世界の慢性疲労症候群の市場規模、疾患概要、疫学予測:2026年調査レポートを発表
株式会社マーケットリサーチセンター(本社:東京都港区、世界の市場調査資料販売)では、「世界の慢性疲労症候群の市場規模、疾患概要、疫学予測、英文タイトル:Chronic Fatigue Syndrome Epidemiology Forecast; Disease Overview; Epidemiology Forecast; Patient Pool Analysis」調査資料を発表しました。本資料には、市場規模、疾患概要、疫学予測、患者数分析(日本、米国、ヨーロッパ、インドなど)、治療上の課題・アンメットニーズなどの情報などが盛り込まれています。
■主な掲載内容
本レポートは、慢性疲労症候群(Chronic Fatigue Syndrome:CFS)、または筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(Myalgic Encephalomyelitis/Chronic Fatigue Syndrome:ME/CFS)の疫学動向について、過去の患者推移と2026~2035年の将来予測を整理した市場調査レポートである。ME/CFSは、少なくとも6か月以上持続する原因不明の強い疲労を中心に、認知機能障害、睡眠障害、筋肉痛、労作後症状増悪、起立不耐などを伴う複雑で消耗性の高い疾患である。MedVellumの推定では世界人口の約0.2~0.4%が影響を受けるとされ、患者数自体は無視できない規模である一方、診断の難しさから相当数が未診断のまま残っている可能性がある。調査会社は、疾患認知の向上、診断枠組みの改善、新規バイオマーカーや標的治療の研究進展などを背景に、2026~2035年にかけて診断患者プールが拡大するとみている。本調査では2025年を基準年、2019~2025年を過去分析期間、2026~2035年を予測期間とし、米国、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、英国、日本、インドの8主要市場を対象に、有病率、発症率、年齢、性別、診断患者数などを分析している。
ME/CFSの中心症状は、休息しても十分に改善しない持続的な疲労である。ただし、単なる「疲れが長引く状態」ではなく、日常生活や就労能力を大きく低下させる全身性の症候群である。特に重要なのが労作後症状増悪であり、身体活動や認知活動の後に症状が悪化し、その回復に時間を要することがある。
そのほか、集中力・記憶力低下などの認知機能障害、非回復性睡眠、筋肉痛、起立時のめまいや動悸などを伴うことがある。症状の組み合わせや重症度には個人差が大きく、軽症では一定の社会活動を維持できる一方、重症では日常生活そのものが大幅に制限される可能性がある。
病因は現在も明確ではない。提示資料では、免疫調節異常、ウイルス感染、ホルモンバランス異常、神経学的異常などが候補として挙げられているが、単一の原因が確立しているわけではない。この病因の不明確さが、診断の難しさと治療法開発の遅れにつながっている。
疫学的には、MedVellumによる世界有病率推定が約0.2~0.4%とされる。これは人口10万人あたり約200~400人に相当し、希少疾患ほど低頻度ではないものの、一般的な慢性疾患ほど高頻度でもない中間的な規模の患者集団といえる。
一方、年間発症率はMedVellumのデータで10万人年あたり約10~15例とされる。したがって、毎年新たに発症する患者数は比較的少ないが、慢性的に症状が続くため、既存患者が蓄積して有病患者プールを形成する。
このため、ME/CFSでは「発症率が低いから患者数も少ない」とは限らない。長期間症状が持続し、完全に回復しない患者も存在するため、年間新規発症数に比べて有病患者数は大きくなりやすい。
年齢分布には二つの発症ピークがあるとされる。一つは10~19歳の思春期・青年初期で、もう一つは30~39歳の成人期である。平均診断年齢は約33~35歳とされる。
したがって、ME/CFSは高齢者に限定された疾患ではなく、学業、就職、キャリア形成、育児など社会的活動が活発な年代で発症する点が重要である。患者数そのものに加えて、生産性低下や就労制限による社会経済的影響も大きい。
また、発症年齢と診断年齢が一致するとは限らない。症状が非特異的で、他の身体疾患や精神疾患などとの鑑別に時間がかかるため、発症後しばらくしてから診断される患者もいると考えられる。
性別では女性優位が明確である。提示資料では女性対男性比が約3:1~4:1とされ、女性が男性より大幅に多い。
この性差が生物学的な発症感受性の違いをどの程度反映するか、あるいは診断行動や医療アクセスの違いがどの程度寄与するかは、資料だけでは明確ではない。ただし、疫学上は一貫して女性患者が中心となる。
人種・民族別にも差が報告されている。Physicians Postgraduate Press, Inc.によると、白人非ヒスパニック系では有病率が約1.5%、アジア系非ヒスパニックでは0.7%、ヒスパニックでは0.8%とされる。
これらの差は、実際の生物学的リスクだけでなく、診断アクセス、医療利用、疾患認知、社会経済状況などに影響されている可能性がある。そのため、人種別有病率を単純に遺伝的差として解釈するべきではない。
社会経済的背景も関連している。Physicians Postgraduate Press, Inc.によると、連邦貧困水準を下回る成人では有病率が約2%と報告され、より高所得の集団より高い負担が示唆されている。
ただし、低所得そのものが直接ME/CFSを引き起こすという意味ではない。既存疾患による就労困難が所得低下につながる可能性もあり、社会経済状態と疾患との因果関係は双方向性を持つ可能性がある。
国別では、米国にかなり大きな患者集団が存在する。MedVellumによると、米国では約83.6万人から250万人がME/CFSを有すると推定される。
この83.6万~250万人という非常に広い推定幅は、ME/CFSの疫学の特徴をよく示している。使用する診断基準、自己申告か臨床診断か、対象年齢などによって患者数が大きく変わるためである。
したがって、米国の患者数を単一の確定値として扱うのは難しい。むしろ、「少なくとも数十万人から200万人超の患者が存在する可能性があり、その多くが未診断である」という点が重要である。
英国では約25万人が影響を受けると推定されている。この数字も、ME/CFSが英国において無視できない公衆衛生問題であることを示す。
一方、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、日本、インドについては、提示資料では具体的な国別患者数や有病率は示されていない。したがって、米国や英国の疫学値をそのままこれらの国へ適用することはできない。
市場・疫学上で特に重要なのは、ME/CFSが過少診断されやすいことである。疲労、認知障害、睡眠障害、疼痛などはいずれも他の多くの疾患でみられるため、ME/CFSに特異的な単一検査がない現状では診断に時間がかかる。
また、患者が「慢性的な疲れ」として自己管理している場合や、症状が精神的問題と誤解される場合もあり、適切な専門評価につながらないことがある。そのため、実際の有病患者数は診断患者数を上回る可能性が高い。
調査会社が2026~2035年の診断患者数増加を予測する背景には、この未診断患者の顕在化がある。すなわち、真の発症率が急激に上昇するというより、疾患認知や診断基準が改善されることで既存患者が医療システムに取り込まれていく可能性が高い。
同時に、研究が進み、病態を客観的に示すバイオマーカーが確立されれば、現在より診断の精度と速度が向上する可能性がある。これは疫学上の診断患者数をさらに増加させる要因となる。
治療については、現時点で確立した根治療法はない。したがって、治療目標は症状を軽減し、日常生活機能をできるだけ改善し、症状増悪を避けることである。
特に重要な管理戦略として、個々の活動許容量に合わせたペーシングが挙げられる。これは患者が無理に活動量を増やすのではなく、労作後症状増悪を避けるよう、身体活動・認知活動と休息のバランスを調整する方法である。
ME/CFSでは、活動後に症状が悪化することが中心的な特徴であるため、過度な運動負荷を一律に増やすことは適切ではない可能性がある。患者ごとの症状変化を見ながら活動量を調整することが重要となる。
資料では認知行動療法(CBT)も挙げられている。これは疾患そのものを心理的原因として扱う治療ではなく、慢性疾患への対処、ストレスや症状への適応を支援する手段として位置づけられている。
ただし、ME/CFS管理では患者の身体的限界や労作後症状増悪を十分に考慮することが重要であり、CBTを根治療法として扱うべきではない。
薬物療法は主として随伴症状に対して使用される。睡眠障害、疼痛、抑うつ症状などがある場合、それぞれに応じた薬物治療を行う。
つまり、現在の薬物療法は「ME/CFSそのものを治す薬」というより、患者ごとに異なる症状を軽減するための支持的治療が中心である。
生活習慣面では、適切な栄養支援やストレス管理なども行われる。これらも単独で疾患を治癒させるものではなく、患者の日常生活機能とQOLを支えるための補完的管理に位置づけられる。
近年の研究では、免疫系や炎症機序などを標的とした治療への関心が高まっている。提示資料でも、免疫調節療法やバイオマーカー探索が将来的な新規治療開発の重要領域として挙げられている。
病態特異的なバイオマーカーが発見されれば、診断だけでなく患者層別化にも利用できる可能性がある。ME/CFSが一つの均一な病態ではなく、異なる病態メカニズムを持つ複数のサブグループから構成されている場合、将来的には患者ごとに異なる治療を選択する方向へ進む可能性がある。
市場の観点では、ME/CFSには大きなアンメット・メディカル・ニーズが存在する。患者数が一定規模あるにもかかわらず、疾患特異的な確立治療がなく、診断までにも時間がかかるためである。
さらに、患者が若年~中年であることから、医療費だけでなく、就労制限、欠勤、生産性低下、介護・支援需要など間接的な社会負担も大きい。
このため、2026~2035年の市場では、新規薬剤だけでなく、診断支援ツール、デジタル症状モニタリング、個別化された活動管理、睡眠・疼痛管理、リハビリテーション支援なども重要になる可能性がある。
一方、本資料の疫学データにはかなり大きなばらつきがある。世界有病率0.2~0.4%とされる一方、特定の米国人種集団では0.7~1.5%、低所得者では約2%という値が示されている。
これは必ずしも矛盾ではなく、一般人口と特定集団、症状ベースと臨床診断ベースなどの違いを反映している可能性がある。ただし、各数値の分母・診断基準を揃えずに直接比較することは適切ではない。
また、「発症率10~15/10万人年」と「有病率0.2~0.4%」も異なる疫学指標である。前者は1年間に新たに発症する人数、後者はある時点・期間に疾患を有する患者割合であり、慢性的に持続するME/CFSでは有病率の方が大きくなるのが自然である。
全体として本レポートは、ME/CFSを「持続的で休息しても改善しない疲労、認知機能障害、睡眠異常、労作後症状増悪などを特徴とし、若年から中年を中心に日常生活・就労能力を大きく損なう、過少診断されやすい慢性全身性疾患」と位置づけている。
世界有病率は約0.2~0.4%、年間発症率は10万人年あたり約10~15例とされる。発症には10~19歳と30~39歳の二つのピークがあり、平均診断年齢は約33~35歳である。
性別では女性が男性の約3~4倍多い。人種・民族別では白人非ヒスパニック系1.5%、アジア系非ヒスパニック0.7%、ヒスパニック0.8%との報告があり、社会経済的には連邦貧困水準以下の成人で約2%と高い有病率が報告されている。
米国では約83.6万人~250万人、英国では約25万人の患者が存在すると推定される。ただし、米国推定値の幅が非常に大きいこと自体が、ME/CFS診断の不確実性と過少診断問題を示している。
2026~2035年の疫学・市場動向を考えるうえでは、真の発症増加よりも、診断基準の改善、医師・患者双方の認知向上、病態研究の進展、バイオマーカー開発によって診断患者数が増える可能性が重要である。
治療面では現在も根治療法がなく、患者ごとの活動許容量に合わせたペーシング、睡眠・疼痛などの症状治療、生活支援、ストレス管理などが中心となる。そのため、疾患特異的な治療法を確立することが最大のアンメットニーズの一つである。
したがって、今後のME/CFS管理における中心的課題は、長期間持続する疲労を単なる過労として見過ごさず、労作後症状増悪、認知機能障害、睡眠異常、起立不耐などを含めて適切に評価すること、他疾患を除外しつつ診断遅延を短縮すること、患者ごとの活動限界を尊重した個別管理を行うこと、そして病態バイオマーカーや免疫学的標的を用いた新規治療を開発することである。2026~2035年は、ME/CFSを漠然とした「慢性疲労」として扱うのではなく、明確な機能障害と社会経済的負担を伴う独立した疾患として認識し、診断精度の向上と病態に基づく個別化治療を進めることが、臨床・市場双方の主要テーマになるとまとめられる。
※目次構成
01
序文
1.1 はじめに
1.2 調査目的
1.3 調査方法および前提条件
02
エグゼクティブサマリー
03
慢性疲労症候群市場概要(8主要市場)
3.1 慢性疲労症候群市場の過去市場規模(2019年~2025年)
3.2 慢性疲労症候群市場の予測市場規模(2026年~2035年)
04
慢性疲労症候群疫学概要(8主要市場)
4.1 慢性疲労症候群疫学状況(2019年~2025年)
4.2 慢性疲労症候群疫学予測(2026年~2035年)
05
疾患概要
5.1 症状および徴候
5.2 原因
5.3 リスク要因
5.4 ガイドラインおよび病期分類
5.5 病態生理
5.6 スクリーニングおよび診断
5.7 慢性疲労症候群の種類
06
患者プロファイル
6.1 患者プロファイル概要
6.2 患者心理および感情面への影響要因
07
疫学状況および予測(8主要市場:2019年~2035年)
7.1 主要調査結果
7.2 前提条件および根拠
7.3 慢性疲労症候群の診断済み有病患者数
7.4 種類別の慢性疲労症候群患者数
7.5 性別別の慢性疲労症候群患者数
7.6 年齢別の慢性疲労症候群患者数
08
疫学状況および予測:米国(2019年~2035年)
8.1 米国における前提条件および根拠
8.2 米国における慢性疲労症候群の診断済み有病患者数
8.3 米国における種類別の慢性疲労症候群患者数
8.4 米国における性別別の慢性疲労症候群患者数
8.5 米国における年齢別の慢性疲労症候群患者数
09
疫学状況および予測:英国(2019年~2035年)
9.1 英国における前提条件および根拠
9.2 英国における慢性疲労症候群の診断済み有病患者数
9.3 英国における種類別の慢性疲労症候群患者数
9.4 英国における性別別の慢性疲労症候群患者数
9.5 英国における年齢別の慢性疲労症候群患者数
10
疫学状況および予測:ドイツ(2019年~2035年)
10.1 ドイツにおける前提条件および根拠
10.2 ドイツにおける慢性疲労症候群の診断済み有病患者数
10.3 ドイツにおける種類別の慢性疲労症候群患者数
10.4 ドイツにおける性別別の慢性疲労症候群患者数
10.5 ドイツにおける年齢別の慢性疲労症候群患者数
11
疫学状況および予測:フランス(2019年~2035年)
11.1 フランスにおける前提条件および根拠
11.2 フランスにおける慢性疲労症候群の診断済み有病患者数
11.3 フランスにおける種類別の慢性疲労症候群患者数
11.4 フランスにおける性別別の慢性疲労症候群患者数
11.5 フランスにおける年齢別の慢性疲労症候群患者数
12
疫学状況および予測:イタリア(2019年~2035年)
12.1 イタリアにおける前提条件および根拠
12.2 イタリアにおける慢性疲労症候群の診断済み有病患者数
12.3 イタリアにおける種類別の慢性疲労症候群患者数
12.4 イタリアにおける性別別の慢性疲労症候群患者数
12.5 イタリアにおける年齢別の慢性疲労症候群患者数
13
疫学状況および予測:スペイン(2019年~2035年)
13.1 スペインにおける前提条件および根拠
13.2 スペインにおける慢性疲労症候群の診断済み有病患者数
13.3 スペインにおける種類別の慢性疲労症候群患者数
13.4 スペインにおける性別別の慢性疲労症候群患者数
13.5 スペインにおける年齢別の慢性疲労症候群患者数
14
疫学状況および予測:日本(2019年~2035年)
14.1 日本における前提条件および根拠
14.2 日本における慢性疲労症候群の診断済み有病患者数
14.3 日本における種類別の慢性疲労症候群患者数
14.4 日本における性別別の慢性疲労症候群患者数
14.5 日本における年齢別の慢性疲労症候群患者数
15
疫学状況および予測:インド(2019年~2035年)
15.1 インドにおける前提条件および根拠
15.2 インドにおける慢性疲労症候群の診断済み有病患者数
15.3 インドにおける種類別の慢性疲労症候群患者数
15.4 インドにおける性別別の慢性疲労症候群患者数
15.5 インドにおける年齢別の慢性疲労症候群患者数
16
患者経路
17
治療課題および未充足ニーズ
18
キーオピニオンリーダー(KOL)による洞察
■当英文調査レポートに関するお問い合わせ・お申込みはこちら
https://www.marketresearch.co.jp/contacts/
■株式会社マーケットリサーチセンターについて
https://www.marketresearch.co.jp
主な事業内容:市場調査レポ-トの作成・販売、市場調査サ-ビス提供
本社住所:〒105-0004東京都港区新橋1-18-21
TEL:03-6161-6097、FAX:03-6869-4797
マ-ケティング担当、marketing@marketresearch.co.jp














