株式会社マーケットリサーチセンター

    世界の急性心筋梗塞の市場規模、疾患概要、疫学予測:2026年調査レポートを発表

    株式会社マーケットリサーチセンター(本社:東京都港区、世界の市場調査資料販売)では、「世界の急性心筋梗塞の市場規模、疾患概要、疫学予測、英文タイトル:Acute Myocardial Infarction Market Size; Disease Overview; Epidemiology Forecast; Patient Pool Analysis」調査資料を発表しました。本資料には、市場規模、疾患概要、疫学予測、患者数分析(日本、米国、ヨーロッパ、インドなど)、治療上の課題・アンメットニーズなどの情報などが盛り込まれています。

    ■主な掲載内容

    本レポートは、急性心筋梗塞(Acute Myocardial Infarction:AMI)の疫学動向について、過去の患者推移と2026~2035年の将来予測を整理した市場調査レポートである。AMIは一般に「心臓発作」と呼ばれる重大な心血管救急疾患であり、冠動脈の血流が突然遮断されることで心筋への酸素供給が途絶え、心筋細胞の障害や壊死を引き起こす。Maryam Sajidらの2025年の報告では、世界で約300万人が影響を受けるとされ、加齢、高血圧、喫煙、虚血性心疾患などの心血管リスク因子を背景に、今後も大きな疾患負担が続くとみられている。本レポートは2025年を基準年、2019~2025年を過去分析期間、2026~2035年を予測期間とし、米国、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、英国、日本、インドの8主要市場を対象に、発症率、年齢、性別、病型、診断患者数などを分析している。

    AMIの多くは、冠動脈に形成された動脈硬化性プラークが破綻し、その部位に血栓が形成されて血流が急激に遮断されることで発症する。血流が途絶えると心筋は酸素不足に陥り、短時間のうちに不可逆的な細胞障害へ進むため、診断と治療の迅速性が極めて重要である。

    臨床的には、主にST上昇型心筋梗塞(STEMI)と非ST上昇型心筋梗塞(NSTEMI)に分類される。両者は心電図所見や冠動脈閉塞の程度に基づいて区別され、一般にSTEMIではより完全な冠動脈閉塞が関与することが多く、迅速な再灌流治療が特に重要となる。

    疫学的には年齢との関連が非常に強い。Arshdeep Singh Sekhonらの2025年の報告では、AMI発症率は年齢とともに大きく上昇し、男性では30~54歳以降の各年齢層で1,000人あたり12.9、38.2、71.2例と増加している。女性では同様に1,000人あたり2.2~13.0例の範囲とされ、全体として男性の方が高い発症率を示す。

    この年齢依存性は、2026~2035年の将来負担を考えるうえで重要である。高齢になるほど、高血圧、脂質異常症、糖尿病、喫煙歴、動脈硬化性疾患などの危険因子が蓄積し、AMIの発症リスクが高まる。そのため、高齢人口が増加する国では、年齢別発症率が不変でも患者数そのものは増える可能性がある。

    心血管疾患全体の死亡負担も極めて大きい。Iva N. Dimitrovaらの2023年の報告では、世界の心血管疾患死亡は1990年の約1,210万人から2019年には約1,860万人へ増加し、そのうち虚血性心疾患が約49.2%を占めたとされる。AMIは虚血性心疾患の中核をなす急性イベントであり、世界的な死亡負担の主要な要因である。

    一方、資料冒頭には「米国で年間100万人超が死亡」と記載されているが、これは後段に示される米国のAMI症例数や一般的な心血管死亡の文脈とは整合しにくい。そのため、この数値を「米国におけるAMI単独の年間死亡数」としてそのまま解釈するのは適切ではなく、原資料の記載上の不整合またはより広い心血管死亡指標を含む可能性に注意が必要である。

    若年者のAMIも重要な疫学的テーマである。Arshdeep Singh Sekhonらによると、インドではAMI症例の約10~16%が若年者に発生するとされ、この集団では喫煙と虚血性心疾患の家族歴が頻繁にみられる危険因子である。

    これは、AMIが高齢者だけの疾患ではないことを示している。若年発症例では、長期にわたる再発予防や二次予防が必要になるため、一回の急性イベントだけでなく、その後数十年にわたる医療負担も大きくなる。

    Piyush Joshiらの2022年の報告では、インドの30歳以下の非常に若い成人におけるAMI有病率は2%未満とされる。したがって、極端に若い年代では希少ではあるものの、一定数の症例が存在し、喫煙や遺伝的素因などのリスク評価が重要となる。

    病型では、Guralwar, Chinmayらの2025年の研究で、観察されたAMI症例の86.6%が急性ST上昇型心筋梗塞であった。また患者の81.1%が男性であり、胸痛が最も一般的な初発症状で、73.3%に認められた。

    ただし、STEMIが86.6%という割合は特定の臨床集団に基づくものであり、すべてのAMI患者集団にそのまま適用できるとは限らない。地域や救急搬送体制、診断基準によってNSTEMIの割合は異なる可能性がある。

    性別では、男性優位が一貫して示されている。若年~中年層ではとくに男性の発症率が高く、喫煙、脂質異常、高血圧などの危険因子の分布が影響している可能性がある。一方、女性では高齢になるほど発症率が上昇する傾向があるため、閉経後や高齢女性も重要な患者群となる。

    短期予後は若年者の方が良好であることが多いが、長期予後は必ずしも安心できない。Arshdeep Singh Sekhonらの長期観察では、若年AMI患者でも初回発症から15年後まで死亡リスクが高い状態が続くとされる。したがって、若年患者では急性期を乗り越えた後の長期二次予防が特に重要となる。

    国別では、米国とドイツに大規模な患者負担が確認されている。Ulrike Nimptschらの2024年の報告によると、2014~2019年の間に米国では約390万件のAMI症例が推定され、ドイツでは約130万件のAMI入院が報告された。

    年齢・性別標準化入院率は、米国が10万人あたり236例、ドイツが235例とほぼ同水準であった。このことから、両国は異なる医療制度を持つものの、AMIによる入院負担は非常に近い水準にあることが示されている。

    ただし、米国の390万件は「症例」、ドイツの130万件は「入院」と表現されており、指標が完全に同一とは限らない。そのため、絶対数を直接比較する場合には注意が必要である。一方、標準化入院率がほぼ同程度であることは、人口調整後の負担が類似していることを示す。

    米国では高血圧という重要な基礎リスクが非常に大きい。Maryam Sajidらの2025年の報告では、米国成人の約1億1,600万人、約2人に1人が高血圧を有し、そのうち適切にコントロールされているのは約4人に1人にとどまるとされる。

    高血圧は冠動脈硬化や心血管イベントの主要リスク因子であるため、この巨大な未管理・不十分管理患者層が将来のAMI患者数に影響する可能性がある。したがって、AMI予防では高血圧を発症後に治療するだけでなく、一般人口レベルでの早期発見と管理が重要となる。

    英国、フランス、スペイン、イタリア、日本については、提示資料では具体的なAMI発症率や患者数は詳しく示されていない。ただし、いずれも本レポートの主要市場であり、人口高齢化や高血圧、糖尿病、脂質異常症などのリスク因子を背景に、相当な患者負担を有するとされる。

    日本では高齢人口の割合が大きいため、絶対患者数の面では今後も高齢者AMIが重要となる可能性がある。一方、予防医療や救急冠動脈インターベンションの普及によって、発症後死亡率を低下させる余地もある。

    市場・疫学上で重要なのは、AMIが急性救急疾患であると同時に、その後の長期二次予防を必要とする慢性管理疾患でもある点である。発症直後の治療で患者を救命できても、再梗塞、心不全、不整脈などの長期合併症リスクが残るため、長期間の薬物療法と生活習慣管理が必要となる。

    AMI発症時には胸痛が最も典型的な症状であるが、すべての患者が典型的胸痛を呈するわけではない。資料では73.3%に胸痛がみられたとされるため、約4分の1では非典型症状やその他の症状で発症した可能性がある。

    そのため、とくに高齢者、女性、糖尿病患者などでは、胸痛以外の症状でもAMIを疑うことが早期診断に重要となる。

    治療の最優先課題は、閉塞した冠動脈の血流をできるだけ早く再開させ、壊死する心筋量を最小限に抑えることである。心筋梗塞では「時間」が予後を大きく左右するため、救急搬送から診断、再灌流までの時間短縮が極めて重要となる。

    初期薬物治療には、アスピリンなどの抗血小板薬、抗凝固薬、血栓溶解薬、β遮断薬、スタチンなどが含まれる。これらは血栓形成の抑制、心筋負荷軽減、再発予防などを目的として使用される。

    特に再灌流療法では、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)が中心的な役割を持つ。カテーテルを用いて閉塞した冠動脈を拡張し、必要に応じてステントを留置することで、心筋への血流を迅速に回復させる。

    PCIを迅速に実施できない状況では、適応に応じて血栓溶解療法が検討される。資料では詳細な適応基準までは示されていないが、目的はいずれも梗塞心筋への血流再開である。

    重症冠動脈病変やPCIが適さない場合には、冠動脈バイパス術(CABG)が行われることがある。CABGでは閉塞冠動脈を迂回する新たな血流路を外科的に作成し、心筋への血流を確保する。

    急性期を乗り越えた後は、再発予防が重要となる。スタチン、抗血小板薬、β遮断薬などの継続的な薬物治療に加えて、血圧、血糖、脂質の管理が必要になる。

    生活習慣改善も重要である。喫煙は若年AMIでも主要リスク因子とされており、禁煙は二次予防の中心となる。また、食事改善、運動、体重管理などによって動脈硬化リスクを低減することが求められる。

    心臓リハビリテーションも長期管理の重要な柱である。適切な運動療法、生活指導、危険因子管理を組み合わせることで、身体機能を回復させ、再発リスクを減らすことを目的とする。

    市場の観点では、AMIは巨大な救急・循環器医療市場を形成する。救急搬送、心電図・血液検査、冠動脈造影、PCI、ステント、抗血小板薬、抗凝固薬、脂質低下薬、CABG、心臓リハビリテーションなど、多くの医療資源が一連の治療過程に関与する。

    さらに、AMI患者の生存率が改善すると、その後の慢性冠動脈疾患管理患者が蓄積する。そのため、急性期医療の進歩は死亡を減らす一方、長期二次予防市場を拡大する方向にも作用する。

    2026~2035年の患者負担を左右する要因としては、高齢化、高血圧、糖尿病、脂質異常症、肥満、喫煙などの心血管リスク因子が重要である。とくに高血圧の未管理患者が多い地域では、将来的なAMI予防余地が大きい。

    一方で、一次予防が改善すればAMI発症率を低下させることができる。血圧・脂質・糖尿病管理、禁煙、健康的な食生活などを普及させることで、冠動脈硬化の進行そのものを抑えることが重要となる。

    全体として本レポートは、AMIを「冠動脈の急性閉塞によって心筋壊死を起こす生命を脅かす心血管救急疾患であり、加齢とともに発症率が大きく上昇し、世界的な虚血性心疾患死亡の主要部分を構成する疾患」と位置づけている。

    男性では年齢上昇とともに発症率が顕著に高まり、特定研究ではSTEMIが86.6%、男性が81.1%を占めた。一方、インドでは症例の10~16%が若年者に発生し、喫煙や家族歴が重要な危険因子とされるなど、若年AMIも無視できない。

    米国では2014~2019年に約390万件、ドイツでは約130万件のAMI関連症例・入院が報告され、標準化入院率はそれぞれ10万人あたり236例、235例とほぼ同水準であった。また、米国では成人約1億1,600万人が高血圧を有し、そのコントロール率が低いことから、大きな潜在AMIリスク人口が存在する。

    一方、資料冒頭の「米国で年間100万人超の死亡」という記載は、後段のデータとの整合性に乏しく、AMI単独死亡数として扱うことには注意が必要である。また、世界約300万人という数値についても、AMIの年間発症数なのか有病患者数なのか、提示文章だけでは定義が十分に明確ではないため、厳密な市場算定には元データ確認が必要である。

    2026~2035年の疫学・市場動向を考えるうえでは、人口高齢化と心血管リスク因子の蓄積が患者数を押し上げる一方、高血圧・脂質異常症の管理、禁煙、早期救急搬送、PCIの普及などが発症率と死亡率を低下させる方向に働くと考えられる。

    したがって、今後のAMI管理における中心的課題は、高血圧、喫煙、糖尿病、脂質異常症などを発症前から管理すること、発症時には胸痛などの症状から迅速にAMIを疑い救急搬送すること、STEMI・NSTEMIを速やかに診断してPCIを中心とする再灌流療法を適切に実施すること、そして退院後も薬物療法、禁煙、心臓リハビリテーション、危険因子管理を継続して再発を防ぐことである。2026~2035年は、AMIを単なる一回の急性イベントとして扱うのではなく、一次予防、救急再灌流、退院後の二次予防までを一体化した長期的な心血管管理として捉えることが、臨床・公衆衛生・市場の主要テーマになるとまとめられる。

    ※目次構成

    01
    序文
    1.1 はじめに
    1.2 調査目的
    1.3 調査方法および前提条件

    02
    エグゼクティブサマリー

    03
    急性心筋梗塞市場概要(8主要市場)
    3.1 急性心筋梗塞市場の過去市場規模(2019年~2025年)
    3.2 急性心筋梗塞市場の予測市場規模(2026年~2035年)

    04
    急性心筋梗塞疫学概要(8主要市場)
    4.1 急性心筋梗塞疫学状況(2019年~2025年)
    4.2 急性心筋梗塞疫学予測(2026年~2035年)

    05
    疾患概要
    5.1 症状および徴候
    5.2 原因
    5.3 リスク要因
    5.4 ガイドラインおよび病期分類
    5.5 病態生理
    5.6 スクリーニングおよび診断
    5.7 急性心筋梗塞の種類

    06
    患者プロファイル
    6.1 患者プロファイル概要
    6.2 患者心理および感情面への影響要因

    07
    疫学状況および予測(8主要市場:2019年~2035年)
    7.1 主要調査結果
    7.2 前提条件および根拠
    7.3 急性心筋梗塞の診断済み有病患者数
    7.4 種類別の急性心筋梗塞患者数
    7.5 性別別の急性心筋梗塞患者数
    7.6 年齢別の急性心筋梗塞患者数

    08
    疫学状況および予測:米国(2019年~2035年)
    8.1 米国における前提条件および根拠
    8.2 米国における急性心筋梗塞の診断済み有病患者数
    8.3 米国における種類別の急性心筋梗塞患者数
    8.4 米国における性別別の急性心筋梗塞患者数
    8.5 米国における年齢別の急性心筋梗塞患者数

    09
    疫学状況および予測:英国(2019年~2035年)
    9.1 英国における前提条件および根拠
    9.2 英国における急性心筋梗塞の診断済み有病患者数
    9.3 英国における種類別の急性心筋梗塞患者数
    9.4 英国における性別別の急性心筋梗塞患者数
    9.5 英国における年齢別の急性心筋梗塞患者数

    10
    疫学状況および予測:ドイツ(2019年~2035年)
    10.1 ドイツにおける前提条件および根拠
    10.2 ドイツにおける急性心筋梗塞の診断済み有病患者数
    10.3 ドイツにおける種類別の急性心筋梗塞患者数
    10.4 ドイツにおける性別別の急性心筋梗塞患者数
    10.5 ドイツにおける年齢別の急性心筋梗塞患者数

    11
    疫学状況および予測:フランス(2019年~2035年)
    11.1 フランスにおける前提条件および根拠
    11.2 フランスにおける急性心筋梗塞の診断済み有病患者数
    11.3 フランスにおける種類別の急性心筋梗塞患者数
    11.4 フランスにおける性別別の急性心筋梗塞患者数
    11.5 フランスにおける年齢別の急性心筋梗塞患者数

    12
    疫学状況および予測:イタリア(2019年~2035年)
    12.1 イタリアにおける前提条件および根拠
    12.2 イタリアにおける急性心筋梗塞の診断済み有病患者数
    12.3 イタリアにおける種類別の急性心筋梗塞患者数
    12.4 イタリアにおける性別別の急性心筋梗塞患者数
    12.5 イタリアにおける年齢別の急性心筋梗塞患者数

    13
    疫学状況および予測:スペイン(2019年~2035年)
    13.1 スペインにおける前提条件および根拠
    13.2 スペインにおける急性心筋梗塞の診断済み有病患者数
    13.3 スペインにおける種類別の急性心筋梗塞患者数
    13.4 スペインにおける性別別の急性心筋梗塞患者数
    13.5 スペインにおける年齢別の急性心筋梗塞患者数

    14
    疫学状況および予測:日本(2019年~2035年)
    14.1 日本における前提条件および根拠
    14.2 日本における急性心筋梗塞の診断済み有病患者数
    14.3 日本における種類別の急性心筋梗塞患者数
    14.4 日本における性別別の急性心筋梗塞患者数
    14.5 日本における年齢別の急性心筋梗塞患者数

    15
    疫学状況および予測:インド(2019年~2035年)
    15.1 インドにおける前提条件および根拠
    15.2 インドにおける急性心筋梗塞の診断済み有病患者数
    15.3 インドにおける種類別の急性心筋梗塞患者数
    15.4 インドにおける性別別の急性心筋梗塞患者数
    15.5 インドにおける年齢別の急性心筋梗塞患者数

    16
    患者経路

    17
    治療課題および未充足ニーズ

    18
    キーオピニオンリーダー(KOL)による洞察

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