世界のレビー小体型認知症の市場規模、疾患概要、疫学予測:2026年調査レポートを発表
株式会社マーケットリサーチセンター(本社:東京都港区、世界の市場調査資料販売)では、「世界のレビー小体型認知症の市場規模、疾患概要、疫学予測、英文タイトル:Dementia with Lewy Bodies Epidemiology Forecast; Disease Overview; Epidemiology Forecast; Patient Pool Analysis」調査資料を発表しました。本資料には、市場規模、疾患概要、疫学予測、患者数分析(日本、米国、ヨーロッパ、インドなど)、治療上の課題・アンメットニーズなどの情報などが盛り込まれています。
■主な掲載内容
本レポートは、レビー小体型認知症(Dementia with Lewy Bodies:DLB)の疫学動向について、過去の患者推移と2026~2035年の将来予測を整理した市場調査レポートである。DLBは、認知機能低下、幻視、注意や覚醒レベルの変動、パーキンソニズムなどを特徴とする進行性神経変性疾患であり、アルツハイマー病に次いで重要な神経変性性認知症の一つとされる。Ece Bayramらの2023年の報告では、地域住民ベースの認知症症例の約4.2%、臨床集団では約7.5%をDLBが占めるとされており、診断環境によって割合が変動する。調査会社は、高齢化の進行や診断認知の向上を背景に、DLBの診断患者数と疾患負担は今後さらに重要になるとみている。本調査では2025年を基準年、2019~2025年を過去分析期間、2026~2035年を予測期間とし、米国、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、英国、日本、インドの8主要市場を対象に、有病率、発症率、年齢、性別、診断患者数などの疫学動向を分析している。
DLBの病態では、脳内にαシヌクレインというタンパク質が異常に蓄積し、レビー小体と呼ばれる封入体を形成する。これに伴って、記憶、思考、注意、運動、行動、睡眠などを担う神経細胞が変性し、徐々に機能が失われていく。DLBはパーキンソン病とアルツハイマー病の双方に重なる特徴を持つため、臨床診断が難しいことがある。
典型的な症状には、認知機能の変動、繰り返す具体的な幻視、筋固縮や動作緩慢などのパーキンソニズムが含まれる。注意力や覚醒度が日によって、あるいは同じ日の中でも大きく変わることがあり、他の認知症とは異なる特徴となる。また、睡眠や行動面の障害を伴うこともあり、症状の組み合わせは患者ごとに異なる。
DLBには厳密な意味での明確なサブタイプ分類はないが、認知症症状と運動症状のどちらが先に出現するかが臨床上重要である。一般に、認知症が運動症状より先、あるいはほぼ同時期に出現する場合にDLBとされ、パーキンソン病が先行し、その後長期間を経て認知症が出現する場合はパーキンソン病認知症として区別されることがある。
疫学的には、DLBはアルツハイマー病に次ぐ代表的な神経変性性認知症とされる。Leila Lotfiらの報告では、65歳以上の約0.4%がDLBの影響を受けるとされている。また、Marwan N. Sabbaghらの2023年の報告では、世界の認知症症例の約3~7%をDLBが占め、発症率は1,000人年あたり約0.5~1.6例とされる。
一方、病理学的研究では、臨床診断より高い頻度が示されることがある。Janice Taylorらの報告では、地域住民ベースではDLBが認知症診断の約4.2%を占める一方、神経病理学的研究ではその割合が15%に達する可能性がある。この大きな差は、DLBが実臨床で相当程度見逃されている可能性を示している。
臨床集団で約7.5%、地域集団で約4.2%、病理学的には最大15%という数値の違いは、対象集団と診断方法の違いを反映している。専門医療機関ではDLBの特徴を持つ患者が集まりやすく、一般地域人口より割合が高くなる。また、死後病理によって初めてレビー小体病理が明らかになる患者もいるため、病理学的推定が臨床診断より高くなることもある。
年齢はDLBの最も重要な疫学的因子の一つである。Sonja W. Scholzらによると、症状は通常50歳以降に出現し、診断年齢中央値は約76歳とされる。したがって、DLBは典型的には高齢者の疾患であり、高齢人口の増加が2026~2035年の患者数を押し上げる主要因になる。
Leila Lotfiらの報告でも、DLBは50歳以降に発症することが多く、特に65歳以上で負担が大きい。このため、米国、欧州、日本など高齢化の進む地域では、年齢別発症率が変わらなくても、ハイリスク年齢層の人口増加だけで絶対患者数が増える可能性が高い。
性別では、男性にやや多い傾向がある。Sonja W. Scholzらは、特に60歳以上で男性の発症率が高いと報告している。また、Shannon Y. Chiuらによると、男性ではパーキンソニズムがより目立ちやすい一方、女性では診断時年齢がより高く、認知機能障害が強い傾向がある。
女性ではアルツハイマー病病理を併存する混合型病理がより多いとされ、男女で疾患表現型や進行パターンが異なる可能性がある。したがって、DLBでは単純な男女比だけでなく、症状の現れ方や診断時の重症度にも性差が存在することが示唆されている。
診断上の大きな課題は、他の認知症や精神疾患と誤診されやすいことである。初期には幻視や行動変化が目立つ場合があり、精神疾患と判断されることがある。また、記憶障害が強ければアルツハイマー病、運動症状が強ければパーキンソン病として扱われる可能性もある。
この高い誤診率によって、実際のDLB患者数が疫学統計で過小評価されている可能性がある。したがって、2026~2035年に診断患者数が増えたとしても、疾患そのものの発生が急増したというより、医師の認知向上や診断精度の改善によって既存の未診断患者が把握される影響が大きい可能性がある。
米国では、Lewy body dementia全体で約140万人が生活しているとされる。これはDLBだけでなく関連するレビー小体病を含む可能性があるため、DLB単独患者数としては慎重に解釈する必要がある。それでも、米国に相当規模の患者集団が存在することを示す重要な指標である。
インドでは、Kirushnakumar H. P.らの2024年の報告によると、認知症診断の約1.0~8.9%をDLBが占めると推定される。この幅の大きさは、医療機関や研究によって診断方法や患者背景が異なることを反映している。
ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、英国、日本については、提示資料ではDLB単独の具体的な国別患者数は詳しく示されていない。ただし、いずれも高齢化が進む市場であり、認知症患者全体の増加に伴ってDLB患者も増加する可能性が高い。
特に日本は高齢化率が高く、パーキンソン病や認知症の診療体制も比較的整っているため、DLBの診断患者プールが今後重要になる可能性がある。一方、インドなどでは専門的な認知症診断へのアクセスに地域差があり、未診断患者が多い可能性がある。
市場・疫学上で重要なのは、DLBの患者数が認知症全体の数%にとどまる一方、患者一人あたりの臨床負担が大きい点である。認知機能低下だけでなく、運動障害、幻視、睡眠問題、行動症状など複数領域の問題が同時に生じるため、患者本人と介護者の双方に大きな負担がかかる。
また、DLBは進行性疾患であり、時間の経過とともに日常生活動作が低下する。歩行障害が進めば転倒リスクが高まり、認知機能低下が進めば服薬管理や金銭管理などが困難になる。したがって、医療だけでなく介護・福祉サービスの需要も長期的に増加する。
現時点ではDLBを根治する治療法は存在しない。治療の中心は、認知機能、幻視、運動症状、睡眠障害などを個別に管理し、生活の質を維持することである。
認知症状や幻視に対しては、リバスチグミンやドネペジルなどのコリンエステラーゼ阻害薬が一般的に使用される。これらは認知機能を改善したり、幻視などの精神症状を軽減したりすることを目的とする。
運動症状にはレボドパが使用されることがある。パーキンソニズムを改善できる可能性がある一方、DLB患者では副作用への感受性が高いことがあり、幻覚や精神症状が悪化する可能性もあるため慎重な投与が必要である。
重度の幻視や行動症状に対しては、低用量のクエチアピンなどの抗精神病薬が使用されることがある。ただし、DLB患者は抗精神病薬に対して強い過敏反応を示す場合があるため、慎重なモニタリングが必要である。
この薬剤感受性はDLB管理の重要な特徴である。精神症状を抑えようとして薬剤を強く使用すると、運動機能低下、意識状態の悪化など別の問題が生じる可能性があるため、治療は症状間のバランスを見ながら調整する必要がある。
非薬物療法も重要である。認知刺激や認知リハビリテーション、定期的な身体活動、睡眠環境の調整、転倒予防などを組み合わせることで、患者の機能維持を支援する。
さらに、介護者への支援がDLBでは特に重要である。認知の変動や幻視、運動障害が同時に存在するため、介護者は症状の予測が難しく、負担が大きくなりやすい。疾患教育、介護方法の指導、レスパイトケアなども長期管理に重要となる。
治療市場の観点では、DLBは現時点で疾患修飾療法がなく、既存薬の多くは症状別に使用されている。そのため、新規治療開発ではαシヌクレイン蓄積や神経変性そのものを標的とする疾患修飾治療への期待が大きいと考えられる。ただし、提示資料では具体的な開発薬や臨床試験の詳細までは示されていない。
全体として本レポートは、DLBを「アルツハイマー病に次ぐ主要な神経変性性認知症の一つであり、高齢者を中心に発症し、認知機能低下、幻視、認知変動、パーキンソニズムを複合的に呈する進行性疾患」と位置づけている。地域住民ベースでは認知症の約4.2%、臨床集団では約7.5%、病理学的研究では最大15%に達する可能性があり、診断方法による大きな差が特徴である。
診断年齢中央値は約76歳で、50歳以降に発症し、特に60歳以上の男性で多い傾向がある。世界では認知症症例の約3~7%を占め、発症率は1,000人年あたり約0.5~1.6例とされる。米国ではレビー小体型認知症関連疾患を持つ患者が約140万人とされ、インドでも認知症診断の1.0~8.9%を占める可能性がある。
2026~2035年の疫学・市場動向を考えるうえでは、人口高齢化が最大の患者数押し上げ要因の一つになる。また、DLBに対する医師・患者の認知向上、診断基準の普及、アルツハイマー病やパーキンソン病との鑑別精度向上によって、従来見逃されていた患者がより多く診断される可能性がある。
したがって、今後のDLB管理における中心的課題は、特徴的な幻視、認知変動、パーキンソニズムなどから早期に疾患を疑うこと、アルツハイマー病やパーキンソン病認知症との誤診を減らすこと、薬剤過敏性を踏まえて認知・精神・運動症状を慎重に管理すること、そして患者と介護者双方への長期的支援を充実させることである。2026~2035年は、高齢化による患者数増加に加えて、未診断・誤診患者をより正確に把握し、症状別治療から将来的な疾患修飾治療へつなげていくことが、臨床・市場双方の主要テーマになるとまとめられる。
※目次構成
01
序文
1.1 はじめに
1.2 調査目的
1.3 調査方法および前提条件
02
エグゼクティブサマリー
03
レビー小体型認知症市場概要(8主要市場)
3.1 レビー小体型認知症市場の過去市場規模(2019年~2025年)
3.2 レビー小体型認知症市場の予測市場規模(2026年~2035年)
04
レビー小体型認知症疫学概要(8主要市場)
4.1 レビー小体型認知症疫学状況(2019年~2025年)
4.2 レビー小体型認知症疫学予測(2026年~2035年)
05
疾患概要
5.1 症状および徴候
5.2 原因
5.3 リスク要因
5.4 ガイドラインおよび病期分類
5.5 病態生理
5.6 スクリーニングおよび診断
06
患者プロファイル
6.1 患者プロファイル概要
6.2 患者心理および感情面への影響要因
07
疫学状況および予測(8主要市場:2019年~2035年)
7.1 主要調査結果
7.2 前提条件および根拠
7.3 8主要市場におけるレビー小体型認知症疫学状況(2019年~2035年)
08
疫学状況および予測:米国(2019年~2035年)
8.1 米国におけるレビー小体型認知症疫学状況(2019年~2035年)
09
疫学状況および予測:英国(2019年~2035年)
9.1 英国におけるレビー小体型認知症疫学状況(2019年~2035年)
10
疫学状況および予測:ドイツ(2019年~2035年)
10.1 ドイツにおけるレビー小体型認知症疫学状況(2019年~2035年)
11
疫学状況および予測:フランス(2019年~2035年)
11.1 フランスにおけるレビー小体型認知症疫学状況(2019年~2035年)
12
疫学状況および予測:イタリア(2019年~2035年)
12.1 イタリアにおけるレビー小体型認知症疫学状況(2019年~2035年)
13
疫学状況および予測:スペイン(2019年~2035年)
13.1 スペインにおけるレビー小体型認知症疫学状況(2019年~2035年)
14
疫学状況および予測:日本(2019年~2035年)
14.1 日本におけるレビー小体型認知症疫学状況(2019年~2035年)
15
疫学状況および予測:インド(2019年~2035年)
15.1 インドにおけるレビー小体型認知症疫学状況(2019年~2035年)
16
患者経路
17
治療課題および未充足ニーズ
18
キーオピニオンリーダー(KOL)による洞察
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