石川県能登で「NTNを活用したダム管理DXの高度化実証」を実施
“空飛ぶ通信基地局”HAPSの活用を想定したインフラ設備の遠隔点検ユースケースの創出
NTTドコモビジネス株式会社(旧 NTTコミュニケーションズ株式会社、本社:東京都千代田区、代表取締役社長 小島 克重、以下 NTTドコモビジネス)と株式会社ミライト・ワン(本社:東京都江東区、代表取締役社長 菅原 英宗、以下 ミライト・ワン)と国際航業株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役社長 藤原 協、以下 国際航業)の3社は、“空飛ぶ通信基地局”HAPS※1の活用によるユースケース創出を目的として、石川県管理の小屋ダム(石川県珠洲市)をフィールドに、ダム堤体の変位や貯水池周辺設備のひび割れ等を非地上系ネットワークNTN※2を用いて遠隔点検するダム管理DX手法の開発実証(以下 本実証)を実施しました。
1.本実証の背景
本実証は、NTTドコモグループが石川県と2024年11月26日に締結した「災害からの復興・地域活性のための包括的連携協定※3」に基づく取り組みで発足した「能登HAPSパートナープログラム※4」(以下 本プログラム)の一環で実施しました。本プログラムは、山間部や災害時でも ”つながるネットワーク” であるHAPSや衛星通信といった、NTNを活用したソリューション開発をめざすもので、第一弾の取り組みとして本プログラムに参画する3社の事業共創で実現しました。
2.本実証の概要
能登半島地震では、通信基地局の被災による広範な通信途絶、および山間部の不感地帯に位置するダムなどの重要インフラ施設の被災状況を迅速に把握することの困難さが喫緊の課題として顕在化しました。この課題に対応するため、本実証では、NTTドコモビジネスが提供する「Starlink Business」および「Skydio 2+ドローン」、ミライト・ワンの「自営無線Wi-Fi HaLow」・「AIカメラ」および国際航業のGNSS※5自動変位計測サービス「shamen-net」を組み合わせました。
特に、shamen-netが持つ最高約1~2mmの変位を24時間365日遠隔で監視する高精度なGNSS計測解析技術と、NTNの災害時にも途切れない通信環境を融合することで、アクセス困難なダム施設の点検および平常時の維持管理の高度化・省人化に大きく貢献するダム管理DX手法の有効性を確立しました。
3.本実証における各社の役割
・NTTドコモビジネス:Starlink Businessによる衛星通信の提供、Skydio2+ドローンによるダムの遠隔監視
・国際航業:GNSS計測センサによる変位監視、ドローン取得画像のAI判読
・ミライト・ワン:自営無線Wi-Fi HaLowの構築、人物検知AIカメラ
<取り組みイメージ>

<shaman-net(GNSSセンサ)計測イメージ>

<点群データ生成>

<ドローンから取得した画像のAI判読>

<AIカメラでの人物検知>

4.今後の取り組み
本実証で得られた知見と成果は、能登地域等の山間部における通信の確保と地域インフラの維持管理高度化に貢献するだけでなく、総務省が推進する「デジタルインフラ整備計画2030」がめざす、通信インフラの強靭化やHAPSの社会実装に資するものです。
今後3社は、本実証で確立したダム管理DX手法に地上からのセンシングとして「監視カメラ」、宇宙からのセンシングとして「SAR衛星(合成開口レーダ)※6」を加えた次世代通信を活用したインフラモニタリングサービスをパッケージ化して、社会実装を加速させます。これにより、全国的なインフラ維持管理の高度化・省人化を実現する共同事業展開を進めていきます。
(インフラモニタリングイメージ)

※1:HAPSとは、High Altitude Platform Stationの略称であり、地上から約20kmの成層圏に滞空する無人航空機などを活用し、広域に無線通信サービスを提供するシステムです。
※2:NTN(非地上系ネットワーク)とは、Non-Terrestrial Networkの略称であり、人工衛星や無人航空機(ドローン)などを活用して、地上以外から広範囲にネットワークを提供する技術です。
※3:「災害からの復興・地域活性のための包括的連携協定」とは、石川県とNTTドコモグループとの包括連携に関する協定です。連携・協定事項は下記となります。
1.災害からの着実な復旧に向けた被災地支援や被災者に寄り添った情報発信に関すること
2.防災DXの実現に向けた石川県内での先進的な取り組みの推進に関すること
3.平時・有事の別を問わない通信環境の強化に関すること
4.その他、本目的を達成するために必要と双方が考えること
※4:「能登HAPSパートナープログラム」とは、HAPSの特徴である「スマホやIoT機器との直接通信・高速大容量・低遅延」を活かしたビジネスモデルやソリューションの検討、実証実験を行い、2028年度以降に予定している石川県でのHAPS商用飛行時に、検討したソリューションを実装し、通信強靭化や産業振興に貢献することを目的としたプログラムです。
※5:GNSSとは、人工衛星から発信される信号を用いて自己位置などの測位を行う技術です。
※6:SAR衛星(合成開口レーダー)とは、地球の表面情報を画像化するリモートセンシング衛星です。

















