能登震災の地で「生きる場所」を取り戻す—訪問看護ステーション歩来、志賀町に開設
株式会社歩来(所在地:石川県羽咋郡志賀町高浜町ネ-116-2、代表:平山彩七)は、2025年9月に地震被災地・能登半島の志賀町に訪問看護ステーション「ホームケアステーション歩来(あるく)」を開設しました。2025年元日に発生した能登半島地震で深刻な被害を受けた地域において、「安心して生きる場所を取り戻す」を理念に、新生児から終末期までの幅広いケアを提供しています。
震災後の地域課題と創業の原点
能登半島地震から10か月が経過した現在、被災地では住み慣れた家を失い、住民の流出が加速しています。特に医療・介護の人材不足は深刻で、「家で暮らしたい」「この土地で生きたい」という地域住民の願いを支える体制が崩壊の危機にあります。
平山代表は「震災後、避難所では高齢に伴う疾患を抱える方々や医療的ケアが必要な方々が適切なサポートを受けられない状況を目の当たりにしました。『どこも行きたくない。ここにおいて だめか?』という高齢者の言葉に胸を打たれ、看護師として何ができるかを考え続けた末の決断でした」と創業の背景を語ります。
介護医療院で6年半にわたり慢性期看護や終末期看護に携わってきた経験をもとに、「この能登の地で医療と生活をつなぐ架け橋になりたい」という思いから訪問看護という形で立ち上がりました。
「歩来」の理念と特色ある事業展開
「歩来」という社名には、「一歩一歩踏み出すその歩みが、この先の未来を幸せにするものであってほしい」という願いが込められています。平山代表の愛犬の名前でもあるこの名称には、すべての人の人生の歩みを大切にしたいという思いが表現されています。
同社の特色は以下の点にあります。
- 幅広い対応領域: 新生児から終末期まで、すべてのライフステージに対応する訪問看護を目指し、スタッフのスキルアップに注力しています。
- 自費サービスの拡充: 公的保険だけでは対応できないニーズに応えるため、通院同行や生活支援送迎など、独自のサービスメニューを開発中です。
- 地域との連携強化: 健康教室や講話会の開催、災害時支援体制の整備など、医療だけでなく地域全体の安心を支える活動を推進しています。
「震災後、『どんなことを頼めるのか分からない』と不安に感じている方がたくさんいらっしゃいます。私たちはもっと、地域の皆さんに頼ってもらえる存在になりたい」と平山代表は語ります。
現在、同社ではスキルアップのための研修や、地域ニーズに応えるための設備投資を進めており、クラウドファンディングを通じた支援も募集しています。また将来的には、地域に根ざしたナーシングホームの建設も視野に入れています。
能登の未来を見据えた長期ビジョン
「能登は優しや土までも」という言葉を胸に、訪問看護を通じて地域再生に取り組む同社。平山代表は「医療だけではなく、人が人を想う気持ちこそが地域を支えている」と強調します。
少子高齢化や老老介護、ヤングケアラーといった地域課題に加え、震災による人口流出という危機に直面する能登において、「能登に"安心して生きる場所"を取り戻す」という理念は、地域社会の再構築に不可欠な視点といえるでしょう。
訪問看護ステーション開設から約2か月。地域からの信頼を少しずつ得ながら、「一人でも多くの方に『ここで暮らしてよかった』『ここで生活したい』と思っていただけるように」と、スタッフ一同が地域に寄り添う活動を続けています。
会社概要
- 会社名:株式会社歩来
- 所在地:石川県羽咋郡志賀町高浜町ネ-116-2
- 代表者:平山彩七
- 事業内容:訪問看護サービス「ホームケアステーション歩来」の運営
- ホームページ:https://nursingcare-aruku.com/



















