<第1弾> シニア世代の便通状態、半数が黄色信号 60~80代男女に聞いた!『シニアの便通実態調査2023』 内科医が警鐘を鳴らす“ミイラ便”のリスク
~便秘気味の人は1年で“約3日間”もトイレの住人に~
「大腸劣化」対策委員会では、大腸のケアの重要性を広く知ってもらうための活動の一環として、便秘対策法の具体的な提案を行っています。今回はシニアの便通実態を明らかにする目的で行ったWEB調査の結果を2回に分けてお伝えします。尚、ここで言う「劣化」とは「老化」と異なり、ケアや対策を講じることで予防や改善できる状態を指します。
大腸は全身の健康の『要』とも言われる大切な臓器ですが、加齢に伴い機能が落ちていき、なかでも「腸のぜん動運動」や「便を押し出す力」の低下はシニア世代の便秘の大きな要因と言われています。また、令和元年に発表された厚生労働省の調査※によると、60代後半から便秘の人が増え始め、70代後半以降は男性が女性を上回る結果が出ています。
※令和元年・国民生活基礎調査「性・年齢階級・症状別にみた有訴者率」より
本調査で全国の60~80代男女600名を対象としたところ、日ごろは話題にしづらい便通状態から心身の不調や幸福度に及ぼす影響、便秘対策の具体的な方法などが浮き彫りになりました。調査結果をふまえ、内科医の工藤孝文先生と工藤あき先生にコメントをいただきました。
<調査結果トピックス>
1. シニアの便通状態は、黄色信号!?
●60-80代の半数が「常に快便」ではない。便秘気味の人の約7割が「便通に悩みあり」
●半数以上が「若いころより便通の悩みが増え」、「50代以降」から便秘気味に
2. 便秘気味のシニア、気になる便のカタチとニオイは?
●便秘気味の人の便の状態は、3人に2人以上が硬く出しにくい「コロコロ便」「硬い便」「やや硬い便」
●便秘気味の人の6割以上が自分の便を「臭い」、7割近くがおならが「臭い」と感じている
3. トイレ滞在時間にも大きな差!
●便秘気味の人は、1年の約3日間はトイレの住人!?快便の人よりも1日長くトイレに滞在している
●便秘気味の人の8割が「トイレに行ったが出ない」経験があり、4割が排便時に「残便感がある」
4. 便秘気味の人が快便のために行っている対策項目の平均は4.2個!
●便秘気味の人の半数前後が
「ヨーグルトを食べる・飲む」「食物繊維を摂る」「水を飲む」などを実践
1.シニアの便通状態は、黄色信号!?
●60-80代の半数が「常に快便」ではない。便秘気味の人の約7割が「便通に悩みあり」
●半数以上が「若いころより便通の悩みが増え」、「50代以降」から便秘気味に
平常時の排便状況で一番多いものについて聞いたところ、半数が「便秘気味」「下痢気味」「排便状況は一定していない」と、常に快便ではないことが分かりました。また便秘気味の人のうち、約7割が「便通に悩みがある」、半数以上が「若いころに比べて便通に関する悩みが増えた」と回答しました。多くのシニア世代が便通に何かしらの不調があり、特に便秘気味の人は悩みを抱えていることが分かります。併せて便秘気味になり始めた年齢について聞いたところ、50代以降から増えており、年齢を重ねるにつれ便秘になりやすい傾向が伺えます。腸内環境の悪化(大腸劣化)は、様々な体の不調にもつながるため、便通状態がすぐれないシニアの方は、注意が必要です。
2. 便秘気味のシニア、気になる便のカタチとニオイは?
●便秘気味の人の便の状態は、3人に2人以上が硬く出しにくい「コロコロ便」「硬い便」「やや硬い便」
●便秘気味の人の6割以上が自分の便を「臭い」、7割近くがおならが「臭い」と感じている
続いて、便の形状について快便の人と便秘気味の人を比較しました。快便の人の7割以上が健康的な普通便であるのに対し、便秘気味の人は3人に2人が「コロコロ便」「硬い便」「やや硬い便」であることが分かりました。便秘は便の硬さや形状に関係しているようです。さらに、便秘気味の人の6割以上が自分の便を臭いと感じることが「よくある」「ときどきある」と回答していて、おならについても約7割が同様の回答でした。便が腸内に長く留まることで水分が吸収されて硬くなり、ニオイもきつくなると言われますが、今回の調査でもその傾向が顕著に現れました。
3.トイレ滞在時間にも大きな差!
●便秘気味の人は、1年の約3日間はトイレの住人!?快便の人よりも1日長くトイレに滞在している
・便秘気味の人:約11分×365日=4,015分(約3日間)
・快便の人:約7分×365日=2,555分(約2日間)
※1日1回排便していた場合
●便秘気味の人の8割が「トイレに行ったが出ない」経験があり、4割が排便時に「残便感がある」
トイレの滞在時間について聞いたところ、便秘気味の人は1回に平均11分、1年に換算すると約3日間も滞在していることが分かりました。快便の人と比べて1回につき4分長く、1年に換算すると1日以上も余計に排便時間に費やしていることが分かりました。
また、便秘気味の人の8割が「排便のためトイレに行ったが出なかった経験がある」と回答し、排便時に感じることで最も多かったのは「残便感がある」ことでした。トイレにこもる時間が長い上に、なかなか便を出せず、出せたとしても残便感があるということは、腸の中で便がじっと動かず固まっている証拠かもしれません。
4. 便秘気味の人が快便のために行っている対策項目の平均は4.2個!
●便秘気味の人の半数前後が「ヨーグルトを食べる・飲む」「食物繊維を摂る」「水を飲む」などを実践
最後に、便秘気味の人が快便になるために意識している具体的な項目について見てみると、1人あたり平均4.2個の対策を実践していることが分かりました。群を抜いて多かったのは「ヨーグルトを食べる・飲む」で、便秘を改善するためにはヨーグルト、というイメージが広く浸透していることが伺えます。次いで「食物繊維を摂る」「水を飲む」「フルーツや野菜などを食べる」という結果となりました。
●工藤孝文先生・あき先生によるコメント
工藤孝文(くどう たかふみ) 先生 |工藤内科 院長
内科医・糖尿病内科・総合医療医・漢方医
福岡大学医学部卒業後、アイルランド、オーストラリアへ留学。帰国後は大学病院での勤務を経て、現在は福岡県みやま市の工藤内科で地域医療に尽力。糖尿病、肥満治療、東洋医学、漢方治療の専門家としてメディア出演も多数。
工藤あき(くどう あき) 先生 |工藤内科 副院長
消化器内科医・美腸・美肌評論家
日本内科学会認定医・日本消化器病学会専門医・日本消化器内視鏡学会専門医。一般内科医として地域医療に携わりながら、腸内細菌・腸内フローラに精通。腸活×菌活を活かしたダイエット・美肌・エイジングケア治療にも力を注いでいる。植物と美の関係をひもとく、日本でのインナーボタニカル研究の第一人者としても注目されている。その美肌から「むき卵肌ドクター」の愛称で親しまれ、メディア出演多数。
■シニアは“ミイラ便”に要注意!ビフィズス菌の摂取で腸の改善を
便秘の症状がある人はシニア層に多い傾向がありますが、今回の調査でも「便秘気味になり始めた年代は50代以降から」という人が多く見られました。加齢に伴う腸の動きの悪化に加え、筋力の低下が、残便感や排便時間の長さをもたらしているものと考えられます。便秘の人に多く見られる「コロコロ便」「硬い便」「やや硬い便」は、大腸に長く留まったために水分が搾り取られ、ミイラ化した便=“ミイラ便”になっている証拠です。この“ミイラ便”は腸内で硬く固まっているので、体内から排出するのもひと苦労です。便やおならが臭く感じるのは、ミイラ便が体内で腐敗し、毒素を出していることが原因と考えられています。
便秘の対策法としては、多くの方が「ヨーグルト」「食物繊維」「水」を挙げていました。特にヨーグルトを意識している方は6割を超えていましたが、それでも便秘に悩んでいる実態が伺えます。そんな方は、普段食べているヨーグルトにビフィズス菌が入っているかどうか、注目してみてください。ヨーグルトにはビフィズス菌が入っていないものもありますので、購入される際にはパッケージをよく確認すると良いでしょう。ビフィズス菌は、お腹の中で悪玉菌の活動や増殖を抑え、腸内環境をよい状態へと導く役割をします。高齢でも元気な人のお腹の中にはビフィズス菌が多いという研究結果もあり、ビフィズス菌数を維持することが、健康の秘訣と言えるかもしれません。
■「大腸劣化」対策委員会について
全身の健康の要である大腸。「大腸劣化」対策委員会では、今、現代日本人の健康を脅かしている「大腸劣化」の認知を広げ、対策意識を高めていくことを目的として、大腸に関する医療・学術専門家の知識を集結し、大腸の働き・大腸劣化が起きる要因から、改善策までの幅広い情報を発信してまいります。
「大腸劣化」対策委員会 ホームページアドレス: https://daicho-rekka.jp/
[調査概要]
■表題 :シニアの便通実態調査
■調査主体:「大腸劣化」対策委員会
■調査期間:2023年3月31日(金)~4月2日(日)
■調査方法:インターネット調査
■調査対象:60代~80代 男女600名 日本国内在住
- カテゴリ:
- 調査・報告
- タグ:
- 医療 健康・ヘルスケア その他ライフスタイル
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