株式会社マーケットリサーチセンター

    世界のHER2陽性胃がんの市場規模、疾患概要、疫学予測:2026年調査レポートを発表

    調査・報告
    2026年9月4日 15:30

    株式会社マーケットリサーチセンター(本社:東京都港区、世界の市場調査資料販売)では、「世界のHER2陽性胃がんの市場規模、疾患概要、疫学予測、英文タイトル:HER2 Positive Gastric Cancer Market Size; Disease Overview; Epidemiology Forecast; Patient Pool Analysis」調査資料を発表しました。本資料には、市場規模、疾患概要、疫学予測、患者数分析(日本、米国、ヨーロッパ、インドなど)、治療上の課題・アンメットニーズなどの情報などが盛り込まれています。

    ■主な掲載内容

    本レポートは、HER2陽性胃癌(HER2-Positive Gastric Cancer)の疫学動向について、過去の患者推移と2026~2035年の将来予測を整理した市場調査レポートである。HER2陽性胃癌は、胃粘膜に発生する悪性腫瘍のうち、ヒト上皮成長因子受容体2(Human Epidermal Growth Factor Receptor 2:HER2)の過剰発現またはERBB2遺伝子増幅を認める分子サブタイプである。資料ではHER2陽性率の代表値として約17.9%が示されており、胃癌全体の中で臨床的に重要な患者集団を形成するとされる。本調査では2025年を基準年、2019~2025年を過去分析期間、2026~2035年を予測期間として、米国、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、英国、日本、インドの8主要市場における有病率、発症率、年齢、性別、組織型、HER2状態、診断患者数などを分析している。

    胃癌は胃粘膜から悪性細胞が発生する疾患であり、その一部でHER2タンパク質の過剰発現またはERBB2遺伝子増幅が認められる。HER2は細胞増殖や生存に関与する受容体で、そのシグナルが過剰になることで腫瘍増殖が促進される可能性がある。

    そのため、HER2陽性胃癌は単なる病理学的分類ではなく、分子標的治療の適応を決める重要なバイオマーカー集団でもある。

    資料では、HER2過剰発現またはERBB2増幅は胃癌および胃食道接合部(Gastroesophageal Junction:GEJ)腺癌の約10~20%に認められ、報告範囲は7~34%、進行癌では平均約17~18%とされる。

    冒頭の平均HER2陽性率17.9%は、この「約17~18%」という代表値と概ね整合する。

    ただし、ここで重要なのは、この17.9%が「すべての胃癌患者に一律に適用できる普遍的割合」とは限らない点である。

    資料中のHER2陽性率の多くは「gastric and gastroesophageal junction adenocarcinomas」、すなわち胃腺癌とGEJ腺癌を合わせた集団、あるいは進行胃癌集団を対象としている。

    したがって、純粋な胃原発癌のみ、早期胃癌のみ、あるいは全病期を含む胃癌全体のHER2陽性率と完全に同一ではない可能性がある。

    また、7~34%という幅の広い報告レンジは、対象地域、組織型、腫瘍部位、病期、HER2検査法、判定基準などの違いを反映している可能性がある。

    そのため、疫学評価では平均約17.9%を代表値として利用できる一方、患者プールを精密に推定する場合には、国別・病期別・組織型別のHER2陽性率を用いる必要がある。

    病理組織学的には、HER2陽性はintestinal type、すなわち腸型胃癌でより多いとされる。

    また、近位胃癌やGEJ癌でもHER2陽性率が高い傾向が示されている。

    このため、HER2陽性胃癌の疫学は胃癌全体の発症率だけでなく、腸型とびまん型、遠位胃癌と近位・GEJ癌などの病型構成によっても変化し得る。

    リスク因子としては、慢性的なHelicobacter pylori感染、喫煙、高塩分食、遺伝的素因、高齢などが挙げられている。

    ただし、これらは主として胃癌全体の発症リスク因子であり、「HER2陽性になること」に特異的なリスク因子として資料が直接証明しているわけではない。

    したがって、H. pylori感染者の方が必ずHER2陽性率が高い、といった直接的な解釈はこの資料からはできない。

    年齢では、進行胃癌コホートにおける平均診断年齢が61.8歳とされる。

    HER2陽性患者とHER2陰性患者では年齢分布が概ね類似し、主として60歳代以降に多いとされる。

    したがって、HER2陽性胃癌は若年特異的疾患ではなく、胃癌全体と同様に中高年・高齢者を中心とする。

    一方で、若年成人にも症例は存在するが、小児や若年層ではまれとされる。

    米国の国別セクションでも、胃癌は通常60歳以上で診断され、HER2陽性症例もほぼ同様の年齢分布を示すとされている。

    このため、高齢化は2026~2035年のHER2陽性胃癌患者数を押し上げる要因の一つとなり得る。

    ただし、HER2陽性そのものが年齢とともに必ず上昇するというデータは今回の資料には示されていない。高齢化によって胃癌全体の患者数が増え、その一定割合がHER2陽性になるという構造として理解するのが適切である。

    性別では、進行胃癌患者の約70%が男性とされる。

    また、HER2陽性腫瘍も男性で多い傾向があるとされる。

    その背景として、男性では腸型胃癌や近位胃癌・GEJ癌の割合が高く、これらの病型でHER2陽性が多いことが挙げられている。

    ただし、「進行胃癌患者の70%が男性」という数字は、HER2陽性胃癌だけの男女比ではない。

    胃癌全体または進行胃癌コホートの患者構成を示す値であり、HER2陽性患者の70%が必ず男性という意味ではない点に注意が必要である。

    したがって、資料から言えるのは、胃癌全体が男性優位であり、HER2陽性も男性で比較的多い傾向があるということである。

    人種・民族別のERBB2増幅率については、Journal of the National Cancer Instituteのゲノム解析として、ヒスパニック患者13.9%、非ヒスパニック黒人11.0%、非ヒスパニック白人9.8%、非ヒスパニックアジア人8.1%とされる。

    このデータではヒスパニック患者で最も高い割合が報告されている。

    ただし、この13.9%、11.0%、9.8%、8.1%は一般人口におけるHER2陽性胃癌有病率ではなく、解析対象となった胃癌患者の中でERBB2増幅を認めた割合である。

    さらに、ERBB2遺伝子増幅とHER2陽性判定は関連するが、臨床的なHER2陽性にはタンパク質過剰発現を含む検査アルゴリズムが用いられるため、ERBB2増幅率をそのまま全HER2陽性率と同一視するのは慎重である。

    また、この民族差が遺伝的背景そのものによるのか、腫瘍部位や組織型などの違いを反映しているのかは、今回の抜粋では明確ではない。

    したがって、「ヒスパニックでは生物学的にHER2陽性胃癌になりやすい」と断定するのではなく、解析対象集団でERBB2増幅率が高かったと理解するのが適切である。

    米国では、胃癌全体は他の一部地域に比べて患者数が比較的小さいものの、臨床的には重要な疾病負担を持つとされる。

    米国の胃・GEJ腺癌では、HER2過剰発現またはERBB2増幅が約10~20%に認められる。

    この割合は世界的な10~20%、平均17~18%という推定と概ね一致する。

    ただし、米国セクションでも胃癌とGEJ癌を合わせているため、「米国の胃癌単独のHER2陽性率が必ず10~20%」と厳密に断定することはできない。

    また、米国の患者数や人口10万人あたりHER2陽性胃癌発症率は今回の抜粋では示されていない。

    そのため、HER2陽性率は分かるが、全国HER2陽性胃癌患者数を直接算出できるだけの情報は不足している。

    ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、英国、日本、インドについては、今回の抜粋ではHER2陽性胃癌に特異的な国別患者数やHER2陽性率は提示されていない。

    したがって、8主要市場を対象とするレポートではあるものの、この資料から詳細な国別定量比較を行えるのは主として米国のHER2陽性率に限られる。

    HER2陽性胃癌患者数を疫学的に推定する場合には、各国の胃癌新規患者数にHER2陽性率を単純に掛けるだけでは不十分な場合がある。

    なぜなら、HER2陽性率は早期・進行期、胃原発・GEJ原発、腸型・びまん型などによって異なるからである。

    とくに資料の代表値17~18%は進行癌でよく引用される数字であるため、これを早期胃癌にも一律適用すると患者数を過大または過小評価する可能性がある。

    また、HER2検査の実施率も重要である。

    生物学的にHER2陽性でも、検査されなければHER2陽性患者として診断統計や標的治療対象に捕捉されない。

    したがって、2026~2035年にHER2検査がより広く実施されれば、HER2陽性胃癌の「診断患者数」が増加する可能性がある。

    これはHER2陽性胃癌そのものの真の発症率が上昇したというより、分子分類がより正確になった結果である可能性がある。

    治療は病期によって大きく異なる。

    早期胃癌では外科的切除が中心となり、資料では周術期化学療法を組み合わせることがあるとされる。

    この段階では治療目的は根治であり、再発リスクを低減することが重要となる。

    一方、進行・転移性胃癌では全身化学療法が治療の中心となる。

    HER2陽性患者では、HER2を直接標的とする治療を追加することによって、HER2依存性の腫瘍増殖を抑えることを目指す。

    今回の資料では具体的なHER2標的薬名は示されていないため、薬剤ごとの適応や治療ラインについてはこの抜粋からは判断できない。

    したがって、「HER2陽性ならすべての病期で同じHER2標的薬を使用する」という意味ではない。

    実際の治療は病期、切除可能性、既治療歴、腫瘍バイオマーカーなどによって異なる。

    一部患者では免疫療法も使用されるとされる。

    これも全HER2陽性患者に一律適用されるわけではなく、患者・腫瘍特性に応じた個別化治療の一部として位置づけられる。

    また、放射線療法は特定の局所病変の管理や症状緩和などに用いられる場合がある。

    このため、HER2陽性胃癌の治療市場は、早期切除可能例と進行・転移例で大きく分かれる。

    とくにHER2標的治療の中心となる患者プールを評価する際には、胃癌全体のHER2陽性患者数ではなく、進行・転移性で全身療法の対象となるHER2陽性患者数を考える必要がある。

    市場の観点では、HER2陽性胃癌は胃癌全体の約10~20%、平均約17~18%という比較的小さいサブグループである一方、分子標的治療の対象となるため臨床的重要性が高い。

    胃癌患者数の多い国では、HER2陽性率が一定であっても絶対患者数が大きくなる。

    さらに、バイオマーカー検査が普及すれば、これまでHER2状態不明だった患者が陽性・陰性に適切に分類され、標的治療対象患者の捕捉率が高まる。

    2026~2035年の患者プールを左右する第一の要因は胃癌そのものの患者数である。

    第二に、人口高齢化がある。HER2陽性患者も主として60歳代以降に多いため、高齢人口増加によって絶対患者数が増える可能性がある。

    第三に、HER2検査の普及と精度向上がある。

    第四に、進行胃癌患者の生存期間が延長すれば、有病患者数が増える可能性がある。

    一方、H. pylori対策や胃癌の早期診断が進めば、進行・転移性患者の割合を減らせる可能性がある。

    したがって、HER2陽性胃癌市場が拡大しても、それが必ずしも真の発症率上昇だけを意味するとは限らない。

    診断率向上、バイオマーカー検査普及、治療による長期生存も患者プール拡大に寄与する。

    全体として本レポートは、HER2陽性胃癌を「胃癌、特に胃・胃食道接合部腺癌の一部でHER2タンパク質過剰発現またはERBB2遺伝子増幅を認め、HER2標的治療の対象となり得る分子サブタイプ」と位置づけている。

    HER2陽性率は胃・GEJ腺癌で約10~20%、報告範囲7~34%、進行癌では平均約17~18%とされ、冒頭の17.9%はこの代表値と整合する。

    ただし、この17.9%は進行胃癌やGEJ癌を含む研究から得られた平均値である可能性があり、全病期の胃癌単独に一律適用すべきではない。

    年齢では平均診断年齢約61.8歳で、HER2陽性・陰性間に大きな年齢差はなく、主として60歳以上に多い。性別では進行胃癌患者の約70%が男性とされ、HER2陽性腫瘍も男性に多い傾向があるが、この70%自体はHER2陽性患者だけの男女比ではない。

    ERBB2増幅率はヒスパニック13.9%、非ヒスパニック黒人11.0%、非ヒスパニック白人9.8%、非ヒスパニックアジア人8.1%と報告されるが、これは胃癌患者内の遺伝子増幅割合であり、一般人口有病率でも全HER2陽性率でもない。

    米国では胃・GEJ腺癌の約10~20%がHER2陽性とされるが、具体的な全国HER2陽性胃癌患者数は今回の抜粋には示されていない。また、他の7市場についても詳細な国別数値は提示されていない。

    治療では、早期例に外科切除と周術期化学療法、進行・転移例に全身化学療法を用い、HER2陽性患者ではHER2標的治療を組み込む。選択された患者では免疫療法も検討され、放射線療法が局所制御や症状緩和に用いられる場合もある。

    2026~2035年の疫学・市場動向を考えるうえでは、高齢化や胃癌患者数の変化に加え、HER2検査の普及によって診断されるHER2陽性患者が増える可能性がある。一方、早期診断や胃癌予防が進めば、進行HER2陽性胃癌患者を減らす方向にも働く。

    したがって、今後のHER2陽性胃癌管理における中心的課題は、胃癌全体の患者数とHER2陽性患者数を明確に区別し、胃原発とGEJ癌、早期と進行期、腸型とその他の組織型を考慮しながらHER2検査を適切に行うこと、そしてHER2陽性を正確に同定したうえで、病期に応じて手術、化学療法、HER2標的療法、免疫療法などを個別化することである。2026~2035年は、単なる胃癌患者数の増減だけでなく、バイオマーカー検査によってHER2陽性患者をどこまで正確に捕捉し、分子標的治療へつなげて生存とQOLを改善できるかが、臨床・疫学・研究開発・市場の主要テーマになるとまとめられる。

    ※目次構成

    01
    序文
    1.1 はじめに
    1.2 調査目的
    1.3 調査方法および前提条件

    02
    エグゼクティブサマリー

    03
    HER2陽性胃がん市場概要(8主要市場)
    3.1 HER2陽性胃がん市場の過去市場規模(2019年~2025年)
    3.2 HER2陽性胃がん市場の予測市場規模(2026年~2035年)

    04
    HER2陽性胃がん疫学概要(8主要市場)
    4.1 HER2陽性胃がん疫学状況(2019年~2025年)
    4.2 HER2陽性胃がん疫学予測(2026年~2035年)

    05
    疾患概要
    5.1 症状および徴候
    5.2 原因
    5.3 リスク要因
    5.4 ガイドラインおよび病期分類
    5.5 病態生理
    5.6 スクリーニングおよび診断
    5.7 HER2陽性胃がんの種類

    06
    患者プロファイル
    6.1 患者プロファイル概要
    6.2 患者心理および感情面への影響要因

    07
    疫学状況および予測(8主要市場:2019年~2035年)
    7.1 主要調査結果
    7.2 前提条件および根拠
    7.3 HER2陽性胃がんの診断済み有病患者数
    7.4 種類別のHER2陽性胃がん患者数
    7.5 性別別のHER2陽性胃がん患者数
    7.6 年齢別のHER2陽性胃がん患者数

    08
    疫学状況および予測:米国(2019年~2035年)
    8.1 米国における前提条件および根拠
    8.2 米国におけるHER2陽性胃がんの診断済み有病患者数
    8.3 米国における種類別のHER2陽性胃がん患者数
    8.4 米国における性別別のHER2陽性胃がん患者数
    8.5 米国における年齢別のHER2陽性胃がん患者数

    09
    疫学状況および予測:英国(2019年~2035年)
    9.1 英国における前提条件および根拠
    9.2 英国におけるHER2陽性胃がんの診断済み有病患者数
    9.3 英国における種類別のHER2陽性胃がん患者数
    9.4 英国における性別別のHER2陽性胃がん患者数
    9.5 英国における年齢別のHER2陽性胃がん患者数

    10
    疫学状況および予測:ドイツ(2019年~2035年)
    10.1 ドイツにおける前提条件および根拠
    10.2 ドイツにおけるHER2陽性胃がんの診断済み有病患者数
    10.3 ドイツにおける種類別のHER2陽性胃がん患者数
    10.4 ドイツにおける性別別のHER2陽性胃がん患者数
    10.5 ドイツにおける年齢別のHER2陽性胃がん患者数

    11
    疫学状況および予測:フランス(2019年~2035年)
    11.1 フランスにおける前提条件および根拠
    11.2 フランスにおけるHER2陽性胃がんの診断済み有病患者数
    11.3 フランスにおける種類別のHER2陽性胃がん患者数
    11.4 フランスにおける性別別のHER2陽性胃がん患者数
    11.5 フランスにおける年齢別のHER2陽性胃がん患者数

    12
    疫学状況および予測:イタリア(2019年~2035年)
    12.1 イタリアにおける前提条件および根拠
    12.2 イタリアにおけるHER2陽性胃がんの診断済み有病患者数
    12.3 イタリアにおける種類別のHER2陽性胃がん患者数
    12.4 イタリアにおける性別別のHER2陽性胃がん患者数
    12.5 イタリアにおける年齢別のHER2陽性胃がん患者数

    13
    疫学状況および予測:スペイン(2019年~2035年)
    13.1 スペインにおける前提条件および根拠
    13.2 スペインにおけるHER2陽性胃がんの診断済み有病患者数
    13.3 スペインにおける種類別のHER2陽性胃がん患者数
    13.4 スペインにおける性別別のHER2陽性胃がん患者数
    13.5 スペインにおける年齢別のHER2陽性胃がん患者数

    14
    疫学状況および予測:日本(2019年~2035年)
    14.1 日本における前提条件および根拠
    14.2 日本におけるHER2陽性胃がんの診断済み有病患者数
    14.3 日本における種類別のHER2陽性胃がん患者数
    14.4 日本における性別別のHER2陽性胃がん患者数
    14.5 日本における年齢別のHER2陽性胃がん患者数

    15
    疫学状況および予測:インド(2019年~2035年)
    15.1 インドにおける前提条件および根拠
    15.2 インドにおけるHER2陽性胃がんの診断済み有病患者数
    15.3 インドにおける種類別のHER2陽性胃がん患者数
    15.4 インドにおける性別別のHER2陽性胃がん患者数
    15.5 インドにおける年齢別のHER2陽性胃がん患者数

    16
    患者ジャーニー

    17
    治療課題および未充足ニーズ

    18
    キーオピニオンリーダー(KOL)による洞察

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