株式会社マーケットリサーチセンター

    世界の拘束型心筋症の市場規模、疾患概要、疫学予測:2026年調査レポートを発表

    調査・報告
    2026年9月2日 12:00

    株式会社マーケットリサーチセンター(本社:東京都港区、世界の市場調査資料販売)では、「世界の拘束型心筋症の市場規模、疾患概要、疫学予測、英文タイトル:Restrictive Cardiomyopathy Market Size; Disease Overview; Epidemiology Forecast; Patient Pool Analysis」調査資料を発表しました。本資料には、市場規模、疾患概要、疫学予測、患者数分析(日本、米国、ヨーロッパ、インドなど)、治療上の課題・アンメットニーズなどの情報などが盛り込まれています。

    ■主な掲載内容

    本レポートは、拘束型心筋症(Restrictive Cardiomyopathy:RCM)の疫学動向について、過去の患者推移と2026~2035年の将来予測を整理した市場調査レポートである。RCMは心筋症の中でも最もまれな病型で、心室壁が硬くなって拡張期の充満が障害される一方、収縮能は比較的保たれることが多い。Fakih, Yevaらの2025年の報告では、RCMは世界の全心筋症の約2~5%を占めると推定されており、頻度は低いものの、心不全、不整脈、血栓塞栓症などの重大な合併症につながることから臨床的には重要である。調査会社は、診断精度の向上や病型認識の改善に伴って、2026~2035年に診断患者数が緩やかに増加するとみている。本調査では2025年を基準年、2019~2025年を過去分析期間、2026~2035年を予測期間とし、米国、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、英国、日本、インドの8主要市場を対象に、有病状況、年齢、性別、病型、診断患者数などを分析している。

    RCMの基本病態は、心室心筋のコンプライアンスが低下し、拡張期に十分な血液を受け入れられなくなることである。そのため、左室駆出率などの収縮機能が比較的正常でも、心臓内部の充満圧が上昇し、息切れ、浮腫、運動耐容能低下などの心不全症状を生じることがある。

    病因は多様で、原因不明の特発性RCMのほか、心筋内への異常物質沈着や線維化によって二次的に発症するものがある。提示資料では、アミロイドーシス、サルコイドーシス、ヘモクロマトーシスなどの全身性疾患が代表的な二次性原因として挙げられている。

    臨床的には、心臓単独を主に侵す一次性RCMと、全身疾患を背景に発症する二次性RCMに大別される。したがって、RCMと診断された場合には、単に心筋機能だけを評価するのではなく、基礎となる全身疾患の有無を確認することが重要である。

    RCMは非常に希少である。Rasi Mizoriらの2025年の報告では、全心筋症のわずか2~5%を占めるにすぎず、拡張型心筋症や肥大型心筋症と比べて最も少ない病型とされる。

    一方で、予後は良好とは言えず、少ない患者数に比して臨床上の負担は大きい。心室充満障害が進むと難治性心不全を呈し、不整脈や血栓塞栓症も合併し得るため、長期管理が難しい疾患である。

    年齢については、Cardiomyopathy UKによると、小児では5~6歳頃に診断されることが多いとされる。ただし、RCMは小児だけの疾患ではなく、成人期を含むあらゆる年齢で発症し得る。

    したがって、「5~6歳」という年齢はRCM全体の平均診断年齢ではなく、小児RCMでよくみられる診断時期として理解するのが適切である。

    成人RCMでは、原因疾患によって発症年齢が大きく変わる。例えば、全身性アミロイドーシスなどを背景とする二次性RCMは、小児型とは異なる年齢層で問題となる可能性がある。

    家族性RCMも重要なサブグループである。Helen Huangらの2024年の報告では、家族性拘束型心筋症(Familial Restrictive Cardiomyopathy:FRCM)が全RCM症例の約30%を占めるとされる。

    この30%という数字は、RCM全体の約3割に遺伝的・家族性背景がある可能性を示しており、希少疾患でありながら遺伝カウンセリングの意義が大きいことを意味する。

    家族性RCMではTNNI3などのサルコメア関連遺伝子異常が関与するとされる。発症年齢は一定ではなく、同じ家系内でも幅がある可能性がある。

    そのため、RCMでは臨床診断だけでなく、若年発症、家族歴、突然死歴などがある場合に遺伝学的評価を検討することが重要となる。

    性別については、世界的に男性・女性の双方で発症するが、明確な男女差は十分に確立していない。提示資料でも、性別ごとの有病率差は不明瞭で、さらなる疫学研究が必要とされている。

    したがって、RCMを男性優位または女性優位の疾患として一律に扱うべきではない。背景疾患によって性分布が異なる可能性もあるため、病因別に評価する必要がある。

    米国では、Justyna A Szczygiełらの2023年の報告によると、RCMは成人心筋症全体の約2%を占める。これは世界全体の2~5%という推定の下限付近に相当する。

    ただし、米国の2%は「成人心筋症患者の中でRCMが占める構成比」であり、米国一般人口におけるRCM有病率ではない。

    英国、ドイツ、フランス、スペイン、イタリアでも、European RegistryによるとRCMは成人心筋症の中で最もまれな病型とされる。今回の資料では各国の具体的な人口有病率は示されていないため、欧州全体として希少性が確認されていると理解するのが適切である。

    日本では、小児RCMの年間発症率が100万人の小児あたり約4例とされる。Orianne Domengéらの2022年の報告に基づくこの数値は、RCMが小児領域でも非常にまれであることを示している。

    ただし、「100万人の小児あたり年間4例」は小児RCMの発症率であり、成人を含む日本全体のRCM有病率ではない。

    また、日本の小児発症率と米国の「成人心筋症中2%」は、分母も年齢も異なるため直接比較できない。前者は人口ベースの年間新規発症率、後者は心筋症患者集団内の病型構成比である。

    インドでは、Deb Kumar Boruahらの2025年の報告で、心内膜心筋線維症(Endomyocardial Fibrosis:EMF)がRCMの一形態として、特にケララ州の若年者で15~20%の有病率を示すとされる。

    ただし、この15~20%という数字はインド一般人口におけるRCM有病率として解釈するには極めて高く、特定地域・特定集団、あるいは対象疾患集団における割合である可能性が高い。

    したがって、「インドのRCM有病率が15~20%」と一般化すべきではない。ここでは、ケララ州においてEMFという特定の拘束性心筋病態が若年集団で重要であることを示す地域疫学データとして扱うのが適切である。

    この点からも、RCMの疫学では「RCM全体」と「特定原因によるRCM」を分けることが非常に重要である。アミロイドーシス関連、サルコイドーシス関連、ヘモクロマトーシス関連、EMF、家族性RCMなどでは、患者年齢や地域分布が大きく異なる。

    市場・疫学上では、RCMは診断が難しい疾患でもある。収縮能が比較的保たれるため、単純な心エコー上では典型的な収縮不全型心不全のように見えない場合がある。

    そのため、拡張機能障害、両心房拡大、心室壁の硬さ、基礎疾患の存在などを総合して診断する必要がある。

    また、RCMは収縮性心膜炎などと臨床像が似ることがあり、鑑別が重要になる。提示資料では鑑別診断の詳細までは示されていないが、正確な病型診断が治療選択に直結する。

    調査会社が2026~2035年の診断患者数増加を予測する背景には、真の発症率上昇よりも、心エコー、心臓MRI、遺伝子診断などによる病型認識の向上がある可能性が高い。

    特に二次性RCMでは、アミロイドーシスなど基礎疾患の診断技術が向上すれば、それまで「原因不明の心不全」とされていた患者がRCMとして分類されるようになる可能性がある。

    したがって、将来の患者プール拡大を「RCMそのものが急増している」と単純に解釈するのではなく、未診断・誤診患者の再分類や診断率向上を考慮する必要がある。

    治療の基本は、症状を軽減し、心不全や合併症を管理すると同時に、可能であれば基礎原因を治療することである。

    体液貯留がある患者では利尿薬が用いられる。肺うっ血や末梢浮腫を軽減し、呼吸困難などの症状を改善することを目的とする。

    ただし、RCMでは心室充満が制限されているため、過度に体液量を減らすと心拍出量が低下する可能性がある。そのため、利尿薬による体液管理は慎重に行う必要がある。

    β遮断薬やカルシウム拮抗薬も、心拍数を調整して拡張期充満時間を確保する目的などで使用される場合がある。

    ただし、これらの薬剤がすべてのRCM患者に同じように適するわけではなく、基礎病態、血圧、心拍数、不整脈などを考慮して個別に使用する必要がある。

    RCMでは心房拡大や不整脈を伴うことがあり、血栓塞栓症リスクが高い患者では抗凝固療法が検討される。

    したがって、心不全管理だけでなく、不整脈・血栓塞栓症予防も長期治療の重要な柱となる。

    二次性RCMでは、基礎疾患に対する標的治療が重要である。提示資料では、アミロイドーシスに対する化学療法や、サルコイドーシスに対するコルチコステロイド治療などが挙げられている。

    ここで重要なのは、これらがRCM全体に一律に行われる治療ではないことである。例えば化学療法は特定のアミロイドーシスなど原因疾患に対して用いられるもので、すべてのRCM患者の標準治療ではない。

    同様に、ステロイドもサルコイドーシスなど炎症性背景がある患者で使用される。したがって、RCMでは「原因を特定すること」そのものが治療選択につながる。

    進行例では心臓移植が必要になることがある。特に重度の心不全が進行し、薬物療法で十分な循環動態を維持できない患者では、最終的な治療選択肢となる。

    この点は、小児RCMでも重要である。若年発症で進行が速い症例では、長期的に高度心不全医療が必要になる可能性がある。

    生活管理では塩分制限や慎重な水分管理が推奨される。目的は体液過剰によるうっ血症状を軽減し、心臓への負荷を抑えることである。

    一方で、RCMでは前負荷への依存度が高い場合があるため、極端な水分制限は必ずしも適切ではない。個々の循環動態に合わせた管理が必要となる。

    市場の観点では、RCMは全心筋症の2~5%という非常に小規模な希少疾患市場である一方、患者一人あたりの医療負担は大きい。

    診断には高度心エコー、心臓MRI、場合によっては遺伝子検査や基礎疾患検索が必要となり、治療でも長期の心不全管理、不整脈管理、抗凝固療法、原因疾患治療、移植医療などが関与する。

    さらに家族性RCMが約30%を占めるという報告から、家族スクリーニングや遺伝カウンセリングも重要な医療需要になる。

    2026~2035年に市場を押し上げる主な要因としては、第一に、心臓画像診断の精度向上による潜在患者の発見増加がある。

    第二に、アミロイドーシスなど従来見逃されやすかった全身性疾患の診断率が向上することで、二次性RCMと診断される患者が増える可能性がある。

    第三に、遺伝子検査の普及によって、家族性RCMがより早期に発見される可能性がある。

    したがって、RCMの将来患者数増加は、人口全体での急激な発症増加よりも、「診断される患者が増える」ことによって説明される可能性が高い。

    一方で、今回の資料には一般人口ベースの世界RCM有病率そのものは示されていない。「2~5%」は全心筋症に占めるRCMの割合であり、一般人口の2~5%がRCMであるという意味ではない。この点は特に重要である。

    同様に、米国の2%も成人心筋症患者におけるRCM構成比であり、日本の4/100万人/年は小児発症率、インドの15~20%はケララ州におけるEMF関連の特定集団データである。

    したがって、これらの数値を直接比較して「どの国のRCMが最も多いか」を判断することはできない。分母、年齢、病型がそれぞれ異なるからである。

    全体として本レポートは、RCMを「全心筋症の約2~5%を占める最もまれな心筋症で、心室が硬くなることで拡張期充満が障害され、収縮能が比較的保たれていても心不全や不整脈を生じ得る、原因の多様な重篤心筋疾患」と位置づけている。

    小児では5~6歳頃に診断されることが多い一方、成人発症もあり、年齢分布は基礎疾患によって大きく異なる。家族性RCMは約30%とされ、TNNI3などのサルコメア遺伝子が関与する。性別では明確な世界的男女差は確立していない。

    国別には、米国では成人心筋症の約2%、欧州主要国でも成人心筋症の中で最もまれ、日本では小児で年間100万人あたり約4例とされる。インドではケララ州の若年者でEMFが15~20%とされるが、これは一般人口RCM有病率ではなく、特定地域・病態に関する数値として慎重に解釈する必要がある。

    2026~2035年の疫学・市場動向を考えるうえでは、RCMそのものの急増よりも、画像診断、原因疾患診断、遺伝子検査の改善によって未診断患者がより正確に分類されることが、診断患者数増加の主要因になると考えられる。

    したがって、今後のRCM管理における中心的課題は、収縮能が保たれていても拡張障害と心不全症状がある患者でRCMを見逃さないこと、一次性・二次性を区別してアミロイドーシス、サルコイドーシス、ヘモクロマトーシスなどの原因疾患を検索すること、家族性が疑われる場合には遺伝子検査と家族評価を行うこと、利尿薬などでうっ血を慎重に管理し、不整脈や血栓塞栓症を予防すること、そして重症例では心臓移植を含む高度治療へ適切につなげることである。2026~2035年は、RCMを単に「まれな心筋症」として扱うのではなく、原因別・遺伝子型別に患者を分類し、早期診断と病因特異的治療を組み合わせて長期予後を改善することが、臨床・市場双方の主要テーマになるとまとめられる。

    ※目次構成

    01
    序文
    1.1 はじめに
    1.2 調査目的
    1.3 調査方法および前提条件

    02
    エグゼクティブサマリー

    03
    拘束型心筋症市場概要(8主要市場)
    3.1 拘束型心筋症市場の過去市場規模(2019年~2025年)
    3.2 拘束型心筋症市場の予測市場規模(2026年~2035年)

    04
    拘束型心筋症疫学概要(8主要市場)
    4.1 拘束型心筋症疫学状況(2019年~2025年)
    4.2 拘束型心筋症疫学予測(2026年~2035年)

    05
    疾患概要
    5.1 症状および徴候
    5.2 原因
    5.3 リスク要因
    5.4 ガイドラインおよび病期分類
    5.5 病態生理
    5.6 スクリーニングおよび診断
    5.7 拘束型心筋症の種類

    06
    患者プロファイル
    6.1 患者プロファイル概要
    6.2 患者心理および感情面への影響要因

    07
    疫学状況および予測(8主要市場:2019年~2035年)
    7.1 主要調査結果
    7.2 前提条件および根拠
    7.3 拘束型心筋症の診断済み有病患者数
    7.4 種類別の拘束型心筋症患者数
    7.5 性別別の拘束型心筋症患者数
    7.6 年齢別の拘束型心筋症患者数

    08
    疫学状況および予測:米国(2019年~2035年)
    8.1 米国における前提条件および根拠
    8.2 米国における拘束型心筋症の診断済み有病患者数
    8.3 米国における種類別の拘束型心筋症患者数
    8.4 米国における性別別の拘束型心筋症患者数
    8.5 米国における年齢別の拘束型心筋症患者数

    09
    疫学状況および予測:英国(2019年~2035年)
    9.1 英国における前提条件および根拠
    9.2 英国における拘束型心筋症の診断済み有病患者数
    9.3 英国における種類別の拘束型心筋症患者数
    9.4 英国における性別別の拘束型心筋症患者数
    9.5 英国における年齢別の拘束型心筋症患者数

    10
    疫学状況および予測:ドイツ(2019年~2035年)
    10.1 ドイツにおける前提条件および根拠
    10.2 ドイツにおける拘束型心筋症の診断済み有病患者数
    10.3 ドイツにおける種類別の拘束型心筋症患者数
    10.4 ドイツにおける性別別の拘束型心筋症患者数
    10.5 ドイツにおける年齢別の拘束型心筋症患者数

    11
    疫学状況および予測:フランス(2019年~2035年)
    11.1 フランスにおける前提条件および根拠
    11.2 フランスにおける拘束型心筋症の診断済み有病患者数
    11.3 フランスにおける種類別の拘束型心筋症患者数
    11.4 フランスにおける性別別の拘束型心筋症患者数
    11.5 フランスにおける年齢別の拘束型心筋症患者数

    12
    疫学状況および予測:イタリア(2019年~2035年)
    12.1 イタリアにおける前提条件および根拠
    12.2 イタリアにおける拘束型心筋症の診断済み有病患者数
    12.3 イタリアにおける種類別の拘束型心筋症患者数
    12.4 イタリアにおける性別別の拘束型心筋症患者数
    12.5 イタリアにおける年齢別の拘束型心筋症患者数

    13
    疫学状況および予測:スペイン(2019年~2035年)
    13.1 スペインにおける前提条件および根拠
    13.2 スペインにおける拘束型心筋症の診断済み有病患者数
    13.3 スペインにおける種類別の拘束型心筋症患者数
    13.4 スペインにおける性別別の拘束型心筋症患者数
    13.5 スペインにおける年齢別の拘束型心筋症患者数

    14
    疫学状況および予測:日本(2019年~2035年)
    14.1 日本における前提条件および根拠
    14.2 日本における拘束型心筋症の診断済み有病患者数
    14.3 日本における種類別の拘束型心筋症患者数
    14.4 日本における性別別の拘束型心筋症患者数
    14.5 日本における年齢別の拘束型心筋症患者数

    15
    疫学状況および予測:インド(2019年~2035年)
    15.1 インドにおける前提条件および根拠
    15.2 インドにおける拘束型心筋症の診断済み有病患者数
    15.3 インドにおける種類別の拘束型心筋症患者数
    15.4 インドにおける性別別の拘束型心筋症患者数
    15.5 インドにおける年齢別の拘束型心筋症患者数

    16
    患者経路

    17
    治療課題および未充足ニーズ

    18
    キーオピニオンリーダー(KOL)による洞察

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