1,749回発令、過去最多を更新 熱中症警戒アラートは活用されているか

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    2026年9月16日 18:00

    2025年、熱中症警戒アラートは過去最多の1,749回に

    2025年度、熱中症警戒アラートは4月23日から10月22日までの運用期間中に延べ1,749回発表され、統計開始以来の最多を更新しました。2021年の全国運用開始時は613回でしたが、2022年は889回、2023年は1,232回、2024年は1,722回と年々増加し、わずか4年で3倍近くにまで達しています。記録的な猛暑が常態化しつつあるなか、熱中症警戒アラートは今や夏の風物詩のように毎日のニュースで目にする情報になりました。テレビやスマートフォンの通知で目にする機会が増えたこと自体は、危険性への「気づき」を広げるという本来の役割を果たしているとも言えます。しかし、発表回数が増えるほど、私たちはその情報を正しく受け止め、熱中症対策として具体的な行動に移せているのでしょうか。回数の記録更新という数字の裏側にある実態を、公的機関のデータから見ていきます。

    搬送者数も過去最多、アラート増加だけでは防げない現実

    総務省消防庁の集計によると、2025年5月から9月までの熱中症による救急搬送者数は全国で10万510人に上り、統計を取り始めた2008年以降で初めて10万人を超え、過去最多を記録しました。搬送直後に死亡が確認された方は117人にのぼり、年代別では65歳以上の高齢者が全体の57.1%を占めています。発生場所別に見ると、屋外だけでなく「住居」内での発症が最も多く、次いで「道路」でした。熱中症警戒アラートの発表回数と実際の被害件数がそろって過去最多となった事実は、警戒情報を発信するだけでは十分な熱中症対策にはつながっていない可能性を示していると言えるでしょう。特に高齢者は自宅にいながら発症するケースが目立ち、外出時の対策だけでなく、室内で過ごしているときの油断も見過ごせない要因になっています。

    「知っている」と「理解している」の間にあるギャップ

    日本気象協会の調査によると、熱中症警戒アラート自体の認知度は約94%と非常に高い水準にあります。その一方で、発表基準として用いられる「暑さ指数(WBGT)」の意味まで理解している人は約33%にとどまりました。多くの人がアラートの存在は知っていても、その根拠や意味までは理解しておらず、具体的な熱中症対策の行動へとつながりにくい状況がうかがえます。また、本格的に暑くなる4月から5月にかけては熱中症への注意意識が20%以下と低く、暑さのピークを迎える前の早い段階からの呼びかけが今後の課題として挙げられています。アラートという「点」の情報だけでなく、暑さ指数の推移という「線」で日々の暑さを捉える視点を持つことが、熱中症対策の実効性を高める鍵になりそうです。

    一段上の「特別警戒アラート」は発表実績ゼロという課題

    2024年に新設された、より危険な暑さを知らせる「熱中症特別警戒アラート」は、記録的猛暑となった2025年においても一度も発表されませんでした。ある地域では発表目前まで暑さ指数が上昇した日もあったことから、基準の妥当性をめぐり環境省が有識者の意見を聞きながら検証を進める方針を示しています。学術研究の分野でも、全国一律の基準ではなく地域や季節に応じた基準を設けることで、より効果的に熱中症による死亡を防げる可能性が指摘されており、政府が掲げる「2030年までに熱中症死亡を半減する」という目標に向けて、制度そのものの精度を高める余地があると言えそうです。

    アラートを「気づき」から「行動」へつなげるために

    熱中症警戒アラートは、あくまで危険性への「気づき」を促すための情報であり、実際にどのように行動するかは一人ひとりに委ねられています。発表された日は、エアコンを適切に使用して涼しい環境で過ごし、こまめな水分・塩分補給を心がけることが基本の熱中症対策です。加えて、外出や屋外での作業がどうしても避けられない場面では、体温の上昇そのものを抑える工夫を取り入れることも一つの方法です。たとえば、PCM(潜熱蓄熱材)を利用し、着用中一定時間28℃前後の温度を保つように設計された冷却ベストのようなアイテムも登場しており、アラートが発表された日の備えの一つとして知っておくと安心につながるかもしれません。数字として積み上がる発表回数を、一人ひとりの具体的な行動へとどう結びつけていくかが、これからの熱中症対策に問われています。制度の見直しは行政の課題ですが、暑さと向き合う日々の備えは、一人ひとりが今日からでも始められるものです。アラートが出る前から、自分なりの熱中症対策を積み重ねておくことが、記録的な猛暑が続く時代を無理なく乗り切る一番の近道になるのではないでしょうか。

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