入社(現 三菱UFJリサーチ&コンサルティング)、
 2001年 日本不動産研究所入所、研究部主席研究員を経て2014年4月より現職。
・2010年 PPCバリ大会最優秀論文賞受賞。
・2011年及び2012年 東京都公園協会賞奨励賞受賞。
・筑波大学博士(経営学)、不動産鑑定士、技術士(建設部門)

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