株式会社マーケットリサーチセンター

    世界の侵襲性肺炎球菌感染症の市場規模、疾患概要、疫学予測:2026年調査レポートを発表

    調査・報告
    2026年9月7日 09:30

    株式会社マーケットリサーチセンター(本社:東京都港区、世界の市場調査資料販売)では、「世界の侵襲性肺炎球菌感染症の市場規模、疾患概要、疫学予測、英文タイトル:Invasive Pneumococcal Disease Epidemiology Forecast; Disease Overview; Epidemiology Forecast; Patient Pool Analysis」調査資料を発表しました。本資料には、市場規模、疾患概要、疫学予測、患者数分析(日本、米国、ヨーロッパ、インドなど)、治療上の課題・アンメットニーズなどの情報などが盛り込まれています。

    ■主な掲載内容

    本レポートは、侵襲性肺炎球菌感染症(Invasive Pneumococcal Disease:IPD)の疫学動向について、過去の患者推移と将来予測を整理した市場調査レポートである。IPDは乳幼児や高齢者を中心に重大な公衆衛生上の課題となっており、世界的な年間発症率は人口10万人あたり約8~10例とされる。性別では男性が女性よりやや多い傾向がみられる。調査会社は、IPDによる罹病、死亡、長期合併症を減らすためには、ワクチン接種の拡大、早期診断、ハイリスク集団を対象とした介入が極めて重要であるとしている。本調査では2025年を基準年、2019~2025年を過去分析期間、2026~2035年を予測期間とし、米国、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、英国、日本、インドの8主要市場を対象に、発症率、有病率、年齢、性別、病型、診断患者数などの疫学動向を分析している。

    IPDは肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)が血液、脳脊髄液、関節腔など、本来無菌である部位へ侵入することで発症する重篤な細菌感染症である。代表的な病型には菌血症、髄膜炎、敗血症があり、頻度は低いものの骨髄炎などを生じることもある。通常の肺炎球菌感染が気道などに限局するのに対し、IPDは菌が全身へ侵入して重篤化した状態を指し、迅速な診断と治療を必要とする。

    患者層としては乳児、幼児、高齢者、免疫機能が低下した人が特に影響を受けやすい。ワクチン接種が世界的に普及しているにもかかわらず、IPDは依然として重要な罹病・死亡原因であり、とりわけワクチン接種率が十分でない地域では疾患負担が大きい。さらに、地域によって流行する肺炎球菌の血清型が異なるため、単に患者数を把握するだけでなく、どの血清型が主要な原因となっているかを継続的に監視することも疾患予防とワクチン戦略の上で重要である。

    世界的な疾患負担を見ると、肺炎球菌感染症は2021年に20歳未満の集団だけで約179,354人の死亡を引き起こしたとされる。その中でも5歳未満の小児で負担が最も大きく、年齢標準化死亡率も他の年齢層より高かった。これは、乳幼児では免疫系が未成熟であり、侵襲性感染症へ進展した場合に重症化しやすいことを反映している。

    死亡だけでなく、健康寿命への影響も非常に大きい。2021年には20歳未満の肺炎球菌感染症による障害調整生存年(DALYs)が約15,757,828年に達したとされる。DALYsは早期死亡と障害を伴う生存の双方を反映する指標であり、この数値は肺炎球菌感染症が若年人口に相当な健康損失をもたらしていることを示す。特に5歳未満では死亡率だけでなくDALY率も最も高く、世界の小児感染症対策において肺炎球菌ワクチンの重要性が高いことが示唆される。

    性別では、20歳未満の集団において男性の死亡率およびDALYsが女性より高いと報告されている。IPD全体でも男性の発症率がわずかに高い傾向がみられる。提示資料では、この男女差の背景となる生物学的または行動学的要因までは詳しく説明されていないものの、疫学的には男性がやや高リスクの集団を形成している。

    IPDの代表的な重症病型である肺炎球菌性髄膜炎は、主として乳児と高齢者に発症し、年間発症率は人口10万人あたり約1~1.5例とされる。Streptococcus pneumoniaeは世界的に細菌性髄膜炎の主要原因菌の一つであり、発症すると死亡だけでなく神経学的後遺症など長期的な障害を残す可能性がある。このため、単純な発症数だけでなく、重症化した際の予後や後遺症まで含めて疾患負担を評価する必要がある。

    地域別では、アフリカおよびアジアの発展途上地域で発症率と死亡率が依然として高い。主な要因としては、肺炎そのものの罹患率が高いことに加え、高所得国に比べて肺炎球菌ワクチンの接種率が低いことが挙げられている。ワクチンへのアクセス、医療機関への受診の遅れ、診断体制、抗菌薬へのアクセスなどの差も、地域間の疾患負担の格差につながっている可能性がある。

    国別では、米国でのIPD全体の発症率は人口10万人あたり8.3例とされる。年齢別では1歳未満の乳児と65歳以上の高齢者で発症率が最も高く、IPDが典型的なU字型の年齢分布を示すことがわかる。すなわち、免疫機能が未成熟な乳幼児と、加齢や基礎疾患によって免疫機能が低下した高齢者が主要なハイリスク集団である。

    英国では、検査で確認されたIPD患者数が近年大きく変動している。2020~2021年には1,240例、2021~2022年には3,025例、2022~2023年には4,598例が記録された。この増加は、感染症流行動態や社会的接触パターン、診断・検査件数など複数の要因の影響を受けている可能性があるが、資料自体では増加の原因までは特定していない。少なくとも、IPDが英国で依然として多数の症例を生じさせていることが確認できる。

    血清型別では、ワクチンの標的となっている3、19A、19Fなどが引き続き主要な原因血清型として報告されている。これは、肺炎球菌ワクチンがIPD予防の中心的手段である一方、ワクチン導入後も特定血清型による疾患が完全には消失していないことを示す。したがって、今後の疫学予測では単純な総患者数だけでなく、血清型構成の変化やワクチンでカバーされる血清型の割合を継続的に観察することが重要となる。

    治療の基本は、原因菌に有効な抗菌薬をできるだけ早く投与することである。重症IPDではペニシリン、セフトリアキソン、バンコマイシンなどが使用されるが、実際の薬剤選択は地域における肺炎球菌の抗菌薬耐性パターンや感染部位、患者の重症度によって決定される。特に髄膜炎や敗血症では治療開始の遅れが予後悪化につながるため、病原体確定を待たずに経験的抗菌薬治療を開始することが重要となる。

    支持療法も重要である。敗血症を伴う患者では循環管理、呼吸管理、臓器機能の監視など集中治療が必要となる場合がある。肺炎球菌性髄膜炎の重症例では、炎症による神経障害を軽減する目的でコルチコステロイドが補助療法として用いられることがある。また、重症患者では集中治療室での全身管理が必要となる。

    一方、IPD対策において最も重要な柱の一つが予防接種である。肺炎球菌結合型ワクチン(PCV)および肺炎球菌莢膜多糖体ワクチン(PPSV)は、侵襲性感染症の発症率を低下させるために使用される。特に乳幼児、高齢者、免疫不全患者などのハイリスク集団では予防接種の重要性が高い。ワクチンによって個人の発症リスクを低減できるだけでなく、集団内での肺炎球菌伝播を抑えることで間接的な予防効果も期待される。

    市場および疫学の観点では、IPDはワクチン普及によって疾患負担を大きく変化させ得る感染症である点が重要である。ワクチン接種率が高い国では特定血清型によるIPDを減らすことができる一方、カバーされていない血清型の相対的重要性が高まる可能性がある。このため、ワクチンの導入後も血清型サーベイランスを継続し、新たな流行血清型に対応した予防戦略を構築する必要がある。

    また、高齢化は今後の患者数に影響する重要な人口動態要因となる。65歳以上が主要なハイリスク集団であることから、日本や欧州など高齢化の進む市場では、高齢者人口の増加に伴ってIPDリスク人口が拡大する可能性がある。一方で、ワクチン接種率の向上によって患者数を抑制できる可能性もあり、2026~2035年の実際の疾患負担は、高齢化による患者増加要因と予防接種による減少要因の双方に左右されると考えられる。

    乳幼児についても、ワクチン接種の普及度が疾患負担を大きく左右する。世界的なデータで5歳未満の死亡率とDALYsが最も高いことから、乳幼児の定期予防接種プログラムを高い接種率で維持することが重要である。特にアフリカやアジアの一部地域ではワクチン接種率が十分でないことが高い疾病負担につながっているため、予防接種へのアクセス改善が大きな公衆衛生上の課題となる。

    全体として本レポートは、IPDを「年間発症率自体は人口10万人あたり8~10例程度であるものの、乳幼児、高齢者、免疫不全者では重症化・死亡リスクが高く、世界的に大きな健康損失をもたらす感染症」と位置づけている。とりわけ2021年には20歳未満だけで約17.9万人の肺炎球菌感染症関連死亡と約1,576万DALYsが生じたとされ、若年人口に対する負担の大きさが際立っている。また、男性でわずかに負担が高く、地域別ではアフリカ・アジアの発展途上地域で発症率と死亡率が高い。

    2026~2035年の疫学・市場動向を考えるうえでは、ワクチン接種率、高齢化、乳幼児人口、免疫不全患者数、血清型分布、抗菌薬耐性、診断体制などが主要な変動要因になると考えられる。とりわけ、PCVやPPSVを用いた予防接種の拡大、ハイリスク患者への重点的なワクチン接種、迅速な診断、地域の耐性パターンに基づく適切な抗菌薬治療、血清型サーベイランスの継続が重要である。したがって、今後のIPD対策の中心は、患者発生後の治療だけでなく、ワクチンを軸とした予防、乳幼児・高齢者・免疫不全者の早期把握、重症感染への迅速な介入を組み合わせることで、死亡率と長期合併症を減少させることにあるとまとめられる。

    ※目次構成

    01
    序文
    1.1 はじめに
    1.2 調査目的
    1.3 調査方法および前提条件

    02
    エグゼクティブサマリー

    03
    侵襲性肺炎球菌感染症市場概要(8主要市場)
    3.1 侵襲性肺炎球菌感染症市場の過去市場規模(2019年~2025年)
    3.2 侵襲性肺炎球菌感染症市場の予測市場規模(2026年~2035年)

    04
    侵襲性肺炎球菌感染症疫学概要(8主要市場)
    4.1 侵襲性肺炎球菌感染症疫学状況(2019年~2025年)
    4.2 侵襲性肺炎球菌感染症疫学予測(2026年~2035年)

    05
    疾患概要
    5.1 症状および徴候
    5.2 原因
    5.3 リスク要因
    5.4 ガイドラインおよび病期分類
    5.5 病態生理
    5.6 スクリーニングおよび診断
    5.7 侵襲性肺炎球菌感染症の種類

    06
    患者プロファイル
    6.1 患者プロファイル概要
    6.2 患者心理および感情面への影響要因

    07
    疫学状況および予測(8主要市場:2019年~2035年)
    7.1 主要調査結果
    7.2 前提条件および根拠
    7.3 侵襲性肺炎球菌感染症の診断済み有病患者数
    7.4 種類別の侵襲性肺炎球菌感染症患者数
    7.5 性別別の侵襲性肺炎球菌感染症患者数
    7.6 年齢別の侵襲性肺炎球菌感染症患者数

    08
    疫学状況および予測:米国(2019年~2035年)
    8.1 米国における前提条件および根拠
    8.2 米国における侵襲性肺炎球菌感染症の診断済み有病患者数
    8.3 米国における種類別の侵襲性肺炎球菌感染症患者数
    8.4 米国における性別別の侵襲性肺炎球菌感染症患者数
    8.5 米国における年齢別の侵襲性肺炎球菌感染症患者数

    09
    疫学状況および予測:英国(2019年~2035年)
    9.1 英国における前提条件および根拠
    9.2 英国における侵襲性肺炎球菌感染症の診断済み有病患者数
    9.3 英国における種類別の侵襲性肺炎球菌感染症患者数
    9.4 英国における性別別の侵襲性肺炎球菌感染症患者数
    9.5 英国における年齢別の侵襲性肺炎球菌感染症患者数

    10
    疫学状況および予測:ドイツ(2019年~2035年)
    10.1 ドイツにおける前提条件および根拠
    10.2 ドイツにおける侵襲性肺炎球菌感染症の診断済み有病患者数
    10.3 ドイツにおける種類別の侵襲性肺炎球菌感染症患者数
    10.4 ドイツにおける性別別の侵襲性肺炎球菌感染症患者数
    10.5 ドイツにおける年齢別の侵襲性肺炎球菌感染症患者数

    11
    疫学状況および予測:フランス(2019年~2035年)
    11.1 フランスにおける前提条件および根拠
    11.2 フランスにおける侵襲性肺炎球菌感染症の診断済み有病患者数
    11.3 フランスにおける種類別の侵襲性肺炎球菌感染症患者数
    11.4 フランスにおける性別別の侵襲性肺炎球菌感染症患者数
    11.5 フランスにおける年齢別の侵襲性肺炎球菌感染症患者数

    12
    疫学状況および予測:イタリア(2019年~2035年)
    12.1 イタリアにおける前提条件および根拠
    12.2 イタリアにおける侵襲性肺炎球菌感染症の診断済み有病患者数
    12.3 イタリアにおける種類別の侵襲性肺炎球菌感染症患者数
    12.4 イタリアにおける性別別の侵襲性肺炎球菌感染症患者数
    12.5 イタリアにおける年齢別の侵襲性肺炎球菌感染症患者数

    13
    疫学状況および予測:スペイン(2019年~2035年)
    13.1 スペインにおける前提条件および根拠
    13.2 スペインにおける侵襲性肺炎球菌感染症の診断済み有病患者数
    13.3 スペインにおける種類別の侵襲性肺炎球菌感染症患者数
    13.4 スペインにおける性別別の侵襲性肺炎球菌感染症患者数
    13.5 スペインにおける年齢別の侵襲性肺炎球菌感染症患者数

    14
    疫学状況および予測:日本(2019年~2035年)
    14.1 日本における前提条件および根拠
    14.2 日本における侵襲性肺炎球菌感染症の診断済み有病患者数
    14.3 日本における種類別の侵襲性肺炎球菌感染症患者数
    14.4 日本における性別別の侵襲性肺炎球菌感染症患者数
    14.5 日本における年齢別の侵襲性肺炎球菌感染症患者数

    15
    疫学状況および予測:インド(2019年~2035年)
    15.1 インドにおける前提条件および根拠
    15.2 インドにおける侵襲性肺炎球菌感染症の診断済み有病患者数
    15.3 インドにおける種類別の侵襲性肺炎球菌感染症患者数
    15.4 インドにおける性別別の侵襲性肺炎球菌感染症患者数
    15.5 インドにおける年齢別の侵襲性肺炎球菌感染症患者数

    16
    患者経路

    17
    治療課題および未充足ニーズ

    18
    キーオピニオンリーダー(KOL)による洞察

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