「DX推進アンケート2023」について

- DX先進企業の9割は経営ビジョンと整合したDX推進戦略を策定 -

有限責任 あずさ監査法人(東京都新宿区、理事長:山田 裕行)は、上場企業のCDO・CIO等組織のデジタルトランスフォーメーション(以後、DX)推進責任者を対象にDX推進の実態やDXを推進する上での課題に関する調査を実施し、調査結果をまとめました。


本調査では、DX推進において企業が直面する課題を抽出し、それらに対する対応施策に関する提言を記載しています。主な調査結果は、以下のとおりです。


■ DX先進企業の93%は、DX戦略を経営ビジョンの柱の一つとして掲げており、経営ビジョンと整合したDX推進戦略を策定している。

■ DX推進のために重要なデジタル技術は人工知能(AI)と80%の企業が回答。今後はAI等の先端テクノロジーに関するリスク管理の必要性が高まる。

■ DX人材に求められているスキルは、ビジネスアーキテクトとしてのプロジェクトマネジメント力や企画力と約9割の企業が回答

■ データドリブンな経営意思決定には、財務経理、人事、リスクマネジメントなどのコーポレート業務のDXが重要

■ DX推進のためにはデータ分析目的の明確化が重要

■ データにアクセスするための整備状況に関して、70%の企業はシステムは分散しているがツール活用等による仕組みがあると回答。システム統合企業とシステム分散企業を比較しても、DX推進状況に大きな差異はない。


デジタル技術の進展により、ビジネス環境は大きく変化しています。多くの日本企業において、データやデジタル技術をビジネスに活用し、DXが経営アジェンダとして取り上げられるようになっています。会計監査のDXを進めるためには、企業によるデータ利活用環境の整備が必要不可欠であり、あずさ監査法人においても会計監査のDXに向けて、監査手続の効率化・見える化・高度化を推進しています。当法人では、戦略、ガバナンス、プロセス、トラスト、人材、アナリティクス&インサイト、テクノロジー、およびデータの8つの領域に分けたデジタルアドバイザリーフレームワークを策定しており、今回の調査ではこの領域に沿って企業がDXのために取り組んでいる施策や課題を分析しています。



<主な調査結果>

(1) DX先進企業の93%は、DX戦略を経営ビジョンの柱の一つとして掲げており、経営ビジョンと整合したDX推進戦略を策定している。

DX先進企業の93%は、DX推進戦略を策定し、経営ビジョンの一つとして掲げています。

DX推進戦略を策定し経営ビジョンの柱とすることにより、DXに対して経営陣の描くビジョンが一致し、DX予算の確保や部門を横断した全社的な取り組みを後押しすることとなり、結果としてDXの成功に近づくものと考えられます。


【図1】DX推進のための戦略と経営ビジョンの関連性


(2) DX推進のために重要なデジタル技術は人工知能(AI)と80%の企業が回答。今後はAI等の先端テクノロジーに関するリスク管理の必要性が高まる。

DX推進のために重要なデジタル技術はAIがトップとなっています。AIはDX推進の幅広い領域での活用が期待されています。

他方、デジタルリスクマネジメントに関する重点施策に関しては、約90%の企業がサイバーセキュリティマネジメントを挙げており、AI等の先端テクノロジーに関するリスク管理と回答した企業は全体の27%にとどまります。AIへの注目度が高まっていますが、リスク管理に取り組んでいる企業はまだ少ないといえます。AIの安全性・信頼性の確保は大きなテーマとなってきており、今後はAIのリスク管理の領域において対応の必要性が高まってくると予想されます。


【図2-1】DX推進のために重要と考えているデジタル技術


【図2-2】デジタルリスクマネジメントに関する重点施策


(3) DX人材に求められているスキルは、ビジネスアーキテクトとしてのプロジェクトマネジメント力や企画力と約9割の企業が回答

DXの課題として日本企業の多くが「人材不足」をあげています。実際にどのようなスキルを保有した人材が不足しているかについては、データサイエンティストやソフトウェアエンジニアといったIT技術関連よりも、ビジネスアーキテクトとしての事業変革を主導するプロジェクトマネジメント力やDXプロジェクトを生み出す企画力といった回答が高い結果になりました。企業は社内においてDX人材のスキル定義を明確にし、リスキリングのための時間を確保することが重要です。


【図3】DX人材に求められるスキルのうち、不足しているもの


(4) データドリブンな経営意思決定には、財務経理、人事、リスクマネジメントなどのコーポレート業務のDXが重要

DX先進企業の73%は、経営意思決定プロセスのDXに注力していると回答しており、データドリブンな意思決定に取り組んでいることを示しています。

そして、DX先進企業においては、財務経理部門や、人事、リスクマネジメントといったコーポレート業務に対する取り組み割合が高い結果となっています。全社的なデータ活用のためには、コーポレート業務でのDX推進が重要と考えられます。


【図4】DX推進に注力している業務領域


(5) DX推進のためにはデータ分析目的の明確化が重要

DX先進企業は全体的に、多くの目的をもってデータ分析を行っていることがわかりました。DX先進企業の特徴は、データ分析結果を経営意思決定に活用できているという点ですが、経営目的からどのようなデータ分析が必要であるかが明確になっていると考えられます。逆に、データ分析を行っているものの、その結果を活用できていない企業の特徴としては、データ分析の目的が明確でないためにPOC(概念実証)で終わっている傾向が高いと考えられます。DX推進にはデータ分析の目的を明確にすることが重要であるといえます。


【図5】データ分析を行っている場合の分析目的


(6) データにアクセスするための整備状況に関して、70%の企業はシステムは分散しているがツール活用等による仕組みがあると回答。システム統合企業とシステム分散企業を比較しても、DX推進状況に大きな差異はない。

データの収集と標準化を実施するにあたり、統一的なERPシステム等を導入してすべてのデータを一元管理することは理想ではありますが、システム統合には膨大な時間とコストがかかります。本調査では、何らかの方法で社内の必要なデータにアクセスできる仕組みがあると回答した企業のうち、70%がシステムは分散しているが、ツール等の活用によりデータにアクセスできる仕組みを構築していると回答しました。ERP導入等でシステムが統一化されているか否かでデータ利活用の進捗に差異はなく、今ある環境で出来る部分からデータ利活用を進める事が重要です。


【図6】データへのアクセスのしやすさと、アクセスできる仕組み


あずさ監査法人は、重要な不正・誤謬を看過しないという社会の期待に応えるため、AI等の先端テクノロジーを活用して、監査の品質向上と効率化に取り組んでいます。日本企業にとって最適となる監査ソリューションを日本で独自開発し、順次展開していきます。



<調査概要>

名称   :DX推進アンケート2023

調査の目的:DXの推進状況および推進上の課題に関する実態調査

調査期間 :2023年2月~2023年5月

調査方法 :ウェブアンケートシステムによる回答

有効回答数:217社



<あずさ監査法人について>

有限責任 あずさ監査法人は、全国主要都市に約6,000名の人員を擁し、監査や保証業務をはじめ、アカウンティングアドバイザリー、金融関連アドバイザリー、IT関連アドバイザリー、企業成長支援アドバイザリーを提供しています。金融、情報・通信・メディア、パブリックセクター、消費財・小売、製造、自動車、エネルギー、ライフサイエンスなど、業界特有のニーズに対応した専門性の高いサービスを提供する体制を有するとともに、4大国際会計事務所のひとつであるKPMGのメンバーファームとして、143の国と地域に拡がるネットワークを通じ、グローバルな視点からクライアントを支援しています。

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