宮城県南三陸町における藻場の再生・拡大へ向けた共同研究の開始

宮城県南三陸町における藻場の再生・拡大へ向けた共同研究の開始

南三陸町(町長:佐藤 仁)と一般社団法人サスティナビリティセンター(代表理事:太齋 彰浩)、MS&ADインシュアランス グループ ホールディングス株式会社(取締役社長 グループCEO:原 典之)、鹿島建設株式会社(代表取締役社長:天野 裕正)は、今般、南三陸町が推進する「いのちめぐるまちプロジェクト」の一環として、生態系の保全、二酸化炭素の吸収源等となる藻場の再生・拡大を目的とする共同研究を開始しました。



1. 背景と目的

南三陸町は、川の源流から海までを町域としており、町内を潤した水が注ぐ志津川湾はラムサール条約登録湿地であり漁業が盛んです。同町は、持続可能な養殖場の証しである「ASC認証」※1、そして生態系や人権に配慮した林業における「FSC(R)認証」※2の両方を取得した世界初の自治体であり、環境に配慮した産業を推進してきました。一方で、志津川湾における海の生態系は、東日本大震災の被害や全国的に進む磯焼け※3の影響による藻場の減少が認められ、その再生が課題となっています。さらに、地球温暖化や海洋酸性化も懸念される中、藻場による二酸化炭素の吸収(ブルーカーボンの創出)に期待が高まっています。

そのような中、MS&ADグループは、自然を活用したまちづくりに関心の高い南三陸町と地域密着のシンクタンクであるサスティナビリティセンターが進める、海や森の自然を活かしたまちづくり「いのちめぐるまちプロジェクト」に賛同し、全国の社員によるボランティア作業等を2022年度から開始しました。

今般、同プロジェクトのさらなる発展を目指し、藻場の再生および海の生物多様性のより良い保全・再生を目的として、海藻類の培養技術を有する鹿島建設とともに、4者での共同研究を開始しました。


志津川湾


※1:自然や資源保護に配慮しつつ、安全で持続可能な養殖事業を営んでいることを認める国際認証制度

※2:環境や社会に対して持続可能な森林管理のもと作られた製品を認める国際認証制度

※3:海藻が著しく減少・消失し、繁茂しなくなる現象



2. 共同研究の内容

(1) 概要と役割分担

南三陸町の自然環境活用センターを拠点に、任期付研究員制度を導入して地域に根差した研究・交流を行う南三陸町、持続可能な地域社会を目指したコンサルティングや人財育成に取り組むサスティナビリティセンター、社員ボランティアの派遣や自然を活用したまちづくりに関する知見の交流等により、自然が有する多面的機能の再生と地域課題の解決を支援するMS&ADグループ、地域固有のアマモの遺伝子を保護しながらアマモの藻場を再生する技術を有する鹿島建設が連携します。

共同研究にあたっては、漁業協同組合や住民の皆さんの協力を得て、外部専門家やまちづくりの理念への賛同者と協働しながら、自然を基盤とする地域主体のまちづくりに向けた交流や人材育成のあり方・進め方についても検討を行っていきます。


具体的には、

・アマモおよびタチアマモの藻場再生と再生技術の体系化

・藻場再生による生態系の維持・改善およびブルーカーボンの創出

・沿岸域の藻場再生・保全活動に向けた地域住民や地域外ボランティアを対象とした環境学習の実践


(2) 目指す姿

南三陸町など4者は、アマモおよびタチアマモの藻場再生と志津川湾の生物多様性保全に向けた実践研究を通じて「いのちめぐるまちづくり」に貢献するとともに、藻場の再生と保全に関する技術や仕組みの体系化を目指します。次段階として、全国各地の海における生物多様性のより良い保全・再生と漁業の活性化、藻場再生による脱炭素社会への貢献に向け、本研究成果の実用化を進めます。


(ご参考1) 鹿島建設のアマモ種苗生産・移植技術

● 鹿島建設は、地域固有のアマモの遺伝子を保護しながらアマモ場を再生する技術を有しています。

● 自生しているアマモ草体からの品質が良い種子の確保、長期保存、発芽促進、種苗の安定的大量育成ができ、観測と環境評価モデルにより適正移植場を選定し、波条件に応じた移植基盤を提供し、移植後のモニタリング調査までを行うトータルな藻場再生手法を確立しています。


アマモの種苗生産技術


● 海に棲む生き物たちの生物多様性保護、再生に向けて

https://www.kajima.co.jp/tech/material/eco/amamo/


(ご参考2) 南三陸町におけるMS&ADグループのグリーンアースプロジェクト

● グループ社員による環境取組「MS&ADグリーンアースプロジェクト」を通じて、自然環境の保全・再生等により社会課題を解決する「グリーンレジリエンス」を推進しています。

● 志津川湾の藻場の再生・拡大を進め、アマモ等の海藻による炭素吸収で「Jブルークレジット(R)認証」を目指すとともに、東北大学・ANEMONEコンソーシアムとも連携し、環境DNA技術を用いて藻場の拡大による生物多様性の向上を分析します。

● 海や森、里でのボランティア活動に加え、自然や生物多様性に関する知見の交流を通じて、南三陸町が進める森・里・海の循環を活かしたまちづくりを支援しています。

● MS&ADグリーンアースプロジェクト

https://www.ms-ad-hd.com/ja/csr/green-earth_project.html

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