日本事務器、東京大学、沼津中央青果が 「fudoloop」を用いた共同研究で 卸売市場DXによる価格変動の抑制・出荷量の向上を実証

    ~ 第2期は須崎青果を加え、労働コスト削減と買参人拡大の検証へ ~

    企業動向
    2026年5月14日 09:00

    日本事務器株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:田中 啓一、以下「NJC」)は、国立大学法人 東京大学 大学院農学生命科学研究科 農業・資源経済学専攻(東京都文京区、准教授:中谷 朋昭(現:日本大学 生物資源科学部 教授)、以下「東京大学 農業・資源経済学専攻」)、および沼津中央青果株式会社(本社:静岡県沼津市、代表取締役社長:雨宮 主、以下「沼津中央青果」)と、2024年9月より共同研究をしている卸売市場取引のデジタルトランスフォーメーション(DX)に関して、第1期研究結果を発表しました。


    本研究では、農家と市場・青果流通事業者を情報でつなぐ業務改善アプリ「fudoloop(フードループ)」を導入した沼津中央青果の実績を基に、東京大学 農業・資源経済学専攻の研究力とNJCのノウハウとのシナジーによって卸売市場取引のDXに関する研究の進展を目指しました。



    ■ 第1期共同研究の概要及び成果

    第1期の研究では、fudoloopの活用が、個々の出荷者の取引価格、出荷量に与える影響を定量的に把握することを目的とし実施しました。


    1. 期間:2024年9月1日~2026年3月31日


    2. 共同研究名:「卸売市場取引のデジタルトランスフォーメーションに関する調査研究」


    3. 研究統括代表者:東京大学 農業・資源経済学専攻 准教授 中谷 朋昭(現:日本大学 生物資源科学部 教授)


    4. 実施場所:東京大学 農業・資源経済学専攻


    5. 研究内容:

    (1) 卸売市場関係者への聞き取り調査等による青果物流通の業務フロー把握と課題析出

    (2) 卸売市場におけるDXの態様把握

    (3) DX化により可能となる新たなタイプのデータ収集

    (4) データ解析を通じたDX化の効果分析


    6. 役割:

    ・東京大学 農業・資源経済学専攻:実態調査とデータ収集および統計解析によるDXの効果分析

    ・沼津中央青果、NJC:調査対応およびデータ提供


    7. 研究成果:

    沼津中央青果の「ほうれん草」と「いちご」の取引履歴データを用い、生産者をfudoloopの「利用者」と「非利用者」に分類。月単位の平均単価や年間出荷量の推移を可視化、利用者の導入前後における平均値や変動係数の統計的手法(Welchのt検定、F検定)を用い比較・解析いたしました。

    解析の結果、fudoloop利用者は、非利用者と比較して平均価格・出荷量が高まる傾向を確認。品目別の特徴では、ほうれん草は出荷量の増加と価格変動の縮小(安定化)が見られ、いちごでは価格水準の上昇が見られました。


    fudoloop利用による取引価格と数量の差

    fudoloop利用による取引価格と数量の差


    出典:松本 百永・中谷 朋昭(2026)「卸売市場における情報共有のデジタル化-取引価格と出荷量に関する数量分析-」、フードシステム研究、32巻4号、pp. 265-270. <卸売市場における情報共有のデジタル化-取引価格と出荷量に関する数量分析->。なお、研究結果の収録は、日本フードシステム学会より、論文内容の利用に関する許可(2026年4月24日付)を取得の上、掲載。



    ■ 今後の展望

    今回の研究結果を踏まえ、2026年4月より新たに株式会社須崎青果(本社:高知県須崎市、代表取締役社長:市川 義人、以下「須崎青果」)を加えた4者体制で、第2期共同研究を開始。農業・資源経済学専攻に所属する学生と協働しながら、「労働コストへの影響」や「買参人群の拡大」といった、卸売市場の経営に直結する切実な課題に対し、DXの効果を多角的に検証いたします。


    1. 期間:2026年4月1日~2027年3月31日まで


    2. 共同研究名:卸売市場におけるデジタル化推進に関わる調査研究


    3. 研究統括代表者:東京大学 農業・資源経済学専攻 助教 佐野 友紀


    4. 実施場所:東京大学 農業・資源経済学専攻


    5. 研究内容:

    (1) 卸売市場取引に関わる業務フローの実態調査

    (2) DXにより収集された取引データの整理

    (3) 統計解析の手法を用いたDXの効果分析

    (4) 利用農家への聞き取り調査(生産者側のfudoloopのメリット 等)


    6. 役割:

    ・東京大学 農業・資源経済学専攻:研究統括および実態調査・データ解析

    ・沼津中央青果、須崎青果、NJC:調査対応およびデータ提供



    ■ 本研究に対するコメント

    ▽東京大学 農業・資源経済学専攻 准教授 中谷 朋昭(現・日本大学教授)

    農業のデジタルトランスフォーメーションは、生産から流通、小売の段階まで、広範に進められています。本研究は、流通の要である卸売市場における情報共有のデジタル化の効果に着目して、日本事務器様、沼津中央青果様と共同で解析を進めてきました。

    情報共有のデジタル化がもたらす恩恵は、労働時間の短縮、情報伝達や蓄積・保管コストの削減だけでなく、情報共有に関わる心理的負担の軽減なども含まれます。しかし、これらの効果を正確に取り出すことは難しいため、市場に出荷される農産物(ほうれん草といちご)の市場価格と出荷量に焦点を絞り、価格や出荷量への影響と、その安定性について分析を行いました。

    結果は、価格や出荷量の上昇があったと判断できましたが、安定性については一様な結果を得ることができませんでした。fudoloopを導入した結果、価格や数量の水準やその安定性に変化が生じたかを厳密に評価するには、統計的因果推論と呼ばれる方法を用いる必要があります。本研究では、データの制約上、この方法が取れなかったため、fudoloopの利用有無に関する2群比較にとどまっています。第2期の研究では、統計的因果推論の手法を用いたり、価格や出荷量以外の変量に着目した分析が期待されます。


    ▽沼津中央青果株式会社 専務取締役 丹藤 松年

    第1期の研究を通じて、私たちが現場で感じていたfudoloopの手応えが、確かなデータとして実証されたことを大変嬉しく思います。 第2期研究で私たちが最も期待しているのは、入荷という「入口」の分析から、買参人様への販売という「出口」の分析にまで踏み込んでいただける点です。市場の日常業務において、日々の作物の提案や最適な振り分けは、担当者の「勘と経験」という暗黙知によって支えられてきました。 今回の検証でこれらのノウハウが「見える化(形式知化)」されることは、業務の属人化を解消し、次世代へ技術を継承するための大きな一歩となります。データに基づいた確かな提案力で、卸売市場の新たな価値を創造していきたいと考えています。


    ▽株式会社須崎青果 代表取締役社長 市川 義人

    私たち須崎青果は、「作る人と食べる人の架け橋となる」という理念を掲げ、高知県産農産物の安定供給と地域農業の発展に努めてまいりました。

    今回の4者間による共同研究は、さまざまな現場の課題に対して「データの力」でソリューションを提示する非常に意義深い挑戦であると考えており、持続可能な市場運営に欠かせない要素でもあると考えています。

    デジタル技術の導入によって、現場で働く人々が「疲弊しない」環境をつくり、同時に生産者さん(農家さん)の所得向上に寄与する。この「元気な畑のごちそうグループ」が目指す新しい農業流通の形を、本研究を通じて実証し、関わるすべての人々に「笑顔」を届けていきたいと考えています。


    ▽日本事務器株式会社 事業戦略本部 食産業ソリューション担当 担当部長 高松 克彦

    第1期共同研究により、fudoloopが取引価格や出荷量の向上に良好な傾向が示唆され、食産業の持続可能性に貢献できる確かな手応えを得ることができました。第2期研究では新たに須崎青果様を迎え、買参人群の拡大や労働コストなど、より多角的な検証を行います。私たちはこの実証データと現場の声をプロダクトの進化へとつなげ、持続可能な食のサプライチェーン構築に近づけるため研究を推進してまいります。



    ■ 6月4日(木) 共同検証報告会(ウェビナー)開催のご案内

    本研究の成果を詳しく報告する「検証報告会(ウェビナー)」を2026年6月4日(木)に開催いたします。全国の卸売市場の経営層や実務担当者の皆様に向け、DXによる具体的な成果を公開します。参加をご希望の方は下記リンクよりお申込みをお待ちしております。

    URL: https://fudoloop.njc.co.jp/news/seminar_20260604/



    ■ サービス・団体・企業の概要

    ▽fudoloopについて

    fudoloopは、食産業の持続可能な社会を支援するサービスとして、2019年に青果流通事業者様並びに生産者様向けに提供開始いたしました。提供開始以来、13,000人(2026年3月末現在)を超える生産者様にご利用いただいております。

    詳細情報: https://fudoloop.njc.co.jp/lp/


    ▽国立大学法人 東京大学 大学院農学生命科学研究科 農業・資源経済学専攻について

    本専攻では、農業や資源を広く経済の中で位置づけ、農業・食料・資源・開発等に関わる国内外の諸問題を社会科学的に分析しています。日本の卸売市場を主な対象として、「持続可能な食のサプライチェーンに向けた仲介者(卸売・流通業者)の役割」をテーマに研究を行っています。


    ▽沼津中央青果株式会社について

    静岡県東部(沼津市)の青果物を取り扱う地方卸売市場です。静岡県産農産物の価値を上げるために、県内全域から独自のネットワークで青果物を集荷しています。大規模な低温卸売場を備え、集荷荷受から販売まで一貫したコールドチェーンシステムによって、「食のインフラ」であり続けるために、従来の市場の枠を超えた「新時代の市場」を目指しています。


    会社名  : 沼津中央青果株式会社

    代表者  : 代表取締役社長 雨宮 主

    設立   : 1932年4月

    取引高  : 103億円(2025年度12月期)

    従業員数 : 72名

    主要販売先: 量販店・スーパー、小売業者、業務・加工筋、EC関連

    URL    : https://numachu.com/


    ▽株式会社須崎青果について

    高知県西部地方卸売市場の運営を担い、県下全域の取引農家から青果物の集荷を行う企業です。また、取引農家への包装作業サービスや農業経営のサポートも行い、作る人(農家さん)に寄り添い「笑顔」を作るコーディネーターを目指しています。

    高品質な高知県産農産物を安定供給するだけでなく、規格外野菜を活用した「もったいなす」や「もったいくき(みょうがの茎)」などフードロス削減の社会課題にも果敢に挑戦しています。近年はデータと現場を掛け合わせた新しい流通の形をつくることで、持続可能な地域農業へ貢献しています。


    会社名  : 株式会社須崎青果

    代表者  : 代表取締役社長 市川 義人

    設立   : 1958年12月

    取引高  : 85億円(2025年3月期)

    従業員数 : 35名

    主要販売先: 仲卸、買参人

    URL    : https://www.genkibatake.co.jp/susaki/


    ▽日本事務器株式会社について

    NJCは、2024年に創業100周年を迎えました。1924年に日本事務器商会として創業し、キャビネット、タイプライタ、タイムレコーダ、貨幣計数器などの企業向け輸入事務機器の取り扱いから事業をスタートしています。現在はヘルスケア(医療・健診・介護)、民間企業、文教・公共など、全国各地域の様々な業種・業態のお客様に向け、業務システムや情報系ソリューションなどの多彩なICTソリューションを提供し、お客様の事業推進をサポートしています。


    会社名  : 日本事務器株式会社

    代表者  : 代表取締役社長 田中 啓一

    創業   : 1924年2月

    従業員数 : 844名(NJCグループ 1,185名)[2025年3月期]

    事業内容 : トータルソリューションサービスの提供(コンサルティング、

           情報システム開発、情報システムの運用と保守)

    本社所在地: 東京都渋谷区本町三丁目12番1号 住友不動産西新宿ビル6号館

    URL    : https://www.njc.co.jp/



    ※ 「fudoloop」は、日本事務器株式会社の商標または登録商標です。

    ※ 本資料中の他社製品およびその他記載されている会社名・製品名は、各社の商標または登録商標です。

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