株式会社マーケットリサーチセンター

    世界の禁煙、ニコチン依存症の市場規模、疾患概要、疫学予測:2026年調査レポートを発表

    調査・報告
    2026年9月4日 12:00

    株式会社マーケットリサーチセンター(本社:東京都港区、世界の市場調査資料販売)では、「世界の禁煙、ニコチン依存症の市場規模、疾患概要、疫学予測、英文タイトル:Smoking Cessation and Nicotine Addiction Epidemiology Forecast; Disease Overview; Epidemiology Forecast; Patient Pool Analysis」調査資料を発表しました。本資料には、市場規模、疾患概要、疫学予測、患者数分析(日本、米国、ヨーロッパ、インドなど)、治療上の課題・アンメットニーズなどの情報などが盛り込まれています。

    ■主な掲載内容

    本レポートは、喫煙中止(Smoking Cessation)およびニコチン依存症(Nicotine Addiction)の疫学動向について、過去の患者推移と2026~2035年の将来予測を整理した市場調査レポートである。たばこ使用は世界的に依然として重大な公衆衛生課題であり、年間約700万人がたばこ使用に関連して死亡するとされる。各国で規制や禁煙支援が拡大しているにもかかわらず、ニコチン依存は慢性かつ再発性の性質を持つため、多くの人が長期にわたり喫煙を継続する。調査会社は、今後の対策として、単発的な禁煙介入ではなく、長期的な禁煙維持、再発予防、人口レベルでの介入強化が重要になるとしている。本調査では2025年を基準年、2019~2025年を過去分析期間、2026~2035年を予測期間とし、米国、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、英国、日本、インドの8主要市場を対象に、喫煙・ニコチン依存の有病状況、年齢、性別、患者層、禁煙治療対象人口などの疫学動向を分析している。

    ニコチン依存症は、たばこ製品に含まれる精神作用物質であるニコチンへの依存によって、本人がやめたいと考えていても反復的・強迫的にたばこを使用してしまう慢性再発性疾患である。ニコチンは脳内の報酬系を刺激し、ドーパミン放出を促すことで快感や報酬感覚を生じさせる。この強化作用によって反復使用が定着し、禁煙時には渇望や離脱症状が生じるため、長期間にわたって依存が持続しやすくなる。

    長期的なニコチン依存は、喫煙に関連する多様な疾患の主要な原因となる。代表的には冠動脈疾患などの心血管疾患、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺がんを含む複数のがんなどが挙げられる。したがって、禁煙治療の目的は単に喫煙行動を止めることだけでなく、将来的な心血管疾患、呼吸器疾患、がん、死亡のリスクを低減することにある。

    ニコチン依存はしばしば思春期に始まり、その後数十年間持続する場合がある。依存の形成・重症度には、行動学的要因、心理的要因、遺伝的素因が関与するほか、家族や友人の喫煙、社会環境、たばこ製品へのアクセス、広告や社会規範などの環境・社会的要因も重要である。そのため、ニコチン依存を個人の意思の問題だけで捉えるのではなく、生物学的、心理的、社会的要因が重なる慢性疾患として管理する必要がある。

    世界保健機関によると、受動喫煙について安全といえる曝露レベルは存在しない。受動喫煙は冠動脈疾患を含む心血管疾患や呼吸器疾患、肺がんなどを引き起こし、世界で年間約160万人の早期死亡に関連するとされる。したがって、喫煙・ニコチン依存の疾患負担は喫煙者本人だけに限定されず、周囲の非喫煙者にも及ぶ。

    この点から、喫煙対策市場や公衆衛生政策では、依存患者への禁煙治療と同時に、屋内禁煙、受動喫煙防止、たばこ製品の規制など、非喫煙者の曝露を減らす人口レベルの対策も重要となる。個々の患者を治療するだけではなく、そもそも喫煙開始やニコチン曝露を減らす政策が必要である。

    世界的な喫煙率は長期的には低下している。WHOによると、2000年から2025年にかけて、たばこ使用率は全年齢層で着実に低下してきた。しかし、完全に消失したわけではなく、特に45~64歳の中年層では依然として比較的高い有病率が残っている。これは、若年期から形成されたニコチン依存が数十年にわたり持続している患者が多いことを反映している。

    したがって、喫煙率低下という長期トレンドと、依然として巨大な依存患者集団が存在することは両立する。新規喫煙開始が減少しても、すでに依存を形成した成人が長期間喫煙を継続すれば、禁煙支援を必要とする患者数は高水準で残る可能性がある。

    年齢別では、中年層の負担が特に重要である。45~64歳では、それまでの長期間にわたる喫煙蓄積に加え、心血管疾患や呼吸器疾患などの健康影響が顕在化しやすくなる。そのため、禁煙による健康利益が非常に大きい年齢層でもある。

    一方、ニコチン依存の発生予防という観点では、思春期・若年層が重要となる。ニコチン依存は若い時期に形成される場合が多いため、学校教育、販売規制、広告規制、若年層への啓発などによって初回使用を防ぐことが、長期的な患者数減少につながる。

    性別では、一般に男性でニコチン依存や喫煙率が高い傾向がある。資料でも、男性の方が女性よりニコチン依存の負担が大きいとしている。一方で、世界各国で禁煙プログラムが拡大し、男女とも喫煙率は低下している。したがって、性差は残るものの、長期的には双方で喫煙人口が減少する方向にある。

    世界的な負担の分布には大きな経済格差が存在する。世界約13億人のたばこ使用者の約80%は低・中所得国に居住するとされる。このため、たばこ依存は高所得国だけの問題ではなく、むしろ世界の患者数という観点では低・中所得国に負担が集中している。

    低・中所得国では、人口規模が大きいことに加え、禁煙支援サービス、薬物療法へのアクセス、規制政策の実施状況などが国によって大きく異なる。そのため、たばこ使用率が低下している先進国と比べ、患者の禁煙治療へのアクセスが十分でない地域では依存が長期化しやすい可能性がある。

    国別では、米国の喫煙率は長期的に低下しているものの、依然として大きな患者集団が存在する。2024年には、成人約3,180万人が紙巻きたばこまたは葉巻を使用していたとされ、成人人口の約9.9%に相当する。1割を下回る水準まで低下しているものの、絶対数としては数千万人規模である。

    米国では、禁煙支援プログラム、たばこ規制、健康リスクに関する啓発などの公衆衛生政策が喫煙率低下に寄与してきたとされる。一方で、依存が強い喫煙者や長期喫煙者では禁煙が難しく、再発も多いため、継続的な支援が必要となる。

    英国でも類似した傾向がみられる。2024年には約530万人の成人が現在喫煙者で、成人の約10.6%を占めた。米国の9.9%と近い水準であり、厳格なたばこ規制や禁煙支援が進んでいる先進国でも、成人のおよそ10人に1人程度が依然として喫煙していることを示している。

    米国と英国のデータは、たばこ規制が成功して喫煙率が低下しても、ニコチン依存を持つ既存患者集団が短期間で消失するわけではないことを示している。そのため、将来の市場は「喫煙者数の増加」ではなく、「残存する依存患者をどのように効果的に禁煙させ、再発を防ぐか」が中心となる。

    提示資料では、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、日本、インドについて個別の詳細な喫煙率は示されていない。ただし、8主要市場全体で喫煙率、性差、年齢構成、禁煙支援へのアクセスが異なるため、国ごとの患者数や治療対象人口にも大きな差があると考えられる。

    特にインドを含む低・中所得地域では、世界のたばこ使用者の大多数が生活しているという世界的構造からみて、絶対的なニコチン依存人口が大きい可能性がある。一方、米国、英国、日本、欧州では人口高齢化と過去の喫煙歴を持つ中高年層への禁煙支援が重要になる。

    治療の主な目的は、ニコチン離脱症状を軽減し、喫煙欲求を抑え、禁煙を維持し、再発を防ぐことである。ニコチン依存は再発性が高いため、一度禁煙に失敗したことを治療失敗の終点とせず、複数回の禁煙試行を支援する長期的な管理が必要となる。

    薬物療法の第一選択肢の一つがニコチン置換療法(NRT)である。ニコチンパッチ、ガム、トローチ、吸入剤、点鼻剤などを用いて、たばこの煙を吸入することなく一定量のニコチンを補充し、離脱症状や強い喫煙欲求を軽減する。

    NRTの意義は、喫煙という行動とニコチン摂取を切り離しながら、身体依存を段階的に軽減できる点にある。剤形によって作用時間や使用方法が異なるため、患者の依存度や生活パターンに応じて選択される。

    非ニコチン系薬物療法としては、ブプロピオンとバレニクリンが広く使用される。ブプロピオンは喫煙欲求や離脱症状の軽減を目的として使用され、バレニクリンはニコチン受容体に作用することで喫煙による報酬効果と渇望を低下させることを目的とする。

    しかし、薬物療法だけで十分とは限らない。行動カウンセリング、認知行動療法、構造化された禁煙プログラムを薬物療法と組み合わせることで、禁煙成功率が改善するとされる。そのため、依存症治療では心理・行動面への介入が重要な位置を占める。

    禁煙支援では、喫煙を誘発する状況を特定し、代替行動を学び、ストレスや社会的圧力への対処方法を身につけることも重要である。特に長期間喫煙してきた患者では、喫煙が生活習慣や日常行動と強く結びついているため、ニコチンの身体依存だけを治療しても再発する可能性がある。

    近年はデジタルヘルスを活用した支援も拡大している。禁煙ホットライン、スマートフォンアプリ、モバイルメッセージングなどを通じて、患者が医療機関外でも継続的な支援を受けられるようになっている。こうした手段は、対面診療へのアクセスが難しい患者にも禁煙支援を届けられる点で重要である。

    特に禁煙は数週間の治療だけで完結するものではなく、数か月から長期間の再発予防が重要となる。そのため、デジタルツールを使って継続的にフォローし、禁煙継続状況を確認したり、再喫煙時に再介入したりするモデルが今後さらに重要になる可能性がある。

    研究開発では、ニコチン依存に対するワクチン、新しい受容体標的治療、患者の依存特性に合わせた個別化介入なども検討されている。これらは既存のNRT、ブプロピオン、バレニクリン、行動療法だけでは十分な禁煙を達成できない患者に対して、新たな選択肢を提供することを目的としている。

    市場・疫学上では、「喫煙者数」と「禁煙治療を受ける患者数」を区別することが重要である。喫煙者全員が医療機関でニコチン依存症として診断されるわけではなく、禁煙を希望していても治療を受けない人も多い。そのため、治療市場の大きさは喫煙率だけでなく、禁煙意向、医療アクセス、薬剤費、保険償還、禁煙サービスの普及率などにも左右される。

    また、禁煙施策が成功すれば喫煙率そのものは低下するため、長期的にはニコチン依存患者の母数が縮小する方向に働く。一方で、禁煙治療へのアクセスが改善すると、短中期的には治療を受ける患者数が増える可能性がある。このため、2026~2035年には「喫煙人口は減少するが、禁煙治療市場は必ずしも同じ速度で縮小しない」という構造も考えられる。

    さらに、本レポートで扱われる「喫煙中止」と「ニコチン依存」は完全に同じ疫学指標ではない点にも注意が必要である。ニコチン依存は疾患・依存状態を指す一方、喫煙中止はその患者に対する介入や行動変容を指す。そのため、市場分析では、現在喫煙者、ニコチン依存者、禁煙希望者、禁煙治療受療者、禁煙成功者をそれぞれ異なる患者・人口セグメントとして捉える必要がある。

    全体として本レポートは、喫煙・ニコチン依存を「世界的には減少傾向にあるものの、依然として約13億人規模のたばこ使用者を抱え、年間数百万人の死亡につながる巨大な慢性依存症問題」と位置づけている。さらに、受動喫煙だけでも年間約160万人の早期死亡に関連するとされ、直接喫煙者以外への健康影響も極めて大きい。

    年齢別では45~64歳に依存が比較的多く残り、性別では男性優位の傾向がある。また、世界のたばこ使用者の約80%が低・中所得国に集中しており、世界的な疾患負担には大きな地理的・経済的不均衡が存在する。米国では2024年に成人約3,180万人、9.9%、英国では約530万人、10.6%が現在喫煙者とされ、先進国でも依然として大規模な依存人口が残っている。

    2026~2035年の疫学・市場動向を考えるうえでは、各国のたばこ規制強化、新規喫煙開始の抑制、既存喫煙者の高齢化、禁煙薬へのアクセス、行動支援、デジタルヘルスの普及などが主要な変動要因になると考えられる。たばこ使用率そのものは長期的に低下すると予想される一方、慢性依存を形成した中高年患者への治療需要と、禁煙後の再発防止支援は引き続き大きい。

    したがって、今後の中心的課題は、若年者の喫煙開始を防ぐ人口レベルの予防策、既存喫煙者を早期に禁煙支援へつなげること、NRT・ブプロピオン・バレニクリンなどの薬物療法と行動療法を組み合わせること、そしてデジタル支援などを利用して禁煙後の再発を長期的に防ぐことである。2026~2035年は、単に「喫煙率を下げる」だけではなく、「ニコチン依存を慢性再発性疾患として継続的に治療し、個人レベルと人口レベルの両方から依存を減らす」ことが、臨床・公衆衛生・市場の中心テーマになるとまとめられる。

    ※目次構成

    01
    序文
    1.1 はじめに
    1.2 調査目的
    1.3 調査方法および前提条件

    02
    エグゼクティブサマリー

    03
    禁煙およびニコチン依存症市場概要(8主要市場)
    3.1 禁煙およびニコチン依存症市場の過去市場規模(2019年~2025年)
    3.2 禁煙およびニコチン依存症市場の予測市場規模(2026年~2035年)

    04
    禁煙およびニコチン依存症疫学概要(8主要市場)
    4.1 禁煙およびニコチン依存症疫学状況(2019年~2025年)
    4.2 禁煙およびニコチン依存症疫学予測(2026年~2035年)

    05
    疾患概要
    5.1 症状および徴候
    5.2 原因
    5.3 リスク要因
    5.4 ガイドラインおよび病期分類
    5.5 病態生理
    5.6 スクリーニングおよび診断

    06
    患者プロファイル
    6.1 患者プロファイル概要
    6.2 患者心理および感情面への影響要因

    07
    疫学状況および予測(8主要市場:2019年~2035年)
    7.1 主要調査結果
    7.2 前提条件および根拠
    7.3 8主要市場における禁煙およびニコチン依存症疫学状況(2019年~2035年)

    08
    疫学状況および予測:米国(2019年~2035年)
    8.1 米国における禁煙およびニコチン依存症疫学状況(2019年~2035年)

    09
    疫学状況および予測:英国(2019年~2035年)
    9.1 英国における禁煙およびニコチン依存症疫学状況(2019年~2035年)

    10
    疫学状況および予測:ドイツ(2019年~2035年)
    10.1 ドイツにおける禁煙およびニコチン依存症疫学状況(2019年~2035年)

    11
    疫学状況および予測:フランス(2019年~2035年)
    11.1 フランスにおける禁煙およびニコチン依存症疫学状況(2019年~2035年)

    12
    疫学状況および予測:イタリア(2019年~2035年)
    12.1 イタリアにおける禁煙およびニコチン依存症疫学状況(2019年~2035年)

    13
    疫学状況および予測:スペイン(2019年~2035年)
    13.1 スペインにおける禁煙およびニコチン依存症疫学状況(2019年~2035年)

    14
    疫学状況および予測:日本(2019年~2035年)
    14.1 日本における禁煙およびニコチン依存症疫学状況(2019年~2035年)

    15
    疫学状況および予測:インド(2019年~2035年)
    15.1 インドにおける禁煙およびニコチン依存症疫学状況(2019年~2035年)

    16
    患者経路

    17
    治療課題および未充足ニーズ

    18
    キーオピニオンリーダー(KOL)による洞察

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