劇団「地点」、五感で楽しむ新企画〈文学カフェ〉と 『ブルグント公女イヴォナ』を週替わりで上演

    ~デル・ニステルとゴンブローヴィチの一筋縄ではいかない世界~

    イベント
    2024年2月20日 11:00

    京都を拠点とする劇団「地点」(運営会社:合同会社地点)は、本拠地となるアトリエ「アンダースロー」(京都市左京区)で、新企画〈文学カフェ〉を始動します。第一弾となる3月23日・24日の上演では、イディッシュ文学の最重要作家と目されるデル・ニステルの『塀のそばで』を新訳でお届け。また、3月28日から30日にはレパートリー作品から、ヴィトルト・ゴンブローヴィチの『ブルグント公女イヴォナ』を再演し、東欧の作家たちによる、一筋縄ではいかない世界の魅力を週替わりで上演します。


    アンダースローで新企画がローンチ!


    ■新企画〈文学カフェ〉とは

    ロシアや東欧には、詩人や作家が新作を書き上げると文学サロンやカフェなどで朗読を行うという文化があり、聴衆と作家の交流の場になってきました。

    お茶や食事を楽しみながら、文化の薫りや文学にどっぷり浸るひとときは、たまらなく贅沢な時間です。


    一昨年オープンしたタッパウェイと共同で、そのような〈文学カフェ〉をアンダースローに出現させようというのが、この新企画です。短編小説、散文を中心にノーカットでお届け。また、お茶とお菓子をサーブし、解説つきというサロン的な雰囲気も含めてお楽しみいただければと思っています。


    五感を使って楽しむ文学。小説を舞台化するときにはどうしてもこぼれ落ちてしまうような文字の切れ味、不思議さや、ささやかな胸の高鳴りも丁寧に掬い取っていきます。



    ■隠遁者デル・ニステルとイディッシュ文学

    文学カフェの第一弾として取り上げるのは、イディッシュ文学の最重要作家とも目される、デル・ニステルの『塀のそばで』です。


    イディッシュ語は東欧に移り住んだユダヤ人の使用する日常言語。イディッシュ文学の作家たちは、ホロコーストや反ユダヤ主義から逃れ、各地を転々としながら書き続けました。『塀のそばで』の作家デル・ニステル(「隠遁者」を意味するペンネーム)も、その例にもれず、ウクライナの生地ベルディーチェフ(現ベルディーチウ)からジトーミル、モスクワ、ベルリン、ハンブルク、ハリコフ(現ハルキウ)、タシケント、モスクワ、ビロビジャンと移住しながら、1949年にモスクワの自宅で逮捕されるまで、イディッシュ語で作品を書き続けた一人です。


    『塀のそばで』は、主人公の「学僧」が思いを寄せる乗馬女リリ、愛娘、恩師メダルドゥス、埃人間といった登場人物たちが、サーカス小屋や尖塔といった不思議な空間に現れては消え、夢から夢へとうつろっていくかのように幻想的でいて、スピード感のある展開やいつまでも残るもの哀しさが印象的な作品。ぜひアンダースローの空間で、俳優の声を通してお楽しみください。



    ■〈文学カフェ〉Vol.1『塀のそばで』公演概要

    作 :デル・ニステル

    翻訳:赤尾光春

    演出:三浦基

    出演:安部聡子 石田大 窪田史恵 小林洋平


    日程:2024年3月23日(土)・24日(日) 15:00~17:00

       ★両日ともプレトークあり(15:00~)

        ゲスト…赤尾光春(翻訳者・東欧ユダヤ文化論)

    開場:開演の120分前

    会場:アンダースロー

       〒606-8266 京都市左京区北白川久保田町21地下

    料金:一般 4,000円 学生 3,000円 (いずれも税込)

       ロシアのクレープ「ブリヌイ」と紅茶のセットがついています。

       開場時間からお楽しみいただけます。


    <チケット予約>

    地点WEB予約フォーム: http://chiten.org/underthrow_form/


    ★本公演は2024年4月刊行予定の新訳を使用しての上演になります。

    ベルゲルソン/デル・ニステル『二匹のけだもの/なけなしの遺産 他五篇』(幻戯書房 ルリユール叢書) 田中壮泰・赤尾光春=訳


    デル・ニステルは隠遁者という意味のペンネーム


    デル・ニステル

    イディッシュ文学における象徴主義の旗手。ホフマンやカフカのような幻想的作風が魅力。1884年、ウクライナのベルディーチェフ(現ベルディーチウ)に生まれる。本名はピンヘス・カハノヴィチ。1904年、徴兵から逃れるため、後にペンネームともなるデル・ニステルの偽名を使い始める。各地を転々としながら、イディッシュ語で作品を書き続ける。代表作に『マシュベル家』(1939年)。1950年、旧ソ連のアベズ村収容所病院で心臓疾患のため死去。埋葬場所が長く不明であったが、2017年夏に囚人用集団墓地から埋葬地が特定された。


    赤尾光春

    1972年横浜生まれ。大阪外国語大学ロシア語科卒。総合研究大学院大学博士後期課程修了(学術博士)。北海道大学スラブ研究センター学術研究員、大阪大学文学研究科助教等歴任後、現在、国立民族学博物館特任助教。共編著に『ユダヤ人と自治』(岩波書店、2017)、『シオニズムの解剖』(人文書院、2011)、『ディアスポラから世界を読む』(明石書店、2009)、『ディアスポラの力を結集する』(松籟社、2012)等。共訳書に『ディブック/ブルグント公女イヴォナ』(イディッシュ語からの翻訳・未知谷、2015年)、『トレブリンカの地獄 ワシーリー・グロスマン前期作品集』(みすず書房、2017)等。



    ■ゴンブローヴィチ作『ブルグント公女イヴォナ』、生演奏ver.で再び!

    地点の新しいレパートリーとして愛されている作品『ブルグント公女イヴォナ』は、音楽を担当したヴァツワフ・ジンペル氏の再来日に合わせ、生演奏ver.での再演が3月28日から30日に決定しています。


    沈黙する異例のヒロイン、イヴォナと皇太子フィリップの物語。地点の上演では、作家ゴンブローヴィチ特有のアイロニカルでグロテスクな劇の中心に『ロミオとジュリエット』を彷彿とさせるような愛の問題を据えることで、物語の巧みさとおもしろさを炙り出しました。


    見る者を物語の世界へと誘うヴァツワフ・ジンペルのバス・クラリネットを生演奏で堪能できる贅沢な3ステージ!見逃していた方も、もう一度見たいと思っていた方も、ぜひお越しください。前週の〈文学カフェ〉とあわせてお楽しみいただくことで、日本ではまだ馴染みの薄い東欧の作家たちの世界に魅了されること間違いなしです。


    イヴォナが生演奏で帰ってくる!


    ■地点『ブルグント公女イヴォナ』公演概要

    作   :ヴィトルト・ゴンブローヴィチ

    翻訳  :関口時正

    演出  :三浦基

    音楽  :ヴァツワフ・ジンペル

    出演  :安部聡子 石田大 窪田史恵 小林洋平/

         秋元隆秀 姉川華(劇団ひまわり)

    舞台美術:杉山至

    衣裳  :コレット・ウシャール

    照明  :藤原康弘

    舞台監督:大鹿展明

    宣伝美術:松本久木

    制作  :田嶋結菜


    日程:2024年3月28日(木)19:00/3月29日(金)19:00/3月30日(土)19:00

    開場:開演の30分前 ※上演時間…約80分

    会場:アンダースロー

       〒606-8266 京都市左京区北白川久保田町21地下

    料金:全席自由/税込

       一般 前売3,500円/当日3,800円

       学生 前売2,500円/当日2,800円


    <チケット取扱>

    地点WEB予約フォーム: http://chiten.org/underthrow_form/

    teket       : https://teket.jp/312/31824


    ヴィトルト・ゴンブローヴィチ


    ヴィトルト・ゴンブローヴィチ

    1904年、ポーランドのマウォシーツェ生まれ。20世紀ヨーロッパ文学を代表する作家の一人。ワルシャワの高校、大学に学び、33年、短編集『成熟途上の記録』でデビュー。39年、アルゼンチンへ亡命。1964年以降はフランスに住んだ。67年、小説『コスモス』で国際文学賞を受賞。ほか主な作品に短編集『バカカイ』、小説『フェルディドゥルケ』『トランス=アトランティック』『ポルノグラフィア』など。



    ■劇団「地点」について http://chiten.org/

    京都を拠点とし、総合芸術としての演劇活動を国内外で広く展開する劇団。多様なテキストを独自の手法で再構成・コラージュして上演する。言葉の抑揚やリズムをずらす独特の発語は「地点語」とも言われ、意味から自由になることでかえって言葉そのものを剥き出しにするその手法はしばしば音楽的とも評される。代表は演出家の三浦基(みうらもとい)。2013年、本拠地京都にアトリエ「アンダースロー」をオープン。

    2006年に『るつぼ』でカイロ国際実験演劇祭ベスト・セノグラフィー賞を受賞。チェーホフ2本立て作品をモスクワ・メイエルホリドセンターで上演、また、2012年にはロンドン・グローブ座からの招聘で初のシェイクスピア作品『コリオレイナス』を上演するなど、海外公演も行う。2017年、イプセン作『ヘッダ・ガブラー』で読売演劇大賞作品賞受賞。

    2022年、アンダースローの食堂〈タッパウェイ〉をオープン。 https://www.instagram.com/tupper_way_/

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