卵の薄皮「卵殻膜」摂取による肝機能改善効果に関する論文がネイ...

卵の薄皮「卵殻膜」摂取による肝機能改善効果に関する論文が ネイチャー・パブリッシング・グループ運営の 電子ジャーナル「Scientific Reports」に掲載

~ 東京大学及びアルマード 産学連携研究成果に関する電子ジャーナル掲載のお知らせ ~

国立大学法人東京大学(本部:東京都文京区、総長:濱田純一、以下 東京大学)と、株式会社アルマード(本社:東京都中野区、代表取締役社長:鈴江 祐未、以下 アルマード)では、2007 年より産学連携によって、卵殻膜摂食による消化吸収に関する研究を行ってきましたが、このたび、本研究成果をまとめた論文が、世界的な総合科学ジャーナル「Nature」を出版する、ネイチャー・パブリッシング・グループ(NGP)が運営する、オープンアクセスの学際的電子ジャーナル「Scientific Reports(http://www.nature.com/scientificreports)」において、2014 年12 月15 日(月)に掲載されましたので、下記の通りお知らせいたします。
今回掲載された論文は、四塩化炭素誘導肝障害モデルラットが、微粉砕された卵の薄皮である「卵殻膜」の摂取により、肝障害の症状が改善され、炎症や肝繊維化形成が抑制されている方向の様々な変化が見られた、という成果に関するものです。

■論文概要
東京大学総括プロジェクト機構・総括寄付講座「食と生命」加藤久典特任教授の研究グループは、四塩化炭素誘導肝障害モデルラットを用いた実験から、微粉砕された卵殻膜(卵の薄皮部分)の摂取により肝障害の症状が改善され、さらに遺伝子レベルでの解析により炎症や肝繊維化形成が抑制される方向の変化が誘導されることを見出しました。そのメカニズムにはPPARγ-Endothelin 1(※)シグナリングにおける調節によると推察されています。四塩化炭素は肝臓に炎症を誘導し、長期間の投与では肝硬変のモデルとして動物実験において広く用いられています。肝臓機能に着目したのは、初期に行った正常ラットにおける遺伝子発現の網羅的解析により、肝線維化抑制に関わる変化が予想されていたためであり、本研究の成果から、従来、産業廃棄物とされていた卵殻膜の機能性を明らかにすることで、新たな機能性食品の創出や産業への貢献が期待できます。
(※…PPARγ:ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γ、Endothelin 1:エンドセリン1)


■社会的意義・今後の予定
卵殻膜は通常可食部とされないので、食品産業においてその大部分が副産物や産業廃棄物として廃棄されており、あまり利用されていないのが現状です。年間7,000 トンあまりの廃棄が試算され、食品産業界では、その利用開発は環境問題などを含めて大きな課題となっています。一方で、卵殻膜は古くから炎症抑制作用を有するということが知られており、本研究ではこの卵殻膜を肝障害モデルラットに給餌し、繊維化形成さらに肝障害を抑制できたことを明らかにしました。ヒトでも同様の効果があるかについては今後の検討課題ですが、ヒトを対象とした試験も準備を進めており、結果を報告できるかと思います。また、他の疾患モデルにおいての検討も順次開始しています。
このように、今後も卵殻膜の有用性についての研究を進めることによって、新たな機能性食品の創出や産業への貢献が期待できます。


■掲載論文について
-掲載論文タイトル :
Eggshell membrane ameliorates hepatic fibrogenesis in human C3A cells and rats through changes in
PPARγ-Endothelin 1 signaling
(日本語訳:卵殻膜がPPARγ-Endothelin 1 シグナリングにおける調節により肝障害を改善する)

-掲載先URL:http://www.nature.com/srep/2014/141215/srep07473/full/srep07473.html

-著者:
Huijuan Jia(賈慧娟、1), Wanping Aw(アウ・ワンピン、2), Kenji Saito(斉藤 憲司、1),Manaka Hanate(花手 愛夏、3),Yukio Hasebe(長谷部由紀夫、4), Hisanori Kato(加藤 久典、1 及び 3、責任著者)
(※1…東京大学 総括プロジェクト機構 総括寄付講座「食と生命」、2…慶應義塾大学先端生命科学研究所、3…東京大学大学院農学生命科学研究所、4…株式会社アルマード)

-掲載媒体概要:
<媒体名> Scientific Reports
<カテゴリー> 一次研究論文を掲載するオープンアクセスの学際的電子ジャーナル
http://www.nature.com/scientificreports
<領域> 自然科学(生物学、化学、物理学、地球科学)のあらゆる領域を対象
<出版元> ネイチャー・パブリッシング・グループ(Nature Publishing Group、NPG)

■本研究プロジェクト概要
【研究責任者】
東京大学 総括プロジェクト機構 総括寄付講座「食と生命」特任教授 加藤 久典
【産学連携企業・株式会社アルマード 会社概要】
-商号 株式会社アルマード
-本店 東京都中野区本町2-48-2
-代表者 代表取締役社長 鈴江 祐未
-設立 2000 年10 月18 日
-資本金 60 百万円
-事業内容 卵殻膜を主要素材とした化粧品、サプリメント等の企画・開発・販売

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