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    群馬パース大学 木村朗研究室

    失明者の衝突事故を「皮膚へのモールス信号」で防ぐ OKIMOプロジェクト、英BMJの国際賞 「Global Top Improver Awards 2027」最終候補に選出

    視覚障害当事者が仕様を決め、12年かけて育てた衝突回避支援技術。 群馬パース大学 木村朗研究室が2027年4月のリスボン国際フォーラムで 対話セッションを主催

    企業動向
    2026年10月28日 09:30

    群馬パース大学 木村朗研究室(群馬県高崎市)が視覚障害当事者と共同で進める「OKIMOプロジェクト」が、英国の医学出版グループBMJ Group主催「Global Top Improver Awards 2027」のPatient & Community Engagement Award(患者・地域参画賞)部門で最終候補に選ばれました。最終候補は全部門で15件で、BMJは2026年10月27日(英国時間)に公式サイトで発表しました。受賞者は、2027年4月21日にポルトガル・リスボンで開かれる「Healthcare Improvement Forum」の授賞式で、参加者投票と専門審査員の審査を経て発表されます。当日は木村朗教授がチーム代表として出席し、候補者が主催する対話セッション「World Cafe」でテーブルを担当します。


    BMJ Group「Global Top Improver Awards 2027」Patient & Community Engagement Award 最終候補の告知画像(提供:BMJ Group)

    BMJ Group「Global Top Improver Awards 2027」Patient & Community Engagement Award 最終候補の告知画像(提供:BMJ Group)


    ■背景:見えない人と「前を見ていない人」の衝突

    スマートフォンを見ながら歩く歩行者や、走行音の小さい電気自動車の普及により、失明者が接近を察知できないまま衝突する危険が高まっています。本プロジェクトは2014年、理学療法士である木村が、前を見ていない歩行者と視覚障害者との衝突を繰り返し目にしたことから始まりました。



    ■課題:音による警告が抱える限界

    失明者にとって聴覚は周囲を把握する主要な手段であり、音声による警告はその聴覚を占有してしまいます。また駅のホームなど騒音や振動の多い環境では、音も振動も確実には届きません。聴覚・振動に代わる「第3の情報伝達の経路」が必要でした。



    ■取り組み:当事者が仕様を決めた通電モールス信号

    OKIMOは、接近する人の方向をコンピュータビジョンで検出し、腰部に貼った電極から微弱な電気刺激をモールス符号のリズムで伝える装置です。開発の方向は、盲学校の全盲教員をはじめとする視覚障害当事者自身が決めてきました。

    ・警告は「音ではなく皮膚」で伝える(聴覚を占有しない)

    ・道案内より「衝突回避」を先に実現する

    ・左・正面・右を、短点だけ・長短混在・長点だけのリズムの違いで伝え、モールス符号を知らなくても方向が分かるようにする

    さらに携帯型脳波計で、信号が脳でどのように識別されているかを確認しています。専用機器を使わずスマートフォンだけで動く版も公開し、機器費用なしで利用できるようにしました。


    腰部の電極から微弱な電気刺激をモールス符号のリズムで伝えるOKIMOの装置

    腰部の電極から微弱な電気刺激をモールス符号のリズムで伝えるOKIMOの装置


    ■成果

    ・失明者参加者13名の検証で、信号伝達率100%、衝突回避率95%

    ・2014年からの当事者参加者は延べ142名

    ・脳波解析の新指標「Metric-T」を国際誌 Neuroscience Informatics(2026年)で発表

    ・関連特許:特許第6947762号。日本学術振興会 科学研究費助成事業(24K06197)の支援を受けて実施



    ■選出の意義:「起きなかった事故」を可視化する

    Patient & Community Engagement Awardは、患者や地域住民が医療・ケアの改善に主体的に参画した取り組みを対象とする部門です。OKIMOでは、当事者は意見を聞かれる対象ではなく、技術の方向を決める主体です。また、未然に防いだ衝突は記録にも報道にも残りません。今回の選出は、こうした見えにくい公衆衛生の成果が国際的に評価されたものと受け止めています。



    ■リスボンでの活動

    ・2027年4月21日 12:30-13:10(現地時間):World Cafeセッションで木村がテーブルを主催。約15テーブル、15分×3ラウンドで参加者と対話

    ・2027年4月21日 夜:授賞式で各部門の受賞者を発表(会期前の週に参加者投票を実施し、専門審査員が決定)

    ・木村はチームを代表して1名で出席



    ■今後の展開

    失明した年齢によって通電信号の学習の進み方が異なる可能性を脳波で検証し、一人ひとりに合わせた訓練法へつなげる計画です。あわせて、介助者の知識がなくても使える小型の自立型デバイスの開発を進め、失明者の日常の安全な移動を支えます。



    ■木村朗教授のコメント

    「OKIMOは、視覚障害のある方々が自ら仕様を決め、試し、作り直してきた技術です。防いだ衝突はどこにも記録されませんが、その積み重ねが国際的な場で評価されたことを、これまで協力してくださった当事者の皆さんと分かち合いたいと思います。リスボンでは、技術を当事者が指揮するという日本の実践を世界の医療改善に携わる人々と議論してきます。」


    OKIMOプロジェクト代表 木村朗(群馬パース大学大学院保健科学研究科 教授)

    OKIMOプロジェクト代表 木村朗(群馬パース大学大学院保健科学研究科 教授)


    ■アワード概要

    名称   : Global Top Improver Awards 2027

    主催   : BMJ Group(英国)

    部門   : Patient & Community Engagement Award(患者・地域参画賞)

    最終候補 : 全部門で15件(2026年10月27日、英国時間で公開)

    会場   : Healthcare Improvement Forum Lisbon 2027

           (2027年4月20~22日、CCL リスボン・コングレスセンター)

    授賞式  : 2027年4月21日 夜(現地時間)

    公式ページ: https://healthcareimprovementforum.bmj.com/lisbon/improver-awards-shortlist/

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