消えゆく職人技をデジタルで未来へ――家具職人・岡本英有希が『「ロストテクノロジー」と「デジアナ人間」』を出版 【2026年9月1日発売】
株式会社家具工房ゆうき代表・岡本英有希は、電子書籍『「ロストテクノロジー」と「デジアナ人間」』をAmazon Kindleにて発売します。
大量生産、機械化、職人の高齢化。
日本のものづくりを取り巻く環境が大きく変わるなか、かつて当たり前に存在した木材や、それを扱う職人の技術が静かに姿を消しつつあります。
本書で岡本が提示するのは、昔ながらの技術をそのまま保存するという考え方ではありません。
アナログの職人技を、3DCADや5軸NCといったデジタル技術と融合し、次の時代へ渡していく。
その両方を行き来する存在を、岡本は「デジアナ人間」と呼んでいます。
本書は自身の半生を振り返るだけではなく、「失われゆく技術の中に未来の光がある」という考えのもと、アナログとデジタルの間に立ち、技術を未来へ渡すために書かれた一冊です。

「木が消える。技術が消える。職人が消える。」
岡本が代表を務める家具工房ゆうきには、2026年3月時点で47種類の木材があります。
杉、檜、桜、ウォールナットといった比較的知られた木から、ココボロ、キングウッド、ホンジュラスマホガニーなど、一般にはほとんど目にすることのない木まで、岡本は長年にわたり実際に加工してきました。
なかでも、本書の表紙に使用されている黄金色の木が「セイロンサテンウッド」です。
かつて世界三大高級木のひとつとされ、現在では商業伐採が厳しく制限され、一般市場にはほとんど出ない希少な木材です。
一方で岡本が見てきたのは、木材そのものが姿を消していく現実でした。
木が消えれば、その木を扱う技術が消える。技術が消えれば、職人が消える。そして文化や産業そのものが失われていく。
本書では、この連鎖を「ロストテクノロジー」という視点から見つめています。

父から受け継いだ「身体知」を、どう未来へ残すのか
岡本の技術の原点にあるのは、父の存在です。
物心がつくより前から木のそばで育ち、小学生になる頃から父の工場で作業を手伝うようになりました。
木を加工する音、匂い、手順、感覚。それらが幼い頃から身体に染み込んでいきました。
父は、現在のようなNCが存在しない時代に、手作業だけで立体や曲面を形にできる職人でした。
しかし父の死後、岡本は大きな問題に直面します。
父の技術は、図面にも、データにも、言葉にも残っていなかったのです。
残されたのは、岡本自身の身体の中に刻み込まれた「身体知」でした。
「このままでは、技術は途絶える」
その危機感が、岡本をデジタル技術へと向かわせます。

アナログ職人が3DCADへ。「これだ」と直感した理由
今から20年以上前、岡本は3DCADと出会います。
図面を見るだけで頭の中に立体が浮かび上がる岡本にとって、3DCADは単なる設計ソフトではありませんでした。
それまで自分の頭の中にしか存在しなかった曲線、力の流れ、組み立ての順番などを、他者と共有できる「立体の言語」だったのです。
3DCADの導入によって、デザイナー、施主、職人が同じ立体を見ながら、ものづくりを進められるようになりました。
そして岡本は、一つの考えにたどり着きます。
「技術を守るのではなく、進化させる」
昔の技術をそのまま保存するのではなく、新しい技術と掛け合わせることで生き残らせる。
家具工房ゆうきは、技術継承の新しい形を模索し始めました。
5軸NCを「もうひとりの職人」に
そして現在、岡本が次なる技術継承の鍵として取り組んでいるのが、5軸NCです。
複雑な曲面や立体加工を担う5軸NCに、3DCADで表現した職人の思考や判断を組み合わせる。
岡本が目指しているのは、単なる作業の自動化ではありません。
木の状態を読み、加工方法を判断してきた職人の「身体知」をデジタルデータとして蓄積し、未来の職人が学ぶことのできる「技術のアーカイブ」へと変えていくことです。
岡本は5軸NCを、「もうひとりの職人」と表現します。
危険で高精度を求められる加工を機械が担い、人間は木のクセを読み、美しさを判断し、創造することに集中する。
人間か、機械か。
その二択ではなく、「人と機械の協働」にこそ、これからのものづくりの可能性があると考えています。

アナログか、デジタルか。その二択ではない
岡本は、アナログの職人として育ちました。
木の匂いを感じ、刃物の音を聞き、手の感覚で木の状態を判断する。
一方で、3DCADや5軸NCといったデジタル技術も取り入れてきました。
その経験からたどり着いたのが、「アナログとデジタルは対立しない。むしろ、補い合う」
という考えです。
木のクセは手で読む。誤差の積み重ねはデジタルで読む。
アナログの感性と、デジタルの再現性。
その両方を扱い、過去の技術を未来へと翻訳していく存在。
それが岡本のいう「デジアナ人間」です。
「時代の先は、過去にある」
大量生産によって、私たちの生活は便利になりました。
しかし、その裏側で失われたものもあります。
木を読む力、手仕事による技術、長く使うという価値観、そして、ものをつくる人間の誇り。
岡本は本書を通して、単純に「昔に戻ろう」と訴えているわけではありません。
過去に蓄積された技術の本質を理解し、それを現代の技術によって再構築する。
過去と未来をつなぐことこそが、新しいものづくりにつながる。
本書の表紙に掲げられた、「時代の先は 過去にある」という言葉には、その思想が込められています。
著者プロフィール
岡本 英有希(おかもと ひでゆき)
株式会社家具工房ゆうき代表。
2004年に家具工房ゆうきとして独立。オーダーメイド家具を中心に、曲物・複雑形状など高度な木工技術を必要とする仕事を手がけてきました。
愛知県の家具手加工作業・技能検定委員、外国人技能実習生の技能検定員として技術者育成にも携わり、近隣の中学校では「働く人から学ぶ会」の講師として、職人や働くことについて伝える活動も行っています。
現在は、アナログの職人技と3DCAD・5軸NCを融合し、失われつつある技術を未来へ継承する「デジアナ人間」として、新しいものづくりの形を模索しています。
書籍情報
書名:『「ロストテクノロジー」と「デジアナ人間」』
著者:岡本 英有希
発売日:2026年9月1日
形式:Amazon Kindle電子書籍
発行:株式会社オフィス清家 BOOKS
販売:Amazon Kindleストア購入はこちら






















