NTT Com、竹中工務店、清水建設、建築現場のDX実現に向けた協業を開始
~工程関連データを連携させた「施工管理業務のDX」を推進~
NTTコミュニケーションズ株式会社(代表取締役社長:丸岡 亨、以下 NTT Com)、株式会社竹中工務店(取締役社長:佐々木 正人、以下 竹中工務店)および清水建設株式会社(取締役社長:井上 和幸、以下 清水建設)は、2023年7月11日に建築現場のDX(デジタルトランスフォーメーション)の実現に向けた協業(以下 本協業)を開始しました。
これまでNTT Com と竹中工務店、NTT Comと清水建設がそれぞれ建築現場のDX実現に向けたソリューションを検討してきましたが、このたび3社が協業し共同で検討することで、より一層の開発促進をめざします。
本協業では、建築現場において日々行なわれる、工程管理、リソース手配、作業指示などに必要なさまざまな施工管理情報を、工程表の計画から作業日報に至るまでデジタル化し、これらを連携させることにより、工程と作業をつなぐ施工管理業務全体の生産性向上に取り組みます。
1.背景
近年、建設業界では、時間外労働の上限規制や就業人口の減少・高齢化などの課題に直面しており、DXによる建築現場全体の生産性向上が急務となっています。
建築現場では図面に描かれた建築物を工程表で定められたスケジュールに従って施工しており、図面情報についてはBIMを活用したDXが進みつつありますが、工程情報についてはいまだにアナログな管理も多くDXが進んでいるとは言えませんでした。工程管理は建築施工管理の根幹であり、全ての現場員、作業員に関係するため、そのDXがもたらす生産性向上効果は極めて大きいと考えられます。
そこで、竹中工務店、清水建設およびNTT Comの3社で、工程情報に着目した「施工管理業務のDX」を進め、建築施工管理全体の革新と生産性向上をめざす運びとなりました。
2.本協業の概要
従来提供されてきた建築現場の施工管理業務に関するITソリューションの多くは、それぞれの業務に分かれて特化しており、ソリューション間での実用的なデータ連携ができていませんでした。これは、工程表には、工事全体の大きな流れが記載されるのに対し、作業日報には各工程の中で行われる作業の詳細(作業の人員数や具体的な作業項目など)が記載されるなど、工程表と作業日報で扱う情報粒度に差異があることに起因する難題であり、DXを阻む最大要素でもありました。本協業では、工程表~作業日報までの各施工管理に係わるデータを情報粒度の差異を調整しながら、実用的なデータ連携を実現するロジックを開発することで「施工管理業務のDX」を実現させ、ゼネコンおよび協力会社を含めた現場関係者が広く利用することで、プロセスを革新し、建築現場の生産性向上や働き方改革を推進するものです。
3社はワーキンググループを設置し、「施工管理業務のDX」を実現するソリューションの構築と建築現場への実装・定着化を行うとともに、DXにより得られたデータの利活用により、さらなる施工管理業務の高度化と業務プロセスの最適化をめざします。竹中工務店と清水建設のプロジェクトで磨き込まれたソリューションをNTT Comから広くサービス提供することで建設業界に貢献します。
3.本協業の意義
(1)データ連携による生産性向上
工程表のデータがリソース手配や作業指示、作業日報まで引き継がれるため、重複入力の手間や転記誤りによる手配ミスが防止できます。
工程データに紐づく形で「労務」「材料」「施工スペース」「建機」などのリソースの実績データを利用することで、工程計画の精度向上に寄与します。
将来的には工程表作成、リソース手配、作業指示などが半自動的に行われる施工管理をめざします。
(2)工程関連データの蓄積
蓄積されたデータを活用し、リソースに関する生産性指標や工程進捗などの可視化が可能になります。
また、研究レベルでは検討が進んでいる、工程シミュレーション、4DBIM(※1)、工程表の自動生成、建設ロボット連携といった先端技術を実務レベルで展開するための基盤となることが期待されます。
(3)工程情報の標準化
建設業界ではBIMなどの分野でデータの標準化が進んでいますが、工程や作業の情報については標準化が進んでいませんでした。竹中工務店と清水建設のプロジェクトを通して、工程情報の標準化を検討します。
4.各社の役割
【各社の役割】
NTT Com :他業界でのDX成功事例、情報通信に関するノウハウ・知見の提供
現場利用が定着化するシステムをアジャイルで構築
竹中工務店:建築現場の知見やノウハウの提供
自社の現場での本取り組みの推進
清水建設 :同上、日本建設業連合会(「適正工期算定プログラム」(※2))との連携
5.今後の展望
3社は、本協業により構築するDXソリューションの建築現場での利用・定着化に取り組み、「施工管理業務のDX」を推進することで、建設業界全体のプロセスを革新し、生産性向上や働き方改革を推進します。また、これらのデータ利活用による新たな価値創造にも取り組んでいきます。
(※1):3次元の建物のデジタルモデルであるBIM(Building Information Modeling)に時間軸を加えたシュミレーションのこと。
(※2):日本建設連合会が作成した建築工事の適正工期を算定するプログラムのこと。
(参考)https://www.nikkenren.com/kenchiku/proper.html
プレスリリース添付資料
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