ヘルメット努力義務化「知らない」は31.6%。効果はわかって...

ヘルメット努力義務化「知らない」は31.6%。効果はわかっても、着用したくない?

自転車を利用する会社員を対象にしたアンケート調査

企業における危機管理・リスクマネジメントの専門メディアであるリスク対策.com(https://risktaisaku.com/)は、全国の会社員を対象に、今年4月1日から努力義務化される自転車のヘルメット着用に関するアンケート調査を実施しました。その結果、ヘルメット着用が努力義務化されることを知っている人は68.4%、知らない人は31.6%で、法律の内容が十分に周知されていないことが明らかになりました。また、今後ヘルメットを購入するかの問いに対しては、「現在持っておらず購入する予定もない」との回答が64.6%と過半数を占めました。調査は、2023年3月19日から21日にかけてインターネット上で行い20歳以上65歳以下の会社員で、日常的に自転車を利用している男女822人からの回答を得ました。回答者の男女比は男性55.4%、女性44.5%で子供の有無については「いる」が47.2%、「いない」が52.8%でした。年齢層は20代、30代、40代、50代、60代の各年代とも20%前後となっています。

(本調査は、兵庫県立大学教授の木村玲欧氏と関東学院大学准教授の大友章司氏の協力を得て実施しています)
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ヘルメット着用義務付けを知っているは68.4%

アンケートではまず、改正道路交通法の施行により、令和5年4月1日から自転車利用者のヘルメット着用が努力義務化されることを知っているかを質問しました。その結果、知っていると答えたのは68.4%、知らないは31.6%でした(グラフ1)。ヘルメット着用努力義務化の情報をどのように知ったかについては、「テレビや新聞から」が54.1%と突出して高く、「SNS・インターネット等から」(17.3%)が続きました(グラフ2)。
グラフ1
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グラフ2
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「購入予する予定なし」は64.6%

ヘルメットの購入予定について聞いたところ、「持っておらず購入する予定がない」が64.6%で半数以上を占めました。「すでに持っている」は13.6%、「持っていないが購入する予定」は14.5%でした(グラフ3)。改正法の施行により、ヘルメットを新たに購入しようと考えている人は、「わからない」(7.3%)を加えても20%程度にとどまることが予想される結果となりました。
グラフ3
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■努力義務化を知っている人ほど購入の意向は高い

前問の「ヘルメット努力義務化の理解」と「ヘルメット購入の意向」との回答を比べると、努力義務化を「知らない」と回答した人ほど、ヘルメットを「持っておらず購入する予定もない」と回答した割合は高く、改正法の周知がヘルメット着用の定着に向け重要であることを裏付けました(グラフ4)。

本調査の監修にあたった兵庫県立大学教授の木村玲欧氏は「交通事故の件数や死亡者は長期的な視点で見れば減少傾向にあると言えるが、警察庁によれば、自転車乗用中の交通事故で亡くなられた方は約6割が頭部に致命傷を負っており、さらに自転車乗用中の交通事故においてヘルメットを着用していなかった方の致死率は、着用していた方に比べて約2.2倍高くなっている。法律による努力義務といった外発的な動機付けだけでは不十分であり、一定の定着が見込めるまでは、その着用効果を含めて利用者に広く継続的に呼び掛け続けることが重要である。髪型や使用シーンに応じたさまざまなヘルメットの開発なども期待される」と話しています。
グラフ4
グラフ4

■「努力義務だが着用したくない」が「努力義務だから着用したい」を上回る

ヘルメット努力義務化に関する意見として、「努力義務だが着用したくない」「努力義務だから着用したい」など、複数の設問文について、「1. 全くそう思わない」~「5. 非常にそう思う」まで5段階の中から最も当てはまるものを選んでもらった結果、「努力義務だが着用したくない」は、「5.非常にそう思う」「4.ややそう思う」との回答割合が他の項目に比べ高くなりました。平均点で比べると「努力義務だが着用したくない」は3.54で「努力義務だから着用したい」(2.77)を大きく上回っています。ほかの項目を見ると、最も平均点が高かったのは「事故による死亡率が下がる」で、逆に低かったのが「ヘルメット着用に効果は感じない」(2.6)であることから、必要性は感じても、実際には、面倒で着用したくない心理が読み取れます(グラフ5)。
同じく本調査の監修にあたった関東学院大学准教授の大友章司氏は「心理学の世界では、人々が特定のリスクを理解しているにもかかわらず、そのリスクに対する適切な行動を取れないことを認知的不協和と呼ぶが、まさにその結果が表れている。防災行動と同様で、リスクがわかっているからといって、多くの人が具体的な行動を取らない状況に陥ってしまう現象」と分析しています。
グラフ5
グラフ5

■性別や子どもの有無により差も

性別や子どもの有無と、ヘルメット購入の意向について比較すると、男性は女性より、子どもがいる人はいない人より、「すでに持っている」割合が高いことが分かりました。ただし、「持っていないが購入する予定」は、性別、子どもの有無にかかわらずほぼ変わりはありませんでした(グラフ6)。男性が女性よりヘルメットを所有している割合が多い理由については明らかではありませんが、「趣味」で自転車を利用する割合が男性の方が多いことなどが要因と考えられます。
グラフ6
グラフ6

■買い物はヘルメット着用の必要性が理解されにくい

次いで、日常的な自転車の利用目的別に、ヘルメットの購入意向を比較すると、通勤など仕事を主な目的として自転車を使っている人や、趣味などで自転車を使っている人は「すでにヘルメットを持っている」割合が高く、今後も購入する予定が2割程度いたのに対して、買い物を主な目的としていると回答した人は、ヘルメットを持っている割合は低く、購入する予定についても他より低いことがわかりました(グラフ7・グラフ8)。仕事や趣味で自転車を利用するのに対し、買い物などの利用時についてはヘルメットの重要性が理解されにくいことが推察されます。
グラフ7
グラフ7
グラフ8
グラフ8

■勤務先から周知されていないが74.6%

最後に、勤務先において、どのように「ヘルメット着用について周知されているか」を聞いたところ、「特に周知されていない」が74.6%と大半を占めました(グラフ9)。
兵庫県立大学教授の木村氏は「通勤や仕事で自転車を使っている人がヘルメットを着用していなければ、会社のイメージダウンにもつながりかねない。『あそこの会社の社員が警察に指導されていた』『ノーヘルの社員が事故を起こした』などという情報が広がれば、会社としてのコンプライアンスや信用問題にもつながる。一方で、当事者である社員にしてみれば、あくまでも努力義務であり、それまで放任されていたのにもかかわらず、突然会社から指導を受ければ不愉快に感じ、こうしたことが社内のコミュニケーションを阻害して別のリスクにも発展しかねない」と平時におけるリスクコミュニケーションとして、今回の法律改正を捉える必要があることを指摘しています。
グラフ9
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