“鉄砲節”が世界へ!河内音頭の革命児・鉄砲光三郎の秘蔵音源32曲が待望のデジタル配信スタート
日本の伝統芸能「河内音頭」に革命をもたらした伝説の音頭取り、鉄砲光三郎。彼の至高の芸を網羅した珠玉の音源が、ついにデジタル配信で蘇りました。
この度デジタル配信がスタートしたのは、2003年に発売され現在は入手困難となっていた6枚組CD『秘蔵 鉄砲節河内音頭大全集』に収録されている全32曲。ファン垂涎の貴重な音源が、サブスクリプションサービスやダウンロード配信によって、国内だけでなく世界中いつでも気軽に楽しめるようになりました。
鉄砲光三郎は、1960年代にそれまでの伝統的な河内音頭の枠組みを打ち破り、現代的なリズムやエレキギターなどの楽器をいち早く導入。そのモダンで躍動感あふれるスタイルは、当時、日本中に一大センセーションを巻き起こしました。
今回の配信ラインナップには、彼の代名詞であり十八番ともいえる「河内十人斬り」や「王将物語」を収録。さらに、ファンにとっては文字通り“秘蔵”といえる「大楠公」など、鉄砲節ならではの浪曲や歌謡曲的アプローチが光る名演がズラリと並び、単なる民謡の枠に収まらない、ドラマチックでソウルフルな「鉄砲節」の世界を心ゆくまで堪能できる内容となっています。
このデジタル化に際し、鉄砲光三郎とも縁の深い作詞家・もず唱平氏が手記を寄せました。
●河内音頭と鉄砲光三郎について(もず唱平)
一般に流布する「河内音頭」は文字通り河内地域で歌い踊られる大衆芸能の一つと捉えられるが、この名称は誠に曖昧である。より正確を期するならば河内地方(北河内・中河内・南河内)で歌われてきた村々に残る音頭の総称で、昭和期の中頃まで固有の芸能ジャンル名でなかった。
小生の幼年期、 ‟交野節„はかって交野ヶ原と呼ばれた現在の枚方市、交野市の地域で歌い踊られた伝承芸能である。
河内音頭の最初のスターは‟歌亀„と聞いている。伝説のように伝えられている名人で、今の門真あたりでこの節を‟歌亀節„として伝承しているグループがある。ほぼ30年も昔の記憶であるが、五代目がおられた筈。
中河内には、‟流し音頭„ ‟恩智音頭„ ‟平音頭„があり、南河内には‟切り音頭„がある。この‟切り音頭„には岩井梅吉が得意にした‟河内十人斬り„があり、小生は最晩節の彼の音頭を聴いている。
‟河内十人斬り„は音頭取り必須のネタで何百人もが歌ってきた。小生にも独自取材による創作がある。中でも一世風靡したとでも言うべき人気者になった鉄砲光三郎にも彼の作による同名音頭がある。戦後10年頃の事かと思う。小生が中学生の頃に鉄砲節は河内音頭の代名詞のようにもてはやされた。しかし幼い頃に北河内で聴いた音頭とは世界観が違っていた。明らかにリズム感が異なる。我々若者は鉄砲マンボと呼んだ。
この頃には雨後の筍のように独自の屋号を持って‟現代河内音頭„とでも称せられる先行世代と異なる音楽シーンが登場した。
そのうちの初音家(中村美律子はこの一門から誕生した天才音頭取り)があり、 三音家からは三音英次が歌い手としてテイチクからデビューした。会主の浅丸は小生の紹介で何枚かテイチクで音頭をリリースしている。
ほかに何人も一門を率いる音頭取りがいる。その中で少し遅れてスターとなったのが河内家菊水丸。小生らは、これらの音頭を‟現代河内音頭„と称している。勿論先に述べた戦前の音頭を‟伝承河内音頭„と呼ぶことにしているが、これは民謡研究家の右田伊左雄先生を中心に、つい半世紀ほど前に我々が比定した呼称で、民謡世界で確立したものではない。
さて、音頭を歌世界でのコンテンツとしてのみ語ると大きな齟齬を来す。踊りがあって初めて成立する世界だからだ。つまり‟身体性„を無視しては語れない。こうなると鉄砲光三郎なしでは論を展開出来ない。
河内音頭の原風景には踊りがつきものといったが、鉄砲光三郎の登場で盆踊りの風景が様変わりしたのだ。それまでは櫓(やぐら)を中心に、まず手踊り。高齢者がゆっくり櫓を回り、その次の輪が河内音頭の定番、マメカチ。そこまでが定番。しかし、その外側が様変わりした。若者がハネ飛んで踊り出したのだ。みんなが‟鉄砲マンボ„と呼んだ。
私の幼年期、鉄砲光三郎は河内ビートルズ的な存在であった。
その後、いつのことだったか記憶が定かでないが、「ラジオ大阪」が取り上げ‟鉄砲十三夜„と称し、春から文字通り13回放送されたことで一気に鉄砲節はフィーバーしたように思う。鉄砲光三郎は俄かに東京からお呼びが掛かる劇場公演のスターとなった。
■プロフィール
1938年8月8日生まれ。大阪出身。
19歳の時、詩人・英文学者の喜志邦三氏に師事。
その後、松竹新喜劇文芸部で演出助手として演劇修業。
1967年から民間放送局でホームソング、TV、映画のテーマソングなどの制作に関わり歌作りをはじめる。
デビュー作は「釜ヶ崎人情」(1967年)。代表作に「花街の母」(1973年レコード大賞ロングセラー賞受賞)、「はぐれコキリコ」(2002年藤田まさと賞受賞)がある。
2017年、日本レコード大賞功労賞受賞。
この間、プロデューサーとして国際的な音楽祭、コンサートの企画・制作に携わる。
また大阪芸術大学・芸術計画学科(教授)で教鞭をとり、主に大衆音楽概論と大衆音楽コンテンツ創出についての演習を担当した。
<配信作品>
秘蔵 鉄砲節河内音頭大全集

1、河内十人斬り/鉄砲 光三郎
2、続・河内十人斬り/鉄砲 光三郎
3、河内十人斬り(地の巻・兄妹の別れ)/鉄砲 光三郎/テイチク合唱団
4、金剛山の最後/鉄砲 光三郎/テイチク合唱団
5、新王将物語 若き日の坂田三吉/鉄砲 光三郎/テイチク合唱団
6、涙の王将物語/鉄砲 光三郎
7、将棋の鬼/鉄砲 光三郎
8、沓掛時次郎/鉄砲 光三郎/テイチク合唱団
9、男の魂/鉄砲 光三郎
10、幡随院長兵衛/鉄砲 光三郎
11、お富与三郎/鉄砲 光三郎/テイチク合唱団
12、鉄熊/鉄砲 光三郎/テイチク合唱団
13、大楠公/鉄砲 光三郎
14、神崎東下り/鉄砲 光三郎
15、鉄砲節蜜柑船/鉄砲 光三郎
16、悲恋斉太郎節/鉄砲 光三郎
17、忠治涙の子守唄/鉄砲 光三郎
18、民謡鉄砲節/鉄砲 光三郎
19、河内十人斬り(歌謡曲編)/鉄砲 光三郎
20、悪名一代/鉄砲 光三郎
21、殺陣師段平/鉄砲 光三郎
22、勝負師/鉄砲 光三郎
23、激流/鉄砲 光三郎
24、月夜の渡り鳥/鉄砲 光三郎
25、飛びっちょ三度笠/鉄砲 光三郎
26、男じゃないか/鉄砲 光三郎
27、のぼり竜/鉄砲 光三郎
28、やくざ一代/鉄砲 光三郎
29、王将物語/鉄砲 光三郎
30、男一代/鉄砲 光三郎
31、河内の暴れん坊/鉄砲 光三郎
32、明治偉人伝 五代友厚/鉄砲 光三郎
















