微小部X線分析装置「XGT-9000Pro」「XGT-9000Expert」を発売 「分析時間最大65%削減※1」と、 卓上型蛍光X線で世界初※2「ホウ素からの軽元素分析」の2機種  材料分析における現場の効率化に貢献

株式会社堀場製作所(本社:京都市南区吉祥院宮の東町2、代表取締役社長:足立 正之、以下 当社)は、蛍光X線分析装置の新製品である微小部X線分析装置「XGT-9000Pro」、「XGT-9000Expert」の2機種を9月7日に発売し、「XGT-9000」シリーズのラインアップを拡充します。


「XGT-9000」シリーズは、材料中に含まれる元素の種類や量を高精度に分析する微小部X線分析装置です。半導体ウエハの膜厚といった微小部の分析や、食品・化粧品・薬品やリチウムイオン電池などの製造プロセスにおける異物解析などあらゆる材料の品質管理や研究開発に寄与し、はやぶさ2プロジェクトにおける小惑星「リュウグウ」の砂の分析貢献でも知られています。


新モデルは検出器の改良と信号処理を高速化する独自アルゴリズム(特許取得済※3)の採用により、「XGT-9000Pro」は最大65%※1、「XGT-9000Expert」は最大50%※1分析時間を削減。

さらに、「XGT-9000Expert」は卓上型のエネルギー分散型蛍光X線分析装置として世界で初めて※2ホウ素(B)からの軽元素※4分析を実現しました。ホウ素(B)という蛍光X線では検出が非常に難しい元素の分析が可能になったことで、より一般的な炭素(C)、窒素(N)、酸素(O)などの軽元素が高感度に分析でき、従来は複数の装置を用いざるを得なかった酸化物や窒化物、有機物などの分析も1台で完結できます。


これにより、素材メーカーをはじめ幅広い産業の品質管理や研究開発における材料分析の大幅な時間削減、効率化、省スペース化に貢献します。


なお、本製品は、2022年9月7日から9日まで開催されるアジア最大級の最先端科学・分析システム&ソリューション展「JASIS 2022」(幕張メッセ)に初出品します。



※1 当社従来製品との比較。使用方法や条件によって効果が異なる場合があります

※2 卓上型のエネルギー分散型蛍光X線分析装置としては世界初 当社調べ 2022年8月時点

※3 日本特許番号:6857174、米国特許番号:10795031、欧州:特許出願済み

※4 軽元素:原子量の小さい元素のこと


微小部X線分析装置「XGT-9000Pro」

微小部X線分析装置「XGT-9000Expert」


【開発の背景】

微小部X線分析装置「XGTシリーズ」は、蛍光X線を用いて材料に含まれる元素の種類や量を非破壊・非接触で分析できるため、素材開発の研究現場や証拠品など貴重な試料分析、製品の製造プロセスにおける異物解析など多くのシーンで活躍しています。


ものづくりにおいて品質管理の重要性が高まるなか、さまざまな製造プロセスで視認が難しい数10ミクロン(ミクロンは1000分の1ミリメートル)の異物の発見が課題となっています。たとえ微小でも異物が紛れ込むことにより、製品の性能低下や重大なトラブルを引き起こす可能性があるためで「XGTシリーズ」のような微小部X線分析装置の重要性は益々高まっています。


蛍光X線分析は金属などの分析に強い一方で、ナトリウム(Na)よりも軽い元素の高感度分析がこれまでは難しく、窒化物や有機物の分析には別の装置で分析する必要がありました。蛍光X線分析では測定が難しい炭素(C)、窒素(N)、酸素(O)など一般的な軽元素の高感度分析を実現できれば、金属だけでなく酸化物や窒化物、有機物などの分析を一台で完結する環境を提供することが可能になります。近年の働き方改革の進展により、品質管理や研究開発においても一層の効率化や省力化が求められており、分析時間の大幅な短縮と、有機物から金属までを一台で分析できる微小部X線分析装置の実現は欠かせない技術革新として待ち望まれていました。


こうした背景から、当社で1950年代から培ってきたX線分析技術を追求して、「金属・無機材料の高感度分析にかかる時間を大幅に短縮したい方」、「酸化物・窒化物や有機物から金属までを1台で高速に分析したい方」、それぞれのニーズを満たす新製品「XGT-9000Pro」、「XGT-9000Expert」を開発しました。



【製品特長】

圧倒的な分析速度を実現した「XGT-9000Pro」、軽元素であるホウ素(B)からの分析を可能とした「XGT-9000Expert」の2機種を展開します。


・高感度測定により圧倒的な分析速度を実現。分析時間を大幅に短縮

蛍光X線分析は、物質にX線を照射した時に得られる元素固有の蛍光X線を捉えることで、元素の種類や量を測定します。分析スピードを向上させるためには、より感度良く蛍光X線を捉えることが重要です。検出部分に改良を重ね、また信号処理を高速化する独自アルゴリズムを開発することで、分析時間を「XGT-9000Pro」は最大65%※1削減、「XGT-9000Expert」は最大50%削減※1しました。


・幅広い測定項目を実現。分析現場の省スペース化、効率化に貢献

さらに「XGT-9000Expert」は、上記の分析時間削減に加えて、卓上型のエネルギー分散型蛍光X線分析装置としては世界で初めて※2軽元素であるホウ素(B)からの分析を実現しました。軽元素と位置づけられる元素のうち、ホウ素(B)、炭素(C)、窒素(N)などは蛍光X線が弱すぎて検出器で捉えることができず、感度よく測定することができません。上記の検出器の改良や独自アルゴリズムに加え、「XGT-9000Expert」は微弱な蛍光X線に対する検出器の感度を大幅に向上させたことで、ホウ素(B)からの分析を実現しました。これにより蛍光X線分析では測定が難しかった炭素(C)、窒素(N)、酸素(O)などの一般的な軽元素を高感度に分析することが可能になり、従来は金属など無機物の分析とは別に複数の装置を用いて分析せざるを得なかった酸化物や窒化物、有機物などの分析も1台で完結することができます。例えば、燃料電池に使われる有機膜の分析や、食品に混入したビニールやポリエチレンなど樹脂を含む異物解析も1台で高感度に分析できます。なお、含水試料・含油試料中の軽元素測定も可能です。



【製品概要】

製品名 :XGT-9000Pro

対象成分:Na~Am

分析時間:最大65%※1削減

寸法  :680(W)x860(D)x760(H)mm


製品名 :XGT-9000Expert

対象成分:B~Am

分析時間:最大50%※1削減

寸法  :680(W)x860(D)x760(H)mm


<両モデル>

X線照射径      :最小直径10μm

最大マッピングサイズ:100×100mm

最大試料サイズ   :340mm×240mm



■ご参考

元素周期表

取材依頼・商品に対するお問い合わせはこちら

プレスリリース配信企業に直接連絡できます。

  • 会社情報