水滴レベルの水漏れを独自技術で検知「バッテリレス漏水センサ」米国・EU市場で発売

    ~ ABLICのエナジーハーベスティング技術CLEAN-Boost(TM)搭載製品をグローバル市場に商用展開 ~

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    2025年10月28日 10:00


     ミネベアミツミグループのエイブリック株式会社(社長:田中  誠司、本社:東京都港区、以下:ABLIC)は本日より当社のCLEAN-Boost技術(*1)(CLEAN-Boost(TM))を搭載した「バッテリレス漏水センサ」を米国およびEU市場で順次販売を開始します。

     

    発売経緯

    「バッテリレス漏水センサ」に搭載されているCLEAN-Boost(TM)技術は、非常に微弱なマイクロワットレベルのエネルギーを集めて電荷を蓄え、それを昇圧することで電池を使用することなく電波を発信させることができる、ABLIC独自のエナジーハーベスティング技術です。

    日本市場においては、2019年にCLEAN-Boost(TM)技術を実用化した製品、「バッテリ漏水センサ」として販売を開始。以来、累計80社以上のお客様への導入実績を重ね高い評価をいただいてまいりました。

    欧米のお客様からも多くのお問い合わせをいただいており、こうした声にお応えするため、また、米国とEU諸国の通信、安全に関する規格である、FCC(Federal Communication Commission)認証、Conformite  Europeenne (英語:European Conformity)認証をそれぞれの地域で取得を完了し、欧米市場において活用いただける環境がととのったため、本日より順次発売を開始します。

     

    「バッテリレス漏水センサ」製品概要

     “水滴レベル”の水漏れを検知、電源や電池が不要な「バッテリレス漏水センサ」は、大掛かりな工事や手間をかけることなく、これまではメンテナンスの手の届かなかった場所にも簡便に後付けで設置することが可能です。また、初期段階で水漏れを検知することで、被害の拡大を防ぎコストと時間を大幅に削減します。さらに、電池交換や廃棄が不要なため、環境負荷軽減にも大きく貢献します。

    今回、米国、EU市場への参入にともない、これまで日本市場で販売してきた製品に改良を加え、通信距離は従来品と比較し約2倍長くなり、また、従来のタグの動作温度は最高60℃までだったのが、本製品は85℃までとなりそれぞれ性能がアップしました。これらの特長により、より広範囲かつ高温環境での利用が可能となりました。

                                                                          


     

    用途         

    本製品は水漏れが想定されるあらゆる工場、施設内での設置を想定しています。

    自動車部品工場内プレス加工現場、化学・薬品工場などの製造現場や研究所、食品加工工場等において水漏れ対策は大変重要です。特に、建物の劣化が進んでいることで配管の強度が弱っている場合や、高温下でのオペレーションが必要な場所において、排水管や冷却水菅での水漏れは発見が遅れると大規模な水害を引き起こし、ビジネスそのものを揺るがしかねない大惨事にもなりかねません。

    また、今後、益々増える傾向にあるデータセンタにおいて、サーバールームは高温になりやすく、かつ、水漏れによる水害は致命的なリスクとなりえます。

    本製品は後付けでの設置が可能、かつ、高温環境(~85℃)下、3滴程度の水漏れでも検知可能な高感度なセンサです。水漏れを早期に発見し初動対応を施すことにより、こうした課題を未然に防ぐことが出来る画期的な製品です。

     

    参考(活用方法動画)

    https://youtu.be/meaVEBZ0T_8

     

    主な特長

    ・バッテリレス、電源レスで電源工事が不要

    ・Bluetooth(R) Low Energy 5.0により、通信配線工事が不要

    ・バッテリ交換などメンテナンスが不要

    ・“水滴レベル”のごく微量の水で検知可能 (150μl min)

    ・水の滴下位置やセンサリボンの長さ依存がない

    ・センサリボンの連結が可能(15m max)

     

    主な仕様

    ・検知水量  :150μl  min @25℃ 40%RH

    ・検知時間  :300sec  max @導電率200μS/cm

    ・検知温度  :5℃~+85℃ (無線タグの動作温度:-10~85℃)

    ・無線規格  : Bluetooth(R)  Low Energy 5.0

    ・周波数範囲 : 2402 MHz ~ 2480 MHz                             

    ・送信電力   : 8 dBm typ.                                                

    ・送信距離   : 見通し 100 m ~ 200 m 程度

      ※本バッテリレス漏水センサには受信機は同梱されていません。

        Bluetooth(R) Low Energy 5.0対応の受信機をビーコンモードで受信するよう設定をお願い致します。                                                                                    

     

    寸法

      ・無線タグII S-CBTGAABI                  : 134×18×10 mm  (本体:65×18×10 mm)

      ・センサリボン 0.5m S-CBSSAAAC-001: 700×13×8 mm 

      ・センサリボン 2.0m S-CBSSAAAC-002:2200×13×8 mm 

      ・センサリボン 5.0m S-CBSSAAAC-003:5200×13×8 mm 

     

    製品詳細

    https://hub.ablic.com/cb/wls

     

     

    CLEAN-Boos(TM) 概要

    CLEAN-Boost(TM)技術は、エネルギー利用における大きな飛躍を意味し、かつては利用するには小さすぎると考えられていたマイクロワットレベルの環境エネルギーを取り込み、昇圧します。CLEAN-Boost(TM)が極めて革新的なのは、超低消費電力用に設計されたエネルギーの蓄電・昇圧コンポーネントです。0.35Vの低電圧で動作する昇圧回路により、1μWレベルの電力を最適に使用することを保証します。さらに、発電と信号伝送のタイミングを最適化する洗練された低消費電力データ伝送方式を組み込み、効率をさらに高めています。

         

    CLEAN-Boostの仕組み

     

    (*1)  CLEAN-Boost 技術で主となる蓄電昇圧回路技術は、立命館大学との共同研究によって生まれた技術です。

    バッテリレス漏水センサは大成建設株式会社との共同開発により生まれた製品です。



    エイブリック社長・田中誠司のコメント

    エイブリック独自技術であるCLEAN-Boost(TM)技術を活用した「バッテリレス漏水センサ」を欧米市場のお客様に提供できる運びとなったことを大変うれしく思います。

    CLEAN-Boost(TM)技術は、米国IEEE S3S Conferenceにおいて“Best Paper Award”を受賞(2019年10月)した実績があり、世界でも認められた革新的な技術です。

    https://www.ablic.com/jp/semicon/news/2019/11/05/best-paper-award/

    CLEAN-Boos(TM)技術を活用したバッテリレス漏水センサは、後付けで簡単に設置でき、数滴の水漏れを検知して無線で通知するため、大規模な水害を未然に防ぐ策として大変有効です。

    日本市場では、NTT東日本様の約650の無人施設や、東日本大震災を経験した金属加工工場等に導入されています。これらのお客様からは、遠隔での状況把握と容易なメンテナンスが高く評価されており、発売以来累計80社以上の採用実績をほこります。

    また、馬の出産時の発汗検知や、植物の樹液量モニタリングなど、さまざまな分野で応用され、活用の範囲は無限の可能性を秘めています。

    「バッテリレス漏水センサ」がグローバル市場においても、漏水リスク対応のベスト・ソリューションとして、あらゆる可能性を秘めた革新的な製品として活用が広がることを確信しています。

     

     

    Webサイト

    https://www.ablic.com/jp/semicon/  


    本製品は、環境貢献に優れた製品としてミネベアミツミグループの「グリーンプロダクツ」に認定された製品です。詳しくはこちらをご覧ください。

    https://www.minebeamitsumi.com/news/newproducts/2021/1201086_16441.html

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