NTTコミュニケ―ションズ株式会社、SOINN株式会社のロゴ

    NTTコミュニケ―ションズ株式会社、SOINN株式会社

    クラウド上のAI(人工知能)でIoT関連ビッグデータを迅速に精製・分析する 「CLARA with SOINN」(仮称)を開発

    ~屋内での位置情報検出に応用し、発生誤差を従来の1/5に縮小~

     NTTコミュニケーションズ株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:有馬 彰、以下:NTT Com)と、SOINN(ソイン)株式会社(本社:東京都小平市、代表取締役:長谷川 修、以下:SOINN社)は、自律的に学習できる汎用型のAI(*1)「SOINN」を用いて、IoT(Internet of Things)(*2)の機器が収集する膨大なデータの中から、自律的にノイズ(不要な情報や異常値など)を取り除いたうえで、法則性や因果関係を発見する「CLARA with SOINN」(CLoud based AI for Recognition and Analysis)を開発しNTT Comクラウド上で活用する基盤を確立しました。

    今後の活用イメージ
     本基盤を用いて、これまで正確な測位が困難だった、屋内における高精度な位置測位技術を実現しました。屋内で利用中のスマートフォンからクラウド上のAI「SOINN」に送信される、接続中のWi-FiとBLE(Bluetooth Low Energy(*3))の電波強度データを分析し、誤差を約1メートルの範囲に収める正確な現在地の測定に成功しました。


    1.背景・概要
     ネットワークに接続された多数の機器(センサー)が収集した膨大なデータから、特定の兆候を読み取り、機器に対してその兆候に対応した調整を行うことで、高度に自動化されたサービスや事業を目指すIoTは、様々な業種で具体的な導入が進んでいます。例えば、工場における製作機械の詳細な稼働状況ログから、故障の兆候を読み取り事前に必要なメンテナンスを行うことで生産性や製品品質の向上につなげる、といった活用が考えられます。
     ビッグデータを活用したIoT実現のためには、収集データの(1)ノイズの除去、(2)兆候の検知をいかに高精度に、かつ高効率で(人手を省いて)実行できるかがポイントとなります。
     AI「SOINN」は、データのノイズを自ら判別できるほか、専門家が事前に兆候が起きるルールを設定しなくても、自律的に兆候を発見し、かつその定義をアップデートする高度な自律学習が可能です。
     NTT ComとSOINN社は、この特長を、機器から収集したIoTのビッグデータに適用できるクラウド基盤を開発しました。

    <今後の活用イメージ>
    http://www.atpress.ne.jp/releases/59574/img_59574_1.png


    2.応用事例「高精度屋内測位技術」について
     屋外での位置測定技術としては、GPSや準天頂衛星などによる技術が確立されていますが、それらの電波が届かない屋内の場合、精度の高い測位ができないという課題があります。
     このような課題を、Wi-FiやBLEのデータと「CLARA with SOINN」(仮称)によって解決するのが「高精度屋内測位技術」です。
     また分析を行うAIはクラウド上にあるため、利用者は特別なインフラや装置を必要とせず、スマートフォンのみで手軽に利用することができます。このため本技術は、店舗内にいる利用者の位置情報を活用するO2Oビジネスや、2020年に向けて増加が予想される観光者をナビゲーションするサービスなどへも応用することが可能です。


    3.高精度屋内測位の技術
     屋内における測位は、Wi-Fi親機やBLE送信機から送信される電波強度に基づいて位置を割り出します。しかし、電波干渉や周囲の環境などにより電波は不安定になるため、通常数メートルから数十メートルの誤差が発生します。
     本技術では、膨大かつノイズが混じった電波強度(電波の反射などで電波強度が一定ではなくゆらぎがある状態)の情報をクラウドに収集し、(1)ノイズを自動的に除去すると同時に、(2)電波強度と位置の関係性を自動的に学習して発見します。
     屋内にいる利用者のスマートフォンは、現在地のWi-FiとBLEの電波強度をクラウド上にある「SOINN」に送信するだけで、学習モデルを基に予測した測位結果を受信することができます。この仕組みを開発したことで、測位の誤差を平均で1メートル程度と、従来の1/5に抑えることに成功しました。
     また一般に、スマートフォンのOSや搭載されているWi-Fi/BLEのチップなどの違い、さらに周囲の状況(人や物の有無など)変化も精度を低くする要因となりますが、「SOINN」はこれらの要因に対しても、自動で適応し、新たな学習モデルを生成することで精度の高さを維持することが可能です。

    [詳細は別紙参照]
    http://www.atpress.ne.jp/releases/59574/att_59574_1.pdf


    3.今後の展開
     今後は、多様なIoT端末から収集されたセンサーデータ、映像/画像データ、端末ログ等に対象範囲を広げて、AIを活用した技術開発を進め、IoTとクラウドの融合を図っていきます。
     「CLARA with SOINN」(仮称)は、IoTの活用を支える汎用性の高い技術です。クラウド上に収集される様々なIoTデータに対して応用することで、サービスや事業の高度な自動化をより広範なビジネス領域に広げていきます(*4)。また、この仕組みをNTT Comクラウド上のAPIとして提供することにより、多様なコラボレーションを創出することを目指していきます。


    <参考:「SOINN」について>
     「SOINN(Self-Organizing Incremental Neural Network:自己増殖型ニューラルネットワーク)」は、東工大長谷川修研究室が開発した人工知能技術で、「教師」となる専門技術者がいなくてもオンラインからの自律的な追加学習が可能です。
     非定常(動的に形状が変化)かつ複雑な形状を持つデータ分布に対して、ネットワーク(学習モデル)を自己組織的に形成し、適切なクラス数(分類)とデータ分布の位相関係を出力することができます。従来の学習手法では専門の技術者が人手で学習モデルを設計する必要がありますが、「SOINN」は事前知識が不要で入力データのみからノイズを自動判別し自分自身で学習モデルを作り、さらにオンライン(リアルタイム)で逐次学習することにより状況に合わせて学習モデルを自動変化させることができます。そのため、ノイズを含むデータが継続的に発生しデータ分布が変化することが多い実世界のデータ(IoTのセンサデータなど)に対して、複雑な関係性を抽出する処理に有効です。


    *1:人間が脳で行っている知的な作業をコンピュータで模倣したソフトウェアやシステム。
    *2:コンピュータなどの情報・通信機器だけでなく、世の中に存在する様々なモノに通信機能を持たせ、インターネット/クラウドに接続され、相互に通信・制御する仕組み。
    *3:近距離無線規格の「Bluetooth」の拡張仕様の1つで、極低電力で通信が可能なもの。
    *4:ビルにおける消費電力の最適化、インフラ設備における機器故障の予測、工場における不良品の自動検知などのほか、様々な領域への応用が想定されます。

    シェア
    FacebookTwitterLine

    配信企業へのお問い合わせ

    取材依頼・商品に対するお問い合わせはこちら。
    プレスリリース配信企業に直接連絡できます。

    NTTコミュニケ―ションズ株式会社、SOINN株式会社

    NTTコミュニケ―ションズ株式会社、SOINN株式会社