世界の膀胱痛症候群の市場規模、疾患概要、疫学予測:2026年調査レポートを発表
株式会社マーケットリサーチセンター(本社:東京都港区、世界の市場調査資料販売)では、「世界の膀胱痛症候群の市場規模、疾患概要、疫学予測、英文タイトル:Bladder Pain Syndrome Market Size; Disease Overview; Epidemiology Forecast; Patient Pool Analysis」調査資料を発表しました。本資料には、市場規模、疾患概要、疫学予測、患者数分析(日本、米国、ヨーロッパ、インドなど)、治療上の課題・アンメットニーズなどの情報などが盛り込まれています。
■主な掲載内容
本レポートは、膀胱痛症候群(Bladder Pain Syndrome:BPS)、または間質性膀胱炎(Interstitial Cystitis:IC)の疫学動向について、過去の患者推移と2026~2035年の将来予測を整理した市場調査レポートである。BPS/ICは、明らかな尿路感染症がないにもかかわらず、慢性的な骨盤痛、膀胱部の圧迫感・不快感、尿意切迫感、頻尿などを呈する慢性膀胱疾患である。Mariachiara Palucciらの2024年の報告では、疾患定義の変化によって有病率推定値は大きく変動しており、従来は10万人あたり10~510例とされていた一方、より広い診断基準を用いると女性の0.83~2.71%に達するとの報告もある。調査会社は、疾患認知の向上と診断技術・診断基準の改善によって、2026~2035年にかけて診断患者数が着実に増加するとみている。本調査では2025年を基準年、2019~2025年を過去分析期間、2026~2035年を予測期間とし、米国、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、英国、日本、インドの8主要市場を対象に、有病率、発症率、年齢、性別、病型、診断患者数などを分析している。
BPS/ICの本質は、感染による通常の膀胱炎とは異なり、明らかな細菌感染が証明されないにもかかわらず、膀胱に関連した慢性痛や尿路症状が持続することである。病態には、膀胱粘膜・上皮バリアの異常、慢性炎症、免疫機能異常、神経過敏などが関与すると考えられているが、単一の原因は明確になっていない。
そのため、BPS/ICは単純な感染性疾患ではなく、複数の病態機序が重なる症候群として捉えられている。環境要因、自己免疫的機序、神経学的要因なども発症や症状持続に関与する可能性がある。
臨床的には、膀胱鏡所見などに基づいて、ハンナー病変を伴う潰瘍型と、ハンナー病変を伴わない非潰瘍型に大別されることがある。ハンナー病変は膀胱壁にみられる特徴的な炎症性病変であり、病型によって治療反応性や重症度が異なる可能性がある。
BPS/ICの疫学で最も重要な特徴の一つは、報告される有病率の幅が極めて大きいことである。Mariachiara Palucciらによる従来推定では10万人あたり10~510例とされる一方、広い症候ベースの基準を用いると女性では0.83~2.71%に達する。
この大きな差は、診断基準が時代とともに変化してきたことを反映している。厳格な膀胱鏡所見や除外診断を必要とする定義では患者数が少なくなる一方、症状質問票などを用いて広く患者を拾い上げると有病率が大幅に高くなる。
したがって、BPS/ICの疫学値を比較する際には、「医師が診断した症例」「厳格な臨床基準を満たす症例」「症状から疑われる症例」「自己申告症例」を区別する必要がある。
性差は非常に顕著である。Cheshta Jalanらの2025年の報告では、IC/BPS有病率は女性で1万人あたり約45例、男性では10万人あたり約8例とされ、女性に圧倒的に多い。
別の同報告では、女性の有病率が10万人あたり52~500例、男性が8~41例とされ、研究間で幅はあるものの、一貫して女性優位が認められる。
さらに、米国・欧州などの研究では女性が男性の約9倍影響を受けるとの推定もあり、BPS/ICは疫学的に女性中心の疾患といえる。
ただし、男性患者が存在しないわけではない。男性では慢性前立腺炎、慢性骨盤痛症候群などとの症状の重なりが大きく、BPS/ICとして診断されにくい可能性がある。そのため、男性患者は過少診断されている可能性もある。
Cheshta Jalanらによると、女性における「臨床的に証明されたprobable IC」の発症率は10万人あたり約230例、「likely IC」では約530例とされる。この差も、診断確度や症状基準によって患者数が大きく変わることを示している。
Madeline Snipesらの2025年の疫学調査では、女性の有病率が約1.08%、男性が約0.66%と報告された。また、Boston Area Community Health studyでは女性2.6%、男性1.3%とさらに高い有病率が示されている。
これらの値は、従来型の10万人あたり数十~数百例という推定よりはるかに高い。これは、症候ベースのスクリーニングでは未診断患者や疑診患者まで含まれるためと考えられる。
したがって、「女性1.08%」「女性2.6%」「女性52~500/10万人」といった数値は、単純に矛盾しているわけではなく、対象集団と診断基準が異なる可能性が高い。ただし、市場規模推定に使用する場合には、どの定義に基づく患者プールかを明確にする必要がある。
年齢については、Sulaiman Almutairiの2025年の報告で20~70歳という広い範囲に症状がみられるとされる。したがって、BPS/ICは特定の狭い年齢層だけに集中する疾患ではなく、若年成人から高齢者まで広く認められる。
ただし、慢性疾患であるため、発症時年齢と診断時年齢が一致しない可能性がある。症状出現から確定診断まで時間がかかる患者では、診断時点ではより高齢になっていることも考えられる。
この診断遅延はBPS/IC市場の重要な特徴である。尿意切迫、頻尿、骨盤痛といった症状は、尿路感染症、過活動膀胱、婦人科疾患、慢性骨盤痛など多くの病態と重なるため、患者が複数の医療機関を受診して初めてBPS/ICと診断される場合がある。
地域別では、米国のデータが比較的豊富である。Madeline Snipesらの2025年の報告では、米国Veterans Affairsの男性患者集団における有病率は0.23%で、米国男性一般人口では約0.66%と推定されている。
Asad Ullahらの2023年の自己申告データでは、米国女性の有病率は10万人あたり約850例、男性は約60例とされ、患者数に換算すると女性約120万人、男性約8万3,000人が影響を受けると推定されている。
ここでも、米国女性850/10万人、つまり0.85%という値は、Boston Area Community Health studyの2.6%より低い。したがって、同じ米国内でも研究手法や症例定義により推定値がかなり異なる。
欧州では、英国、ドイツ、フランス、スペイン、イタリアを含む地域で、一般的な有病率が10万人あたり8~16例とされている。これは米国の症候ベース推定と比較するとかなり低い。
一方、Jennifer Enauxらの2025年の報告では、ドイツ、オーストリア、スイスにおいて女性の有病率が10万人あたり約500例、男性が8~41例とされ、女性は男性より約9倍多いとされる。
したがって、同じ欧州でも「8~16/10万人」という非常に低い推定と、「女性500/10万人」という高い推定が併存している。これは欧州内の真の地域差だけではなく、診断基準・患者捕捉方法の違いを強く反映している可能性がある。
ドイツについては、女性500/10万人、男性8~41/10万人というデータから、性差が顕著であることが分かる。一方で、より厳格な診断コードのみを使用すると、これより低い患者数になる可能性がある。
英国、フランス、スペイン、イタリアについては、提示資料では個別の詳細な患者数は示されていない。欧州全体として8~16/10万人という推定があるものの、BPS/ICの診断が十分に行われていない可能性を考慮する必要がある。
日本とインドについても、今回の提示資料には具体的な国別有病率が示されていない。そのため、欧米データをそのまま適用して患者数を推計するのは適切ではない。
特にBPS/ICのように診断基準と疾患認知が疫学値に強く影響する疾患では、各国の泌尿器科診療慣行や診断ガイドラインの違いが患者数を大きく左右する可能性がある。
市場・疫学上の最大の特徴は、「真の患者数」と「診断患者数」のギャップが大きい可能性があることである。調査会社が2026~2035年に診断患者プールの拡大を予測しているのも、必ずしも発症そのものの急増だけを意味するわけではない。
むしろ、疾患認知向上、診断基準の改善、泌尿器科での適切な除外診断、患者自身の情報アクセス改善などによって、従来「原因不明の慢性膀胱炎」「過活動膀胱」「骨盤痛」などとして扱われていた患者がBPS/ICとして診断されるようになることが、患者数増加の重要な要因と考えられる。
また、BPS/ICは感染症ではないにもかかわらず、症状が尿路感染症に似ている。そのため、患者が抗菌薬治療を繰り返しても改善せず、長期間診断されない場合がある。感染が証明されない慢性頻尿・尿意切迫・膀胱痛では、BPS/ICを鑑別に入れる必要がある。
治療の目的は、根治よりも症状軽減、膀胱機能改善、生活の質向上である。原因が完全には解明されておらず、すべての患者に有効な単一治療は存在しないため、多面的な治療戦略が基本となる。
初期管理では生活習慣改善が重要である。食事内容を調整し、膀胱刺激症状を悪化させる可能性のある飲食物を避けること、ストレスを軽減することなどが含まれる。
膀胱訓練も行われる。排尿間隔を段階的に調整し、頻尿や尿意切迫感を軽減することを目的とする。ただし、痛みが強い患者では無理な訓練が症状を悪化させる可能性もあるため、患者ごとの調整が必要である。
薬物療法では、ペントサンポリ硫酸ナトリウムなどの経口薬が使用される場合がある。これは膀胱粘膜の保護機能を改善することを目的とした治療として位置づけられている。
抗ヒスタミン薬も使用されることがあり、炎症やアレルギー関連の反応を抑えることを目的とする。さらに、疼痛が強い患者では鎮痛薬を用いて慢性的な骨盤痛を管理する。
膀胱内注入療法も重要な選択肢である。薬剤を直接膀胱内へ投与し、膀胱粘膜の修復や局所炎症の軽減を図る。
このような局所治療は、全身投与による副作用を減らしながら膀胱へ直接作用させられる点に特徴がある。一方、定期的な処置が必要になる場合があり、患者負担や通院頻度も市場上重要となる。
標準的な治療で十分な効果が得られない難治例では、神経調節療法が検討される。排尿や疼痛に関係する神経経路を電気的に調整し、尿意切迫や疼痛を軽減することを目的とする。
ボツリヌス毒素注射も重症・難治例で使用される場合がある。膀胱の過敏性や筋活動を抑えることによって症状改善を目指す。
さらに極めて重症で他の治療に反応しない症例では、外科的治療が検討されることもある。ただし、これは一般的な第一選択ではなく、保存的治療や薬物療法が無効な患者に限られる。
病型による治療選択も重要である。ハンナー病変を伴う患者と伴わない患者では病態が異なる可能性があり、膀胱鏡所見を含めた患者層別化が治療方針に影響する。
市場の観点では、BPS/ICは患者数の推定幅が非常に大きい一方、慢性・再発性であるため、診断後は長期間の医療需要が生じる。生活指導、経口薬、膀胱内注入、神経調節、疼痛管理など複数の治療を順次または併用していく患者が多い。
また、死亡率が大きな問題となる疾患ではない一方、QOL低下は非常に重要である。頻尿や尿意切迫により外出、睡眠、仕事などが妨げられ、慢性骨盤痛が心理的負担にもつながり得る。そのため、医療市場では単なる膀胱症状の軽減だけでなく、生活機能の回復が重要な治療目標となる。
全体として本レポートは、BPS/ICを「感染が認められないにもかかわらず、慢性的な膀胱・骨盤痛、頻尿、尿意切迫を呈し、とくに女性に多い、診断が難しく過少診断されやすい慢性膀胱疾患」と位置づけている。
世界的な有病率は診断基準によって大きく異なり、従来型の推定では10万人あたり10~510例、より広い診断基準では女性の0.83~2.71%に達する。Cheshta Jalanらの報告では女性52~500/10万人、男性8~41/10万人とされ、一貫して女性優位が認められる。
米国では自己申告ベースで女性850/10万人、男性60/10万人、人数にして女性約120万人、男性約8万3,000人という推定がある。一方、Boston Area Community Health studyでは女性2.6%、男性1.3%とさらに高く、研究方法による差が大きい。
欧州では8~16/10万人という低い推定が示される一方、ドイツ・オーストリア・スイスでは女性約500/10万人との推定もある。このような数値差は、BPS/ICが疫学的に極めて定義依存性の高い疾患であることを示している。
年齢では20~70歳という幅広い成人層に認められ、特定の狭い年齢群だけの疾患ではない。性別では女性が男性より大幅に多く、一部報告では約9倍の差がある。
2026~2035年の疫学・市場動向を考えるうえでは、真の発症率上昇よりも、疾患認知の向上、診断基準の拡大、専門医受診の増加、症状ベーススクリーニングなどによって診断患者プールが増える可能性が重要である。
一方で、本資料には「有病率」と「発症率」、「自己申告症例」と「臨床的に証明された症例」、「女性のみの推定」と「男女一般人口の推定」が混在している。そのため、52~500/10万人、1.08%、2.6%、850/10万人などを単一の統一有病率として扱うことはできない。
したがって、今後のBPS/IC管理における中心的課題は、慢性の骨盤痛、頻尿、尿意切迫がある患者で感染症など他の原因を適切に除外し、早期にBPS/ICを疑うこと、ハンナー病変の有無などを踏まえて患者を層別化すること、生活習慣改善、膀胱訓練、経口薬、膀胱内注入療法を段階的に組み合わせること、そして難治例では神経調節やボツリヌス毒素などの高度治療を検討することである。2026~2035年は、BPS/ICを単なる「繰り返す膀胱炎」として扱うのではなく、慢性疼痛と排尿症状を伴う独立した症候群として正確に診断し、病型と症状に応じた個別化治療によってQOLを改善することが、臨床・市場双方の主要テーマになるとまとめられる。
※目次構成
01
序文
1.1 はじめに
1.2 調査目的
1.3 調査方法および前提条件
02
エグゼクティブサマリー
03
膀胱痛症候群市場概要(8主要市場)
3.1 膀胱痛症候群市場の過去市場規模(2019年~2025年)
3.2 膀胱痛症候群市場の予測市場規模(2026年~2035年)
04
膀胱痛症候群疫学概要(8主要市場)
4.1 膀胱痛症候群疫学状況(2019年~2025年)
4.2 膀胱痛症候群疫学予測(2026年~2035年)
05
疾患概要
5.1 症状および徴候
5.2 原因
5.3 リスク要因
5.4 ガイドラインおよび病期分類
5.5 病態生理
5.6 スクリーニングおよび診断
5.7 膀胱痛症候群の種類
06
患者プロファイル
6.1 患者プロファイル概要
6.2 患者心理および感情面への影響要因
07
疫学状況および予測(8主要市場:2019年~2035年)
7.1 主要調査結果
7.2 前提条件および根拠
7.3 膀胱痛症候群の診断済み有病患者数
7.4 種類別の膀胱痛症候群患者数
7.5 性別別の膀胱痛症候群患者数
7.6 年齢別の膀胱痛症候群患者数
08
疫学状況および予測:米国(2019年~2035年)
8.1 米国における前提条件および根拠
8.2 米国における膀胱痛症候群の診断済み有病患者数
8.3 米国における種類別の膀胱痛症候群患者数
8.4 米国における性別別の膀胱痛症候群患者数
8.5 米国における年齢別の膀胱痛症候群患者数
09
疫学状況および予測:英国(2019年~2035年)
9.1 英国における前提条件および根拠
9.2 英国における膀胱痛症候群の診断済み有病患者数
9.3 英国における種類別の膀胱痛症候群患者数
9.4 英国における性別別の膀胱痛症候群患者数
9.5 英国における年齢別の膀胱痛症候群患者数
10
疫学状況および予測:ドイツ(2019年~2035年)
10.1 ドイツにおける前提条件および根拠
10.2 ドイツにおける膀胱痛症候群の診断済み有病患者数
10.3 ドイツにおける種類別の膀胱痛症候群患者数
10.4 ドイツにおける性別別の膀胱痛症候群患者数
10.5 ドイツにおける年齢別の膀胱痛症候群患者数
11
疫学状況および予測:フランス(2019年~2035年)
11.1 フランスにおける前提条件および根拠
11.2 フランスにおける膀胱痛症候群の診断済み有病患者数
11.3 フランスにおける種類別の膀胱痛症候群患者数
11.4 フランスにおける性別別の膀胱痛症候群患者数
11.5 フランスにおける年齢別の膀胱痛症候群患者数
12
疫学状況および予測:イタリア(2019年~2035年)
12.1 イタリアにおける前提条件および根拠
12.2 イタリアにおける膀胱痛症候群の診断済み有病患者数
12.3 イタリアにおける種類別の膀胱痛症候群患者数
12.4 イタリアにおける性別別の膀胱痛症候群患者数
12.5 イタリアにおける年齢別の膀胱痛症候群患者数
13
疫学状況および予測:スペイン(2019年~2035年)
13.1 スペインにおける前提条件および根拠
13.2 スペインにおける膀胱痛症候群の診断済み有病患者数
13.3 スペインにおける種類別の膀胱痛症候群患者数
13.4 スペインにおける性別別の膀胱痛症候群患者数
13.5 スペインにおける年齢別の膀胱痛症候群患者数
14
疫学状況および予測:日本(2019年~2035年)
14.1 日本における前提条件および根拠
14.2 日本における膀胱痛症候群の診断済み有病患者数
14.3 日本における種類別の膀胱痛症候群患者数
14.4 日本における性別別の膀胱痛症候群患者数
14.5 日本における年齢別の膀胱痛症候群患者数
15
疫学状況および予測:インド(2019年~2035年)
15.1 インドにおける前提条件および根拠
15.2 インドにおける膀胱痛症候群の診断済み有病患者数
15.3 インドにおける種類別の膀胱痛症候群患者数
15.4 インドにおける性別別の膀胱痛症候群患者数
15.5 インドにおける年齢別の膀胱痛症候群患者数
16
患者経路
17
治療課題および未充足ニーズ
18
キーオピニオンリーダー(KOL)による洞察
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