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    日本のアップサイクル食品市場2024~2031年、市場規模・企業動向・分析レポートを発表

    株式会社マーケットリサーチセンター(本社:東京都港区、世界の市場調査資料販売)では、「日本のアップサイクル食品市場2024~2031年、英文タイトル:Japan Upcycled Food Products Market Research 2024-2031」調査資料を発表しました。本資料には、日本市場規模、企業動向、セグメント別予測、市場シェアなどの情報などが盛り込まれています。

    ■主な掲載内容

    日本のアップサイクル食品市場は、2023年に21億米ドル規模となり、2031年には38億米ドルに達すると予測されている。2024~2031年の年平均成長率(CAGR)は3.4%であり、急成長市場というよりは、食品ロス削減、環境配慮、循環型経済への移行を背景に、着実な拡大が見込まれる市場である。アップサイクル食品とは、本来であれば廃棄される可能性のある食品副産物や余剰原料を、スナック、飲料、食品原料、代替タンパク質などの付加価値商品に再利用するものであり、日本では食品ロス問題への関心の高まりとともに注目度が上がっている。

    日本市場の成長背景として特に重要なのが、食品廃棄物削減に対する国の明確な目標である。農林水産省は2030年度までに食品ロスを489万トンまで削減する目標を掲げており、内訳は事業系273万トン、家庭系216万トンとされている。これは2000年度の980万トンからほぼ半減させる水準であり、国連の持続可能な開発目標(SDGs)が掲げる「2030年までに小売・消費段階の1人当たり食品廃棄量を半減する」という国際的な目標とも整合する。

    こうした政策環境のなかで、アップサイクル食品は単なる新しい食品カテゴリーではなく、食品ロス削減を実現するための具体的なソリューションとして位置づけられている。食品工場や小売、外食、農業などから発生する余剰原料や副産物を、廃棄せずに再利用することで、環境負荷を減らしながら新しい経済価値を生み出すことができるためである。

    市場成長の大きな推進要因の一つは、政府によるサステナビリティ政策と食品ロス削減施策である。行政は規制、インセンティブ、啓発活動を通じて食品廃棄物の再利用を促進し、企業が余剰原料をスナック、プロテインパウダー、飼料などの高付加価値商品に転換しやすい環境を整備している。これにより、廃棄物処理コストの削減と新規事業創出の双方が可能となり、アップサイクル市場の成長につながっている。

    資料では、日本が2022年に食品ロスを51万トン削減し、目標を当初予定より8年早く達成したとされている。また、日本はSDGs Indexで21位、World Economic ForumのTravel & Tourism Development Indexで1位とされ、サステナビリティを経済成長の重要な要素として位置づけている。このような政策的・社会的な背景が、食品アップサイクル事業への投資や新商品開発を後押ししている。

    一方で、市場拡大を妨げる最大の課題の一つは、消費者認知の不足である。多くの消費者にとって「アップサイクル」という概念自体がまだ十分に知られておらず、食品副産物や余剰原料を再利用した商品に対して、どのような環境メリットがあるのか、どのように安全性が確保されているのかを理解していない場合が多い。

    特に日本では、食品の「新鮮さ」や「品質」に対する消費者の要求が非常に高いことが、アップサイクル食品の普及を難しくする要因となる。伝統的な日本の食文化では旬や鮮度が重視されるため、「本来は捨てられるものを再利用した食品」という説明だけでは、消費者によっては品質が低い、古い、不衛生といった誤解につながる可能性がある。

    このため、メーカーにはアップサイクル食品を「廃棄物から作った食品」として訴求するのではなく、「まだ価値のある良質な食品資源を有効活用した商品」として伝える工夫が求められる。安全性、品質、栄養価、環境メリットを分かりやすく説明し、消費者の心理的な抵抗感を取り除くことが市場拡大の鍵となる。

    市場は、原料、原材料タイプ、製品、流通チャネルなどによって分類されている。用途別では、スナック・飲料、ベーカリー・菓子、食品原料・添加物、肉・水産、ペットフードなどが含まれており、なかでもスナック・飲料分野が重要な成長カテゴリーとされている。

    スナック・飲料が成長を牽引する理由は、健康志向とサステナビリティを両立しやすいからである。たとえば、ジャガイモの皮をチップスに加工する、余剰果実を飲料に利用する、余った穀物や果物をグラノーラに転換するなど、消費者が日常的に食べる商品にアップサイクル原料を取り入れることで、食品ロス削減を身近な購買行動に結びつけることができる。

    日本ではスナック文化そのものが強く、日常的な間食需要がアップサイクル商品の普及を支える可能性がある。資料によると、NZTEのデータでは日本人消費者の23%が毎日スナックを食べており、健康スナックは現在スナック市場全体の11%を占め、2027年には13%へ拡大すると予測されている。

    この傾向は、アップサイクルスナックとの相性が非常に良い。余剰穀物や果物を使用したグラノーラ、野菜の皮を活用したチップスなどは、食品ロス削減という環境価値だけでなく、栄養面や「罪悪感の少ない間食」という健康価値も訴求できる。そのため、「サステナブルだから買う」だけでなく、「健康的だから買う」という複数の購買理由を持たせられる点が重要である。

    日本市場では、健康志向と環境意識を同時に満たす商品への需要が高まっており、アップサイクル食品はこの二つのトレンドが交差する位置にある。たとえば、従来廃棄されていた果皮、穀物副産物、野菜くずなどには、食物繊維、タンパク質、抗酸化成分などの栄養価が残っている場合があり、それらを機能性素材として再評価することができれば、単なる廃棄物削減以上の付加価値を生み出せる。

    競争環境では、ÄIO、Bake Me Healthy、Barnana、cascarafoods、Green Bowl Foods、CRUST Group、I Am Grounded、Matriark Foods、Oisix Ra Daichi、Pluck Teaなどが主要プレイヤーとして挙げられている。日本企業だけでなく、海外のアップサイクル食品企業も含まれており、原料調達、商品開発、ブランド戦略、サステナビリティ訴求などで競争が進んでいる。

    日本企業にとっては、国内の食品製造業や小売業から発生する副産物を安定的に確保できることが強みになる。食品工場、農業生産者、外食企業、小売企業などと連携し、従来は処分コストが発生していた原料を商品化できれば、サプライチェーン全体で経済価値を生み出せる。

    また、大手食品企業や小売企業にとっては、アップサイクル商品を自社のESG・サステナビリティ戦略と結びつけることが可能である。単に新商品を販売するだけでなく、「年間何トンの食品廃棄物を削減したか」「どれだけCO2排出削減に貢献したか」といった成果を可視化することで、企業ブランドや環境評価の向上にもつながる。

    サステナビリティという観点では、アップサイクル食品は循環型経済の実践例として重要である。従来は廃棄されていた副産物や余剰原料を食品として再利用することで、埋め立てや焼却に回る廃棄物を減らし、食品生産に投入された水、エネルギー、農地、労働などの資源を無駄にしないことにつながる。

    食品廃棄物が減れば、廃棄物処理に伴う温室効果ガス排出も抑えられる可能性がある。このため、アップサイクル食品は食品ロス対策だけでなく、カーボンニュートラルや資源効率向上という広い環境政策とも関連する。

    また、アップサイクルは「リサイクル」と異なり、単純に再利用するだけではなく、原料をより高い価値の商品へ転換することを重視する。たとえば、農産物副産物を飼料に回すだけでなく、人が食べられる高付加価値スナック、プロテイン、飲料、食品素材に転換できれば、経済価値を大きく高めることができる。

    この点で、日本市場では食品企業だけでなく、バイオテクノロジーや発酵技術を持つ企業にも機会がある。食品副産物を微生物や菌糸体によって発酵させ、新しいタンパク質や食品原料へ変換する技術は、アップサイクル市場の高度化につながる。

    具体的な最近の動向として、2024年11月にはノルウェーのNorwegian Mycelium(NoMy)が札幌に子会社を設立し、農業副産物を代替タンパク質へ転換する持続可能な発酵技術の展開を進めた。これは、アップサイクル食品が「余った原料をそのまま別の商品に使う」段階から、バイオプロセスによって全く新しい高機能原料へ転換する段階へ進んでいることを示している。

    菌糸体発酵を利用すれば、農業副産物などをタンパク質素材へ変換できる可能性があり、代替肉や植物性食品市場との接点も生まれる。つまり、アップサイクル食品市場は、食品廃棄物削減市場だけでなく、代替タンパク質市場やフードテック市場とも重なり合う領域になっている。

    2023年2月には、Nagano Upcycle Food Projectが「Shinto Goen Ale」というアップサイクルビールを発売した。これは食品残渣を原料として活用したビールであり、同プロジェクトではそれ以前にもShinshu Fukumi chickenを利用した缶詰商品を展開していた。

    この事例は、日本の地域資源活用とアップサイクルを組み合わせたモデルとして注目される。地方で発生する食品副産物や余剰原料を、その地域ならではの商品へ変換することで、食品ロス削減だけでなく、地域ブランド形成、観光、地方創生にもつなげることができる。

    2024年8月にはUpcycled Foods, Inc.が、Upcycled Foods Labとの協業により、Atoria’s Family Bakery Mini Upcycled Naanを発表した。この商品は、アップサイクルされた大麦、小麦、ライ麦粉を使用したミニサイズのフラットブレッドである。

    こうした商品は、アップサイクル原料を「特別な環境商品」として扱うのではなく、パンやナンといった日常的な食品に自然に組み込む方向性を示している。消費者が環境意識のためだけに特別な商品を選ぶ必要がなく、普段食べる食品の中でアップサイクル原料を摂取できることが、マス市場への普及には重要になる。

    今後の市場成長では、スナック、飲料、ベーカリーなど「味や食べやすさ」を重視するカテゴリーが特に重要になると考えられる。アップサイクルという環境メッセージだけではリピート購入につながりにくいため、通常商品と同等以上の味、品質、価格、利便性を実現することが必要である。

    また、食品副産物を原料として利用する場合、安定調達も大きな課題になる。副産物は季節や生産量によって発生量が変動するため、アップサイクル企業には複数の供給元を確保し、原料品質を標準化する仕組みが求められる。特に大量生産を行う場合、サプライチェーンの安定性が事業拡大のボトルネックになる可能性がある。

    品質管理も重要である。副産物だからといって品質基準を下げることはできず、むしろ日本の消費者は安全性や清潔さを重視するため、通常食品以上に原料履歴、衛生管理、加工工程を明確に示す必要がある。トレーサビリティや第三者認証などが普及すれば、消費者の信頼向上につながる。

    価格面でも課題がある。小規模生産や特殊加工が必要なアップサイクル商品は、通常の商品より高価になりやすい。環境配慮型商品にプレミアムを支払う層は存在するものの、市場を大きく拡大するには、生産規模の拡大や加工効率の改善によって価格を下げる必要がある。

    一方、企業側にとっては、従来は廃棄コストが発生していた原料を利用できるため、原料調達コストを抑えられる可能性もある。加工技術や物流が効率化されれば、アップサイクルは環境施策であるだけでなく、収益改善につながるビジネスモデルになり得る。

    今後は、小売企業の役割も大きくなる。店頭で「アップサイクル食品」というカテゴリーを分かりやすく表示したり、サステナビリティ情報を提供したりすることで、消費者認知を高めることができる。また、ECでは商品の背景や食品ロス削減量などを詳しく説明できるため、ストーリー性のあるアップサイクル商品との相性が良い。

    さらに、外食やホテル業界にも大きな機会がある。調理過程で発生する野菜の端材、パン、果物などを、スープ、ソース、デザート、発酵食品などに再利用することで、廃棄量を削減しながらメニュー価値を高めることができる。特に高級ホテルやレストランでは、サステナビリティへの取り組み自体がブランド価値になる。

    市場全体としては、日本のアップサイクル食品は、食品ロス削減政策と健康・環境志向の双方に支えられる構造を持っている。2023年の21億米ドルから2031年には38億米ドルへ拡大する予測であり、CAGR3.4%という数字からは成熟食品市場の中で徐々に浸透していくカテゴリーと捉えられる。

    成長を最も強く支えるのは、国の食品ロス削減目標、SDGs・循環型経済への対応、健康スナック需要、企業のESG戦略である。特に、余剰穀物や果実、副産物などを「健康的でおいしい食品」に変換できれば、環境配慮を意識しない一般消費者にも広がる可能性がある。

    一方、最大の課題は「アップサイクル=廃棄物」というネガティブな印象をどこまで払拭できるかである。日本では鮮度と品質への期待が高いため、メーカーは、安全性、品質、栄養、味、環境価値を一体で訴求する必要がある。また、商品のストーリーや削減した食品ロス量などを具体的に示すことで、消費者が購入による環境貢献を実感できる仕組みも重要になる。

    総じて、日本のアップサイクル食品市場は、単なる「食品廃棄物の再利用市場」ではなく、食品ロス削減、健康食品、代替タンパク質、フードテック、地域活性化、循環型経済が交差する市場へ発展しつつある。今後は、食品副産物を低価格な再利用先へ回すだけではなく、高栄養・高機能なスナック、飲料、タンパク質素材、発酵食品などへ転換する技術力が競争力を左右する。

    特に日本市場では、「環境に良いから買う」だけでなく、「おいしい、健康的、品質が高い、そのうえ食品ロス削減にも貢献できる」という順序で消費者価値を設計することが重要になる。アップサイクルを特別なサステナビリティ商品として切り離すのではなく、一般食品の中に自然に組み込める企業ほど、長期的に大きな市場を獲得しやすいと考えられる。

    ※目次構成

    1. 調査方法および調査範囲
      調査方法
      調査目的およびレポートの対象範囲
    2. 定義および概要
    3. エグゼクティブサマリー
      原料由来別市場概要
      原材料タイプ別市場概要
      製品別市場概要
      流通チャネル別市場概要
    4. 市場動向
      市場への影響要因
      成長要因
      政府による取り組みおよび政策支援
      阻害要因
      消費者認知度の不足
      市場機会
      影響分析
    5. 業界分析
      ポーターの5フォース分析
      サプライチェーン分析
      価格分析
      規制分析
      DMI見解
    6. 原料由来別
      はじめに
      原料由来別市場規模分析および前年比成長率分析(%)
      原料由来別市場魅力度指数
      食品廃棄物
      はじめに
      市場規模分析および前年比成長率分析(%)
      農業副産物
      ビール・蒸留酒製造副産物
      その他
    7. 原材料タイプ別
      はじめに
      原材料タイプ別市場規模分析および前年比成長率分析(%)
      原材料タイプ別市場魅力度指数
      タンパク質
      はじめに
      市場規模分析および前年比成長率分析(%)
      食物繊維
      油脂
      小麦粉・粉末原料
      甘味料
      その他
    8. 製品別
      はじめに
      製品別市場規模分析および前年比成長率分析(%)
      製品別市場魅力度指数
      スナック・飲料
      はじめに
      市場規模分析および前年比成長率分析(%)
      ベーカリー・菓子類
      食品原料・添加物
      食肉・水産食品
      ペットフード
      その他
    9. 流通チャネル別
      はじめに
      流通チャネル別市場規模分析および前年比成長率分析(%)
      流通チャネル別市場魅力度指数
      スーパーマーケット/ハイパーマーケット
      はじめに
      市場規模分析および前年比成長率分析(%)
      専門店
      オンライン
      その他
    10. 競争環境
      競争状況
      市場ポジショニング/市場シェア分析
      M&A(合併・買収)分析
    11. 企業プロファイル
      11.1 CRUST Group
      企業概要
      製品ポートフォリオおよび製品概要
      財務概要
      主な動向
      11.2 その他の主要企業
      Oisix ra daichi Inc.(オイシックス・ラ・大地株式会社)
      Aranea LLC
      DEAN & DELUCA
      Norwegian Mycelium
      Loss Zero
      Tokyo Co., Ltd.

    ※企業一覧は網羅的なものではありません。

    1. 付録
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