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    GSアライアンス株式会社が水系アルミニウムイオン電池を開発

    開発者の発表論文が、英国王立化学会のEnergy Advancesの表紙に採択

    技術・開発
    2025年11月14日 11:00

    脱炭素、カーボンニュートラル、持続可能な社会構築のための、環境、エネルギー分野の最先端技術を研究開発するGSアライアンス株式会社(代表取締役:森 良平、本社:兵庫県川西市)は、負極にアルミニウム、電解質に水系電解液を用いたアルミニウムイオン電池(二次電池)を開発しました。


    英国王立化学会(Royal Society of Chemistry)出版の学術論文 Energy Advances の表紙に採択されたデザイン

    英国王立化学会(Royal Society of Chemistry)出版の学術論文 Energy Advances の表紙に採択されたデザイン



    ■ポイント

    1.アルミニウムイオン電池は、理論的にはリチウムイオン電池の10倍以上の電池容量を持っています(リチウムイオン電池:200 - 243 Wh/Kg、アルミニウムイオン電池:2980 Ah/Kg)。


    2.資源の高騰、奪い合いの懸念があるリチウムと比較して、負極に用いられているアルミニウムは地球上で最も多くリサイクルされている金属で、さらに地殻中にも資源的に豊富に存在しており、二次電池が安価になりえます。


    3.リチウムと違ってアルミニウムは空気中でも安定で、化学的にも安定で毒性もなく、電解質も不安定な物質は一切使用しておらず、全ての構成材料が安全なので、リチウムイオン電池などのように爆発や燃焼したりする心配がありません。


    4.水系の電解液を用いているので、安全で環境にも優しく、さらに、リチウムイオン電池やイオン液体を用いたアルミニウムイオン電池と比べて、特殊ガス中や極乾燥空気中でもなく、通常の環境で製造することができ、コストダウンにつながります。


    5.このような優れた特徴を持つアルミニウムイオン電池は、まだ電池性能の改良が必要なものの、その将来性の高さから、テスラ社のイーロン・マスク氏も開発しているといわれています。



    ■開発の社会的背景

    人口爆発による気候変動、地球温暖化、森林の消滅、生物種の絶滅、プラスチック汚染などの環境破壊は深刻で、地球温暖化の原因の1つは、メタンやCO2などの温暖化ガスの急増と言われています。ゆえに今後はエネルギーを石油などの化石燃料に依存することが難しく、太陽光発電、風力発電、地熱発電などの再生可能エネルギーで電力を作り、二次電池(蓄電池)で蓄電するのが理想です。しかしながら今後の電気自動車、スマートグリッドの需要に対応していくには、二次電池のさらなる大容量化やコストダウンが必須であり、現在、最も使用されている二次電池であるリチウムイオン電池よりも、さらに高い電池容量を持ち、価格も安い革新的な二次電池の開発が強く望まれています。


    GSアライアンス株式会社(冨士色素株式会社グループ)はこれまで種々の二次電池の研究開発を行っており、アルミニウム空気電池の研究も行っていました。しかしながら、アルミニウム空気電池では、その構造に由来する電解液の蒸発などによる大型化の難しさや、アルミニウムが電解液に溶解後、還元されてアルミニウム金属に戻る反応が不安定で、製品化が困難でした。



    ■研究の内容

    本研究においては負極にアルミニウム、正極に炭素系や酸化物系などの種々の材料を検討、電解質に水系の電解液用いて、アルミニウムイオン電池を試作しました。現時点において、負極アルミニウムの重量に対して、通常の室温大気下、0.025Cの充放電下において初期容量は約52 mAhg-1を示し50サイクルまでの電池容量はほぼ一定でしたが、その後劣化していったので、サイクル特性の向上は今後の課題です。また、電池容量も理論値よりはかなり低いので増やす必要があります。電圧は0.7 - 0.8Vとリチウムイオン電池のそれと比較して低いものの、直列回路を増やすことによって、対応は可能です。これまで多く研究されているアルミニウムイオン電池は、電解質にイオン液体を用いているものが多く、作るのも窒素やアルゴンなどの不活性な特殊ガス中で電池を組み立てる必要があり、リチウムイオン電池よりは安くなるものの大幅なコストダウンは期待できませんでした。今回開発したアルミニウムイオン電池は、水系の電解液を用いているので、通常の大気中で製造することもでき、電極、電解液などの電池の構成材料、製造工程を含めて、リチウムイオン電池は無論のこと、イオン液体を用いているアルミニウムイオン電池よりも圧倒的に安くなる可能性があります。それが一番大きなメリットです。

    電池性能は改良する必要がありますが、これまでの二次電池と比較して、圧倒的に安くなり、不燃性で、安全なので、まずはセンサーなどへの用途が期待できます。


    水性アルミニウムイオン電池の概念

    水性アルミニウムイオン電池の概念



    また、今回の水系電解液を用いるアルミニウムイオン電池の開発者である森良平博士(工学)は、自身の一連の研究を含めた内容を総説にまとめて“Aqueous rechargeable aluminum battery - a mini review”というタイトルで論文を発表し、英国王立化学会(Royal Society of Chemistry)の論文Energy Advancesに受理され、表紙にも採用されました。


    Ryohei Mori, Aqueous rechargeable aluminum battery - a mini review, Energy Adv., 2025, 4, 1321-1336


    論文誌名: Energy Advances(英国王立化学会)

    著者  : Dr. Ryohei Mori(森 良平)

    DOI   : https://doi.org/10.1039/D5YA00148J


    同社としては、研究開発を継続するので、電池性能を改良し、いずれは、EVなどへの応用も目指します。



    【用語説明】

    ◆アルミニウムイオン電池

    アルミニウムイオン電池は、アルミニウムイオンの移動を応用して充放電する蓄電池(二次電池)です。リチウムイオン電池より理論電池容量は高く、代替電池の1つの候補として注目されており、アルミニウムが豊富で安価なため、低コストで大容量のエネルギー貯蔵が可能になると期待されています。サイクル寿命の短さが課題でしたが、近年は性能向上の研究が進んでいます。また電解液に非可燃性のイオン液体や深共晶溶媒、及び水系の電解質を使用できるため、発火のリスクが低く、安全性が高いとされています。理論上、リチウムイオン電池より高速な充電が可能と言われており、1万回以上の充放電サイクルを実現したという報告もあります。



    【会社概要】

    GSアライアンス株式会社(冨士色素株式会社グループ)

    代表者  : 代表取締役 森 良平 博士(工学)

    本社所在地: 〒666-0015 兵庫県川西市小花2-22-11

    事業内容 : 脱炭素、カーボンニュートラルの課題に取り組む環境、エネルギー分野の最先端技術の研究開発

           (国連機関であるUNOPS、WIPO GREEN、UNIDOなどから種々の支援、助成金を受けています)

    URL    : https://www.gsalliance.co.jp/

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